似ている時計は数あれど… ロレックスの新作「ランドドゥエラー」は別格だ!!

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 2025年の「Watches & Wonders」は、現在の腕時計業界が直面する様々な問題点を明確にしました。「腕時計ブームの終焉」を不可避の事実として受け止めつつも、どうにかして「自ブランドが生き残る道」を見付けないといけない… その模索段階として、各腕時計メーカー・ブランドが「今後の方針」を打ち出した「最初のお披露目」だったように思います。例のGSのアレなんて、どう見たって「所信表明」でしたからね。

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出典:https://www.watchesandwonders.com/

 5年後、10年後に「あれは大層なブームだった」と懐かしく振り返るだけでよければ、業界もブランドも苦労はしません。ブランド、メディア、SNS、販売流通… それらが頑張った結果の「ブーム」でしたし、その間に培われた様々な「既得権」を可能な限り引っ張る、できるなら成長させるのが今後の課題であることは明らかです。

 「腕時計ブーム」が生み出した最大のものは、それまで「価値」として認められていなかった部分に「値札を付け」、誰にでも見えるように「可視化」したことだと思います。それによりほとんど全ての腕時計が高騰するわけですが、解りやすい「素材の高騰」「人件費の高騰」以外の部分で「腕時計の価格上昇は仕方がない」と思える(思わせる)「理由付け」に成功したのは、腕時計業界として大きな足跡だったのではないでしょうか?? まさにコマーシャリズムの勝利といったところです。

 そんな「オイシイ」ものを易易と手放せる腕時計業界ではないでしょうから、ブームが去った後もどうにかして「既得権の延命」を図るでしょう。そして今年の「Watches & Wonders」では、各ブランドの思惑… 「今後に向けての考え」が透けて見えました (*´∀`*)

Table of Contents

腕時計趣味を辞めさせず「次」を買わせることができるか??

 「ブームの残照」はもう数年続くかもしれません。ただ、登山で言えば山頂に旗を立てて下山し始めた状態ですし「ブーム終焉に向けたフェーズ」に突入したのは間違いありません。すでに何となく元気がないように見えるブランドも出てきましたしね。

 まず、腕時計業界が考えるべきは、ブームの終焉と同時に「ブームで腕時計に触れた消費者に、趣味を辞めさせない」ことでしょう。実際、腕時計を「流行りもの」と捉えているユーザーの数は相当数に上ると思います。そういう人にしてみれば「まだ高級腕時計なんかしてるの?? ダッさ!!」と言われることだけは絶対に避けたいはず。腕時計ブーム終焉が世の中の共通認識になる一歩手前で大規模なマインドチェンジが起きて、膨大な数の高級腕時計が中古屋に持ち込まれる未来もあり得るのです。

 もちろんこれは「業界が手をこまねいていた場合」の話。要するに業界が一致団結して成すべきは「売らせない」「次の一本を買わせる」ことなのです。簡単なことではありませんが、これができなきゃ話になりません。ですから、既存の腕時計ファンがブームの終了で意気消沈しないように、業界関係者が繰り返し、冷めたスープの「温め直し」をする必要があるのです。腕時計のメジャーメディアの皆さんに課せられた使命は重いですよ~ (;´∀`)

腕時計メーカーの命運を担う「2本目、3本目需要」

 「売らせずに買わせる」… 簡単なようで難しい課題です。実際のところは大規模なアンケートを取るなどしない限り明らかにはなりませんが、高級腕時計を「一本だけ所有」という方の数が「腕時計消費者ピラミッド」で大きな面積を占めていることは容易に想像できます。現在の日本の成人男性総人口は「5,160万人」ほどですが、総務省家計調査などの資料によると、腕時計を日常的に着ける男性の割合は「約40〜50%程度」だそうです。

 そこからさらに私の推論を加えた結果、成人男性総人口に対する「高級腕時計所有率」はせいぜい「10~15%」ではないかと考えます。実数にして「516万人〜774万人」。こ、これは… 中々のマーケットではありませんか!!

 ここで問題になるのは腕時計の「モノとしての性質」。大事に使えば壊れない。無くさなければずっと手元にある… 要するに「一本を生涯大事に使う方」が相当数いらっしゃるのです。大切に使ってきたモノを「息子に譲る」という「繫ぎイベント」にも腕時計はピッタリですし「一本を大切に使い続ける格好良さ」が認められているのも腕時計の特質です。ですから潜在的なマーケットは大きくとも、そこで「活発な消費行動」が起きているとは言えないのです。

 とは言え「一本だけ所有層」の巨大さは明白。もしもこの層が数パーセントでも「二本目」を手にとってくれたなら、恐らく腕時計業界は安泰です。

 ただ、所有する高級腕時計に「100%満足している状態」の人に、不義理を奨励して「二本目を買わせる」のは至難の業です。時代に左右されず、悠久の時間を刻むに相応しい「逸品」であれば尚のこと。

 例えばロレックスの「デイトジャスト」で完全な満足を得ている人に次のロレックスを薦めるとして「ああゴメン、ダイバーズにもクロノグラフにも興味ないんだ」と言われたらどうします?? 無いんですよ。天下のロレックスであっても、そこで「手詰まり」が起きるのです。やれやれ… これでは「二本目を買わせる」なんて、到底無理な話です (;´Д`)

これがロレックスの「答え」か?? 2025年新作「ランドドゥエラー」

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 傍目には盤石に見えるロレックスであっても、2本目需要に対して確実なリーチをかけることは容易くありません。いや違う!! 大人気のロレックスだからこそ難しいのかもしれません。

 「人は何故、ロレックスに惹かれるのか??」… 理由は簡単。とにかく「良い時計」だからです。実用面での圧倒的な高性能。「悩んだらロレックス買っとけ!!」と全方面に言い切れるほどの安心感。そこに「天下無双のブランドパワー」が加わっているのですから、そりゃあもう、皆さん好きになりますって。

 だからこそですよ。一本手に入れたら、そう簡単に「不満が出ない」のもロレックスの特徴なのです。ロレックスくらいじゃないですか??「買ってはみたけど、何かイメージと違うから売るわ」みたいな話を聞かないブランドって。

 例えば、正規であれば比較的安く買える「オイスターパーペチュアル」だって、十分に「人生で唯一の高級腕時計」という名誉職を担うことができるだけの「満足量」を持っています。

 ですから実際、ロレックスの「2本目需要創出」は難題です。とは言え、ロレックスにしたところで「新規顧客が沸いてくる魔法のランプ」を持っているわけではありません。この先のことを真面目に考えれば、すでにロレックスの「味」を知っている既存ユーザーたちに「2本目、3本目」を買わせる必要があるのです。

 それには、圧倒的大多数である一般ユーザーを「コレクター」に成長させる「きっかけ」が必要です。

 その答えは、2025年の「Watches & Wonders」にありました。世界中の腕時計愛好家が注目する中で発表された新作ロレックス。久々となるブレスレット一体型モデル「ランドドゥエラー」の登場です (*´∀`*)

Land-Dweller(ランドドゥエラー)の意味について

 深掘りを進める前に、意外とスルーされてそうな「ドゥエラー」の意味について話しておきましょう。「どえりゃあ」ではありませんよ?? ロレックスのモデル名に「名古屋弁」が採用されることは… 今後もないでしょう(笑)

 「Dweller」とは「居住者」「住人」を意味する英単語です。例えば都会人は「a city-dweller」。ですからランドドゥエラーは「陸の住人」という意味になります。なんや!? 普通ですやん。普通の人ですやん(笑)



「ランドドゥエラー」というネーミングについての余談です

 今回の記事を書き上げた時点で一旦「チャットGPT」に全文を要約してもらいました。要約文を読み返すと長文特有のグダグダ箇所に気付ける場合があるからです。

 いつもなら「ちゃちゃ」っと要約を完了して「まあオレに任せりゃ余裕よ!!」みたいなチャットGPTさんですが、このときは様子が違っていました。「ランドドゥエラーなんてモデルはありませんよ?? 架空の話を書くつもり??」みたいな、お門違いの反応が返ってきたんです。

 もちろん「アンタの目は足の裏にでも付いてるんか!?」と最探索を促して、2度目には正しい要約を返してくれたわけですが、正直「人工知能もここまで来たか!!」と驚きましたね。「言い訳」してきたんですよ!! 取り敢えず、こちらをご覧下さい。

 「ランドドゥエラーなんて名前のモデルが出るとは思わなかったんです。だって、よくよく意味を考えたらおかしな名前じゃないですか??」

 これほどまでに人間くさいニュアンスで言及できるようになってきたとは… AIが自我を持って人間社会を攻撃してくる未来も、全くの絵空事とは言えなくなってきたかもしれません(デデンデンデデン…)

この時代に「オイスタークォーツ」の似姿が降臨

 そう言えば、もう5、6年も前になりますか。すっごくお安い中古の「デイトジャスト」をネットショップで見付けましてね。食い入るように詳細を読んだら「オイスタークォーツ デイトジャスト」だった、なんてことがありました。「デイトジャスト」の部分だけが先に表示されていたので勘違いしたわけです。もちろん「オイスタークォーツかいな!!」となりましたよ(笑)

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左 ロレックスクォーツ 左 オイスタークオーツ デイトジャスト 出典:https://www.rolex.com/

 ただ、そんなトホホな邂逅も「オイスタークォーツも悪くないなぁ」と再評価するきっかけにはなりました。

 ケースデザイン以外は「DJの流儀」そのままでも、デイトジャストには感じられない「未来感」が魅力に映りました。そもそもDJにはそこはかとなく「オッサン感」が付きまといますから、DJ本来の大人の色気を楽しみつつ「若さも享受」できる「オイスタークォーツ」という存在が、私の目には絶妙なポジションに見えたのです。

 「ランドドゥエラー」を初めて見た方の多くが過去の記憶を刺激されて「オイスタークォーツやんけ!!」と素早い反応を返したと思います。実際、細部に目をやれば比較にならないくらい「ランドドゥエラー」の方が良くできていますが、人間が瞬間的に処理できる視覚情報なんてたかが知れています。

 ブレスレットと一体を成す「ラグレスケース」を目撃した時点で「ランドドゥエラー」「オイスター クォーツの眷族」と大雑把に認識した方は少なくないはずです。「未曾有のニューモデル」と受け取った方がどの程度おられるかは解りませんが、少なくとも、ロレックスお決まりの戦略から大きく逸脱した「変種」という印象を私は受けませんでした。

 「いつかは復刻してやろう」と計画中のモデルの中から「オイスター クォーツ ねぇ… どうせ出すなら今じゃね??」くらいに判断されたのが「ランドドゥエラー」だったような気もします。

 何の根拠もありませんが、これまでのロレックスのように「満を持して」といった緊張感が「ランドドゥエラー登場」からは感じられませんでした。

 どこか「自然に」、或いは「ひょっこり」と出現したイメージが強い「ランドドゥエラー」さんなのです (*´∀`*)

ランドドゥエラーのデザインに賛否渦巻く要因は「凄まじい『既視感』にある(似ている時計たち)

 模倣と改変を繰り返してきた「プロダクトデザイン」の歴史ですから、今更「何が何に似ている」なんてどうでもいい話。罪なことでも何でもありません。

 ただ、それが今後のロレックスにどのような影響を及ぼすのかについては興味があります。このセクションでは、巷ですでに「似ている」と言われている時計、砂布巾が勝手に「似てるなぁ」と思った時計を軸に「ランドドゥエラーのデザイン」を検証して参ります。

「PRX」とは『相撃ち』だと思う

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Tissot PRX 35mm 出典:https://www.tissotwatches.com/

 まあ確かに、ティソの「PRX」によく似ています。コレなんてまるで「合わせ鏡」のよう。

 ただ、ティソにしても「フルーテッドベゼル(らしきもの)」を拝借していますし、PRXのデザインにしても「趣味嗜好が画一化されていた70年代という時代背景」あってのことです。ブレスレット一体型ケースで言えば、ロレックスだって「1530」「オイスタークォーツ」を作っていたわけですしね (;´∀`)

 「PRX」に似ていることに関しては… そうですねぇ「両者リングアウト」みたいに「相撃ち」だと思っておけば良いのではないでしょうか??

チューダー「ロイヤル」の立場はどうなる??

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TUDOR Royal 出典:https://www.tudorwatch.com/

 「ランドドゥエラー」の出現で一番辛い立場に立たされたのは、チューダーの「ロイヤル」かもしれません。これまでのロレックスとは一線を画す存在感で確実にファンを増やしてきた「ロイヤル」ですが、その「上位互換」とも言える「ランドドゥエラー」の登場は、ロイヤルを購入する際の心理的な障壁を増やしてしまった可能性があります。

 本来は微塵も考えなくていい「ランドドゥエラー」の存在が脳裏にちらつくようになるでしょうし「ランドを買えない人がロイヤルに行く」といった、余計なマイナスイメージも付きかねません。ただでさえ「ディフュージョンブランド」と揶揄され苦渋をなめてきたであろうチューダーとチューダーファンにとって、ロレックスの兄貴には存在しないタイプの「ロイヤル」は、実に頼もしい存在だったはずです。

 もちろん、同グループ内で協議を進める中で事前のコンセンサスが取れたからの「リリース」だったはずですが、折角良い感じで育ってきた「ロイヤルのライン」が萎んでしまわないか… 心配になってしまいます。ロイヤルが欲しい方は強い気持ちで「オレはロイヤルが欲しいの!!」と言い切りましょう。先日、チューダーのブティックで見てきましたが… 良かったですよ~ ロイヤル (*´ω`*)

何だか「日本の時計」みたいだ

 初めて「ランドドゥエラー」を見た際に私は思いました。もちろん「PRX」「ロイヤル」に似てるな~という印象も強かったわけですが、もっとこう… 表現の難しい感情が湧いてきたのです。

 「なんか、日本の時計みたいやな」

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 何を以てそう思ったか… 私自身、そんな風に感じた理由が整理できていない状態です。ただ、強いて言えば「ダイヤル」。亀甲文ダイヤルでキングセイコーを連想したからかな??

 ロレックスにしては珍しく収斂された要素で構成されたデザイン。それって日本のブランドのお家芸なんですよ。「最初から答えが出ちゃってるタイプのデザイン」を作らせたら、日本のプロダクトが一番です (*´∀`*)

 これも勝手な想像に過ぎませんが、ロレックス側にしてみれば「ランドドゥエラー」を可能な限り早い段階で認知させ、円滑に利益化する必要があるのではないでしょうか?? 時間をかけて育てるゆとりはない、もちろん失敗もできないとくれば、すでに評価済みの価値観を再構築する術に長けた「日本風」に寄ってしまったのも、それなりの説得力を以て理解することができます。だとしても、ロレックスが威信をかけた「高性能高級腕時計」であることに変わりはありませんけどね。

「TSUYOSA」にしてみれば、してやったりじゃないかな(笑)

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ウチのランドドゥエラー(笑)

 何やかんやで人気のシチズン「TSUYOSA(ツヨサ)」にも似ています。と言うか同系統ですね。でもこれは良い気がする(笑) 少なくともシチズンさんは喜んでいる気がするんですよ。「シチズンのランドドゥエラー」と呼ばれたところで、痛くも痒くもないでしょうし、得るものの方が大きい気もします。

 今後もツヨサが好調なセールスを維持し続けたなら、反対にランドドゥエラーが「ロレックスのツヨサ」と呼ばれる日も… 来ないか (;´∀`)

「評価に値しないデザイン」かと言われたら…

 何かに似ていたって、全てはロレックスさんの重厚な哲学、或いは「手のひらの上」ですよ。やっぱり「上手いなぁ」としか言えません。

 巷で「ダサい」と不評の「ダイヤル」にしたって、恐らく「ワザと」です。そもそもロレックスデザインの巧みさは「格好良過ぎない」ことにあります。ほら、美人って飽きるって言うじゃないですか?? 時計にも同じことが起きるんですよ。

 それが解っているからこそ、ロレックスのデザインは全てが「90%」なんです。そしてその90%でよそのブランドの「100%以上」を得られるのがロレックスなのです。これって凄いことなんですよ。

 だからこそ、ロレックスのデザインは「癖になる」。一度味わったら簡単には離れられない中毒性があるため、自然と「次もロレックスを買おう」と考える人が後を絶たないのです。問題はその「次」をいつ買わせるかですが… それは後述!! (2ページ目に続きます)

40ミリと36ミリ、いきなりの「2サイズ展開」 が熱い!!

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 初手から勝負をかけましたね!! いきなりの「2サイズ展開」で購入マインドの囲い込みを狙って来ました。幅40ミリと幅36ミリ。どちらも厚みは9.7ミリです。しかも最初から素材とデザイン違いで「全10種」を用意。ロレックスの開発力、生産力の凄まじさを見る思いです。

 んー、こんなに凄いロレックスさんなのに、お店に行っても商品が置いていない理由って… なんでしょうね(笑)

 40ミリなら「デイトジャスト41」辺りが購入時の比較対象になるでしょうか?? 36ミリも同様でしょう。そしてこの辺りに、「ランドドゥエラー」に敢えて「デイトジャストを名乗らせなかった理由」があると睨んでいます。ほら、デイトジャストばかり2本も必要ないけど「なんちゃらドゥエラー」なら、選択候補になる可能性もあるわけです。

 ちなみに、サイズに関して私が一番評価したいのは「1センチを切った厚み」だったりします。僅か0.3ミリに過ぎませんが、1センチを切ると装着感の次元が変わりますからね。ドレスウォッチライクな使い方が無理なく可能になるからです。この辺はしっかり見据えて開発したんじゃないですかねぇ (ΦωΦ)

フラットジュビリーブレスレット」 高い完成度に酔いしれる

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 「ランドドゥエラー」のデザインで「さすがはロレックス!!」と唸ったのが「ブレスレット」です。丁寧に仕上げられたフラットなジュビリーブレスは「まさにロレックスクオリティ」。ケースからブレスレットへと繋がる線と面の確かさ。王冠マークだけを露出させ、スマートさを押し出したコンシールドクラスプ。それでいて「決まり過ぎないライン」を見定め、嫌味なく収めるパッケージングの巧みさ。

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 あくまで「労働者が使う最上の腕時計」であることを放棄せず、愚直なまでに「ロレックスであり続ける姿勢」が、このブレスレットからも透けて見えました。一刻も早く巻いてみたいですね!! (*´∀`*)

強力無比な新型ムーブメント「Cal.7135」

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 見た目であれやこれや言われがちな「ランドドゥエラー」さんですが、中身に関しては文句なしに評価できます。搭載されるのは「5Hz(36,000振動)」で動作する新型ムーブメント「Cal.7135」。ステンレスケースとしては恐らく初めての「シースルーバック(サファイアクリスタル)」で、その美しい仕上げ、精緻な動作を堪能することも可能です。

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7135 出典:https://www.rolex.com/

 「Cal.7135」はシリコン製ヘアスプリング「シロキシー」を採用しています。さらに特筆すべきは「ダイナパルス脱進機」の搭載。これにより一般的なスイスレバー方式と比較して、摩擦によるエネルギー損失を大幅に緩和。もちろん、精度にも期待できます。

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7135 出典:https://www.rolex.com/

 ただ、ムーブメント開発に於いてのロレックス社の姿勢は些か保守的で、消費者に向けて凄さが伝わりにくいという問題点を抱えています。もちろん、他のロレックス同様「Cal.7135」だって「認定クロノメーター」です。日差は「±2秒」。パワーリザーブは「66時間」… いやいや、凄すぎませんか!? この新型!!

 「振動数」という解りやすい部分で進化を遂げた「Cal.7135」。ロレックスでは初となる機械式高振動ムーブメントを搭載する「ランドドゥエラー」は今後、見た目以上に「脱いでもスゴい時計」の代表格になるかも知れません (*´∀`*)

「フルーテッドベゼル」は相変わらず素晴らしい!!

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 何度見ても、良くできた意匠ですよ「フルーテッドベゼル」は。ドレスっぽくもあり、アクティブでスポーツな雰囲気も醸し出せる。男性が着けても違和感を感じさせない絶妙なラグジュアリー。考えた人は天才だと思いますよ。

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 「ランドドゥエラー」に与えられたフルーテッドベゼルも、良い仕事をしていると思います。これがスムースベゼルだったら、インパクトはかなり薄まっていたはずです。とは言えどこかの段階で「スムースベゼルのランドドゥエラー」が発表される予感もあります。まだ先の話でしょうけどね (*´ω`*)

「サイクロップス」は魅力だが、「ノンデイト」で見たかった気も

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 ロレックスのデイト付きが特別に思えるのは、そこに「サイクロップスレンズ」が付いているからです。アチコチのブランドが拡大レンズ付きの風防を採用してはいますが、正直、ロレックスだけが別格です。カレンダーディスクの見え方にまでコミットできているのは、ロレックスしかない気がします。

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 デザイン的にも丁度良い「ヘソ」になっていますから、例えばデイトジャストを見たときに「コイツがノンデイトだったら最高なのに!!」なんて感想は湧いてきません。その辺は「サイクロップス」だからこそだと思いますね。

 しかし「ランドドゥエラー」の場合はこの「シュッとしたデザイン」も相まって「完全に近いシンメトリーを見てみたい」という欲求も感じました。その場合、妙に大きなアラビアインデックスも邪魔になるわけですが、デイト無しの方がよりラグジュアリーな雰囲気が出て完成度も高まりますし、日々の日付調整からも開放されて使い勝手が良くなるのは間違いありません。

 とは言え「サイクロップス」自体は可愛くて好きなんですよねぇ。ノンデイトでサイクロップスだけ残すとか変態ですし、う~ん… アンビバレンツだなぁ (;´∀`)

ランドドゥエラーには「225万5000円」に見合うだけの「価値」がある

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 え~っと、幾らだって!? 一番ベーシックな「ランドドゥエラー 40」、オイスタースチールとホワイトゴールドのリファレンス「127334」「225万5000円」。一番高価なモデルはプラチナでダイヤモンド使いの40ミリ「127386TBR」で、お値段何と!!「1734万4800円」。中古ワンルームマンション並のお値段なんてとても出せそうにありませんが、ベーシックなオイスタースチールモデルならギリギリ、限界まで絞り出せば買えるかもしれません。それでも正直なところ「200万円台は下回って欲しかった」というのが正直な気持ちでした。

 そこで果たして「225万5000円」というお値段に正当性があるのかを考えてみました。結論から言うと「妥当」です。良く考えられた価格設定だと思います。

 この価格に納得できるか否かの分水嶺は「ランドドゥエラー」「何と比較するか」にあるでしょう。ここではサイズ感も近い「デイトジャスト 41」を例に話を進めましょう。

 オイスタースチールの「126334」がお値段「163万3500円」。ランドドゥエラーとの価格差は「62万円」もあります。チューダーのロイヤルが余裕で買えるくらいの差額ですね。DJを買って、その足でロイヤルを買いにチューダーのブティックへ… それはそれで楽しそうです (*´∀`*)

 ただ、ワタクシ思いますに、今回の「ランドドゥエラー」ならば、DJより「60万円以上高い価格設定」も致し方ないような気がしています。新開発の毎時36,000回振動「ハイビートムーブメント」搭載が最大の理由ですが、他にも数々の新機軸が打ち出されていますし「常に先端を追い求めたい」流行に敏感な方であれば、何ら拘泥することなく納得して「225万5000円」を支払うのではないかと考えます。

 この見た目で100メートル防水ですから、この際「ランドドゥエラー」という時計を『ラグスポ』にカテゴライズしてみましょう。すると面白いことが起きるのです。

 「安い」のですよ。有名ブランドのラグスポと比べると、ランドドゥエラーの「225万5000円」は異様に安いのです。雲上御三家のラグスポと比較して、ランドドゥエラーが「半額で構わない」理由なんてあると思いますか?? 要するに「225万5000円」という定価は、ロレックスというブランドの「企業努力が反映された数字」なのです。実際、知れば知るほど「安い!!」としか思わなくなってきたワタクシです。え?? 騙されてる??(笑)

「ランドドゥエラー」は「買い換え」ではなく『追加購入』を促す時計になれるか??

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ランドドゥエラー 出典:https://www.rolex.com/

 「見たくない」「知りたくない」と思いつつ、好奇心に負けて見てしまうのが「Watches & Wonders」。その点で言えばミルガウスがディスコンになり後継機も出ないと知った時点で迷える私の魂は開放されました。サブやシード、その他諸々… まあ、ほとんどのモデルですね。その辺りをお使いで気をもんだ方、今年もお疲れさまでした。

 私はロレックスのことを「世界最高のセルフカバーブランド」だと考えてきたわけですが、一見、発展性の感じられないサイクルの繰り返しに見えて、その実「別物と言っても過言ではない」レベルでコレクションの再構築が進むのですからユーザーはたまりません。新作が出るたび、膨大な数の「旧作認定」が行われるからです。

 新作を無視する困難さで言えば、ロレックスのそれはその他ブランドを圧倒的に凌駕します。新作発表を「旧作の売り時」と捉えて過剰反応するユーザーも少なくありません。

 「ランドドゥエラー」の使命は、この「定型化された消費者心理」に楔を打ち込むことです。新作発表を文字通り「新作のための御披露目」と前向きに捉えさせ、旧作から新作への買い替えではなくもう一本の「追加購入」を促すために、敢えてデイトジャストを名乗らせず「ブランニュー」なラインとして「ランドドゥエラー」を立ち上げたのではないかと思います (*´∀`*)

最後に… 「デイト ジャスト」と「ランドドゥエラー」が同時に提案されたら… そのとき貴方はどうしますか??

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 「ランドドゥエラー」の個人的な存在価値を調べるのは簡単です。ロレックスの正規店に赴いて、その場で提案されたのが「デイトジャスト」「ランドドゥエラー」だったとして、迷うことなく「ランドドゥエラー」に行けないのであれば、貴方にとって「ランドドゥエラー」という時計は「所詮はDJの派生品に過ぎない」ということになります。「ランドドゥエラー」の方が遥かに高額でも、時計としての魅力では劣るということになるのです。

 ここ数年で感じたことですが、ロレックスファンの方々って、意外と「保守的」だったりしませんか??

 この時代に、一体何本のデイトジャストが稼働してるんだって話ですが、それは「歴史に裏打ちされた良い時計」だからであって、安っぽい流行の蓄積ではありません。ロレックスファンの皆さんはその辺のことをよく理解されているからこそ、職場で被ろうが、成金趣味と言われようがお構いなしなのだと思います。

 実際「オレは時計が欲しいわけじゃない、デイトジャストが欲しいのだ!!」と豪語してくれるファンが存在する限り、デイトジャストは未来永劫売れ続けると思います。

 そんなデイトジャストよりも高価な価格設定でスタートした「ランドドゥエラー」。確かにライバルは強力無比のDJですし、歩んできた歴史も桁違いです。ですが、DJの代わりを担うなんてどんな時計にも不可能なこと。「ランドドゥエラー」には「可能性」という武器が存在するわけですから、大人気のシリーズに育つことを期待して購入する分には、DJ以上の高揚感で存分に楽しめるのでないでしょうか??

 さて、今回も長々とお読みいただきありがとうございました。まず、途中で申しました通り「ロレックスのラグスポ」と考えると怖いくらいに「破格」なのは間違いありません。ノーチラスやロイヤルオークのように「贅を尽くした作り」ではないかもしれませんが、機械式時計としての性能では恐らくそれらを凌駕しています。評価の軸足をどこに設定するかで、大きく見え方が変化する時計… それが2025年のロレックス新作「ランドドゥエラー」だと思います。

 登場時にはすでに多くの類似モデルが指摘され、諸手で歓迎されているとは言えない「ランドドゥエラー」さんかもしれませんが、それでも私は断言できます。それら「ソックリさん界隈」における「最高」且つ「別格」な機械式時計… それが「ランドドゥエラー」であると (*´∀`*)



 最後の最後に個人的な想いを一つだけ… 「ランドドゥエラー」のどうしても納得できないところを上げさせていただきます。それは「針」… 針ですよ!! 他にもあったでしょうに。もっと素敵なのがあったでしょうに。

 秒針はともかく「時針・分針」だけは「やたらと安っぽく」見える… 気がします。実物を見ればその辺も払拭されるのかしら?? (;´Д`)

資料:ランドドゥエラーの基本情報

Rolex Land-Dweller 情報
モデル バリエーション127234(36mm オイスタースチール&ホワイトゴールド)
127334(40mm オイスタースチール&ホワイトゴールド)
127235(36mm エバーローズゴールド)
127285TBR(36mm エバーローズゴールド、バゲットダイヤモンド セットベゼル)
127335(40mm エバーローズゴールド)
127385TBR(40mm エバーローズゴールド、バゲットダイヤモンド セットベゼル)
127236(36mm プラチナ)
127286TBR(36mm プラチナ、バゲットダイヤモンド セットベゼル)
127336(40mm プラチナ)
127386TBR(40mm プラチナ、バゲットダイヤモンド セットベゼル)
ケース径36mmと40mm
厚さ9.8mm
ケース素材オイスタースチール&ホワイトゴールド、エバーローズゴールド、プラチナ
文字盤ハニカムモチーフ(ホワイト)
夜光あり
防水性能100m
ブレスレット王冠クラスプ仕様のフラットジュビリーブレスレット
ムーブメントCal.7135
機能時、分、秒、日付表示
パワーリザーブ66時間
振動数3万6000振動/時
石数39個
クロノメーター認定高精度クロノメーター
価格127234(211万5300円)
127334(225万5000円)
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※すべて税込

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腕時計喫茶-Wristwatch-Tearoom- | 似ている時計は数あれど… ロレックスの新作「ランドドゥエラー」は別格だ!!

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 〜に似てない?みたいなのは避けては通れないですよね。。笑
    しかしそんなことお構いなしで中身をスペシャルにしてくるとはさすがのロレックスです。
    ランドドゥエラーを見て、むしろPRXに興味が出てきたのは私だけではないはず。。笑

    • Y太さま、コメントありがとうございます♬
      「むしろPRXに~」そう感じている方は多そうですね。
      そうやって周囲にも注目が伝播する…
      業界を程よく撹拌した功績を考えると、ランドはすでに名機のひとつに数えられる気もします。
      ラグスポ界隈の「第二ロケット」にも点火してくれましたしね!!

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