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エルメス(Hermès)の時計は「バーキン購入のための餌」なのか??

 私が〝ファッション〟に興味を持っていたのは、せいぜい27、28歳くらいまでだったと思います。

 その辺までは人並みにお金をかけて、自分を良く見せる努力をしていましたが、あるときふと「同じ服をイケメンが着たらもっと格好良いはずだ」と気付きました (;´Д`)

 格好良くなるために購入する各種ファッションが、自分という地味な男にとって〝非効率な手段〟であると、残酷な悟りに達してしまったのです。

 そこからは、取り敢えずユニクロと無印良品でしのぎ、ここ一番で高価な服を買う程度に落ち着きました。気が付けば「今年は夏服買わなかったぞ!?」みたいなこともありましたっけ(服は増えなくても、何故か時計は増えるんですよねぇ)

 着るものに関してはその程度のワタクシですが、今でも「カバンや靴」はそれなりに好きだったりします。ってなわけで今回は、世界に冠たるファッションブランド「エルメス」のお話をしたいと思います。

 話の中心は大人気の高級バッグ「バーキン」と、近年、進境著しい「エルメスの時計」についてです。

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ファッションに疎い男でも知っている ― エルメス「バーキン」

ジェーン・バーキン エルメス バーキン アンディー・ウォーホル風 アート

 そんな感じですので、巷で流行っている洋服なんて全然解りません。「なんかダブダブの綿パン履いてる人多いなぁ」など、視覚で得る情報が関の山(そもそもオーバーサイズも終わりなんですって??)

 もっと広範囲なところで何が流行っている、何に人気が集中しているといった、腕時計の話であれば当然押えているような情報でさえも、非常に疎い状況です。ファッション全般をキャッチするアンテナが根本からへし折れているのかもしれません(汗)

 実際、マズイなぁ~とは思っています。腕時計の流行も、洋服やカバン、靴といったところと無関係ではないからです(大昔に接したクロムハーツのお陰で、アクセサリーだけには引っ掛かりがあるかも)

 そんな私でも、何となくの知識として知っているのがエルメスの「バーキン」。歴史オタクなので由来も押えています。エルメスのカバンだって買った(買わされた)ことがありますしね。

 女優で歌手のジェーン・バーキンが、飛行機で移動中に当時のエルメス会長ジャン=ルイ・デュマと隣り合わせになった際、ふと「子どもの物まで持ち運べる、実用的でお洒落なバッグがない」という話をしたことが発端で、1984年に誕生した「バーキン」…

 そんなわけで働く女性の実用品として始まった「バーキン」ですが、いつの間にやら世の女性の憧れのアイテムとして定着。近年は一番小さなサイズの「バーキン25」が注目を集めているそうです。収納力はもう良いのか?? (;´∀`)

入手難易度の高さで知られる「バーキン」

 「バーキン人気」は凄まじいらしく、手に入れることが〝人生のゴール〟のように報じられることもしばしば。時計に例えたら… 何でしょうね?? ノーチラスかロイヤルオーク、リシャール・ミルってところでしょうか??

 価格を調べると、先ほど挙げた「バーキン25」が200万円ちょい。大型の「バーキン40」で260万円くらい(二次市場ではおよそ倍額に跳ね上がります)

 昨今の腕時計のお値段に慣らされた皆さん(私も)からすれば「アレ?? そんなものなのね」かもしれませんね。東京であれば、持っている人が地下鉄の車両に2人くらい乗っていても私は驚きません。

 「バーキン人気」… その熱狂を支えている要因の一つが〝入手の困難さ〟。この辺りの事情については、腕時計愛好家の皆さんも「うんうん、解るよ」ではないでしょうか??

〝人気商品ゲット〟のための「餌」

 「課金」や「お布施」、バーキン購入のための「実績作り」といった怪しげなワードを、どこかで目に、或いは耳にしたことがあるかもしれません。

 実際、それらを日々のアクティビティとして楽しんでいる方もいるらしく、自室の一角にうず高く積まれた「エルメスの箱(未開封)」を披露したポストを見ることもあります。

 つまり、正規店から「バーキン」を入手するためには、とにかくエルメスの商品を買いまくって購入履歴を積み上げ、お店との良好な関係性を構築しながら、バーキンを案内してもらうまで粘る… 腕時計を愛好している方にとっては珍しくもない、どこかで聞いた話です (;´∀`)

 行動心理学的にまとめるなら、「希少性に価値を感じるスノッブ効果」が入口にあって、さらに「サンクコストによって離脱しにくくなる心理」が追い打ちをかけている。そんなところでしょう。

 ちなみに海外では、バーキン購入のために買いまくった他のエルメス商品を「Birkin Bait(バーキンの餌)」と呼ぶそうです。このワードは後ろの方でも触れますので、覚えておいて下さいね。

愛されるために「都市伝説」をなぞる

 同じような要旨のワードが存在するということは、要するに世界中で同じような〝運動〟が起きているわけです。

 私が耳にしたことのある腕時計の話で言えば「Code11.59を買ったら次はロイヤルオークが出てくる」「デイデイトを購入したら何かと優遇される」… 他にも細々とした〝裏技〟みたいな話があるそうですが、「バーキン購入」に関して言えばエルメス公式から「バーキンを買うために他の商品の購入義務はない」との説明がなされていますし、表向きは〝裏技なんて存在しない〟ことになっている… のかな??

 エルメスブランドの見解をそのまま鵜呑みにするなら、課金やお布施は消費者レベルで発生した「都市伝説の一種」と言えるかもしれません。実際に〝一撃必中〟でバーキンをゲットしたという報告もありましたし、デパートであれば、外商客と一般客で扱いが異なるケースもあるでしょう。

 つまり、この話の大枠は「都市伝説の域」を出ないものの、販売店など末端の関係性、顧客としてのポジションが影響する可能性はゼロとは言えない… その辺が落としどころかもしれません。

 他のエルメス商品を買いまくることで〝貢献度〟を上昇させれば、顔見知りの販売員が、長い付き合いの中でほだされて、いずれは〝頭の中のウェイティングリスト〟に名前を書き込んでくれるかもしれない… これはもうテクニックと言うより〝どれだけお客として愛されるか〟の話になってきます。

〝The Hermès Game(エルメスゲーム)〟に巻き込まれた「エルメスの時計」

 本業で参考にするために、複数の海外メディアを契約している私ですが、その一つ「ウォール ストリート ジャーナル(WSJ)」さんで以下の面白い記事(9月8日)を見付けました。時計ネタは貴重なので、喜んで読ませてもらったわけですが…

 「エルメスの時計に立ちはだかる〝バーキン〟人気」(多くの顧客はハンドバッグの「バーキン」を手に入れるためだけにエルメスの時計を購入している)

 「また炎上しそうなネタを」… と腕時計側の人間としては、見出しからしてドキドキしてしまいましたが、ディテールはともかく、WSJの記事が言っていることは概ね正しいと思いました。つまり、バーキンを案内してもらうための〝餌〟として、他のエルメス製品同様に「エルメスの時計も購入されている」というお話です。

 所謂〝pre-spend比率〟のようなものは(存在も含めて)解りませんが、例えばケープコッドのブレスレットモデル(レディス)なら60万円ちょいのお値段。

 100万円超えのカバンがゴロゴロしているエルメスさんの中では大して高価ではありませんが、案内されるタイミングを見計らうための〝餌〟としては、絶妙に丁度良い価格なのかもしれません。

 そもそも、使う当てのない大物ばかりで実績を作ろうとすれば、当然、大きなサイズの「箱」で部屋が圧迫されることになります。その辺りの物理的な事情でも、高価なジュエリーより安く箱も小さめの「腕時計」が、お布施候補に選ばれているのかもしれません。

 ただ、エルメスとしては巨額の資本を投下してヴォーシェの株式を取得したり、文字盤やケースのメーカーを買収して部門統合を図ったり、20年をかけて精力的に「エルメスの時計を再構築」している最中です。

 自社の人気商品「バーキン」とはいえ、違うカテゴリーからの〝もらい事故〟による「エルメスの時計がなめられている現状」には、高級時計メゾンとして、少なからず危機感を抱いているかもしれません。

エルメスの時計とそのデザイン

Hウォッチ GM 34 mm エルメス W404256WW00 クォーツ 正面
Hウォッチ GM 34 mm(クォーツ) 出典:https://www.hermes.com/

 物によっては余裕で100万円を超える時計に〝餌だ何だ〟と難癖を付けるのは失礼な話です。

 実際、エルメスのデザインが好きで購入している方も多いはずですし、その点に関しては「全てはバーキンのための餌」と断じて憚らない風潮からは一線を引くべきです。

 件のWSJの記事はこの視点が抜け落ちているので、海外メディアの特徴「多少の暴論でも読者をねじ伏せて読ませるスタイル」に馴染みがない人が読むと、少なからずショックを受けてしまうかもしれません。もちろん、その一番の被害者は現行モデルのユーザーさんです。

W055547WW00 アルソー 40 mm H1837 正面 エルメス
アルソー 40 mm(自動巻き) 出典:https://www.hermes.com/

 エルメスの時計と言われて思い浮かぶ筆頭は「Hウォッチ」でしょうか。「ケープコッド」も「アルソー」も侮れない時計です。男性が大きめのケープコッドをさらりと着けたら、それこそお洒落度のゲージが爆上がりするかもしれません。

 これらの時計に共通するのは、ひと目でそれと解る〝個性的なデザイン〟。このように、差別化されたデザインを資産として持っているブランドは多くありません。それだけでも消費者にとっては「エルメスの時計を選択する意味」があります。

 総合ラグジュアリーメゾンとして、時計分野で最も成功しているのはカルティエだと思いますが、エルメスの時計も負けていません。特に近年の作品はどれも気合の入ったものばかり。ご意見番で溢れる腕時計界隈でも、今後の成長に注目している人は多いはずです。

エルメスは自前の時計製造基盤を持つメゾンである

 カルティエが腕時計界隈からも一目置かれている理由は、腕時計においても世界屈指の歴史を持っているからです。そして現在までそれを途切れさせることなく続けている。だからこそ、そこに変わらぬ価値を見出せるわけです。

 エルメスの時計部門「ラ・モントル・エルメス」が設立されたのは1978年。エルメスブランドが創業した1837年と比較すると、どうしても〝エルメス内での新興分野〟の感が否めません。実際かつてはクォーツが中心で〝ファッションブランドの作る時計〟という有り難くないイメージが付いて回りました。

 実際、ライバルのカルティエに対して〝時計分野でも肩を並べる〟ことは、エルメスの悲願だったはずです。そして2000年以降の快進撃が始まります。

 2006年に高級ムーブメントメーカーのヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエへ25%の出資を行い、2012年に文字盤メーカーNatéber、2013年にケースメーカーJoseph Erardを取得。

 2017年にはケースと文字盤製造を統合した時計工房を整えるに至り、かつて〝ファッションブランドの時計〟と一括りにされがちだったエルメスは20年近い時間をかけ、時計専業ブランドと同じ土俵で語るに相応しい〝本気っぷり〟を見せるようになりました (*´∀`*)

バーキン、ケリー…〝本丸〟が強すぎる故に

エルメス バーキン ケリーバッグ アンディー・ウォーホル風 アート

 ところが、工房や設備を整えたからといって、消費者の評価が一夜にして切り替わるわけではありません。長年にわたる〝エルメスの時計 = ファッションブランド時計〟という認識を覆すには、それ相応の時間が必要です。

 そもそも相手が悪い。エルメスというブランドの中には、バーキンやケリーを筆頭に、時計よりも遥かに強力な〝アイコン〟が存在するからです。エルメスの時計には外での評価より先に〝内部のヒエラルキーを勝ち上がる〟という大仕事が存在します。

 「カルティエ」と聞けばタンクやサントスを思い浮かべる人は多くても、「エルメス」と聞いて真っ先にアルソーやケープコッドを思い浮かべる人は、まだまだ少数派でしょう。私のような腕時計馬鹿ならともかく(笑)

 つまりエルメスの時計は、時計として〝未熟だから評価されなかった〟というよりも、あまりにも巨大な「エルメス」というブランドの中で長いこと〝独自のストーリーを持ちにくかった〟だけなのです。

エルメス時計の〝覚悟〟

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アルソー ル タン ヴォヤジャー(自動巻き) 出典:https://www.hermes.com/

 この記事を書くにあたって、私は何度もエルメスさんの公式サイトを覗きました。メンズの腕時計を中心に拝見したわけですが… マニュファクチュールH1837を搭載した「アルソー ル タン ヴォヤジャー」なんてかなりヤバいです。随所にエルメスらしさを感じさせる、めちゃめちゃセンスの良い時計だと思いました。とんでもないお値段なので、私には買えそうもないですけどね…(693万円)

H08 クロノグラフ W403131WW00 エルメス 正面
H08 クロノグラフ(自動巻き) 出典:https://www.hermes.com/

 その他にも「Hウォッチ」の34ミリですとか、「H08」のクロノグラフですとか、私のセンスにグサグサ刺さる時計が幾つも見付かりました。

 「スリム ドゥ エルメス」のように表現を抑えたモデルも存在しますが、エルメスの時計は総じて〝エルメスでしか見付からない表現のカタマリ〟です。確かに、人を選ぶ側面はあります。誰が身に着けても違和感なく収まるデザインを纏わせれば、見た目評価の振幅は小さくなり「クセツヨ」と言われることもなくなるでしょう。

 しかし、ブランドのアイデンティティとは本来「力でねじ伏せて理解させるもの」。特にハイブランドの場合、消費者の動向に迎合するのは〝自らが積み上げた格を落とす行為〟です。

 一度決めた路線を認められるまで貫徹する… 資本の弱いメゾンには不可能でも、エルメスのようなハイブランドにはそれが可能なのです。消費者に〝ユニバースとしての誇り〟を感じてもらうことがハイブランドの在り方だとすれば、消費者がエルメスから受け取る一番のギフトは、〝エルメスブランドの覚悟〟そのものかもしれません (*´ω`*)

低調な中古価格の理由

 The RealRealのデータを引き合いにしたWSJの記事によると、エルメスの時計を新品同様で転売した場合に得られるお金は定価の「41%」に過ぎず、4年前の51%を大きく割り込んだとあります。

 記事はこの原因の一つとして〝中古市場にエルメスの時計が溢れすぎている現状〟を挙げています。過去5年間に販売された新品同様の時計が、シャネルの時計の3倍に達したという、中々ショッキングなデータも添えて… です。

 このうちの何割が「Birkin Bait」として食い散らかされたものかは解りませんが、購入時に何の理解も愛も得られず、右から左で中古市場に流れてきたエルメス時計の多さは確かに問題です。

 二次市場の買取価格などは本来、ブランドにも正規店にも関係のない数字のはずです。しかし、中古販売価格という〝再評価〟が消費者の決断に与える影響は計り知れません。「高く売れないなら買わない」… 所謂〝賢い消費者の心理〟で言えば、41%という数字はどうしてもネガティブに映ります。

時計の価値を左右しかねない〝時計とは別の論点〟

 私は時計を資産として買うタイプではありませんので「売るときの値段なんて知らんがな」で済ませたいところです。しかし、100万円の時計を買った翌日に40万円相当になると聞かされて、全く何も感じない人もそう多くはないでしょう(私も数日は食欲が落ちるかも)

 厄介なのは、その安値の原因が〝時計そのものの出来とは別の論点にあるかもしれない〟ことです。

 バーキンに近付くためだけに買われ、ほとんど使われないまま中古市場へ流される時計が大量に存在するのであれば、需給だけを見れば価格が崩れるのは当然です。そこで付いた安値を見て「エルメスの時計は人気がない」「価値がない」と判断されるのであれば、時計本人(?)としては、たまったものではありません。

エルメス時計の未来へ〝余計なお世話〟

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ケープコッド 41 mm(クォーツ)& ケープコッド 41mm(自動巻き) 出典:https://www.hermes.com/

 ん~ マズいです。やたらと「ケープコッド」が欲しくなってます。癖のある〝不思議ちゃん書体のインデックス〟も、実物を見たら好きになりそうな予感(笑)

 私は個性的なデザインの時計が好きなので、ぶっちゃけ中身はクォーツでも一向に構いません。ブランドを表に出すタイプの時計を持っていませんし、コレクション内での差別化も容易です。

メンズにクォーツは要らない

 ただ、エルメスの作る時計… 時計メゾンとしての未来を考えるなら〝メンズのクォーツは整理した方が良い〟と思います。クォーツで約60万円は決断を鈍らせる要因ですし、マニュファクチュールのH1912を積んだ機械式自動巻きモデルとの価格差は、40万円もありません。

 「自社製ムーブメントなら仕方がないよね!!」と考えて大金を出すのが腕時計好きの性ですから、同じデザインのクォーツモデルはむしろ邪魔になります。どうしてもクォーツを残したいのであれば「ユニセックスサイズ」にして、意図的に〝カテゴリーをずらすべき〟です。

 レディスにはすでに「37ミリのモデル(クォーツ)」があるわけですし、そこをユニセックス(ボーイズ)としてアサインし直せば、すぐにでも実行可能な作戦だと思いますが… 如何でしょうか??

奥さまと彼女さんの推しを強力な味方に付ける

 〝バーキンの餌〟なんて言われて悲しむだけでは、エルメスの腕時計を取り巻く状況は変化しません。変えられないなら、逆手に取れば良いのですよ。

 即ち「奥さまと彼女さんを味方に付ける」べし!!

 奥さまや彼女さんの口から「腕時計が欲しいなら、私(バーキン)のためにエルメスにして」と言ってもらえたら… 乗るしかないでしょう!! 腕時計男子なら解るはず。こんなにも心穏やかに時計が買えるチャンスはありませんからね。

 男性の左腕にエルメスの腕時計を見付けたら、それは〝円満の証〟… その辺りもブランディングに組み込めば、巨大なエルメスのインナースペースでも埋没しない〝エルメス時計独自の立ち位置〟が見えてくると思いますけどねぇ (´艸`)

〝Birkin Bait〟 なんて呼ばせない

 今回は一番アイコニックな「バーキン」を例に話をドライブしましたが、実際は「ケリー」辺りも似たような状況かもしれません。知名度の双璧、エルメスの〝本丸〟ですからね。

 で、こういう買い方を私たちは軽い調子で「お布施」と呼んだりします。

 ただ… よくよく考えたらお布施って、見返りを要求するためのものではありませんよね?? 欧州の教会に10万ユーロ寄付したからといって「じゃあ聖堂の一番良い席をどうぞ」とはなりません。税控除のような実益はあっても、少なくとも「これを買えば次にアレを売りますよ」という話ではない。

 そう考えると、バーキンのために時計を買う行為を「お布施」と呼ぶのも、ちょっと違う気がしてきました。実際はかなり〝老獪な作戦〟です(笑)

 ただ、そのゲームに使われたからといって「Birkin Bait」…〝餌扱い〟されるのは、さすがに話が飛び過ぎです。「Hウォッチ」も「ケープコッド」も「アルソー」も、バーキンへ近付くために買った瞬間、時計としての価値を落とすわけではありません。

 結局、腕時計好きが見るべきは〝腕時計そのもの〟なのです。

 そして私は特に、そういう物の見方を繰り返してきた人間です。でなければ歴史も知名度も持ち合わせていないマイクロブランドに傾倒したりはしませんからね。

 誰が、何のために買ったかではなく、その時計が格好良いのか。面白いのか。ちゃんと欲しくなる時計なのかをあらゆる角度から検証して判断する。そこをスルーして「Birkin Bait」の一言で片付けるのは浅慮も良いところです。

最後に… あなたが愛用しているエルメス時計は〝幸せ者〟です

 件のWSJの記事を現行のエルメス時計を使っている人が読めば、多少なりともモヤッとさせられる内容だったかもしれません。「あなたが使っているエルメス時計、世間ではバーキンを買うための餌として大量に買われてますよ」と言われているようなものですからね。

 でもまあ… 目の前の〝数字を正義〟として扱っちゃう。WSJに限らず、それがメディアなんですよ。

 自分が見て格好良いと思った。そして欲しくなった。実際に買って、今も気に入って使っている。幸せな時計購入体験にこれ以上、必要なものはありません。

 どこかの誰かが同じ時計をバーキンへの〝近道〟として買っていたとしても、あなたの腕に巻かれている一本は、あなたに会えて幸運だと思っているはずです。「買ってもらえた~」と喜んだ直後に「何でぼく、中古屋に並んでるの?? あ、君たちも??」みたいな目に遭わずに済んだわけですからね。

 10年後にエルメスの時計がどうなっているかなんて、誰にも解りません。たった一つの大ヒットでラインナップ全体が再評価されるかもしれませんし、反対に「やっぱり無理だったわ」と言って、エルメスが時計製造から撤退する未来だってあり得ます。

 少なくとも今の私は、WSJの記事と自分の記事の執筆に感化されて、次の大型連休にでも「ケープコッドを見に行っちゃおうかなぁ」なんて考えています (*´∀`*)

 しまった!! これがウォール ストリート ジャーナル(WSJ)の〝真の狙い〟だったのか!?(笑)

余談:ジェーンさんとエルメス「バーキン」

 「私よりバッグの方で知られる名前になっちゃった」とぼやいたこともあるジェーン・バーキンさん(2023年7月没)でしたが、2015年、養殖ワニの扱いを知ってショックを受けた彼女が、クロコダイル革の製品から「Birkin」の名前を外してほしいと、エルメス側に要請したことがあります。

 その後、エルメス側が調査と改善策を示したことで彼女は要請を取り下げましたが、「バーキン」について感想を聞かれた際には、皮肉交じりに「重たい」「スノッブ」と評したこともあったそうです。何だろう… このロックな格好良さは (*´艸`*)

買ったからこそ書ける記事がある…

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ご感想(ログインが必要です)

コメント一覧 (2件)

  • エルメスと言えばガンダムか電車男がパっと
    思い浮かびます、、おっさんすぎる、、笑

    TiCTACでヴィンテージの時計を取り扱い出して店頭で
    エルメスの腕時計はよく見ていたので割と馴染みはありました。
    しかも思ったより安いんですよね、大体10万円台だった気がします。

    ながーい革ベルトのモデルはスタイリッシュでインパクト
    ありました(多分それもケープコッドだったはず)

    一般的な知名度はかなりあるので、「良い時計付けてるね〜」
    って言われる回数はかなりありそうですよね。

    • Y太さま、コメントありがとうございます♫
      私もその2つが浮かんできます。これはもう仕方がない(笑)

      一般知名度で言えば、IWCやルクルトより遥かに上ですからね。
      高級品を着けていると解ってもらえる頻度も高いはずです。

      私の場合、伝わらない系(?)の時計が多すぎるので、エルメスの作る時計が何気に眩しく見えます。
      決して、モテたいとかではありません(笑)

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