新作が発表されるたび、世界中の腕時計界隈を揺るがしてきた「KURONO TOKYO(クロノトウキョウ)」。皆さまご存じの通り、日本人として初めて独立時計師アカデミー(AHCI)の正会員となった浅岡肇氏が手がける、腕時計ブランドです。
独立時計師として浅岡氏が作る時計は生産本数も少なく、とても高価なこともあって容易に入手できる対象ではありません。しかし、浅岡氏自身が「肩肘張らずに使えるデイリーウォッチを作ろう」と思い至って始まった「クロノトウキョウ」は、現実的で比較的購入しやすい価格帯。だからこそ私みたいな〝庶民派の腕時計好き〟が気持ち良く楽しめているわけです。

そんなクロノトウキョウさんの中から今回お話しするモデルは、2026年3月に発表された際、強い衝撃で受け止められたブランド初のダイバーズウォッチ「Diver’s: ダイバーズ」です。私自身もクロノトウキョウコレクターの端くれですが、ここに来ての新作が〝ダイバーズ〟であることに心底驚きました。しかも「全然普通じゃない」と来た!! (@_@;)
ちなみにこの時計には、私が個人として慎ましい腕時計コレクションを築いてきた〝無駄に長い道のり〟においてさえ一度も出会ったことのない〝傑出した特徴〟があります。
2026年新作モデルのお披露目イベントにお呼ばれしました
2026年の2月28日。この日はご招待をいただいたイベント〝Kurono Tokyo × 浅岡肇「思考の設計図」特別トークセッション〟に参加するという、絶対に外せない予定がありました。
たまに勘違いされるのですが、私は毎週時計イベントに参加しているわけではありません。良いところ月に一度ご招待してもらえるくらいでしょうか。現地で「またいる!!」なんて言われることもありますが、そんなアナタも「またいる!!」やないかいっ!!(笑)
ところが意外なことに、外苑前の「Kurono Tokyo 青山サロン」で行われたこの日のイベントには、私の知ったお顔がひとつもありませんでした。逆に珍しい、というか妙に新鮮!!
とはいえ、参加者の多くが「クロノトウキョウさんのユーザー」というお立場。私が買いそびれた、或いは見送ったモデルをお持ちの方には積極的に声をおかけして、ファン同士の交流を図らせていただきました(仲良くなったアメリカのコレクターさんとはその後、連れだって表参道まで繰り出したりしましたしね)
この日の目玉ともいえるプログラムは〝2026年新作モデルのお披露目〟でした。参加したゲストたちが待ちわびたニューモデル… それが「Diver’s: ダイバーズ」です。これがまぁ、意外も意外の〝攻めた方向性〟を持った時計でしてねぇ… (*´ω`*)
オレたちの知っているクロノトウキョウじゃない!!

驚きました。参加した方の中には私と同じ心境の人もいたことでしょう。即ち「オレの知っているクロノトウキョウじゃないぞ!!」と。
この時点で、浅岡さんの思惑は大成功だったと思います。これまでにも青山サロンでの購入予約などで、同席したクロノトウキョウファンの方とお話しする機会がありましたが、反応は総じて「仕上げが美しいですね」「針の存在感がたまらない」「色味が素晴らしい」といった〝しみじみ系の感想〟がほとんどでした。
この日の主役ともいえる「Diver’s: ダイバーズ」の現物を目の当たりにしたとき、クロノトウキョウの歩みを理解している人ほど、ある種の戸惑いを隠せていなかったと思います。
そりゃあそうでしょう。「クロノトウキョウは斯くあるべき」… 時計ブランド クロノトウキョウを愛している人ほど、目の前のトレーに鎮座する46ミリ幅の巨大なオブジェクトに〝イメージのズレ〟を感じ、腰が引けていたかもしれません。
ただ私はこの反応こそが、浅岡さんが見たかった風景ではないかと思いました。何やらいたずらっぽく、楽しそうに見えたからです (*´∀`*)
この日のイベントは浅岡さんの無限の引き出しの一つが、盛大に開かれた瞬間だったと思います。私自身も「クロノトウキョウで、巨大なダイバーズを見ることになるとは…」と、しばらくは興奮と混乱の余韻が収まりませんでした。
46ミリの中に、オレたちのクロノトウキョウは… あった!!

その場で仲良くなったアメリカ人コレクターの方は、自身の太い腕に何度も載せて「ボクは余裕!!」と笑みを見せていました。細腕民の方たちは一様に「少しデカいかなぁ」と呟いていましたが(笑)
ところが「Diver’s: ダイバーズ(46mm Diving Case)」の「上蓋」が開放された瞬間、弾けるように参加者たちの空気が変わりました。
ダイバーズの姿をしたケースの中から、マトリョーシカのように鎮座する「クッションケースのドレスウォッチ(35mm Inner Watch)」が現れたのです。このサイズ感、この雰囲気… そこにあったのは、クロノトウキョウ信者たちがイメージする、しみじみ系のクロノトウキョウそのものでした。
この時点で「Diver’s: ダイバーズ」における「46mm Diving Case」の解釈が変化した私。あくまでも「35mm Inner Watch」を軸とした〝変身合体セット〟として、納得することができたのです。
真逆とも言える印象の変化を可能にするマトリョーシカ構造で、実質〝2本分楽しめる〟「Diver’s: ダイバーズ」。生産本数がいつも以上に少ないというお話もあった後、同好の士だったはずのイベント参加者の間に、何やらお互いを牽制しあうシビアな空気が流れ… (;´∀`)
盆と正月?? 幸運にも当選した「レアモデル」
そして数日が経過。イベント参加者だけに用意された先行予約枠の期日が迫る中、満を持して「購入希望」を送信した私。しかしながら今回の「Diver’s: ダイバーズ」は生産数がいつも以上に少ないため、先行予約とはいえ確実に買える保証はどこにもありません。
ですが、伝説のプロレスラー〝獄門鬼〟マサ斎藤さんだって言ってたじゃないですか。「Go for broke !!(当たって砕けろ)」と。ダメならダメで、次のモデルに望みを賭けるのみです。

なんて無欲を貫いていたら… 見事に『当選』しました!!
まるで季節外れの盆と正月が同時にやって来たかのようです。ところがタイミング的に肝心のお金が無いときた(笑)
この「Diver’s: ダイバーズ」に関しては、金銭的にちょこっと無理をすることにしました。ここで逃がしたら、二度とこんなチャンス訪れませんからね。それこそ「Go for broke !!」(笑)
ってなわけで、幸運にも手に入れた2026年新作「Diver’s: ダイバーズ」をレビューして参りますが、とその前に!! ワタクシがこれまでに購入したクロノトウキョウたちとの〝比較〟をご覧下さい。
これまでに購入した「クロノトウキョウ」たちと比べてみる

「Diver’s: ダイバーズ」を含めて、これまでに「5本のクロノトウキョウ」を手に入れました。どれもこれも、東京在住でなければ手に入らなかった可能性の高い時計ばかりです。
同時にこれらクロノトウキョウたちは、私が会社員生活の終盤で、些か理不尽な長期単身赴任を強いられたという事実の「記録装置」でもあります。少々センチメンタルな意味合いですが、私にとっては単純な「時計買っちゃった!!」ではないのです。この先、手元のクロノトウキョウたちを見て何度も振り返るはずです。「東京しんどかったなぁ~。でも楽しかったなぁ~」と。
ってなわけで、比較対象は〝34MMシリーズ〟のNo.3「Midnight」にしました。私が初めて入手できた記念すべき〝クロノトウキョウの一本目〟です。
「34MM Midnight」と「46mm Diving Case 状態」のサイズを比較

これはスゴい絵面だ(笑) それでも「このデカい時計はどこのだ!?」とはならないところが、さすがの浅岡氏。ビジュアル・アイデンティティに一切のブレが見られません。
デザインの随所に、クロノトウキョウがこれまでに積み上げてきた〝時計製造の文法〟が感じられます。例えば「Diver’s: ダイバーズ」で初めてクロノトウキョウに触れた方であっても、微塵の誤解もなく〝クロノトウキョウ〟を理解できるはずです。
「34MM Midnight」と「35mm Inner Watch」のサイズを比較

それでもやはり、このサイズ感はほっとしますね。「35mm Inner Watch」ならば、小さな「34MM」と並べても不自然さはありません。むしろ、ラウンドケース一辺倒だった私のクロノトウキョウコレクションに、クロノトウキョウ初の「クッションケース」が加わる意味の大きさたるや… 間違いなくコレクションの深みが増しました。
中に収まる時計に魅力が無かったら「Diver’s: ダイバーズ」は成立しない

今回のクロノトウキョウ2026年新作「Diver’s: ダイバーズ」は、これまでのクロノトウキョウと比べて圧倒的に〝強い企画性を背景にした時計〟です。
企画性の部分は〝遊び〟に置き換えることもできます。つまり「Diver’s: ダイバーズ」とは、世界でも数十人しかいないAHCI会員の独立時計師、東京時計精密創業者でもある浅岡肇氏が、クロノトウキョウという舞台で最後まで折れることなく〝遊び心を貫徹することで生まれた怪作〟と言えるかもしれません。
とはいえそれは、時計としての〝芯の部分〟が問われる試みです。今回の「Diver’s: ダイバーズ」でいえば、アウターケースの中にビルトインされる時計…「35mm Inner Watch」がプロジェクトの柱になります。ダイバーズ時における見た目の迫力も変身合体の楽しさも、芯にあたる「35mm Inner Watch」に遊びを受け止める〝絶対的な順応力〟があってこそ、成立する類いのものです。
「大きなガワを被せた小さな時計」なのか、「大きな時計の中に小さな時計を収めるギミック」なのか

「小さな時計に大きなガワを被せる」と解釈するか「大きな時計の中から小さな時計が出てくる」と解釈するかで「Diver’s: ダイバーズ」という時計の文脈は大きく変化します。今回オーナーになられた方々は今まさに、どちらかの視点、或いは両方を楽しんでおられるのではないでしょうか??
先に申しましたとおり「46mm Diving Case」は「35mm Inner Watch」に装着されることで初めてその意味を明確にするパーツです。
確かに「46mm Diving Case」にインナーウォッチを収めることで「46mm ダイバーズ」という、話題性のカタマリみたいな時計が爆誕するわけですが、それもこれも「35mm Inner Watch」の存在あってのことです。「Diver’s: ダイバーズの主役」はあくまで「35mm Inner Watch」であることを、ここに明記しておきたいと思います。
次の段ではそんな「Diver’s: ダイバーズの心臓」ともいえる「35mm Inner Watch」について、ワタクシなりに「グッと来たポイント」を上げて参ります。
息を呑むほどに美しい「クッションケース」

長らくぼんやりと「欲しいなぁ」と考えているヴィンテージの中に、1970年代のIWC(インター)、ペラトン式「Cal.8541B」を搭載したクッションケース(36ミリ)のモデルがあります。小径のクッションケースって、性別を問わないユニセックスな魅力があるんですよねぇ。「35mm Inner Watch」も同様に、女性が着けても様になる柔らかなアウトラインを持っています。
クッションケースといえば、多くの方がパネライ「ラジオミール」を連想するかもしれません。しかし、45ミリと大きなラジオミールと比べ「35mm Inner Watch」はその名の通り〝幅35ミリ〟のコンパクトなケースです。
ラジオミールは「デカいけど可愛い時計」の代表格だと思いますが、それに対し35ミリという小ささでクッションケースが醸し出す〝愛らしさを最大化〟しているのが「Diver’s: ダイバーズの35mm Inner Watch」。現物を見てもらえれば解るはずです。余計な注釈なしに〝可愛い!!〟と思える時計だと思います。
滑らかなポリッシュ仕上げも、愛らしさを際立たせるファクターです。短いラグも… キュート (*´ω`*)
小さなケースと大きなケース、双方で活きる「ダイバーズスタイルのダイヤル」

シンプルなホワイトラッカーが美しいダイヤルですが、同時に開発の苦労が偲ばれるダイヤルデザインでもあります。
そもそも、デザインにおいて重要な前提条件である「ケースサイズ」が〝小と特大〟で2種類も存在しているわけですからね。どちらでも自然に成立するダイヤルデザインを捻り出すまでに、多くの試行錯誤があったと推察します。
その唯一のなごりが「12時位置のトライアングル」ですが、これがむしろ「35mm Inner Watch」で使う際の「何だこれ!?只者じゃないぞ!!」に繋がっているのが面白い!!
「46mm Diving Case」で考えると譲れないサイズ感というものがあったはずですが、そこで大小のケースの中央値に折り合いを求めるのではなく、敢えて46ミリ時でさえも大きく見えるトライアングルを採用した浅岡氏の攻めの姿勢。私もデザイナーの端くれとして鳥肌が立ちました。
奔放に見えるダイバーズスタイルの中にも定番が存在します。愛好家の多くがそれをモノサシに、無意識のうちに良し悪しを判断しがちなわけですが… そんな軛に拘泥するのではなく、敢えてそれらを破壊して全く新しいバランスを生み出したのが、本作のダイヤルデザインだと思います。
青焼きされた「上品なコブラ針」が好きだ!!

なかなか、ここまで肉抜きされた「コブラ針」も珍しいのではないでしょうか?? そもそも「46mm Diving Case」を纏ったときのダイバーズスタイルにコブラ針が合うのかって話ですが… 合う!! むしろイケてる!! しかも新鮮!!
ダイバーズとして(も)使える時計である以上は、潜水中の視認性を最大化させる必要があるわけですが、この「開口部が大きいコブラ針」であれば、蓄光の性能を限界まで引き出すことができます。実現には多大な手間が必要だったはずですが、そこで妥協しないのがクロノトウキョウです。
青焼きのクオリティーも高く、ダイバーズにあるまじき(?)ドレッシーな気品を湛えています。この辺りのディテールに散りばめられた〝アンバランスという名の計算されたバランス〟が「Diver’s: ダイバーズの魅力」を支えています。
「46mm Diving Case」のシンプルな発想

全てのダイバーズウォッチが克服しなければならない防水強化の高い壁… それが「リューズ」です。リューズとは内部機構へ直接アクセスするための部品であり、その開口部は常に液体を含む異物の侵入に晒されています。
ねじ込み式、リューズの頭に機械的な荷重をかけての密着強化。それらは全て〝リューズ在りき〟の発想から生み出された知恵です。この辺りはもはやダイバーズウォッチのスタンダードと言えるでしょう。
そんな〝リューズ問題〟に対して、クロノトウキョウ新作「Diver’s: ダイバーズ」はどう対応したか??
リューズごと大きなケースに仕舞っちゃいました(笑)

確かに、それが一番手っ取り早い方法です。自動巻きムーブメントであれば、動力は腕の運動を通じて供給され続けます。機械式とはいえ、そう頻繁に時刻の調整も必要ありません。そうなんですよ。この「大きなケースの中に時計を丸ごと放り込んで防水」という考え方、コロンブスの卵どころか、恐らくは極めて合理的な解決策です。
繊細なクロノトウキョウと浅岡氏のイメージからは程遠い〝力技〟ですが、万が一にも異物を侵入させない手段でいえば、これ以上ない名案だと思います。
そんなこんなで、ここからは「Diver’s: ダイバーズ」の〝強化外骨格〟。ど迫力の「46mm Diving Case」について、その細部に迫ります。
ゴツいのに〝気品〟がある「46mm Diving Case」

リューズを隠したことによる「ほぼ完全なシンメトリー」が「46mm Diving Case」装着時における満足感を大幅に高めています。「35mm Inner Watch」から、ただサイズアップするわけではない。ある意味、工業製品としての理想的な美しさに限りなく近付くのです。
恐らくは最初から、リューズごとアウターケースにしまい込み防水性を高めることと、それによって時計のアウトラインが〝左右対称になる〟ことは計算されていたはずです。
時計のコンセプトにもよりますが、例えばリューズをケースに埋没させてデイトを排し、インデックスを記号化した時計が獲得する〝シンメトリックな美しさ〟は時代を超越する価値観の一つです。
古くはローマ帝国末期からビザンツ帝国にかけて、宗教美術を含む肖像画で暗示された「正面の神性」。そこにあるのは〝超越者がこちらを見ている〟という不可避のメッセージと、左右対称が放つ「圧倒的な力」のイメージでした。
「46mm Diving Case」装着時の「Diver’s: ダイバーズ」も、左右対称を特徴とした神々しいばかりの姿をしています。丁寧にポリッシュされたケースが放射する色気は、このケースを装着した状態が凡百な〝マッチョウォッチではない〟ことを示唆しています。
「46mm Diving Case」の繊細な気遣いに痺れた

ステンレスの時計をステンレスのケースにビルトインする… 腕時計を心底愛する方ほど、ゾワゾワと逆毛が立つかもしれません。「傷が付くんじゃないのか??」… そんな風に考えても不思議ではないでしょう。
ご心配なく!!「46mm Diving Case」の内側には〝樹脂製の受座〟が備わっているので、余程雑に扱わない限り「35mm Inner Watch」に傷が付くことはないと思います。
納品を待つ間、私もビルトイン時の〝傷〟を心配していました。回避策として「カッコ悪いけど、内側にマスキングテープでも貼って保護するか」と考えたこともありましたが、こうして現物を目の前にしてみると、設計のあちこちに〝細やかな気遣い〟があって、そんな心配も杞憂に終わりました。

傷が付きやすい「ラグ」や「ケースバック」を保護しつつ、キツ過ぎずユル過ぎずの絶妙なホールド感で固定される「35mm Inner Watch」。入れたり出したりがコンセプトでもある「Diver’s: ダイバーズ」にとって、樹脂製の受座は何気に〝最重要なパーツ〟かもしれません。ここでストレスが生じたら意味がありませんからね。
なんて質感だ!! 超々ジュラルミン製の「逆回転防止ベゼル」に惚れた

回転ベゼルと風防が合わさったパーツが「蓋」の機能を果たす「46mm Diving Case」。これを専用オープナーでねじ込むことで必要十分な防水性を獲得するわけですが、このパーツに関しては機能性云々よりも、その見た目の美しさが見事です。実際、ワタクシはこの「赤いベゼル」に惚れて購入を決意しました。
素材はアルミニウム合金の中でトップクラスの強度を誇る「超々ジュラルミン」。本業の方で書いた記憶があるので調べてみたら、零戦の軽量化にも使われていた素材じゃありませんか。そんな歴史を背負った素材をサビ防止も兼ねて「硬質レッドアルマイト加工」のシブい赤に仕上げているわけです。僅かに金属の〝生の質感〟が感じられるところも、このベゼルの魅力だと思います。

ちなみに蓋の風防素材は「サファイアクリスタル」。ダイバーズとして使用する際は風防が2枚重なる構造ですから、透明度の高いクリスタルは必須です。
5気圧 ⇒ 10気圧 ⇒ 300m 「46mm Diving Case」で防水性能がステップアップ
都市生活者には明らかにオーバースペックですが、オーバースペックこそが〝機械萌え〟の最たるものだったりします。〝使わないから要らない〟ではない。侍の刀だって、無闇に抜くために差しているわけではないですしね。
全ては「そのときのために」… 大阪に甚大な被害を与えた2018年の台風21号で、100メートル防水の時計を浸水させた私には解ります。例え都市で暮らしていても、防水性が高いに越したことはないのです。
「Diver’s: ダイバーズ」の場合、インナーウォッチ単体の防水性は〝5気圧〟に過ぎません。強い風を伴う打ち付ける雨の日に使えるかと言えば、少々怪しい性能です。

そこで「46mm Diving Case」を被せるわけですが、回転ベゼルと風防からなる「蓋」を手で閉めれば、それだけで〝10気圧の防水性〟が得られます。さらに専用オープナー「DUOSEAL」を使用してしっかり閉めることで、防水性能は〝300メートル級〟まで向上。
公的機関で防水性能をテストした際には〝500メートル〟にも耐えたとのことで、「46mm Diving Case」の潜在能力の高さが良く解ります。
関西人にとって、2018年の台風21号で目の当たりにした光景はトラウマ級でしたが、「46mm Diving Case」を纏った「Diver’s: ダイバーズ」であれば、あの打ち付けるような雨と木の枝をへし折った強風の中でも、易々とは浸水を許さないでしょう。そもそもリューズの露出がありませんからね。雨の中で不用意にリューズを回して「ヤバい!! 水分までねじ込んでしまった!!」みたいな心配もありません。
「Diver’s: ダイバーズ」を水没させてみました!!

論より証拠。水に沈めてやれば良いんですよ!!… ってなわけで、ファンシーなガラスの器に水を張って「Diver’s: ダイバーズ」を沈めてみました。ビビりの私がこんなことをするなんて… 見てみたかったんですね。水中で息を潜める「Diver’s: ダイバーズ」の姿を。
専用のオープナーで閉めれば「300メートル防水」、手閉めなら「10気圧防水相当」ということですが、私が知りたいのは〝手閉め状態での安心感〟。使用時に毎回オープナーを忍ばせておくのも面倒ですし、手の力で開け閉めできる範囲の性能こそが〝デイリーウォッチとしてのリアルな指標〟だと思います。

水圧が掛かるわけではありませんし、文鳥の水浴びみたいなシチュエーションですが、少なくとも大雨を想定したテストにはなりそうです。結果としては「手閉めでも十分な防水性」を発揮してくれました。
ちょい贅沢な日本製、ミヨタ「Cal.90S5」搭載

「Diver’s: ダイバーズ」が搭載するのは、ミヨタのプレミアムライン「Cal.90S5」自動巻きです。毎時28,800振動で精度は-10~+30 秒/日。パワーリザーブは約40時間。
今回の「Diver’s: ダイバーズ」で重要なのは、何より〝自動巻きであること〟です。アウターケースに閉じ込めたらリューズによる巻き上げが出来ませんからね。頻繁に時刻修正しなくても済む程度の精度も必要です。
その点、ミヨタの9000系なら実用面で何の心配も要らないでしょう。最近のミヨタ… 特に9000系の安定感は素晴らしいと思います。ウチの9000系もみんな元気です。
影に徹した「レザーストラップ」

クロノトウキョウを手に入れると、ワタクシには真っ先にやることがありまして… ストラップをね、替えたくなるのですよ。良い時計を手に入れたら〝ストラップを奢ってやりたくなる〟って… 普通ですよね?? え?? 面倒くさいヤツですか??
私にとってストラップは「時計と対等であるべきバディ」です。ゆえに〝三歩下がって師の影踏まず〟といった従卒的役割の標準ストラップだと、見た目のバランス的にもの足りなくなってしまうのです。クロノトウキョウに限った話ではありませんが、現実問題として私のクロノトウキョウは、その全てがサードパーティー製のストラップに換装されています。
ところが、今回の「35mm Inner Watch用のストラップ」に関して言えば、しばらくの間は標準状態でも構わない気がしています。
明確に〝コレ〟とお伝えできる理由はありません。しかしどういうわけだか、これまでに拝見した標準ストラップの中では一番しっくり来ているのです。極めてシンプルで〝影〟のように一歩引いた存在感が、〝栗まんじゅうの栗〟のように慎み深い「35mm Inner Watch」と、絶妙に合致しているからかもしれません。
ちなみにスマートな換装を実現する「インターチェンジャブル(アビエ)」仕様です。
「ラバーストラップ」の完成度が高い

注目すべきは「46mm Diving Case」に付帯する「ラバーストラップ」です。
交換するならラグ周りをアークフィットにして、ケースとの一体感を出す必要があるでしょう。さあ、この面倒なオーダー、どこのストラップメーカーに泣いてもらいましょうか(笑)
ところが実のところ、このラバーストラップに関しては、飽きるまでこのままでも良いかぁ~と考えています。何と申しましょうか… ぶっちゃけ、気に入ってまして (*´艸`*)
幅46ミリの巨大な金属のカタマリを、暴れさせずに腕に固定しているのですから、そもそもの設計が優秀なのですよ。極太のラバーが「46mm Diving Case 装着時の全重量」を肌の上で分散させてくれるので、ギューギューに締めなくてもヘッドがズレることはありません。

大型になればなるほど、ストラップの「固定性能」が重要になってきますが、その点、このラバーストラップは100点です。少なくとも周径17センチ弱の私の手首の上で、このどデカい「46mm Diving Case」はビクともしません。地味な見た目ながら、その実「完成度の高いラバーストラップ」だと思います。
「2種類のストラップ」を使い分けるトリッキーさ
時計のサイズや見た目が大幅に変化することの〝びっくりどっきり〟は確かに強烈です。しかし、先程まで着けていたストラップと明らかに異なるストラップで本質的に一つの時計を着けている〝トリッキーで変態的な自分〟という解釈にも、抗い難い面白さがあります。
「35mm Inner Watch用のストラップ」を常に携帯する必要はありますが、極太のラバーからクラシックなストラップへの変化は〝幅からして違う〟わけです。当然、同じ時計に対する〝いつものストラップ交換〟とは根本からして異なる体験になります。ストラップ方面から見ても「Diver’s: ダイバーズ」のコンセプトはこんなにも面白い。使えば使うほど、新鮮な切り口で楽しませてくれる予感がします。
最後に… 違和感を楽しませる「逆説の接続詞」–– Diver’s: ダイバーズ

私が「愛するクロノトウキョウたち」を収納しているのは、CELIEU(セリュー)さんの「ペリカン ウォッチケース」。ゆとりのある5本入りで、大型の時計ばかり収めても、隣同士が干渉して傷付け合うようなことは起きません。これが良く出来てましてねぇ。
そしてどうですか?? この〝圧倒的違和感〟… そうです。この光景が見たかった!!(笑)
今回の「Diver’s: ダイバーズ」はギミック的面白さもあって、以前からのクロノトウキョウファン以外からも大きな関心を寄せられています。しかしながら今回のモデルに心底インパクトを感じているのは、この日までのクロノトウキョウを見守ってきた「既存のファン」かもしれません。
何故なら「Diver’s: ダイバーズ」とは、クロノトウキョウを形作ってきた物語の過去・現在・未来に突如差し込まれた「逆説の接続詞」だからです。すでにクラシカルなクロノトウキョウをお使いの方にしてみれば、ブランドの世界観を一変させる強烈な「だが、」や「しかし、」に感じられたことでしょう。
そして、これこそが「Diver’s: ダイバーズ」に『特別なクロノトウキョウ』という文脈を与えているのです。浅岡氏が〝突き抜けた遊び心〟で見せてくれた「巨大なクロノトウキョウ」。この逆説的存在をどのように受け止め楽しむか… これほどまでにユーザーの解釈力を試す時計には、中々お目に掛かれません。
浅岡氏の見えない四次元ポケットに、何が詰まっているかは計り知れません。しかし、これでまたファンたちは「この先、どんなクロノトウキョウを見せられるのか」と、期待と煩悶が交錯する中で過ごすことになるはずです。ええ、間違いなく (;´∀`)
| Diver’s: ダイバーズ Specifications | ||
|---|---|---|
| 機械式自動巻き(インナーウォッチ) | ムーブメント | Cal.90S5(24石、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間) |
| 風防 | サファイアクリスタル | |
| ケースバック | ソリッドケースバック | |
| ケース素材 | ステンレススチール(316L・鍛造) | |
| ケースサイズ | 35mm×35mm(Lug to Lug:37.4mm) | |
| ケース厚 | 9mm(風防含む) | |
| 防水性 | 5気圧 | |
| ストラップ | カーフレザー | |
| ラグ幅 | 19mm | |
| バックル幅 | 16mm | |
| ダイバーズケース装着時 | 風防 | サファイアクリスタル |
| ケースバック | ソリッドケースバック | |
| ケース素材 | ステンレススチール(316L・鍛造) | |
| ケース径 | 46mm(Lug to Lug:56.7mm) | |
| ケース厚 | 13.5mm(風防含む) | |
| 防水性 | 10気圧 | |
| ストラップ | ラバー | |
| ラグ幅 | 24mm | |
| バックル幅 | 22mm | |










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コメント一覧 (2件)
ご購入おめでとうございます!
ネットで見つけた時から欲しいな〜と
思っていたので羨ましい限りです!!
東京住みの特権ですね!
しかし付属の箱も機材を入れるケースみたいな感じでかなりカッコいいですね。笑
Y太さま、コメントありがとうございます!!
高すぎる趣味性が議論の的って感じですが、
典型的な「好きな人は好き」な時計だと思います。
大阪にいたら入手難易度が跳ね上がっていたことは確かですね(汗)
ケースもツール感あってかっこいいです!!
いつもの木箱と違ってスポーティー(*´∀`*)