このままじゃ買取の査定に響く!? 古くなった「合皮の時計ボックス」が放つ『不快な悪臭』を消したい

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 ここ最近、手元の腕時計を減らそうとあれやこれや頑張っているワタクシでございます。今後も長く使うであろう時計をキープした上で、他の「微妙なポジションの連中に行く末を決めるだけ」。実際はそんな風に割り切れるものではないと覚悟はしていたつもりでしたが… ぶっちゃけそれでも「激甘の認識」でした。安易に考えていたあの頃の自分に、全速力の「龍魂ラリアット」を食らわしてやりたい心境です。ホント、これほどまでに気力の集中と体力が必要だとは思いもしませんでした。

 そんな滝行の如き作業にも終わりが見えてきました。売却候補たちを購入当時の化粧箱に収め、それが10、20と積み上がる様子を眺める私の脳裏には、安堵と淋しさが混じった不思議な感情が湧いてきました。例えるなら引っ越しを間近に控えたメンタルに近いかもしれません。淋しいけれど、新しい「出会いの予感」もある… そんな感じ。

 とまあ、センチメンタルな気分にドップリ浸かりつつの作業だったわけですが、その途上で少し困ったことが発生(というか起きていた)しました。幾つかの化粧箱、それも「合皮」の内箱の幾つかが「看過できない悪臭」を放っていたのです… (;´Д`)

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化粧箱に戻す作業中に感じた「悪臭」の正体は??

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崩壊寸前まで傷みが進んだSinn正規のボックス

 箱の開け閉めを繰り返す中、早い段階で「何かが臭っている」ことには気付いていました。ただ、作業中の体勢が胡座でしたので目の前には当然、自分という「おっさんの足」があるわけです。自己肯定感の低い私は即座に思いました。「ワシの足が臭いからや」と(笑)

 ところが実際の「臭いの元」「時計のボックス」でした。10年選手の「内箱」で表面が「合皮」に覆われているものの幾つかが、白化、ひび割れを起こし、そして激しく臭っていたのです (;´∀`)

ウ〇コを「100」とするなら「70」くらいの臭さ

 止せば良いのに、どの程度のレベルで臭いのかを確かめたくなりまして。臭いを発している合皮の内箱に思い切り鼻を近付けてみました。

 「◯✕△◇※♂ これはあかん!! あかんでぇぇぇ!!」

 自分の足の臭さなんて、この合皮が発する臭いに比べたら可愛いものでした。下品な言い様を許していただけるなら、紛れもなく「ウ〇コ系のかおり」。ウ〇コを「100」とすれば「70」くらいの悪臭に相当します。やべぇ!! これはマジであかんヤツ。こんなのちょっとした化学兵器ですやん。テロなの?? 合皮テロなの!? (;´∀`)

合皮が「悪臭を発生」させるしくみ

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何らかの環境条件が重なることで、経年劣化に「臭い」が追加される

 ご存じの通り、元々の臭いで言えば「天然皮革」の方が遙かに臭います。それは所謂「獣臭」ってやつで、慣れるとむしろ癖になるというか、新しいライダースに袖を通した際の高揚感のほとんどは、この真新しい革製品特有の「革の匂い」によるものかもしれません。

 「合皮」の場合、安物には特有のケミカル臭がありますが、ほとんどの場合が「無臭」です。そして古くなったら必ず臭い出すというわけでもありません。臭いの発生には保管状態などの条件が大きく影響しているわけですが、長く良好な状態を保つためには「合皮のメカニズム」について知る必要があります。

そもそも「合皮」って何なの??

 簡単に言えば「合皮」とは、見た目や手触りを「本革っぽく」するために、科学の力で作られた「便利素材」です。ところが「化学素材の宿命」として時間とともに加水分解を起こし、果ては強烈な臭いを放つようになります (;´Д`)

 ちなみに合皮は基本的に以下のような「3層構造」で成り立っています。

表面層
ポリウレタン(PU) or ポリ塩化ビニル(PVC)など
中間層
発泡層 or 補強層(見た目や触感を調整)
基布層
織物(ナイロンやポリエステルなどの布)

 その性質を「天然皮革」と比べるとこんな感じです。

比較項目本革合皮
経年変化味が出る(エイジング)劣化する(ボロボロと分解)
質感柔らかく個体差あり均一で加工しやすい
通気性あり 低い〜中程度
価格高い安い
メンテナンス必要短期的にはほぼ不要

 価格の安さ、見栄えの良さ、加工のしやすさなどが「合成皮革」の強みと言えるでしょう。対して天然皮革(本革)には個体差があり手入れの手間はかかるものの、それ自体が高い趣味性を発揮して長期間に渡り価値を持続するという特質があります (*´∀`*)

 合皮には「加水分解」という宿命がある分、長期間の価値を担保する素材には相応しくありません。しかし「人工皮革」などと呼称されるものの中には、耐久性や質感で天然皮革に迫るものが存在することも覚えておくべきでしょう。

古い合皮が「臭くなる」のは何故??

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合成素材とは思えない「生物的悪臭」

 あれほどまでに強烈な悪臭を放つようになるのは何故なのか?? その原因となる「加水分解のプロセス」で、ポリウレタンが分解されて悪臭発生へと至る流れは以下の通りです。

「❶ 表面にべたつきが発生する」

「❷ ボロボロと崩れ始める」

「❸ 悪臭を放つ」(;´Д`)

 合皮には柔軟性を保つために可塑剤(フタル酸エステルなど)が添加されていますが、これが時間の経過で空気中に揮発、分解して悪臭を放つ「有機化合物」を生み出します。

 臭いの成分としては、腐った魚や糞便のような臭いの「アミン類」。刺激臭である「アルデヒド類」。プラスチック臭が混ざったような悪臭「フタル酸化合物」がありますが、これらが交わることでより不快な「ウ〇コ臭」を生み出すのです (;´Д`)

 「合皮が臭う状態」とは「加水分解の末期症状」です。物理的にゴシゴシ拭いても意味はありません。いわば「腐ったポリマー」なのですから、基本的には腐った合皮部分を張り替えるなどして捨て去るしか「臭いを断つ」手段はないのです。

こんなに「臭い内箱」に大切な時計を収めたくない!!

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臭いがなければまだしも… ここに時計を入れるのはキツイ(汗)

 幾ら「純正ボックス」であっても、腐って臭っている箱に大切な腕時計を収納したくありませんよね?? 万が一「臭いが移ったら」始末に負えません。ラバーベルトには簡単に臭いが移る性質のものもありますし、加水分解で「ウ〇コ臭」に侵された純正ボックスにしまい続けるのはお薦めできません (;´Д`)

 合皮が分解して「ねっちゃねちゃ」になった枕に時計を抱かせるのも止めましょう。最悪の場合、表面が剥がれて時計にへばり付いてしまいます。へばりついた合皮のクズは易々とは剥がれません(私も何度かエラい目に遭っています)

この悪臭を消す方法はないものか??

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ボロいのは我慢できても、臭いのはちょっと…(汗)

 というわけで、基本的には「腐ったポリマー」を復活させる手段はありません。もしもボロボロの合皮の表面を元に戻す方法をご存じの方がいらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。日本中の古い時計ケース(ボックス)が救われます!!

 ただ、救われる方法がないとしても、例えば腕時計を手放す際にはそんなボロボロの純正ボックスであっても「あると無いとでは天と地の差」です。その段になればボロボロの粉々は仕方がなくとも、せめて「ウ〇コ臭だけは消せないものか??」と思うことでしょう。

 だって、時計を売りに行って箱を開けた瞬間、スタッフさんに「ぼえぇぇぇ!!」とえずかれたら、買取り価格にも相応の影響がありそうじゃないですか?? そこで私なりに真剣に調べた結果が先述の「合皮に関する知識」であり、以下に記す「合皮の臭いを抑える手段」です。可能な限り「お金をかけずに消臭」を目指します!! (*´ω`*)

臭くなり果てた「合皮」の臭いを抑えてくれそうなアイテムを探せ!!

 実は「これなら絶対!!」と頭に浮かんだアイテムがありました。それが「NRCスプレー」。酸化還元反応で効果的に臭い成分を除去する「消臭界の最終兵器」みたいな代物。プロがとんでもない場所で使用するレベルの薬剤です。ただ、購入するとなると結構お高い。町中華でお腹いっぱいになれちゃうお値段でした。

 例えば20個くらいの箱が臭っているのなら購入しても元は取れそうですが、今のところ対応したい臭い箱は「5個」。ですので今回はもっとリーズナブルな手段で、ライトに消臭を目指すことにします。

 お次は消臭専科「ファブリーズ」。基本的に「合皮への使用は不可」となっていますが、そこはそれ、どうにかなるんじゃないかと。とは言え、今のところはファブリーズ特有の臭いが付くのが恐くて試せていません。これについては今後の課題と言うことで (;´∀`)

 最後が今回の大本命「重曹」です。お掃除上手で賢い主婦の強い見方であれば、コストをかけずに最大の効果を発揮してくれるのではないか… そんな期待を込めて今回の消臭チャレンジは「重曹」をメインに行って参ります。薬局に行けば売ってるのかしら??

ローソンストア100で購入した「重曹溶液」に賭ける!!

 薬局では見付けられませんでしたが、我が心のオアシス「ローソンストア100」にそれはありました。

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これだよ!! やってくれそうな自信満々の顔!!(笑)

 「重曹の水溶液」です。ただの水だったとしても、素人の私には見分けが付きません(笑)

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どうやら「ただの水」ではなさそうです!!

 合皮の悪臭の多くは加水分解、可塑剤の分解で発生する酸性の揮発性化合物が要因です。一方で「重曹」は弱アルカリ性ですので、酸性物質である匂いの原因と化学反応を起こすことで、無臭の中性物質に変える効果が期待できます。要するに…

酢酸(CH₃COOH)+ 重曹(NaHCO₃)

酢酸ナトリウム(CH₃COONa)+ 水 + 二酸化炭素(CO₂)

(二酸化炭素は気体として放散します)

 さらに「重曹」「多孔質構造」による臭い分子の吸着効果も仕事をしてくれそうです。使用後に脱臭環境のpHバランスを整える効果も付与してくれるはずですから、自然と「悪臭防止」に繋がります。

 ってなわけで、全面的に「重曹を信じる」ことにしたワタクシ。本来的な使い方としては、重曹を詰めた小袋を時計ボックスと一緒に密閉された袋などに詰めて数日放置するのがベターですが、100円ローソンに売っていたのが「スプレー式の溶剤」でしたので、直接箱に塗布して様子を見ることにしました。

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外側も!!
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もちろん内側も!!

 (写真では解りづらいですが)びっしょびしょにしてやりましたよ!! (*´∀`*)

天気の良い日の「陰干し」が効く!!

 この日は素晴らしい天気で、朗らかな陽光と爽やかな風が吹くという「陰干し日和」。まあこんな日は「外に遊びに行けや!!」って話かもしれませんが、私は別の目的でこの日本晴れを最大活用しました(笑)

 そもそも「陰干し自体にも高い消臭効果」が認められています。匂いを放つスニーカーなんかも半日ほど陰干しするだけで見違えるほど臭わなくなりますからね。これは期待できそうです!! (*´ω`*)

重曹すげぇ!! ほとんど臭わなくなった!!

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陰干ししたボロボロのSinn正規ボックス… に、臭わん!!

 数時間で完全乾燥した「臭いボックス」。さあ、重曹とお日さまパワーのコンビネーションで「ウ〇コ臭撃退」は成ったでしょうか??

 おお!? これはスゴい!! 「ウ〇コ臭レベルが70から15くらいまで」下がりました!!

 自信満々で言う話ではありませんが、これなら私自身の足の方がずっと臭いはずです(笑)

 良かったぁ… もちろんひび割れや剥がれが治るわけではありませんが、臭わなくなっただけでも相当にテンションが上りました (*´∀`*)

 いやホント「重曹」ってスゴい性能ですね!!

純正の化粧箱には「乾燥剤」を入れて湿気対策!!

 「重曹」のお陰で臭いが軽減しても、その後の保管がいい加減なら元の木阿弥になりかねません。「市販の乾燥剤」で構いませんので、せめてもの湿気対策を講じた方が良いかと思います。高級クッキー缶の中に入っている「アレ」でも良いかも知れませんね (*´∀`*)

提言!! 何十年も長持ちする高級時計の収納に「合皮は使わないで」

 さすがに最近は「総合皮貼り」のボックスは減ってきましたが、それでもまだ純正ボックスの主流は「合皮のボックス」です。柔らかくて見栄えの良いシボが楽しめる合皮が、様々な面で時計ボックスに適している理由は良くわかります。

 ただ、腕時計自体に不変的な価値を謳っている高級腕時計メーカーが、十年で朽ち果てる可能性のある素材を腕時計ボックスに使うのは理解できません。起毛させたファブリックでも良いじゃないですか?? 外面の良さで使っているだけだとしたら、保存性に問題のある「合皮のボックス」は考え直して欲しいところです (;´∀`)

 息の長い「高級腕時計」と寄り添えるボックスであることを大前提に素材の選定にも気を配ってほしい… 少なくともその義務が、数百万円の時計を商う「有名ブランド」にはあると思います。

最後に… 困っている方は試してみて下さい!!

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これならすぐ隣りで飲食も可能(笑)

 今回、私が試した「重曹の水溶液スプレー」なら数百円で購入可能です。この安さなればこそ「ダメ元」の精神で消臭を試みたわけですが、結果は予想以上に満足できるものでした。ここまで臭いが薄まれば、この箱の隣でご飯を食べることも可能でしょう!!(笑)

 今回は臭いが顕著だった「Sinn 903」の箱を実験台に消臭を試してみましたが、ウチには他にも「古いオメガの赤い箱」「ねっちゃねちゃに劣化したIWCの箱」、ほとんど土に還りそうなほど分解が進んでいる「カール・F・ブヘラの巨大な箱」などなど「箱アリ」と言いたいがためにだけキープしている箱が幾つかございます。

 さらに幾つかは不快な臭いを発している状態ですので、次の晴天には今回と同じように「重曹による消臭」を試したいと思います (*´∀`*)

 きっと同じようにお悩みの方も沢山いらっしゃるでしょう。「臭い合皮のケース」でお困りであればものは試し!! 重曹を使った「ローコスト消臭」に挑戦してみませんか??(実施の際は色移り、色褪せのチェックをお忘れなく)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 時計の収納ケースとかもそうなんですけど
    合皮のケースって独特なにおいがありますよね…
    匂いの独特さも個体差があるように感じます。
    (うん◯のにおいは確かに言い得て妙な気がします…ww)
     
    自分は大概の物の箱は捨てちゃうのですが、腕時計の箱は高級感がゆえに中々捨てられないですね…
    (箱のぱかっと開く感じも個人的にめちゃくちゃ好きなので、たまに時計を箱に戻して遊んだりしてます。)

    CASIOみたいに完全に紙の箱にしてもらえたら躊躇なくゴミ箱行きできるんですけどね〜

    • Y太さま、コメントありがとうございます♬
      いやぁ… 本当に自分の足の臭いを疑いましたからね。
      可能な限り身体を曲げてくんくんしてみたり(汗)
      う〇こ臭の元凶が合皮のケースだとは思いもしませんでした。

      そうなんですよ。
      どんなにボロッちくなろうとも、う〇こになろうとも、ブランドのオリジナルケースを捨てる勇気はありません。
      そう考えると、アップサイクル素材のケースで物議を醸したブライトリングさんなんかは、先見の明があったのかもしれません。

      個人的には箱なんて、ファブリックでも上質紙でも構わないと思っています。
      う〇こでさえなければ(笑)

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