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宇宙世紀の腕時計ブランド「SpaceOne(スペースワン)」 紆余曲折を経て『三種三様の機構』で勝負

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 「SpaceOne」という響きを耳にした際、最初に私がイメージしたのは「どこぞの富豪が、自分と家族を宇宙に送るために立ち上げたプロジェクト」でした。ありそうじゃないですか?? 使い切れないほどのお金持ちって、我々には思いも付かないレベルで突拍子もないこと始めたりしますからねぇ(笑)

 そう言えば「スペースポート紀伊」を作った民間のロケット打ち上げ企業も「スペースワン」という名称でしたっけ。うん、あながち間違ってない(笑)

 まあ実際はフランス・パリ発、新鋭インディーズ腕時計ブランドの「名称」なのですが… ご存知でしたか?? 「SpaceOne」

 正直、腕時計ブランドの名称としては「超絶ダサい」… としか思えない「SpaceOne」という響き。時計の名前としてならまだしも、ブランド全体を「SpaceOne」というスペーシーなイメージに固着するのは中々のギャンブルです。何だか強烈な意志の存在を感じるなぁ…

 ここまで攻めた(或いは破れかぶれな)ネーミングには、きっと理由か事情があるはず… と思っていたら、やっぱりありました!! (;´∀`)

 2023年春の「Kickstarter」からスタートしたこのブランド、当初は「Argon Watches」という名で登録されていたそうです。何となく四畳半的で、小規模ブランド然とした「Argon」という響きを選んだ理由については定かではありませんが、その機構の面白さと明確なコンセプトによって多くの支持者を獲得し、クラファンでは目標額をわずか数分で達成。最終的には約€957,000を集める大成功を収めたのです。

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商標問題の躓きから始まった『SpaceOne』の歴史

 数々の古豪ブランドに再興の機会を与えてきた時計起業家「Guillaume Laidet(ギヨーム・ライデ)」氏が手掛けたプロジェクトであることも、安心して投資できると見なされた要素だったと思います。「Kickstarter」自体がある種の賭け事ですからね。「約束を守る人」の存在はデカい!!

 ところが「好事魔多し」とはよく言ったもので… あのギヨームさんですら、ちょっとした〝やらかし〟をしてしまったのです。商標検索なんてサクサクッとできてしまうこの時代に、まさかのほぼ同音ブランド「Aragon」の存在が発覚。

 「Aragon」からの申立を受けプロジェクトは一旦白紙に。全ての支援金の返金を行った後も資金不足の中で開発を続行。ブランド名を「SpaceOne」に変更し、2023年夏、改めてローンチし直すという波乱の再スタートを切りました。

Argon Watches(現 SpaceOne) と Aragon 商標問題の経緯
日付出来事
2023年4月フランスのインディペンデントブランド「Argon」が、Kickstarterにてジャンピングアワー搭載「SpaceOne」(当初Argon SpaceOne)のプロジェクトを開始
2023年5月Argon SpaceOneがKickstarterで大成功を収め、開始と同時に10万ドル、後に約150万ドル超の資金を獲得
2023年6月「Aragon」(米OKO International)が商標所有者としてArgonの誤送メールを受領(混同の証拠として訴状に添付)
AragonがArgonに対しUSPTOへの「Letter of Protest」およびKickstarterへの商標異議申し立てを提出、同日Cease‑and‑desist通知送付
Kickstarterが商標紛争によりArgon SpaceOneのプロジェクトを一時凍結
Aragonがフロリダ南部地区連邦地裁に提訴(OKO International Co. v. Auffret Paris)
Kickstarterプロジェクト停止に伴い、Argon側が支援者へ一旦返金対応を実施
2023年7月Argonがブランド名を「SpaceOne」に変更する旨のプレスリリースを発表
2023年7月以降Kickstarterは「SpaceOne」名義変更の可能性を示唆するも最終的にプロジェクトはキャンセル、返金完了
2024年4月SpaceOne(旧Argon)が新作モデル「Tellurium」を発表
2025年6月フレンチ独立系プレスがSpaceOneの第3弾モデル「WorldTimer」を発表(プレス発表)
2025年6月26日公式サイトにて「WorldTimer」先行予約開始(600本限定、欧州時間16時、価格€2,700)
2025年末WorldTimer第1陣の納品予定

 … と、色々あったわけですが、躓きをむしろ「印象的なイベント」へと変え、「SpaceOneブランド」の存在を一気に浮上させた手腕はさすがのライデ氏。「ニバダ グレンヒェン」「ヴァルカン」… 古豪再興を成功させたライデ氏が手掛ける次世代型ブランド「SpaceOne」の成長には、世界中から大きな期待が寄せられています (*´∀`*)

若き鋭才「Théo Auffret(テオ・オーフレット)」とは??

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出典:https://spaceonewatches.com/

 「SpaceOne プロジェクト」を事業面で支えているのは先述した時計起業家「ギヨーム・ライデ」氏。そして時計開発の中心にいるのは、今最も注目すべき独立時計師「Théo Auffret(テオ・オーフレット)」氏です。

 オーフレット氏は自作モジュールを搭載した実験的な時計作りで頭角を現してきた人物で、恐らくは現時点で30歳前後の若き時計師です。

 パリ出身で自身のブランド「Auffret Paris」の創設者であり、Argon Watches(現 SpaceOne)の共同創設者でもあるオーフレット氏。F.P.ジュルヌ主催の「時計製作アワード」も受賞していますし、今後数十年、トップレベルの時計作りで業界をリードする鋭才だと目されています。

 テオ・オーフレットという独立時計師にとって「SpaceOne」での取り組みがどういった意味合いを持つかは解りませんが、彼のような鋭才の技術と芸術性を味わうチャンスは極めて貴重です。

 腕時計好きにとって心躍るような体験を良心的な価格帯で実現した「SpaceOne」は、言うなれば、時計業界の未来を背負う若者の成長を「腕時計好きが並行体験するプロジェクト」であると言えるかもしれません (*´ω`*)

「三作三様の機構に震える」SpaceOne各モデルを紹介

 2023年スタートの小さなブランド「SpaceOne」。1年毎に新作を発表し続け、現在はそれぞれに固有の特徴を持つ「3つのモデルライン」を揃えるに至りました。

Jumping Hour(2023)

 「SpaceOne」の初作である本作では複雑機構の一種「ジャンピングアワー機構」をいきなり採用。 Soprod P024をベースに、オーフレット氏による9部品のジャンプ機構モジュールを組み合わせて、回転ディスクによる時・分・秒表示を実現。ケースはステンレス、チタン、鍛造カーボンの3種。Kickstarter限定のDestro(左利き用)モデルも存在します。

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出典:https://spaceonewatches.com/

 手に入れたならどんな風に着けこなしましょうか?? 案外とどんな服装にも合いそうな気がしますが、秋口に羽織るロングコートなんて良いかもしれません。小柄な女性が着けても可愛いと思いますよ。惚れちゃいますね。そのセンスに (*´∀`*)

Tellurium(2024)

 宇宙テーマを本格化させた第二作。文字盤上に配された「太陽・地球・月」の3つの天体が、それぞれ1年/29.5日周期で回転し、ヘリオセントリック(太陽中心)な天文表示を実現。 地球と月はそれぞれの軌道を正確にトレースし、カレンダーや月表示も兼任。 震えが来るほどの視覚的な美しさと、100年スパンの正確性が魅力の本作であれば、「天文時計」と呼んでもバチは当たらないでしょう。

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出典:https://spaceonewatches.com/

 以前、新宿伊勢丹でクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウの天文時計を腕に載せました。1500万円近くのお値段でしたから凄まじい緊張感の中での体験でしたが、いやぁ… 素晴らしいですねぇ「天文時計」。宇宙好きの少年だった私としては喉から手が出るくらいの逸品でしたが、それは天地がひっくり返っても、庶民の私が買えるような時計ではありませんでした。

 同じように球体の惑星がクルクル回る機構を持ちながらも、€2.990,00(約50万5000円)という「買える天文時計」Tellurium。それは、諦めかけた夢の続きを見せてくれる時計なのかもしれません (*´ω`*)

WorldTimer(2025)

 2025年6月発表の最新作。伝統的な針を廃し、3つの回転ディスクによって分・時・世界時間を表示する。3時位置に「分・秒」、6時位置に「12時間」、9時位置に「24時間と都市名」を表示。 それぞれの要素を大胆に分離することで、かつてないほど直感的に使える「ワールドタイム」を実現しています。

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出典:https://spaceonewatches.com/

 「変わり種の時計」というカテゴリーから外したとしても、世の中の「全ワールドタイマー」を相手に、それでも、格好良さで相当上位に来る時計だと思います。これに関してはひと目見た瞬間にべた惚れ。いやホント、こんなにイカしたワールドタイマーって、他にありますかね!?

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出典:https://spaceonewatches.com/

WorldTimer に関する後日談 「売れ筋カラーと〝シルバー購入〟の理由」

 SpaceOneの公式で販売が開始され、2日経ったか経たないかのタイミングだったでしょうか。お馴染みの H°M’S” WatchStore 表参道店の店長さんから、あっと言う間に「ブラック」が売り切れたと連絡がありました。続いて人気なのが「ブルー」。これも間もなく売り切れそうだと。

 実際、意外でしたね!!「WorldTimer」の一番人気は「シルバー」に違いないと踏んでいたからです。独特のディスク配置が際立つのは最もコントラストを感じる「シルバー」ですし、そこに人気が集中すると思った私は「シルバーでお願いします!!」と早々に注文を出したワケです。

 腕時計に見えるか見えないか… かなり際どいデザインの時計ではありますが、私としては普段の生活に「実戦投入」したいと考えています。となると、ビジネススタイルに落とし込みやすいのは断然「シルバー」

 え~?? みんなシルバーじゃないの?? そっかぁ… 攻めるなぁ(笑)

 そして販売開始から数日が経過。公式の各モデル別「残り本数」を見る限り、平均して爆発的な勢いで売れている感じではありません。これも不思議。たぶんコレ… 様子見してますよね?? 果たしてこれは時計なのか、思い切って買って良いのか… とかとか。

 私はむしろこの様子に「WorldTimer」が将来的に高く評価される可能性を見ました。恐らく、権威のあるどこかしらが言及するだけで、一気に耳目が集まるはずです。軽く背中を「ちょん」するだけで良いのですから。

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出典:https://spaceonewatches.com/

 そして今やっと「ブラックが早々にソールドアウトした理由」について理解できた気がします。これはその一端に過ぎないかもしれませんが、暗がりで「蓄光が光った状態」の写真を見ると「ブラック」が一番印象的に見えました。ぐぬぬ確かに格好良い…

 ホントスゴいな、世界の時計アミーゴたち。細かいところまで見てるわぁ~ (;´∀`)

全てが「演出の効いた時間の見せ方」で勝負する力作

 「SpaceOne」は、いずれのモデルもSoprod P024をベースにしつつ、自社開発モジュールによって独創的な「時の見せ方」に挑んでいます。ただ、オーフレット氏のそれはあくまで「実用」できることを最大の目的として作られており、贅沢な複雑機構であっても「お飾りではない」という特徴があります。

 ソプロードベースであることはしばしば批判の対象にもなりますが、ベースムーブメントに信頼できるシンプルな機構を選んだからこそ、追加モジュールにアイデンティティーを叩き込む「一点豪華主義」が可能になったのです。ベースムーブメントにまでオリジナルを極めたとして、それが数百万円になってしまっては意味がありません。それはギヨーム・ライデ氏のビジネス哲学にも反します。

 「SpaceOne」の3つのモデルラインは、それぞれに異なる「存在理由」を与えられた力作ばかりです。しかも「高額にする言い訳が幾らでも立つ」特殊な時計でありながら、高度な設計思想と確かな技術、他では味わえない「時間の演出」を驚きの安価で楽しめる。注目せざるを得ないブランドです (*´∀`*)

『Tellurium』がGPHG2024のファイナリストに選ばれた「SpaceOne」

 腕に載せる「地動儀」とも言える「Tellurium」は、グランプリ・ド・オロロジェリー・ド・ジェネーブ(GPHG)2024において、「Challenge部門(CHF 3,000以下の価格帯)」で、公式ファイナリストの「6本に残る」という栄誉に浴しています。

 部門グランプリには大塚ローテックの「No. 6」が選ばれ、残念ながら「Tellurium」の受賞はなりませんでしたが、こういう賞レースにおいては「惜しくも受賞を逃したモデル」こそが後に躍進を果たすケースが珍しくありません。そういう意味で「Tellurium」は、私自身も特に注目していた時計でした。

 価格帯がCHF 3,000以下(約52万円程度)の挑戦的なカテゴリーへのノミネートは、価格と技術のバランスが評価された証に違いありません。ちなみに「Tellurium」に関する「GPHG2024での評判」を集めると、以下のような意見に集約されます。

新参ブランドとしての検討

 審査対象には「Furlan Marri」「Christopher Ward」など、有力インディーブランドも名を連ねており、SpaceOneのような新興ブランドが並ぶこと自体が快挙である。

業界内評価の高さ

 Fratello(GPHGアカデミー関係者サイト)では、「未来派チタン製天文時計」でありながら、「CHF 2,900という価格での圧倒的コストパフォーマンスが素晴らしい」と高評価。

 Watch I Loveなど他メディアも、「Earth & Moonを正確に再現するミニチュア地動儀」「技術と価格のバランスがとんでもなく良い」と絶賛。

GPHGを逃がしたことで『堕天使的な魅力』を手に入れた「Tellurium」

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 受賞はならずとも、「天文時計」という夢の機構を信じられない価格で実現したことに大きな驚きと賛辞を贈ったメディアが多く、この先のモデルにもより一層注目が集まると予想されます。

 そして、惜しくもGPHGを逃しスターになりきれなかった事実は、私の中である種の「判官贔屓」を誘発しました。

 トゥールビヨンを超える腕時計好きの夢「天文時計」でありながら、受賞を逃したことで「野に下った」感のある「Tellurium」。そこに私が感じたのは、既存の物差し… 評価の軛から解き放たれて自由になった「堕天使のイメージ」です。もっと開放的に、もっと自由に… 天文時計=超高額の常識を根底から覆すゲームチェンジャー的存在… それが「Tellurium」という時計なのです。

「Tellurium」ではなく、大塚ローテック「No. 6」がGPHGを受賞した意味

 各ブランドが、実際の商売の軸に据えるために作る「普及製品」で勝負するのがGPHGの「Challenge部門」です。開発にも生産にもそれほど資金を投入できないこのゾーンでは、発想もその実現のための手法も大きく制限されます。

 そこで「上手にまとめるか」「一部に突出してはっちゃけるか」の二択を迫られるわけですが、「No. 6」の場合は典型的な後者に分類されるでしょう。時計としてのエレガントさはさして求めず、機械としての「塊感」を全面に出すことで「旧時代の情緒」を生み出したことが評価の根底にあると思います。

 「Tellurium」「No. 6」、どちらも汎用ムーブメントに特殊なモジュールを組み込んでいる点では同じですが、復古調の「No. 6」に対して、未来を感じさせる「Tellurium」という構図になったことに関して言えば、不思議な縁を感じます。

 もしかすると大塚ローテック「No. 6」の受賞には「和要素によるプラスα」があったかもしれません。私たち日本人が思っているよりはるかに、漢字やカタカナ要素は欧米人の感性に刺さります。そういう感傷的な部分で、「TelluriumはNo. 6に一歩及ばなかった」という見方が成立するかもしれません。

 大塚ローテックは買わないのかですって?? もちろん取りに行きましたけどね。通算4回も(5回かも… )落選すれば、さすがに心折れますって… ( ;∀;)

そして一本購入 & 一本予約(汗)

 腕時計購入は「タイミング」です。「腕時計が欲しいなぁ~」とウズウズしているときや、たまたま資金にゆとりがあったとき、そういうタイミングで「買うに値する時計」の提案があれば、そんな誘惑を振り切って逃げ切れるだけの精神的瞬発力を、私は持ち合わせていません (;´Д`)

まず最初に「Tellurium」の購入が決まりました (;´∀`)

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 「Tellurium が入ってきそうなんですよ!!」「ふ~ん、Tellurium ねぇ… ってアレか!?」てなもんで飛び上がった私でしたが、一応、冷静に一晩は考えました。とはいえそれは「買うか買わないか」の熟考ではありませんでした。

 「買うか」「どういう理由を付けて買うか」… オファーを受けるまで1ミリも視界になかった「SpaceOne」でしたが、その「誘い文句」は瞬時にして私の物欲を掌握したのです。こうなったら観念して買うしかありません。

 「買うに値する時計であるか」についてはいつも明快です。私のセンスに「ハマるか否か」本当にそれだけです。あとはローンを禁じている私が一発で出せる金額であれば、その時計は私のもとへやってきます (;´∀`)

将来の「リセールバリュー向上」も期待できる??

 もしかしたら、私の腕時計歴で初めての試みかもしれませんが、今回は「将来のリセールバリュー向上」を明確に視野に入れて購入しました。理由は幾つかございますが、一つには世界的腕時計販売サイト「CHRONO24」「8,807ドル(約127万826円という強気の値付けをみたこと。

 もう一つには「これからの才能」であるテオ・オーフレット氏の「若さ」です。すでに業界でもハッキリした事実ですが、才能ある腕時計技師が立ち上げたブランドがあったとして、そのブランドを真の意味で次世代に残すことは不可能なのです。個人の才能は個人の生命が尽きた時点で終わり。優秀な弟子がいたとしても、好事家が好むストーリーを継承することはできないのです。

 その点、ワタクシ砂布巾よりもはるかにお若いオーフレット氏であれば、この先も昇り龍のような活躍を長く見せてくれるでしょう。彼が輝けば輝くほど「SpaceOne」の作品も輝くのです。何十年も寝かせる覚悟があるならば、実際かなり「成功確率の高い投資」と言えます。

2025年新作「WorldTimer」も注文 (;´Д`)

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 ワタクシはですねぇ… 気に入った食べ物があれば、飽きるまで連続して食べたいタチなんですよ。いちご味のチョコの話、書きましたよね?? どん兵衛肉うどんの話はまだでしたっけ??

 これだけ腕時計を買いまくった私にしても、「SpaceOne」のような時計は未体験です。ですから2ヶ月後の納品を待つ心中にも、何やら感じたことのない感情が湧いてまいりました。要するに「まだ食ってもいないのに、次に何を食べようか??」なんて考えているのです。

 そんなアホアホな私の気持ちを知ってか知らずか、丁度、新作の「WorldTimer」が発表されました。H°M’S” WatchStore 表参道店で店長と話していたときは「まあ、実物を拝んでから考えますわ」と大人の余裕を決めた私でしたが、その夜、改めて「SpaceOne 公式」を見てこう… みぞおち辺りにキューッとくる何かがありました。これが来ると、もうダメなんです。

 ってなわけで、早々に店長にLINEを入れ、「WorldTimer 購入」の意思表明を行いました。いや、だって… めっちゃ格好良いから… ね?? (;´∀`)

「Jumping Hour」は?? 初作なのに??

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 ここまで気長に読んで下さった方であれば、何となく疑問に思われたかもしれません。「アンタ何で、ジャンピングアワーを避けたの??」と。

 もちろん、避けてもいませんし無視しているわけではありません。買えるものなら買いたいですよ?? 残念ながら「これ以上は資金が続かない」ってのが一番の理由。同時に、どうせ買うなら現行ではなく「次の新作として買いたい」という気持ちもあるんですよねぇ…

 「Jumping Hour」の実機はだいぶ以前に試着済み。その時点で玩具みたいに見えて、その実、高級腕時計としての充実に満ちているスゴいプロダクトであることを確認しています。異形からは想像できない腕載りの良さについても重々承知。

 ただ、そのときはとにかく金欠で… 仕方がないので一旦記憶を消去して「ジャンピングアワーなんて見ていない」と力づくでスルーを決め込みました。「Jumping Hour」というモデルに関しては、この辺の心理的な躓きが未だに作用している気がします。まあでも、2本手元に揃った時点で湧いてくるんでしょうねぇ、それこそ、みぞおちからフツフツと。

「SpaceOne」に興味を抱けることが、愛好家としての成長かもしれない

 例えば「リシャール・ミル」です。確かに凄い時計だとは思いますが、個人的にそれ以外の感情的な何かを感じることはありませんでした。格好良いのか可愛いのか、美しいのかシックなのかポップなのか、どういった評価を与えれば正解なのかがイマイチわからない。私にとってのリシャール・ミルはそんな時計の代表格でした。

 要するに、そういった「感情を補完」する意味合いで時計を選ぶ私にとってリシャールは、どこに当てはめれば良いのか検討もつかない筆頭なのです。設計思想や実際の工作精度は凄まじいと思っていましたが、自分が購入して身に着ける様子は想像はできませんでした。高価過ぎてイメージできないだけかもしれませんが…

 そんな私ですが、何故か「SpaceOne」は突き刺さりました。トノー型の発展形であるリシャールに比べ、「SpaceOne」のカタチはそれ以上の異形です。それでも理解して好きになれた要因は何か… 多少の自画自賛も含まれますが、思うに常日頃の「勉強の成果」が出たのだと思っています。

 東京で生活するようになって、本当に数多くの腕時計を拝見する機会を得ました。実際、自分が財布を開く段になると保守的なマインドになりがちな私ではありますが、買えないまでも多くの「ロックな時計」を目の当たりにして、それを理解する努力を続けてきました。そうして少しずつ食わず嫌いを改め、遂には「良いなぁ~、欲しいなぁ~」と思えるところまで来たわけです。私にとってこれはとても重要なことなんです。自分が使いたいと思わない時計の話なんて、絶対に書けませんから。

 最近やたらとハミルトンの「ベンチュラ」に目を奪われるのも、きっとそういうことなのでしょう。「SpaceOne」との出会いと購入には、海外で暮らし始め、ようやく言葉が通じ始めたときのような新鮮さがありました。それはきっと、私という腕時計愛好家が「小さな成長を果たした証」なのでしょう。前述のリシャールだって、今なら前とは違う印象で見られるかもしれませんね (*´ω`*)

最後に… 「Tellurium」と「WorldTimer」… 到着順に詳細なレビューを書きます!!

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 まあ何せまだ何一つ届いていませんし(追加で購入したストラップだけは手元にありますが) ワールドタイマーに至っては「買います」と表明しただけでお金も入れていませんので、正直何が起きるか解りません。

 ただ、これだけは確実に言えます。「SpaceOne」のこの2本は間違いなく「写真映え」します。となればα6700と各種レンズで撮りまくるのは必定ですし、となれば写真に引っ張られて「記事化したい!!」欲求も自然と高まるはずです。

 本日はエベラールの「クロノ4」を着けて執筆しておりますが、やはり私は「汎用ムーブメントにオリジナルモジュールを載せた時計が好き」なんだと思います。そして解りますか?? クロノ4ってこう見えて約130万円もするのですよ。同様に特殊なモジュールを載せた「SpaceOne」だって、少なくともそのくらいの価値はあるかもしれません。

 恐らく「Tellurium」が納品されてしばらくしてから「WorldTimer 納品」というスケジュールになると思います。どちらも未だ味わったことのないタイプの時計ですから、待っているこの時間の切ないこと切ないこと。天井知らずの期待値を抱いて待ちたいと思います。

 そして届いたら、なる早で記事化することをお約束します。皆さん一人一人がそれぞれの解釈で「SpaceOneの将来性」に想いを馳せていただけたら幸いです。自腹を切ってこそ書ける部分がありますからね!! ご期待ください!!

 いやぁ~ 色んな意味で「10年後が楽しみなブランド」ですよ (*´∀`*)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • サムネイルが異形すぎて腕時計に見えませんでしたww
    手元で宇宙を感じれるというのも、中々素敵です!
    ケースもカーボンやチタンを使っていて、普段使いもちゃんと想定されているのはいいですね!
    視認性も慣れれば問題ない気はしますね。

    • Y太さま、時計に見えない… 開発陣が一番喜ぶ感想かもしれません。
      異形でありながら実用に配慮した絶妙な設計。
      新しい何かを始めるブランドにありがちな肩肘張ったところもなく、どこかゆるい感じがするのもスペースワンの魅力だと思います。

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