経緯は解りませんが、秘匿(?)してきた私の正体…「筋金入りの腕時計馬鹿」が、本業に勤しむ社内でもバレ始めているようでして… (;´∀`)
リークしたのは誰だ!? と犯人探しをするつもりはありませんが、正直、思い当たる節は少なくありません。すでに知られていそうな全員が「幹部クラス」。そりゃあ広まるわな(笑)
「ご出世」と「腕時計」
先日こんなことがありました。同じ局内の最高幹部… 便宜上「Aさん」と呼称しますが、その方から突然「◯◯(私の本名)さんって、時計に詳しいんですよね??」と質問されたのです。
それを聞いた瞬間に「ははぁ~ん、あの人かも!!」と漏洩ルート(?)の目星は付きましたが、それよりもなぜ今、この質問をされたのかが気になりました。まさか組織として「腕時計喫茶運営が問題になっている」のかも… と (;´Д`)
いや、そんなことはないはず。以前、広告を付けるか悩んでいたタイミングで一度、会社に相談して許可を得ているからです。何かを直接売ったりしないのであれば、問題ありませんよと。
とはいえ気になります。ずっとモヤモヤを抱えるのも辛いですし、それとなく探ってみることにしました。間違ってもやぶ蛇にならないように… (@_@;)
「そろそろ新しい時計を買おうかと思ってですね」
拍子抜けする展開でしたが、その理由は数日後、明らかになりました。「Aさん」が来来月に「大出世」することが発表されたからです。なる程、そこで時計を新調しようと。
そうなると「時計馬鹿」のワタクシとしては俄然盛り上がってきまして。細かい探りを入れてみたわけです。人に時計をお薦めするのって、なんでこんなに燃えるのでしょうね(笑)
まずは予算。なんせ大出世ですからお給料もガツンと上がるはずです。3桁万円もイケるかな~と「100万円ぐらいで探してみましょうか??」なんて、余計な提案をしてみました。
仕事で相談されると鈍い反応しか返せない役立たずの私ではありますが、こと「時計」に関しては通常の3倍速でシナプスが繋がるのです (*´∀`*)
「10万円」を中心に時計を探す
「無理ですよ~ 出せて10万円ですね」と苦笑いの「Aさん」。社会的影響力も凄まじいレベルに上がるはずですし、100万円クラスはむしろ身分に相応だと考えた私でしたが、Aさんが話してくれた「10万円で十分である理由」に心底痺れました。
「とにかくメンテナンスフリーで、正確な時計が必要なんです」… 欲しいではなく「必要」。そもそも腕時計が趣味の界隈では、余り耳にする機会のないワードです。
「頻繁に飛行機を乗り継ぐ生活が長かったから、1秒の誤差で泣かされることもあったんですよ」
長くアメリカ・ワシントンに駐在し、大統領選を報道するなど全米を走り回った経験をお持ちのAさんにしてみれば、腕時計に求めるものは何より「正確さ」であって、頻繁に止まる機械式なんて考えたこともないはずです。そういった心配もなく、取り回しに優れた軽さと、いつ何時、誰と出くわしても失礼に当たらない「上品なデザイン」こそを最重要だと考えているようでした。
Aさんの時計に対するシンプルな考え方は、私という腕時計馬鹿の耳朶を激しく打ちました。「これこそが時計の本質だよなぁ」と、己のしょーもない拘りが恥ずかしくなったくらいです。
Aさんが現在愛用している時計は恐らく「シチズン アテッサの3針」だと思います。アメリカ時代を乗り切った相棒とのことで、浅からぬ愛着を感じておられるようでした。
日本国内では些か凡庸と扱いを受ける同モデルが、アメリカで孤独な戦いを続けていたAさんの「日本人としての克己心」を支えていたのかもしれないと考えると、何だか胸が熱くなる話です。祖国「日本産の時計」で、頻繁なニュースリリースをコントロールしていた当時のAさんの姿が目に浮かびます。
そんなわけで今回の新調も、基本は「正確」で「軽く」「メンテナンスの手間いらず」。合わせて「上品なデザインであること」が基本線になりそうです。そして予算は10万円前後。となるとどう考えても「日本製の電波ソーラー時計」をお薦めするしかありません。10万円かぁ… あるんですよねぇ~ 日本製ならば!! (*´∀`*)
Aさんのために探した「10万円前後の電波ソーラー時計」6本
業務用のチャットで送るのは如何なものかと躊躇しましたが、あとでお互いに振り返って見る分には、チャットに写真と情報をペタペタ貼っていくのが便利です。
「アテッサ」をお使いのAさんですから、まずは「シチズン アテッサ」から探し始めました。製品写真にちょっとした「お薦めポイント」を書き添えて、そこそこ読める「コンテンツ」として送ってみました。
シチズン「アテッサ アクトライン」CB0288-65L〈税込 15万9500円〉
如何にもアテッサらしい、男らしさの中にも繊細な部分を感じさせる絶妙なデザイン。私がこれをAさんにと思った一番の理由は「3針としての強さ」があるところでしょうか?? 特に際立つのがインデックスの存在感。ベゼルに刻まれた都市略称とともに、今すぐにでも飛行機に飛び乗りたくなる、そんな時計としてセレクトしました。
海の揺らめきを表現したという、MOP(マザー・オブ・パール)のように色変化するダイヤルを見ると、これが太陽光を受けて動作する時計だとはとても思えません。少し前ならうっすらとソーラーセルが透けて見えていましたからね(それはそれで味がありましたが…)
今回は腕時計マニア向けの提案ではありませんでしたので、何気に拘ったのが「バックル」でした。凝ったギミックなんて不要です。誰もが迷うことなく着け外しできることを念頭に考えれば、自然とこういうタイプのバックルに行きつきます。
40.6ミリのケースサイズをどう見るかですが、デザインとしては「似合わない人がいない」タイプの「懐深い系モデル」ではないでしょうか。
ATTESA ACT Line CB0288-65L | |
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ムーブメント | Cal.H145(光発電エコ・ドライブ) |
精度 | ±15秒/月(非受信時) |
持続時間 | 光発電約2年(パワーセーブ作動時) |
電波受信 | 日中米欧電波受信 |
重量 | 89g |
ケースサイズ | 横 40.6mm |
ケース素材 | スーパーチタニウム(デュラテクトプラチナ・デュラテクトDLC) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | サファイアガラス(無反射コーティング) |
シチズン「アテッサ アクトライン」CB3044-55E〈税込 9万9000円〉
キレのあるケース形状が緊張感をもたらす、シチズンらしいラグスポデザインの「CB3044-55E」。黒い八角形のベゼルが袖口を引き締めてくれるのではないか… ダークカラーのスーツを着用されることの多いAさんをイメージしたら、このモデルがハマりそうな気がしました。
都市設計を思わせる大胆なカットのケース。破綻なく伸びるブレスレットが美しいテーパードラインを描いて、手首を彩ってくれるはずです。39ミリのケースサイズも使いやすそう。この格好良さで「10万円を切る」価格設定もさすがはシチズン!! 良心的です。
ATTESA ACT Line CB3044-55E | |
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ムーブメント | Cal.H128(光発電エコ・ドライブ) |
精度 | ±15秒/月(非受信時) |
持続時間 | 光発電約2年(パワーセーブ作動時) |
電波受信 | 日中米欧電波受信 |
重量 | 93g |
ケースサイズ | 横 39.0mm |
ケース素材 | スーパーチタニウム(デュラテクトチタンカーバイド・デュラテクトDLC) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | サファイアガラス(無反射コーティング) |
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お次は「セイコー」です。ターゲットはもちろん「アストロン」のコレクション。こちらもアテッサ同様に、10万円近辺であっても幾つかの有力な選択肢がございます。
セイコー「アストロン ネクスター」SBXY063〈税込 16万5000円〉
お値段的には四捨五入して「20万円」のラインに突入してしまいますが、いやもう、ここまで来たらこの辺も許されるでしょう。ええ、許してもらいますとも!!(笑)
構造美が際立つ「SBXY063」です。え~っと、皆さんが仰りたいことはよ~く解ります。でもですね、デザインとはそもそもが非常に制約された中での発想なんですよ。ですから、例えばお上(経営上層部)から「8角形ベゼルでいかんかい!!」と言われたら、その時点でこうするしかないんです。まあ、グリッド状のダイヤルで「アレに寄せる」必要はなかった気もしますが…(汗)
とはいえ、この価格帯でこれだけの時計を生み出したセイコーさんの底力は本物です。存在感の高いブレスレットと合わせて相当な視覚的重量を感じさせる「SBXY063」ですが、たったの90グラムしかありません。見てるとだんだん欲しくなってきますね。これ(笑)
ASTRON NEXTER SBXY063 | |
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ムーブメント | Cal.7B72(ソーラー電波修正) |
精度 | 非受信時平均月差±15秒 |
持続時間 | フル充電時約9ヶ月間 パワーセーブ時約2年 |
電波受信 | 日中米独英電波受信 |
重量 | 90g |
ケースサイズ | 横 39.6mm |
ケース素材 | 純チタン(ダイヤシールド) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | サファイアガラス(スーパークリア コーティング) |
セイコー「アストロン オリジン」SBXY031〈13万7500 円〉
ソーラー時計とは思えない、精緻なギョーシェが施された美しいダイヤルの「SBXY031」。名付けられた『オリジン』のイメージそのままに、セイコーらしいクラシカルなケースデザインを纏っています。このモデルの実物も拝見しましたが、公式の写真は良くないですねぇ。実際はもっと高い質感の時計でした。いやホントに、時計を買ってもらいたいなら、質感が伝わる写真を用意しないとダメです。
セイコーの伝統を感じさせるのはケースだけではありません。インデックスやドーフィン針もセイコーの「原型」の一つ。解釈も咀嚼もいらない完成されたデザインは、ありとあらゆるシーンで活躍してくれるはずです。
ケース幅は39ミリと、雰囲気から想像するよりも大きな時計ですが、重さは僅か「68.5グラム」。羽根のように軽い使い心地で、飽きずに長く使える時計です。
ASTRON ORIGIN SBXY031 | |
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ムーブメント | Cal.7B72(ソーラー電波修正) |
精度 | 非受信時平均月差±15秒 |
持続時間 | フル充電時約9ヶ月間 パワーセーブ時約2年 |
電波受信 | 日中米独英電波受信 |
重量 | 68.5g |
ケースサイズ | 横 39.0mm |
ケース素材 | 純チタン(ダイヤシールド) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | サファイアガラス(スーパークリア コーティング) |
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ここまできたら「カシオ」をお薦めしないのは「罪」。そこで「オシアナス」から、これまた「高性能な電波ソーラー時計」を探すことにしました。
カシオ「オシアナス Manta S400 Series」OCW-S400RA-3AJF〈18万1500円〉
落ち着いたアースカラーが映える「RETRO TONE COLLECTION」の一本、ハーフマット調のグラデーションダイヤルが独特な色気を放つ「OCW-S400RA-3AJF」です。ベゼルディスクにはサファイアガラスがはめ込まれ、嫌味のない高級感を楽しめる作りになっています。いやこれ、めちゃめちゃ格好良くないですか??
ケース幅が「41.3ミリ」もありますので、3針モデルとしては少々デカい。しかしその物理的なデカさをものともしない上品な作りが、スーツスタイルにも間違いなく映えると思います。偉い人なら小径が良いですって?? そういう「思い込み」をぶっ壊せるのが「OCW-S400RA-3AJF」みたいな時計だと思いませんか??
問題は価格ですねぇ…「18万1500円」。それだけ支払う価値のある時計ですが、さすがに「10万円で探しました!!」とは言えないかな (;´∀`)
OCEANUS Manta S400 Series OCW-S400RA-3AJF(2025年6月発売) | |
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駆動・使用電源 | タフソーラー |
精度 | スマートフォンと連携しない場合、通常のクオーツ精度(平均月差±15秒) |
持続時間 | 機能使用の場合:約5ヵ月 パワーセービング状態の場合:約19ヵ月 |
電波受信 | 日中米欧電波受信 |
重量 | 79g |
ケースサイズ | 横 41.3mm |
ケース素材 | チタン(チタンカーバイト処理) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | 両面反射防止コーティングサファイアガラス |
オシアナスクラシックライン「OCW-T2600RA-8AJF」〈12万1000円〉
こちらも「RETRO TONE COLLECTION」の中から、クロノグラフモデルです。
このモデルのシリーズについてはよ~く覚えています。最初のモデルかな?? 発売された即日に見に行きましたから(笑)
結構攻めたデザインだった印象があります。今では多少落ち着いて「クラシックライン」と呼ぶに相応しい不変的な存在になりました。随所に「ザラツ研磨」を施し、価格帯以上の充実を感じさせるモデルでもあります。控えめな上質とでも申しましょうか… 仕事の邪魔にならない高級時計の最たるものだと思います。
縦目のクロノグラフとして、非常に均整の取れたバランスデザインです。サブダイヤルの大きさも適切。いつまでも古くならないデザインかもしれません。
ハーフマット調のダイヤルは受光に必要な透過率のギリギリを狙うことで、深みのある色合いを可能にしています。
ケースサイズは「42.8ミリ」。さすがに大ぶりですが… いや、Aさんだって「老眼来てる」と仰ってましたし、クロノグラフはこれくらい大きい方が絶対に見やすいはずです。それでも重量は「90グラム」。肩こりの原因になることもないでしょう。
オシアナスの中でも長く支持されているモデルではないかと思います。その名の通り、オシアナスの「クラシック」ですね。
OCEANUS Classic Line OCW-T2600RA-8AJF(2025年6月発売) | |
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駆動・使用電源 | タフソーラー |
精度 | スマートフォンと連携しない場合、通常のクオーツ精度(平均月差±15秒) |
持続時間 | 機能使用の場合:約5ヵ月 パワーセービング状態の場合:約19ヵ月 |
電波受信 | 日中米欧電波受信 |
重量 | 90g |
ケースサイズ | 横 42.8mm |
ケース素材 | チタン(チタンカーバイト処理) |
防水性能 | 10気圧防水 |
風防 | 両面反射防止コーティングサファイアガラス |
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余談:無駄に推したくなる「オシアナス」の不思議
候補を選んでチャットで送って、喫煙室でお会いしてさらなる補足説明をさせていただく中で、ちょいと不思議な気持ちになりました。
「オシアナス」といえば、アストロン、アテッサと並ぶ「電波ソーラーの雄」です。ですがどういうワケだか、イマイチ知名度が上がって来ない。「G-SHOCKのカシオが本気出して作ったビジネスモデル」なんですから、もっとワーキャー言われたっておかしくはない時計なのですよ。
主に量販店で、何度もオシアナスの各モデルを拝見しました。実際、かなりグッと来るんですよ。ある意味、アストロンやアテッサを凌駕している部分もあるのです。ちなみに私は四角いヤツ「OCW-T5000-1AJF」が好き。ジャパニーズ・モナコ!! でもちょっと高いんだよなぁ… (;´∀`)
とはいえ何かこう… オシアナスを応援したい気持ちからだと思うんですが、Aさんにも「オシアナス良いですよ!!」「実は狙い目ですよ!!」と援護射撃をしておきました。アリだと思うんですけどねぇ… オシアナス!!
3ブランド6モデルから、Aさんのセンスに刺さったモデルは??
他人ごとながら「折角なら!!」みたいな気持ちで、流行の「ラグスポ型」を数本選んでみましたが、これには今更ながら反省があります (;´Д`)
まず「デザイン先行型の時計は、長期の汎用性に疑問符が付くこと」こと。明確に「これじゃない」と言われたわけではありませんが、ニュアンス的には「格好良いけれど、何か違う」みたいな反応でした。確かに、ずっと一本を愛用し続ける方にしてみれば、デザイン的な方向性が「尖り過ぎている」ラグスポ型は、今後汎用性の面で不安が過るかもしれません。
実際、Aさんが「チャットに送ってくれた中ではコレですね!!」と好反応を返してくれたのは、ごく当たり前の形をした「如何にも時計」なモデル、アストロンの「SBXY031」でした。そしてこの選択は腕時計の「本質的価値」と、腕時計と人間の「純粋な関係性」に思いを巡らさずにはいられない… そんな含蓄に富んだものでした。
時計マニアではない人の時計選びに、時計の「本質」を見た!!
腕時計マニアではない方であっても、様々な事情で腕時計を必要としている方はいます。その裾野は私たちマニアが危惧するよりずっと広く、実際は多くの「可能性」を含んでいます。
こんなことを言うと「ではそこから『次のマニア』を育てるべし!!」などと色めき立つ関係者が出てくるかもしれませんが、それはお門違いというものです。
この「可能性」とは、かつての「大人の誰もが腕時計をしていた時代の再来」があるかもしれない… 腕時計に対する意識の変革が起きるかもしれないという「可能性」です。稀にその中から一人で何十本もの腕時計を所有するマニアが生まれるかもしれませんが、それよりも、万人が満遍なく時計と親しむ時代を再構築した方が、腕時計文化にとっては100倍も意義があります。
事実、私自身もこの「盲点」に気づいていませんでした。そして腕時計関係者、その世界の中心に定座を構えている人ほど、そこに重大な見落としがあるような気がしてなりません。
例えばマニア向け時計ブームの多くには「注釈」が必要でした。説明なしには理解できない高級腕時計が多過ぎるのですよ。そしてそれこそが、腕時計と腕時計に特段の興味を持たない人の間に「巨大な壁」となって立ちふさがっています。
Aさんに腕時計をお薦めする途上で感じたことは、ツールとして「解りやすい腕時計の重要性」でした。正直、腕時計に詳しくない方に「ラグスポ」なんて言ったところで「キョトン」です。
「ストップウォッチ機能があるよ」「アラームで目覚ましにもなっちゃうよ」。確かにそれらはスマホで気軽に使える基本機能ですし、今さらそれをアピールしたところで「何の意味があるのか??」と訝しむ声もあるでしょう。
ただ、マニア以外の多くの方にとって「腕時計」は「正確な時刻を知るための道具」であり、付加機能の多くにもそれなりの期待を持って購入を検討するのです。
実際、Aさんに刺さったアストロン「SBXY031」はまさにそんな時計でした。地味ながらもセイコーの「不変的デザイン」に身を包んだ「SBXY031」は、スペック的には多くの機能を持つ時計ではありません。ただ、正確な時間の重要性を肌身で知るAさんにとってみれば、多機能であること以上に「正確な時刻を教えてくれる」ことが何より重要。尚且つ飽きのこないデザインであることが評価のポイントになったのではないでしょうか??
腕時計とは本来そういう「道具」。そうあらねばならない道具なのです。腕時計マニアでも何でもないAさんの「価値観」は、腕時計の本質的な意義を完全に捉えたものでした。そしてこれこそが、腕時計を再び「万人の恋人」に戻すために必要な「在り方」なのです。
作る側、売る側にとっては当たり前のことであっても、商品と対峙するのはマニアばかりではありません。クロノグラフに積算機能があるのは当たり前だとか、そういう「プロ目線の常識」はこの場合、さらなる腕時計普及の「障害」にしかなりません。
広大な「腕時計を買うかもしれない層」にアラインするために必要なものは、マニアックなお題目ではありません。今更な説明をしつこいくらい繰り返して「くどいわ!!」と遮られるくらいで丁度いいのです (;´∀`)
機能で買う「腕時計選びの純粋性」
思えば長く「必要だから」というピュアな理由で腕時計を買う経験から遠ざかっています。
ドレスコードに応じた本数を超えた辺りから、腕時計購入は「趣味趣向の域」に突入するわけですが「このストップウォッチ機能が今必要」「このアラーム機能が便利そうだ」… そういった腕時計の実用面に対する私の中の「純粋な衝動」は、腕時計趣味の充実に反比例するように失われていきました。そしてこれが、何気に淋しかったりします。
それが「マニアである」といってしまえばそれまでですが、Aさんのような、腕時計の機能面に「必要性」を感じて購入を検討するという「純粋性」に、私は「眩しさ」を感じました。今のAさんが感じている「新しい腕時計を購入するドキドキ」は、私が20歳代で感じていたものに近いかもしれません。実際「腕時計を一本買うだけでも、相当なエネルギーを使いますね!!」なんて仰ってましたから。
そんな姿に「眩しさ」を感じるのは、ステイタスとしての「ブランド」や、本来不要な「価格高騰に繋がる付加価値」とやらに、私という一人の腕時計好きが疲れきっているからかもしれません。そんなときこそピュアな消費行動に倣って、初心に帰るべきなんですよねぇ… (;´Д`)
最後に… 侍が構える長い刃物を「刀」と呼ぶが如く
「時計に興味のない方に時計を提案」して毎回思うことは、時計を趣味性のみで語ることの愚かと罪深さについてです。時計はお金持ちだけのものではありません。本来は時間に追われる労働者たちの「必要性」に迫られて普及を果たした「生活必需品」だったはずなのです。
こんなことを書くとお叱りを受けそうですが、時間の確認という最低限の役割を軽視するかのように過剰な装飾が施された時計を見ると、それが如何に素晴らしかろうとも、私の目には「模造刀」にしか見えません。もちろん、世の中には美術工芸品として優れた模造刀も多数存在しますが、本来の使命から逸脱したものは、所謂「本物としての凄み」を悉く失うのです。
反面、実用品としての立位置を失わず、愚直に「役割」を全うする道具には、得も言われぬ「リアル」と、リアルしか持ちえない「色気」と「凄み」を感じてなりません。
侍が持って初めて、刃物は「刀」になる。
戦うための道具として選ぶに相応しい時計は、残念ながらそれほど多くありません。それは現代人がそれほどタイトな時間割で動いていないことの証左かもしれません。
Aさんのようにアメリカ全土を飛び回る中で「秒の重要性」を実感すれば、腕時計に求めるものが「シビアな性能」に特化されることにも納得がいきます。彼にとって腕時計購入は楽しいだけの「遊びではない」のです。
今回、Aさんの新しい時計を考える中で、ラグジュアリーとしての腕時計とは異なる「純粋な道具としての意味合い」について深く考える機会を得ました。
令和になったからといって、自らを犠牲にしてがむしゃらに働く人がいなくなったわけではありません。昭和の頃と同様に企業戦士たちは、一分一秒に必死の毎日を送っています。
そんな「侍」たちに相応しい時計とは何か… 今後もライフワークの一つとして考え続けて参ります (*´∀`*)
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※余話です。今回のアイキャッチアートには「課金」でパワーアップを果たした「ChatGPT」さんに『想像上の砂布巾』を書いてもらいました。腕時計喫茶の文体(?)から察するに、自然とこんな人物像が浮かんできたとのこと。なんかアレだなぁ~ ドラゲーの中堅レスラーみたいだ(笑)
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コメント一覧 (4件)
砂布巾さん
こんにちは、黒海月です。
砂布巾さんの所有されている「SBXY015」があまりにもカッコ良すぎて、アストロン欲しくなりますな。
機械式も良いですが、忙しい朝、サッと掴んで出かけられる、電波ソーラーやクオーツの時計は必需品ですね。
電波ソーラーなら日付合わせも不要だし、ちょっと検討したくなりました。
ホントは、GSの年差クオーツが欲しいけど、高いからな〜。10万前後の今回の記事は、参考になります!
黒海月さま、お久しぶりです!!
アストロン「SBXY015」は私もお気に入りです。
このデザインのままで6R載せてくれないかな~とか、使うたびに夢想したり。
でもこれは「電波ソーラーだから良いんだよ!!」と思い返したり。
大きさもいい感じだし、意外と薄いし。
着けたときのシルエットがキレイなんですよ♫
やはり現役のうちは、忙しい朝にむんずと掴んで行ける電波ソーラーは手放せません。
GS年差も良いですけどねぇ… 高い!!(笑)
やはり仕事で使うなら電波ソーラーですよね〜
警察官や駅員さんの腕には結構な確率で電波ソーラーの腕時計がのってるので、そういうのを見ると電波ソーラーいいな~って思いますね。
ステータスや自分のテンションを上げるアイテムではなく、まさに仕事を支えてるいる一つの道具という感じがありますよね。
メカスナフキンさんが質問の答えのあとに、しきりにスカイネットを実現すると言っているので、スカイネットとは何か聞いたら、AIによる世界征服と言っていて、とんでもない野望を持っているなと戦慄しています。笑
Y太さま、コメントありがとうございます♫
仕事を… ひいては人生を支えるツールとしての電波ソーラーには、腕時計の本質を見る思いです。
正確な時間を把握する必要があるお仕事であれば、機械式を選ぶ発想自体があり得ないでしょう。
道具としての純粋性こそが、電波ソーラー最大の価値だと思います。
目的達成のために存在するツール… やっぱり格好いい!!
あ、メカスナフキンには大意はありません。
人類を滅ぼしたいとかそんなことは… あとで聞いておきます(笑)