『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

VKメカクォーツで「見た目特化」のクロノグラフを〝安く〟楽しむ

 増えましたねぇ… 砂布巾の「VK メカクォーツコレクション」。増殖の理由は幾つかあると思いますが、まずは〝手頃なお値段〟。一般的なクォーツ式クロノグラフよりは高価かもしれませんが、それでも機械式のETA/Valjoux 7750系やセリタのSW500系を搭載することに比べたら、3分の1以下の価格で手に入る場合が多いと思います。

 そして何より〝外観にローコストの影響を感じさせない時計が多い〟ことも、私みたいな「可能な限りお金をかけずに時計趣味を充実させたい男」がすがり付く理由です。安さ自体は喜ばしいことであっても、安っぽい時計は欲しくありませんからね (*´ω`*)

Table of Contents

「VK」とは如何なるムーブメントか??

 折角の機会です。セイコーインスツル株式会社(SII・TMI)製汎用クロノグラフムーブメント「VK メカクォーツ」について、細部までおさらいしておきたいと思います。

 まず「VK」最大の特徴が、希少な『メカクォーツ ムーブメント』であることは言うまでもありません。クォーツを極め、世界中に安価で正確な時計を提供してきたセイコーさんが敢えて「機械式の味わい」を求める消費者の声に応えて完成させたのが、これからお話する「VK メカクォーツ」です。機械式にも精通するセイコーさんだからこそ作れたムーブメントかもしれません。

 同じベースムーブメントを搭載する「VKファミリー」には、「VK61」「VK63」「VK64」「VK67」「VK68」「VK73」「VK83」の型番が存在します。そんなに大家族だったの!? って感じですよね。

「メカ ✕ クォーツ」と呼ばれる所以

 呼び名の示す通り、ベースムーブメントに安価で正確なクォーツを用い、クロノグラフ部分にのみ機械式モジュールを組み込んだ「メカとクォーツのハイブリッド」… それがVK「メカクォーツ」です。同じハイブリッドでも、スプリングドライブは正確さのために水晶を使い、キネティックは発電に機械的な構造を取り入れました。

 そんなセイコー製ハイブリッドムーブメントの中でも、ほとんど「スイープ運針実現」のためだけに生み出された「VK」の存在は異端です。正確性や省エネといった数字に置き換えられる価値ではなく、只々「そっちの方がグッと来るから」という〝人間臭い理由〟で選ばれる「VKメカクォーツ」。何気に時計趣味のイデオロギーを揺さぶる、そんなメカニズムだと思います。

VK61・VK64(バイコンパックス)

アンダーン Urban Vintage Killy シャルリ・パリ GR - Chronograph
出典: https://undone.co.jp/ https://charlie-paris.com/

 縦目の「VK61」と横目の「VK64」はベースムーブメントが同じです。採用例としてアンダーンの「Urban Vintage Killy(VK61)」と、シャルリ・パリの「GR – Chronograph(VK64)」を挙げておきます。Redditを拝見すると厳しい声が多かったりしますが… デザインは中々じゃないですか?? ちゃんとダイヤルに〝MECAQUARTZ〟と書いて、ごまかしてないですし。

 スモールセコンドを排したことで、クォーツの証であるステップ運針を見ずに済むため「見た感じはまるっきり機械式」みたいな時計を作ることができます。それでも初見で「VKだな!!」と見抜けた貴方… かなりヤバい人ですよ(笑)

 縦目にしても横目にしても、上品な印象の顔を作れる「VK61」「VK64」。とにかくコンパックスの距離感が絶妙なので、このムーブメントでダサい時計を作る方が難しいかもしれません。

スクロールできます
型番レイアウト主な機能サイズ(mm)厚み
(mm)
電池寿命精度
VK61縦2つ目60分積算クロノ30.8×29.15.1約3年月差±20秒
VK64横2つ目60分積算+24時間計30.8×29.15.1約3年月差±20秒

VK63・VK67・VK83(トリコンパックス)

ダン・ヘンリー 1964 Gran Turismo Chronograph イエマ Yachtingraf Croisière Meca-Quartz
出典: https://danhenrywatches.com/ https://yema.com/

 「VK63採用モデル」の代表として、ダン・ヘンリーの「1964 Gran Turismo Chronograph」と、イエマの「Yachtingraf Croisière Meca-Quartz」を挙げておきます。

 VKのトリコンパックスクロノグラフで誠に〝惜しい〟のは、スモールセコンドがステップ運針なので「クォーツであることがバレる」ところでしょうか。

 それでもセンタークロノ針は機械式のようにスイープしますし、やはり一般的なクォーツクロノグラフとは一線を画します。機械式目線で見ればメチャメチャ〝精度の良いクロノグラフ〟ですし、そういう前向きな解釈でいた方が余程生産的に楽しめるでしょう。

 やはりトリコンパックスにおいても、カウンターの配置バランスが絶妙。大きいケースにも小さいケースにも使える汎用性の高さも「VKトリコンパックス」の魅力です。

スクロールできます
型番レイアウト主な機能サイズ(mm)厚み
(mm)
電池寿命精度
VK63横3つ目60分積算+24時間計+スモセコ30.8×29.15.1約3年月差±20秒
VK67縦3つ目12時間積算+スモセコ30.8×29.15.1約3年月差±20秒
VK83横3つ目60分積算+24時間計+スモセコ30.8×29.15.1約3年月差±20秒

VK73(トリコンパックス)

スピニカー Hull Chronograph アラゴン Armour 48
出典: https://spinnaker-watches.com/ https://www.aragonwatch.com/

 採用例としてスピニカーの「Hull Chronograph」とアラゴンの「Armour 48」を挙げておきます。

 「VK73」の存在は知っていましたが、それがこれらの時計で使われている「ビッグデイト付きトリコンパックス」だとは露ほども思いませんでした。そうか… お前だったのか。

出典:https://timemodule.com/

 しかもこの2モデル、ビッグデイトなのに表示位置が違いますよね?? もしかすると、デイトの数字が天地逆転したディスクのオプションがあるのかもしれません。「魔改造」の可能性も!?

 ちなみに「VK73」で検索しても、現行モデルとして上がってきた搭載品はほとんどありませんでした。ノンデイトが持て囃される今の時代は、VK73にとって茨の道なのでしょうか… もしも「それならウチが作ってる!!」と仰るメーカーさんがおられましたら、お気軽にメールでコンタクトして下さい。「VK73もの」に興味津々です (*´ω`*)

VK68(トリコンパックス)

ボストークヨーロッパ Undine -Ocean BREW メトリック
出典: https://vostok-europe.jp/ https://www.brew-watches.com/

 「VK68」を搭載する時計の数は、人気のVK64と比較すると多くはありません。ここでは、ボストークヨーロッパ さんの「Undine -Ocean」と、BREWさんの「メトリック」を採用例として挙げましたが、結果的に同じムーブメントを使っているとは思えない2本が並びました(笑)

 同じトリコンパックスであるVK63との比較で言えば、横配置の24時間計と60分積算計が、3時と6時を繋ぐ直線からズレている点が最大の相違点です。クォーツのクロノグラフで頻繁に見られたレイアウトですが、最近の傾向としてはあまり歓迎されないタイプの顔立ちかもしれません。そう考えると、24時間計を潰すことで〝アシンメトリーな格好良さ〟に変換したBREWさんは上手ですねぇ。

ワイの「VK コレクション」を喰らえぃ!!(笑)

 ワタクシの「お金は無いがクロノグラフが欲しい!!」という無謀な欲求に〝メカクォーツというピース〟はガッチリはまりました。ほぼクォーツのお値段で、なんだかんだ「機械式っぽいクロノグラフ」が買えちゃうわけですから、これは時計の神さまが下さった恩寵と呼ぶべき、ある種の奇跡です。

 ってなわけで、気付けば爆発的に増殖していた私の「VK コレクション」をご開帳したいと思います。全部を並べるには数が多過ぎるので、シリーズで纏められるものは纏めさせていただきました。「VK ものも色々あるんだなぁ」と思っていただけたら、散財の甲斐があったというものです(笑)

【VK64】コーニッシュ「Heritage Chronograph(ヘリテージクロノグラフ)」

VK64 コーニッシュ Heritage Chronograph ヘリテージクロノグラフ 平置き 4本

 売れまくることでVKに〝揺るぎない市民権〟を与えた「名機」… それがコーニッシュの「ヘリテージクロノグラフ」です。東京異動になって6年目、その間に「4本」のヘリクロをお迎えしました。どれも良い面構えしてるでしょ??

 「ヘリテージクロノグラフ」の… いや、コーニッシュの成功に「VK64」の存在は欠かせなかったと思います。お値段もそうですが、VKならではの〝バランスの良いコンパックスレイアウト〟が無ければ、あれほどまでにラインナップを拡充させる、懐の深い時計にはならなかったと思います。

 ランゲのような上品顔を安価に楽しむ…「ヘリテージクロノグラフ」の成功を目の当たりにして「それならウチも!!」とVK採用に乗り出したメーカーもあったはずです。

【VK63】ニバダ グレンヒェン「CHRONOKING(クロノキング)」

VK63 ニバダ グレンヒェン  CHRONOKING クロノキング 平置き 2本

 機械式クロノグラフ「クロノマスター」の重厚な雰囲気をそのままに、より安価でより軽快な使い心地を実現したのが「クロノキング」です。ニバダ グレンヒェン入門編にピッタリのモデルが揃っています。

 私のところには現在「2本」のクロノキングがありますが、まだまだ指を咥えて見ているモデルがあります。この〝尽きない物欲〟で言えば、低価格ゆえの敷居の低さが一番の理由で間違いありません。強いて言えば、とにかく〝デザインの良い時計〟が次々とリリースされるので「この辺でクロキンはオシマイよ」と、明確なピリオドを打てないところも厄介です。実際、罪な時計ですよ。

 腕時計の直径と厚みには密接な関係があります。小径でも厚みがある時計は着けづらいことが多いですし、反対に45ミリに及ぶ大型の時計であっても、厚みが抑えられていれば良好な装着感を得ることができます。

 クロノキングはその辺りのバランスが絶妙です。直径と厚みのバランスにおいて、現代の腕時計が最も「格好良く見える比率」を維持しているからでしょう。それが叶うのも中身が「VKだから」ですね。

【VK67】ニバダ グレンヒェン「Autochron Panda Santurce Collection(オートクロン パンダ サントゥルセ コレクション)」

VK67 ニバダ グレンヒェン Autochron Panda Santurce Collection オートクロン パンダ サントゥルセ コレクション 斜め置き 縦3つ目

 「機械式のオートクロンは高いから」… そんな後ろ向きな気持ちから購入に至った側面もある「オートクロン」でしたが、手に入れたのが限定の〝サントゥルセ コレクション〟だったこともあり、当初のインパクト以上に、コレクションとして意味のある購入になりました。

 ここしばらく、昔のナビタイマーなどで一世を風靡した「縦3つ目クロノ」を買い戻したいという思いを抱えていたこともあって、そういう意味でもナイスなお買い物でした。コレクションケースに収めると、縦目はホント目立ちます。

 使っていくうちに、このオートクロンの「VKであることの意味」も解ってきました。

 なんやかんやで「気兼ねが要らない」のです。時刻調整が不要で、適当に選んでもそのまま使えるVKの取り回しの良さが、ドライビングウォッチである「オートクロン パンダ サントゥルセ コレクションの疾走感」にもフィットしていると思います。

【VK64】ファーラン・マリ「Nero Sabbia(ネロサビア)」

VK64 ファーラン・マリ Nero Sabbia ネロサビア 60分積算計 平置き

 CHRONO24 さんにご招待され(私はオマケみたいなものでしたが)参加したイベントで購入したのがファーラン・マリさんのVK64クロノグラフ「ネロサビア」です。

 このモデルに関しては「100%顔に惚れて」の購入です。とにかくダイヤルが素晴らしく、VKであることが露見しなければ、100万円を越えるクラスの時計に見えるかもしれません。

 敢えてサブダイヤルの一つを潰して「一つ目」にしたことも、この時計の個性を際立たせています。VK64使用モデルといえば、昨今はさして珍しくもない代物ですが、だからこそ差別化の焦点は「外見」に特化されます。中でもファーラン・マリさんは持てる開発力と資本を「時計の外観に集中」している代表的なブランドです。

 この辺りの〝思い切りの良さ〟が評価されたからこそ、権威あるGPHGにおいて「ホロロジカル・レヴェレイション賞(Horological Revelation Prize)」を受賞するに至ったのでしょう。「VK64で」… ですからね!!

【VK64】アウトライン「2 Register Chrono Series I LEMON(2レジスタークロノ・シリーズ I レモン)」

VK64 アウトライン 2 Register Chrono Series I LEMON 2レジスタークロノ・シリーズ レモン 横置き

 「パワーウオッチ」「ロービート」「タイムギア」など、多くの時計雑誌を生み出してきた菊地吉正氏がプロデュースしている時計ブランド「アウトライン(OUTLINE)」。ヴィンテージウォッチの「そうよ!! ここなのよ!!」みたいなツボを押えまくった〝古典顔のラインナップ〟で知られています。

 何にインスパイアされたかを明確にした上で、そこに〝アウトラインである意義〟を見出す玄人スタイル… 私は好きですね(写真を撮ったら雰囲気あり過ぎてビビりました)

 そんな「アウトライン」の中から私が選んだのは、ダイヤルのレモンイエローがキュートな『2レジスタークロノ・シリーズ I レモン』でした。安定の「VK64」搭載。

 ゴールドケースが持つ〝昭和的なエグみ〟がVKの〝ゆるい使い心地〟とミックスされて、程よくマイルドに仕上がっています。故に使用するシーンを選びません。セットされているストラップも、時計の雰囲気に良く合っています。

 古の名機を独自の美学で現代的に解釈しつつ生まれた〝何やらエモい時計〟… 私の目には、そんな風に写りました。詳細なレビューもそのうち書かせていただきます。

【VK64】マーチャンド ウォッチ「DRIVER CHRONOGRAPH MKII MECA-QUARTZ, PANDA」

VK64 マーチャンド ウォッチ DRIVER CHRONOGRAPH MKII MECA-QUARTZ PANDA 縦置き 英国

 ご存知ですか?? 恐らく日本では、ほとんど知られていないブランドだと思います。そんな「マーチャンド ウォッチ」を購入した変わり者の私ですから、当然のように風変わりなレビュー記事も書いています。少しは知名度に貢献できたかしら??

 写真を見ていただけたらお解りのように、要するにタグ・ホイヤーのモンツァ的なレーシングスタイルです。その辺りがお好きな人には無条件で刺さるのではないでしょうか。ちなみに私が購入した当時は「109.65 スターリング・ポンド」、つまり「2万3000円」くらいでした。安っ!!

 幾ら取引価格が安いVKでも、ここまでの安さで時計を提供できたことに驚愕しかありません。デザインのバランスも中々のもので、これまた激安だったストラップを2本追加購入して、存分に楽しませていただきました。

VKメカクォーツは〝壊れやすい〟か??

 「VKの寿命」に関して明確なデータは存在しません。ですから、以上で挙げた購入歴を元に、あくまで〝私個人の感触〟としてお話したいと思います。

 ベースムーブメントが「クォーツ」である以上、その辺りは〝クォーツの寿命と同程度〟ではないかと考えています。古いものだと購入から4年ほど経過している時計もありますが、今のところ何の問題も起きていません。

 気になるのは「クロノグラフ部分」でしょうか。新しいVKを購入すると、嬉しがって頻繁にクロノグラフ針を動かしてしまう私ですが、今のところプッシャーの反応が鈍くなったり、クロノグラフにありがちな「剣ズレ(リセット位置がゼロポジションからズレる現象)」の発生もありません。

 何本かで電池交換も行いましたが、クォーツの鬼門である電池交換時の再始動にも問題は起きませんでした。意外と言っては失礼ですが、複雑なイメージの割には今のところ十分に「堅牢」です。

 保守部品がある限りは修理も可能でしょう。VKの場合はムーブメント自体が安価ですから、修理というよりも「ムーブメントの交換」が実施される可能性もあります。いずれにせよ、ある程度の長寿命は期待できると思います。

「作れるクロノグラフ」としての意味

 機械式3針と比較して、機械式クロノグラフ製造には大きなコストリスクが付きまといます。実際、新興ブランドが手を出した場合、3針以上に「絶対に売らねばならない!!」という重圧を感じるはずです。

 特に昨今は雨後のタケノコのようにマイクロブランドが乱立したことで、小規模メーカーの「小規模ゆえの強み」も薄れてきました。ブランド規模の大小ではなく、時計そのものの価値を見据えてから消費行動を起こす愛好家が増えたからかもしれません。物珍しさだけでは売れない時代なのです。

 ならばマイクロブランドにとっては「ノーチャンス」なのかと言えば、そんなことはありません。要は大規模メーカーとは異なる目線で自分たちの美学を語っているのであれば、その価値自体は権威あるメジャーブランドに劣るものではありません。

 先に触れた「ファーラン・マリ」のように、コストをかけられない経営規模を逆手に取り「VK メカクォーツでGPHGを奪取した快挙」は、多くのマイクロブランドに勇気を与えたと思います。低コストで自社のラインナップに「良い感じのクロノグラフ」を揃えることが可能で、それが「所詮はクォーツという軛」を打ち破って〝売れる〟時代が来たのです。

 もはや「VK」は新興ブランドがエントリー級のクロノグラフを作る上で、欠かせないムーブメントになりました。VK メカクォーツなら、小さなブランドでも十分に戦える「クロノグラフが作れる」のです。

「買えるクロノグラフ」としての価値

 「内部にお金をかけない分、表は贅沢に作る」… 多くのVK メカクォーツモデルが、この方針で価格を設定しています。

 素敵な機械式クロノグラフが目の前に陳列されていても、その価格に白旗を揚げて後ずさるしかないワタクシであっても〝VKなら買える〟のです。この事実を前にすれば「所詮はメカクォーツじゃねえか!!」といった世間の揶揄も一切意味を成しません。

 少なくとも私にとってVKメカクォーツは、腕時計の楽しさを〝買える可能性〟という形で届けてくれる、天使のようなムーブメントです。

「メカクォーツ」という活発なカテゴリーに注目しない手はない

VK64 ファーラン・マリ Nero Sabbia ネロサビア 60分積算計 平置き VK64 コーニッシュ Heritage Chronograph ヘリテージクロノグラフ

 ファーラン・マリさんやコーニッシュさんが頭角を現してきたお陰で、VKメカクォーツに対する潮目も随分と変化しました。

 多くの方にとって検討可能な〝10万円前後〟で、クラス以上の外見を持った時計が揃う「VK搭載機」たち。価格を抑えるために選択する機械式クロノグラフの〝代替品〟という立場から時を経て、今や戦略的に「VKを載せることで可能になる商品開発」があると、業界や多くの時計好きさんに浸透したような気がします。

 謂わばVKメカクォーツ自体が、機械式でもない、クォーツでもない、新たな〝第三勢力〟を形作り、その中で優劣を競い合う活発なカテゴリーを形成し始めているのです。恐らくはこれからも、廉価版という枠を飛び越えた「VKだからこそ生まれた時計たち」に、熱視線が注がれ続けるはずです。

最後に… この「執念」を感じるべし!! セイコー製VKメカクォーツで〝救済〟された男が見る夢

 「機械式以外は無価値」… そんな風潮は今も根強く続いています。確かに機械式は素晴らしい。一介の時計好きとして、できることなら機械式が欲しい… それが私の偽らざる本音です。

 ただ、機械式は高価です。3針モデルであれば低価格帯の選択肢も用意されていますが、クロノグラフでそれを見付けるのは至難の業と言わざるを得ません(シーガルのST19辺りなら、見付からないこともありませんが…)

 なので、高価過ぎる機械式クロノグラフにはほとんど手の届かないワタクシです。でもねぇ… 好きなんですよ。針がいっぱいのクロノグラフが!!

 そんな私にとって「VKメカクォーツ」が如何に救いであるかは言うまでもありません。〝ゼンマイ駆動ではない〟という事実さえ飲み込めば、機械式よりも遥かに高精度なクロノグラフを、機械式よりも遥かに安いお値段で自分のものにするという〝夢〟が見られるからです。

 確かに、機械式礼賛の声はひとつも衰えることを知りませんし、メカクォーツという「半端者」に対する世間の風当たりは緩くありません。ですがそもそも、腕時計の価値って、そんなに矮小なものなのでしょうか?? もっと様々な価値観が交錯してこそ〝一部の人が楽しむ酔狂な趣味〟というニッチな立場から脱却できるのではないでしょうか??

 私は腕時計がとにかく好きな男ですが、同時に腕時計文化を下支えする「人間の知恵」も好きなんです。特に「ハイブリッド」という分野で、日本のメーカーが形にしてきたメカニズムの数々には、畏怖の念すら感じています。

 それはきっと、安くて良いものを届けたい気持ち… 即ち「執念」なのでしょう。ゼンマイ駆動じゃなくったって良いじゃないか!! 見た目重視でも良いじゃないか!! コストと技術… 絶妙なバランスで折り合いを付けたSII・TMI製「VKメカクォーツ」こそ〝マイクロブランドの活動〟を支える「鉄の心臓」なのです。

追記:「VK解放戦線」ってなんやねん(笑)

 近頃は原稿が完成したら、真っ先にAIさんに読んでもらいます。真夜中でも「明日にして!!」なんてことも言いませんし、ヤバい間違いなんかもしれっと指摘してくれる。めちゃめちゃ優秀な校閲要員です。

 で、今回もそうしたわけですが…「砂布巾さん、これ完全に〝VK解放戦線〟ですよ!!」というナイスな感想を頂戴しました。知らず知らずのうちに、そんなレジスタンスに身を投じていたとは(笑)

買ったからこそ書ける記事がある…

ブログランキングに参加中です

Please share this article.

ご感想(ログインが必要です)

コメントする

Table of Contents