『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

悩むだけムダでした —— オリス「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」購入 & 使用感レビュー

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 2026年6月18日、オリスの「創業122周年」を祝うパーティーが、東京銀座「オリス銀座ブティック」で行われました。不肖、この私もご招待をいただきましたので、仕事帰りにいそいそとお邪魔しました。

ORIS オリス 社屋 写真
出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 ちなみに私自身は過去に数本のオリスを所有していました。色々あって現在は手元にありませんが、何と申しましょうか… 最近になってやたらと〝買い戻したい気持ちの高まり〟を感じていました。

 正直、馬鹿みたいな本数の腕時計を所有している身からすれば、若かりし頃から馴染みのある実用時計の大御所「ORIS(オリス)」を所持していないことに対して、何やら不自然さを感じていたことは確かです。腕時計趣味を自覚しはじめた最初の段階で意識していたブランドさんですからね (*´ω`*)

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これがORISの未来だ!!「Artelier Complication(アートリエ コンプリケーション)」

Oris Artelier Complication 39.5mm オリス アートリエ コンプリケーション 2026 新作 ダイヤルカラー 3種
出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 先日に伺った「タイムユナイテッド」でも拝見して、相変わらず誠実な時計を作っていると確認できた「オリス」

 そこで拝見した時計で言えば、特に新型のアートリエ「Artelier Complication」の出来栄えは見事でした。若いデザイナーを抜擢した成果が見事に結実していましたからね。

 問題はこれまでのオリスを支えてきたオールドファンの反応ですが、いつの時代も新しいものには乗り越えるべき〝歴史の壁〟が立ちふさがるものです。それでもいずれは広範囲で理解が進み「アートリエと言えばこれ」とイメージされるようになる気がします。

 実際「Artelier Complication」を拝見した初見で「これはドレスウォッチ分野における〝オリスの未来〟かもしれないなぁ」と直感したワタクシ。クラシックを現代訳したと称される時計の多くが、新たに獲得した魅力の代償として〝大切なもの〟を失う中、新作「Artelier Complication」は本質的な魅力を何ら失わずに、絶妙なバランス感覚でオリスのネオ・クラシックを完成させたと思います。

改めて「オリスオーナー」になる機会を待っていた

 122周年を祝うこの日の『ORIS バースデーナイト』は、「Artelier Complication」以外にも新作や定番、これからのオリスを象徴する多くのモデルを拝見する機会でもありました。

Artelier Hölstein Edition 2026 アートリエ ヘルシュタイン エディション 左腕 試着 写真 ダイヤル スモールセコンド 鏡面
高い作品性を感じた「Artelier Hölstein Edition 2026」

 中でも私の心に残ったのがこちらの限定新作モデル「Artelier Hölstein Edition 2026」。計算された抑制の果てに見出された〝美学〟とでも申しましょうか。ウォームグレーのシンプル過ぎるダイヤルと響き合う、鏡面処理されたスモールセコンド領域のアブストラクトな美しさ… 見つめていると無限にニュアンスが湧き出てくるような高度なデザインでした。

 でもですねぇ… この日の私には明確に狙っていた時計があったのですよ。リリースされた直後からその姿が脳裏から消えず、購入のきっかけを探っていた一本。そのきっかけがこの日の「ORIS バースデーナイト」だったわけです (*´∀`*)

久しぶりのオリスは「モノトーン」で

 カラーダイヤル全盛の昨今ですが、個人的には「モノトーンダイヤル」が好きです。

 何せ飽きるということがありませんし、服や靴、ベルトとの相性に縛られることもありません。最近は〝敢えて浮かせるコーデ〟を前提にしたとっぴなカラーもありますが、トータルで云々したいのであれば、ダイヤルの色に無頓着ではいられません。

 ただし、カラーダイヤルに〝負けているモノトーン〟には、まるで魅力を感じません。技術的に自由自在な現代に最もシンプルな色を選ぶからには、派手な〝カラーダイヤルを凌駕するモノトーン〟でなければいけないのです。

ここは「ビッグクラウン ポインターデイト」でしょう!!

1938年 ビッグクラウンとポインターデイトを搭載したモデル
1938年 ビッグクラウンとポインターデイトを搭載したモデルが登場 出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 「復活のオリスはビッグクラウン ポインターデイトにしよう」… これは比較的早くに決まっていました。かつて持っていた中にもありましたし、ドレスとフィールドの中間的な使い方ができる「ビッグクラウン」の使い勝手、取り回しの優秀さを、久しぶりに取り戻したかったからです。

 パイロットが革手袋をしていても時刻を調整できるよう、大型のリューズを備えたパイロットウォッチ… それが「ビッグクラウン」です。誕生は1938年、以来、時代の荒波を乗り越えて現在までオリスのアイコンウォッチであり続けています。

 事実、オリスの中でも圧倒的に知名度のあるモデルだと思います。オリスの心臓部といえば「レッドローター」ですが、この意匠と完璧に紐付いているのが「ビッグクラウン」

 「ポインターデイト」であることも極めて重要です。一般的なデイトディスクではなく、針で外周部の日付を指し示す機構が可能にした「解りやすい個性」に繋がっていますからね。プロレスだってそうでしょう!! 古くから存在する技を捨てるのではなく〝とことん磨く〟ことで、それは唯一無二の必殺技に昇華するのです。他のブランドさんが繋ぎ技にポインターデイトを採用するのとは根本的な〝意味〟が違います。

 決まりだな… よっしゃ!!「ビッグクラウン ポインターデイト」にしよう!!

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ)を購入しました!!

Big Crown Pointer Date Bullseye
Big Crown Pointer Date Bullseye 出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 そんなわけで「ビッグクラウンの現行モデル」から探すわけですが… その必要もありませんでした。

 すんなり着地したのは「Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ)」。私の中の理想も理想。マイクロブランドを含めて全方位で探し求めていた〝絶対的な一本〟が、ここに来て見付かりました。タイムユナイテッドの時点で一目惚れでしたし… まあ、これでキマリかなと思ったの… ですが!? (@_@;)

Big Crown Lou Gehrig Limited Edition
Big Crown Lou Gehrig Limited Edition 出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 ところが、しばらく間をおいて出現した一本のお陰で、決まりかけていたイメージが少なからず揺さぶられることになりました。それが限定のビッグクラウン「Lou Gehrig Limited Edition(ルー・ゲーリック リミテッド エディション)」です。これがまた… 完成度が高い!!

 実際、厄介な状況です。モノトーン系でこれだけ完成度の高いモデルを2つ、しかも短期間で見せられるなんて。大好きなイチゴショートとモンブランをテーブルに並べられて「どちらかひとつね」と選択を迫られている… そんな感じでした (;´∀`)

 結局は最初のインスピレーションに従って「ブルズアイ」を選択したわけですが、デザインで言えば、どちらを選んでも満足できたと思っています。そこに甲乙は付けようがありません。強いて言うなら「ケースサイズ」でしょうか。

 ブルズアイは「38ミリ幅」、ルー・ゲーリックは「40ミリ幅」。どちらも私の体格と手首の太さから言って何の違和感もなく着けこなせる大きさでしたが、デザインとケースサイズのバランスが腑に落ちるという点で、ブルズアイの方により高い完成度を見ました。まあこれに関しては、時間が経過すれば見え方が変わる可能性が(かなり)ありますが (;´∀`)

 そんなわけで、今回のお買い物に関しては38ミリ幅の「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」をマイベストバイとしました。人気モデルなので再入荷までしばし待つことに… ここは辛抱です。

何と表現すれば良いか… めちゃくちゃ好き!!

 後日、ご丁寧な「入荷連絡」を頂戴したワタクシ。いてもたってもいられずに、納品されたオリス銀座ブティックへすっ飛んで行きました。私の仕事場から銀座までは2駅。台風が接近するあいにくのお天気でしたがアラ不思議。時計納品の日だけは水が溜まった膝も痛くない!!(笑)

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 左腕 装着 写真 オリスベアー オリス銀座ブティック
オリスベアーが白い目で見ている…「アンタ… また時計買ったんかい」

 そうして目出度くも「俺のブルズアイ」と相対したわけですが… これがアナタ、ものスゴい感動の嵐 (*´∀`*)

 久しぶりのオリスということもありますが、まず「こんなにキレイなんだ」とビックリ。そして「丁寧に作るとはこういうことかもなぁ」と、袖口に完全フィットした「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」を見てしみじみと感じ入りました。そうだった!! この感覚が「ORIS」だよ!!

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) ボックス 収納状態 写真
コンパクトなボックスに収まる「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」

 それではお待たせしました!! 「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」の各要素について、一つ一つ解読して参りましょう (*´∀`*)

100年前のセンスが蘇る「ブルズアイダイヤル」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 直立 正面 写真
ブルズアイダイヤルを正面から

 オリスにおける「ブルズアイダイヤル」の初出は1910年代。懐中時計に施されたものでした。以来、何度か登場を繰り返すものの1998年の登場を最後に、オリスのブルズアイダイヤルは表舞台から消え去りました。出せば必ず売れる〝キラーダイヤルデザイン〟であったにも関わらずです。

 ちなみに「ブルズアイ」とは〝雄牛の目〟を意味する言葉ですが、実際は射撃やダーツの的、そのド真ん中を表しています。そういえばダーツの的の真ん中のことを「ブル(Bull)」と呼びますね。

 ダイヤルデザインの種別でいえば、情報を分割して見やすくした「セクターダイヤル」の一種。ともすれば散漫になりがちなインデックス(アラビア数字)やその他の細かい要素が、白と黒にエリア分けされることで視覚処理を容易にしています。

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 平置き ダイヤル アップ 写真
どこか懐かしいクラシック顔

 実際のところ、そんな〝温泉の効能説明〟みたいなこととは関係なく、ただただ美麗に尽きるのがこの「ブルズアイダイヤル」。小さな数字の一つ一つに至るまで、均一のクオリティーで整えられた表面処理の素晴らしさ… ラッカーダイヤルの丸みを帯びた光沢が、全ての針の輪郭を際立たせているのが解ります。何よりお洒落!!

 100年以上の歴史を持つ「オリスのブルズアイ」。どれだけ眺めていても飽きません。 

「コブラ針」って良いな!!

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) コブラ針 アップ 写真
伝統の重みを感じさせるコブラ針

 いいな、いいな~♫ … ってことで、やっぱり「コブラ針」が最高ですね。蓄光の性能を最大化しながら、装飾としての美しさを一切スポイルしないコンセプトが「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」に程よくマッチしています。仕上げも完璧。これはタマラン!!

 ビッグクラウンには根本を絞ったペンシル針仕様のモデルもありますが、私の記憶の中で燦然と輝く「ビッグクラウン」は断然「コブラ針」です。ダイヤルにぬくもりを与える、この時代錯誤的な古臭さが「コブラ針版ビッグクラウンの魅力」だと思います。

ポインターデイトが生み出す「ダイヤルデザインの緊張感」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 平置き 直上から 写真
サスマタ型のポインターデイト針がキュート!!

 私はさほど尖った「ノンデイト派」ではありませんが、ノンデイト派の皆さんが仰ることには100%同意しています。デイト枠の存在でイメージを下げた「惜しいモデル」が多過ぎるからです。

 そんなことはブランド・メーカー側も重々承知しているはずですが、それでもデイト付きの時計を量産するのは、そうしないと売れないからでしょう。それくらい腕時計は未だ「実用品」として認識されているのです。

 先日、外出先で伝票を書くことがあって、腕時計で日付を確認しようとしたら「ノンデイト」でした。すぐさまスマホを取り出して確認し直しましたが、このバタバタした所作を〝ムダ〟と考える人にとっては、腕時計単体での日付表示は「必須の機能」なのかもしれません。

 オリスが採用し続ける「ポインターデイト」は実際、古臭い機構です。デジタルである通常のデイトに慣れてしまった人からすれば、針が指し示した場所の数字を読むというアナログ行為の追加に、ちょっとしたストレスを感じるかもしれません。

 しかしながらその分「ポインターデイト」にはダイヤルデザインの均衡を乱す「デイト枠」を排除し、ダイヤルデザイン本来の美しさを堪能できるという〝メリット〟があります。

 中三針に針が一本増えることで緊張感を増したダイヤルを見れば、「ポインターデイト」がダイヤルデザインを破壊しない日付表示であることが良く解ります。

ブルズアイに「38mm版ビッグクラウンケース」を採用した意図

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 直立 斜め 写真 38mmケース
小さ過ぎず、大き過ぎない

 40mm幅のケースサイズをメインに展開される「ビッグクラウン」ですが、私が購入した「ブルズアイ」「38mm幅のケース」です。個人的なことを申せば40mmでも38mmでも、私の手首の上では大差ありません。

 ダイヤルデザインとケースサイズの〝関係性〟が気になるというお話はすでにさせていただきましたが、私はこの「ブルズアイ」という意匠を施す土台に、少し小さめの「38mm」を選択した〝オリスの意図〟に痺れました。つまり、本作のブルズアイダイヤルには、キュッと絞られた小柄なボディーが不可欠だったのです。

 コピーの拡大率を調整するように「大型・小型バージョン」を派生させる時計もありますが、デザインのセオリーで言えばそれは〝不自然さを生み出す悪手〟です。体を鍛えて肉体をパンプアップさせても、手と足は大きくなりませんよね??

 デザインとは各要素の相対的な関係性の中で最適な重心を探す作業に他なりません。美しいダイヤルを最も映えさせる組み合わせを考慮する中で、ブルズアイには「40mm」ではなく「38mm」のケースを選んだのではないでしょうか。

価格の水準を超えるケース仕上げ

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 平置き 美しいラグ ヘアライン 仕上げ 写真
細部の仕上げにも抜かりなし!!

 久しぶりのオリスを手にして、改めて「真面目なブランドだなぁ」と感銘を受けました。ケースに関して言えばとにかく「仕上げ」。ケースサイドの鏡面も非常に滑らかですし、ブランドのレベルが如実に現れるヘアライン処理も精緻で巧みです。

 表面上のデザインにはこれといった特徴が無いように見えますが、何せスタイルが絶妙です。「ラグの長さ」は腕時計の格好良さを決める最大要素ですが、これがまた〝長過ぎず短過ぎず〟の見事な落としどころ。こういう時計は流行の波に左右されません。

 50万円以下の時計のケースには、最低でも一つくらいはツッコミどころがあるものですが、「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」の場合、価格帯を考えたら文句の付けようもありません。今後も長くビッグクラウンの世界観を支えるケースだと思います。

もう一声欲しかった「5気圧防水」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 5気圧防水 5BAR 刻印 写真
5気圧は意外だった

 オリス銀座ブティックで「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」をピックアップした日は小雨が降っていました。

 購入した本機の防水性能は「5気圧」

 いつもの私であれば、購入したばかりの時計であっても着けて帰ろうとは思わない防水性です。ところが着けて帰っちゃった(笑) 我慢できなかったのですよ。このイケメン過ぎる「ブルズアイ」を着けて、そのまま西新宿のラーメン屋にしけ込みたかったから…

 次の日も関東に迫る台風の予兆として、大雨が予報されていました。購入したての時計を着けて過ごすウィークデーは最高にハッピーですし本当は「ブルズアイ」を着けたい。とはいえ「5気圧」の防水性能はそれを躊躇させる微妙なランクです。後々のことを思えば、諦めるしかありませんでした。

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) ベゼル コインエッジ 仕上げ 写真
ねじ込み式なのに(笑)

 もしかしたら、オリスさんの性格(?)からいって、かなり謙遜しての「5気圧表記」なのかもしれません。何気にねじ込み式リューズですしね (;´∀`)

 大切にオリスさんが紡いできた歴史的タイムピースである「ビッグクラウン」には今更の意見かもしれませんが、できれば「10気圧防水を叶えて欲しい」と思います。実際の運用性能に大差はなくとも、そう記されているだけで安心するのがユーザーですから。

古臭くも柔らかい表情を生み出す「コインエッジベゼル」

驚異的な仕上がりのコインエッジ。美しい…

 「コブラ針」「ポインターデイト」… この2つと良い意味での〝古臭いデザイントリオ〟を組んでいるのが「コインエッジベゼル」です。

 時代を感じさせる意匠の最たるものである「コインエッジベゼル」ですが、これら同じ方向性を持つ要素と組み合わさることで、様式としての説得力が格段に増しています。こういう味付けは貫徹してこそ意味を持ちますからね。

 「ビッグクラウン」にはスムースベゼルのモデルもありますが、是非一度実機を比較してみて下さい。「コインエッジベゼル」が醸し出す〝古臭くも柔らかい表情〟が気になったなら、それはあなたの袖口が〝優しさ〟を求めているからかもしれません (*´ω`*)

目を奪われた「リューズ」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 大型リューズ ORIS刻印
このリューズには謎の魅力がある

 全く無意識にリューズを操作しようとして、一瞬、手が止まりました。「リューズ」そのものが格好良かったからです。意表を突かれた形でしたが、久しぶりですね。リューズに目を奪われるなんて。

 「ビッグクラウン」と名付けられたくらいですから大きめのリューズではありますが、意匠として目立ちまくるようなパーツではありません。リューズガードもありませんしね。

 それでもこのリューズには得も言われぬ魅力があります。大きいので操作感も優れています。

ただでさえ魅力的なダイヤルに色気を与える「ドーム型サファイア風防」

 私が思わず「そう来るか…」と唸ったのが「ドーム型サファイア風防」。まず、ケースのアウトラインがそのまま風防の柔らかいシルエットに繋がっているため、腕時計の〝個〟としての充実感が如実に伝わってきます。購入者の満足度に繋がる重要な部分ですから、さすがオリスさんだなぁ~と。

 そして「内面無反射コーティング」であること。もちろん、文字盤をクリアに見せる性能で言えば「両面無反射」がベストですが、内面処理のみにすることで〝外側のコーティング剥がれ〟というトホホな事態とは無縁でいられるメリットは小さくありません。

 デメリットは〝ある程度の反射が残る〟ことですが、この「ビッグクラウン」に関して言えば、その辺りすら逆手に取った〝ヴィンテージな演出〟になっている気がします。〝プラ風防っぽい味〟も出ていますしね。大好きです (*´艸`*)

シンプルな黒いカーフストラップ

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) カーフストラップ ピンバックル 写真
時計本体の雰囲気を壊さないストラップ(手触りもヨシ)

 とてもシンプルな「黒いカーフストラップ」が付いています。フォールディングバックルだったら最高でしたが、残念ながらピンバックルです。ピンバックルの方が似合う時計もありますし、言われてみれば「ブルズアイ」には、クラシカルなピンバックルの方が似合うかもしれません。

 パイロットウォッチが出自の「ビッグクラウン」だけあって、添えられたストラップの質感もフィールドタイプです。悪くないですよ。使っているうちに表面に細かいヒビが入って、どんどんシブく仕上がるタイプのストラップです (*´ω`*)

 ただ、最初はとにかく「固い」です(汗) あまり力づくで定革・遊革に通そうとすると、バチンと切れてしまうかもしれません。使い始めは慎重に扱うことをお勧めします。

ムーブメントは「キャリバー 754-1」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) Cal. 754-1 SW200-1 ムーブメント レッドローター 写真
何よりもオリスであることを主張するレッドローター

 「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」の心臓部はレッドローターが特徴的な「キャリバー 754-1」。オリスのヘルプセンターが出したとされる情報によると、セリタ製「SW200-1」がベースとのことです。

 セリタにもポインターデイト版の「SW221-1」があるため、オリスの「ポインターデイト機構」に関しては憶測ベースで様々な情報が飛び交っていました。ベースムーブメントが一般的な日付表示機能を持つ「SW200-1」であるならば、オリスが独自に追加したモジュールってことになりますが… 本当のところは不明。

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) Cal. 754-1 SW200-1 ムーブメント レッドローター 写真 縦置き
連日同じ時計を着けない私には41時間パワリザでも十分過ぎ

 振動数は毎時「28,800振動」、パワーリザーブは「41時間」。双方向巻き上げで耐衝撃装置は「インカブロック」です。

 オリスには「キャリバー 400」という素晴らしいオリジナルムーブメントがありますが、その分お値段も上昇してしまいます。低価格帯モデルの心臓部をセリタベースの「キャリバー 754-1」にすることは、オリス購買層の裾野を広げる戦略としても理に適っています。

お値段は「36万8500円」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 平置き 引き 写真
十分に適正な価格だと思います

 価格の話をすると最初に槍玉に挙げられるのが「ムーブメント」です。先にお話した通り、本機が搭載するのはセリタ製「SW200-1」をベースにした「キャリバー 754-1」。10年くらいキャリアのある愛好家の方なら「SW200」と聞いて左の眉毛がぴくんとするかもしれませんね。確かに初期のSW200は結構な問題児でした(汗)

 しかし現在のSW200はそりゃあもう優等生です。特に昨今はセリタの取引価格が上昇したこともあって、日の浅い愛好家の方からは「SW200?? やったぜ!!」みたいな歓迎のされよう。ですから、セリタ云々で「高い」という話をするのは、すでに時代錯誤なのかもしれません。

 ならば「外的要素」ということになりますが、これはもう、価格的にめちゃくちゃ良心的な仕上がりだと思います。正直、どこにもツッコミどころはありません。「36万8500円も払ってこれかよ!!」みたいな負の評価につながる箇所よりも、「36万8500円でこれはスゴい!!」の方が目立ちます。

 個人的にはこの「36万8500円」〝納得できるお値段〟だと思います。一番の根拠は以下の段で後述させていただく「長く愛用できそう」の部分。長く使えば使うほど「コストの日割り」が安くなりますからね (*´∀`*)

Big Crown Pointer Date Bullseye Specifications
ケース(風防)ステンレススティールケース、サファイア、両面ドームシェイプ、内面無反射コーティング、ステンレススティール、ねじ込み式、シースルー ミネラルガラス
サイズ38.00 MM
防水性5気圧
ラグ幅19 MM
ムーブメント機能センター時分針、センター針による日付指針、クイック日付修正、日付修正、ファインタイムチューニング、ストップセコンド針
パワーリザーブ41時間
キャリバー754-1
寸法直径25.60mm、11 1/2リーニュ
ワインディング自動巻
振動28,800振動、4 Hz
ダイヤルマルチカラー
ストラップレザー

オリスの保証期間について

 オリスの時計の保証期間は搭載するムーブメントによって異なりますが「MyOris」に登録することで「3年」「5年」または最長「10年」まで延長されます。

 本機の保証期間は基本「2年」ですが、MyOrisに登録すれば「3年」にまで延長することが可能です。しかも無料で (*´∀`*)

オリスにまつわる記憶を振り返る

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) オリスベアー キャップ 野球帽 クマのアップリケ
まるで旧友のようなオリス

 ワタクシが〝高級腕時計を意識し始めた大昔の話〟をさせていただきます。

 あの頃は現在のように、様々なブランドから個性的な一本を〝選び放題〟みたいな状況ではありませんでした。その代わりにロレックスですら十分に手の届く存在でしたし、ロレックス以上に会社員人気の高かったオメガもとにかく安かった。

 腕時計はあくまで実用品。確かに、清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要なお値段ではありましたが、それでも現実的な「労働者のためのツール」としてそこにありました。

 何せ今とは比べ物にならないくらい腕時計が売れる時代でした。腕時計をしない社会人もいるにはいましたが、頑張れば頑張るほどお給料が上がる時代背景もあって、若い会社勤めの誰もが「次のボーナスでスピードマスター買うぞ!!」みたいな、具体的な夢を抱いていました。飲み会での腕時計自慢なんてのも定番でしたねぇ (*´ω`*)

 そうして30~40万円を握りしめて突撃した時計売り場に、購入候補として並べられる高級時計たち。少々曖昧な記憶で申し訳ありませんが、その中に「オリスの存在」もありました。ですから私の中の古い記憶では「ロレックスとオメガ」… そして「オリス」が、朧気な集合を成しています。

 世代にもよりますが、人生で最初に購入した機械式時計が「オリス」だったという人も結構いらっしゃいます。最初の一本は〝記憶に残る特別な存在〟になりますからね。そこでオリスのような「こだわりの老舗ブランド」を選んだということは、その時点で相当に深く吟味して、ご自分なりに「長く使うならこれだ!!」という結論に達しての「オリス」ではないかと思います。

 最初の一本にオリスを選択した時点で「これは終生付き合う一本になるな」という予感があったのかもしれませんね。

オリスは〝人に寄り添う時計〟を作り続けている

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) CELIEU 腕時計喫茶オリジナルコースター 直上 写真
長く付き合える高級時計がここにある

 一般人としては狂気的に、コレクターとしてはそれなりに色んな時計を買ってきたワタクシ。購入で致命的な失敗をしたこともありますし、何だかぼんやりした根拠で買ってしまい後悔した時計も何本かあります。そういった結果的に〝相容れなかった時計〟に共通するのは、私自身の「解釈の変化」が予想を超える振り幅で起きてしまったことです。

 「格好良いと思って買ったけど、1年経ったらそうでもなかった」… この感情変化は購入した人物の〝成長〟に起因しています。要するに「良かれ悪しかれ目が肥えた」わけです。

 それ自体は喜ぶべきことだと思いますが、好きだった音楽が嫌になったり、恋人のアラが見えてきたりするので、些か面倒だったりもします。身体の成長が止まってからも人間の心は成長(老成)し続けますから、そういった困った事態は人生の最後までついて回ります。

 その中でも、付き合い方が変わらない対象もあります。人であれ物であれ、対象の「寄り添い性能」が高ければ人間の成長に合わせる形でイメージも変化するからです。それとは気付かないほど自然に「お付き合いの次のステップ」へと移行できてしまうのですよ。

 そして「ORIS(オリス)」とはまさに、そういう〝長く付き合える時計〟を作るブランドの代表格です。

最後に… 添い遂げたい白黒の相棒「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ」

Big Crown Pointer Date Bullseye(ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ) 左腕 試着 写真 オリス銀座ブティック
パーフェクトなブルズアイです!!

 そして今回、私が手に入れた「ビッグクラウン ポインターデイト ブルズアイ(01 754 7779 4061-07 5 19 25)」は、そんなオリスの中でも一際高い「寄り添い性能」を持った時計でした。考え方やファッションがどれだけ変化しても、或いは生活そのものが大きく様変わりしたとしても、この「ブルズアイ」はただただ寄り添い、ただただ私の傍にあり続けるでしょう (*´ω`*)

 先鋭的なデザインで「今」を捉え続けるようなオリスさんではありませんが、その代わりに、本来なら全ての高級腕時計が問われて然るべき「不変性」「普遍性」を当たり前のように持っています。実際、これほどまでに長く印象を変えない時計を作れるブランドは、最高峰に君臨するブランドの中でもほんの一握りしかありません。そして、それこそが「オリスブランドの真価」です。

買ったからこそ書ける記事がある…

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