『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

今こそ真剣に考える「ブルーダイヤルを選ぶ意味」

 以前、こんな記事を書きました。何気に突っ込んだこと書いてますねぇ。懐かしいなぁ (*´∀`*)

 この気持ちは今も全く揺らいでいません。例えば購入検討時に「この時計は自分のコレクションで鉄板になりそうだ!!」と感じた時計ほど「シルバー(ホワイト)」ダイヤルで欲しくなります。次点で「ブラック」。この構図は恐らく、私が天に召されるまで変わらないんじゃないかなぁ (*´ω`*)

 デザインやアートの専門家になるために美術教育を受けた方であれば、色彩学の先生から「この世で一番強い色は白と黒だ!!」と教わったことがあるかもしれません。実際、グラフィックデザインのアートワークで悩んだとき、何やかんやで一番頼りになるのは「白と黒」です。万能で最強、どんな色と合わせても破綻しませんし、メインにして良し、添え物的に使っても良しの「白と黒」は、広大な色空間の方向性を決定するアンカーマンのような存在です。

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ダイヤルの「白と黒」は〝色ではない〟

Seiko SARB033 SARB035 ブラック ダイヤル ホワイト ダイヤル 同型異色 平置き
Seiko SARB033 SARB035

 腕時計のダイヤルに限らず「ブラックとホワイト」はそもそも〝色〟ではありません。どちらもダイヤルカラーの定番色とされていますが、「白と黒」〝色の機能を放棄〟することで、他の色に左右されない孤高の存在感を示しています。

 色は彩度や明度の条件を元に〝発色〟することで初めて「色の機能」を発揮します。ダイヤルカラーが鮮やかな赤に発色していれば、着用者はまず「赤い印象」を受け取るでしょう。その後で順々に「針・インデックス」といった細部の確認に移行するはずです。視覚強度で言えば「色の方が形より遥かに強い」ですからね。

カラフルを捨てた〝色〟だからこそ強い「白と黒」

シルバー ダイヤル バルチック BALTIC MR01 ブレゲ数字 マイクロローター  サンド ブラッシュ 平置き
BALTIC MR01

 「白(シルバー)と黒のダイヤル」が素晴らしいのは〝無地のキャンバス〟になれるからです。ラッカーやサンレイのシンプルな仕上げだとさらにその性質が際立ちます。

 コントラストで他を活かす「ブラック」、無味に徹することで他を引き立てる「ホワイト(シルバー)」… どちらも不必要に前に出ることなく、それでいてダイヤルの統括者のように毅然と存在感を保ちます。色味を持つ他のカラーダイヤルでは、こうはいきません。

 〝色〟には必ず元になったモチーフが存在します。「血の色」「深い海の色」「収穫時期の田んぼの色」… それらに類する色を目撃した瞬間、「色の元ネタ」に意識を向けずにはいられないのは、ある意味〝生物の本能〟かもしれません。

 そういった色味に意識を向けることで、肝心の集中力が乱れる場合があります。判読までにコンマ1秒を争うプロ用計器の多くが「白と黒」に着色されているのは、それが最も即時視認性能の高い組み合わせだからです。色味という計器に不要な要素を排除することで「形や位置」への集中力を100%に高める…「白と黒」以外に〝プロの要求〟に応えられる組み合わせはありません。

ダイヤルの色で考える腕時計の「視認性」

 ではこの辺りで、ダイヤル周辺要素における「視認性の条件」を整理してみましょう。これが中々に奥深い世界なのです (*´∀`*)

ダイヤルカラーとコントラストの関係

Sinn 556.I.RS ブラック ダイヤル インデックス コントラスト 視認性 ジン 特殊時計会社 横置き
Sinn 556.I.RS

 色の発色条件は先程申しました通り「彩度と明度」に由来しています。針やインデックスを明瞭に浮かび上がらせるためには、それら条件を組み合わせて「高いコントラスト」を生み出す必要があります。

 「黒文字盤にシルバーの針」「シルバーの文字盤に黒着色した針、或いはブルースチール針」などが視認性を約束された組み合わせです。ごちゃごちゃした〝スリーカウンタークロノグラフ〟であっても、例えば「スピードマスター プロフェッショナル」の視認性が問題になることはほとんどありません。

 要するに要素間の「コントラストを最大化」してやれば、自ずと高まるのが「視認性」です。

視認性を左右する要素

CUERVO Y SOBRINOS prominente doble tiempo 1124-1ANG クエルボ・イ・ソブリノス プロミネンテ ダブル テンポ ギョーシェ彫り 縦置き
CUERVO Y SOBRINOS prominente doble tiempo(1124-1ANG)

 仕上げにも言及しておきましょう。一般的には光沢のある文字盤は光を反射するため視認性が落ちるとされています。その解消で生まれたのが「ギョーシェ彫」ですね。フィールドウォッチが採用するようなマットダイヤルであればそれこそ最強ですが、両面反射防止のクリスタルが広まった昨今では、この「光って見えづらい問題」は話題から消えつつあります。

 グラデーション(スモーク)文字盤のように「視覚効果」で視認性を高めているものもあります。ダイヤルの外周部を暗くすることでセンター部分に視覚が集中し、自然と「見やすさ」を感じるでしょう。

 これらのメソッドを組み合わせれば、H.Moser&Cie.(H・モーザー)の「ブルーホライズン」のように〝インデックスなし〟でも「妙に見やすい」と感じさせるダイヤルが生まれます。インデックスが存在しないことの「淋しさ」は別問題として(笑)

第三の「定番ダイヤル色」

 ウチの本棚には、1990年代から2015年辺りにかけての「腕時計カタログ」が揃っています。発行元はバラバラですが、その年の代表作について網羅しているという点では、揃っている価値はあると思います。

 それらをときどき読み返して思うのですが… 特に90年代のダイヤルカラーは「白と黒」のオンパレードでした。変わり種として派手な色を使ったモデルもチラホラ程度には存在していますが「腕時計のダイヤルつったら、そりゃあ白か黒だろうよ!!」みたいな意識を強く感じるラインナップになっています。

 そんな「白黒一辺倒」の中で静かな流行を生み出し、定番色として定着しつつあるのが「ブルー文字盤」です。

 「ブルー」が一過性の流行りに収まらなかった理由は「皆んな青色が好きだから!!」… ではありません(笑) ブルーが持つ色としての性質、「似ても焼いても食える汎用性の高さ」が白と黒の後に据える色として相応しかったからです。

ブルーは〝デキる〟ダイヤル色である

OMEGA オメガ デ・ヴィル トレゾア スモールセコンド De Ville Trésor ブルー ダイヤル サンレイ 平置き
Omega De Ville Trésor(435.13.40.21.03.002)

 ブルーは明度と彩度をダイナミックに変化させても「色の魅力」を失いません。もちろん、どんな色も薄めたり濃くしたりして印象を変化させることは可能です。しかし「使える色」として魅力を維持できる幅となると、特に暖色系の色変化はシビアです。試しに赤に白をとことん混ぜてみるとよく解ります。発色の閾値が低いとでも申しましょうか、凄く「面白くない色」になってしまうのです。

Corniche Heritage Chronograph Bluebird Limited Edition コーニッシュ ヘリテージ クロノグラフ ブルーバード アイスブルー ダイヤル 平置き
Corniche Heritage Chronograph Bluebird Limited Edition

 その点「ブルーはデキる子」です。黒に近い濃さの青もシブいですし、アイスブルーのように明るい色も華やかです。黒を混ぜたダルトーンも白を混ぜたふんわりした色も、どれも「ブルー」としての価値を見失いません。

「明るい・淡いグリーン」が難しいのはなぜか??

 ベテランデザイナーとしての経験を元にお話を進めてきましたが… 職業デザイナーであれば誰しも、指定された「特色」に対して「こんな生色、どないせえちゅーねん!!」… と泣かされたことがあるはずです。平面デザインなら小手先でごまかす技も使えます。問題は「立体物の色」

 時計のダイヤルでいえば、薄いブルー、明るく発色の良いブルー、どちらも大人気のカラーです。新製品のモデルバリエーションでその辺りの色から売り切れる光景も珍しくありません。間違いなく、ダイヤルカラーで最も勢いがあるのは「明るくて発色の良いブルー」。実際〝アイスブルー〟ってだけでプレミアが付いちゃうこともありますしね。

ナビタイマー B01 クロノグラフ 46(AB0137241L1P1) 出典:https://www.breitling.com/

 個人的には「グリーンダイヤル」も大好きです。ブルーの次に一般化しつつあるダイヤルカラーと言えば〝緑色〟ですし、現行品にも物欲を刺激する「緑色のニクいヤツ」が幾つも存在しますしね。ブライトリングの「ナビタイマー B01 クロノグラフ 46(AB0137241L1P1)」とか… あの毒々しい緑色が完全にツボです(笑)

Grand Seiko SBGC007 スプリングドライブ クロノグラフ グランドセイコー GS グリーン ダイヤル 限定 平置き
Grand Seiko SBGC007

 実際、現行品ではありませんでしたが、昨年手に入れたGSの「SBGC007」〝グリーンダイヤルだからこそ買った〟典型的な時計でした。黒に近い「深緑」はインデックスや針を引き立てる効果も高く、尚且つ〝意味深に見える〟ところがたまりません。

「明るい・淡いグリーン」は色の上級者向け??

 問題は「明るいグリーン」「淡いグリーン」かもしれません。これだけグリーンダイヤルが作られているにも関わらず、ブランドの主流を担うまでに定着した「明るい・淡いグリーン ダイヤル」は、終ぞ見たことがないからです。

 そもそも「グリーン ダイヤルが鬼門」であることは、セイコーアルピニスト「SCVF009」の頃から言われていましたし、現在のグリーンダイヤルもある意味「緑色はコケる」と覚悟して作っているようなところがあるかもしれません(そんなグリーンダイヤルの危うさに惹かれる人も少なくないわけですが…)

 ダイヤルだけで見ると素敵なのに、時計全体を見ると纏まり切らない違和感が残る… これまで拝見した「明るいグリーン ダイヤル」に対する個人的な印象は概ねそんな感じでした。服装との相性も難しい色ですし、オシャレ上級者向けなのかもしれませんね。

 もしかしたら腕時計業界の一部にはアイスブルーに続く〝二匹目のドジョウ〟を狙って「次は淡いグリーンでブームを起こせ!!」みたいな号令があったかもしれませんが、商業デザイナーの多くは「それはないやろ~(汗)」と懐疑的な目を向けていたはずです。やっぱりねぇ… 青とは違います。

解釈に左右されず上品さを保つ「ブルーダイヤル」の妙味

 最近広く流行ったダイヤルカラーで言いますと…「サーモン」「テラコッタ」「バーガンディ」「ブラウン」「イエロー」「ピンク」もありましたね。

KURONO TOKYO 朱鷺:TOKI CU0010 クロノトウキョウ トキ コーラル ダイヤル 朱鷺色 平置き
KURONO TOKYO 朱鷺:TOKI CU0010

 ある意味〝伝統色〟でもあるサーモンは別格として、その他の色の変化幅は広くありません。イエローなんてレモンからミドルの域を外れると、ただの汚い色ですし、ピンクも同様に「キレイ」「可愛い」と反応できる濃度・彩度の幅は限定的です。

 その点、「ブルー」は展開幅の広さで他を圧倒しています。暗くしても反対色を混ぜて発色を落としても、シアン味だけで勝負したとしても商品として何ら問題がありません。またそれらをグラデーションさせても美しいのが「ブルー」です。

 また、どのように色変化を加えても「下品にならない」のが「ブルー」。ですから高級腕時計のように「上質なイメージから逸脱してはいけない」事情のあるプロダクトにも安心して採用することができるのです。

ブルーダイヤルが「ビジネスシーン」で持て囃される理由は??

MAURICE LACROIX AIKON MANUAL CLUB JAPAN EDITION 39mm モーリス・ラクロア アイコン マニュアル クラブジャパン エディション ブルー ダイヤル ギョーシェ 2針 縦置き
MAURICE LACROIX AIKON MANUAL CLUB JAPAN EDITION 39mm

 「スーツ」の基本色がなぜ「青系」なのかを考えてみると、ブルーの持つ高度な「社会性」を理解できます。

 いつ何処で、誰に会うかも解らないビジネスマンにとって「良い印象」は最大の武器です。初めて会う人からも好印象を持たれるために纏う色は… リクルートスーツを思えば答えは明快。「青」「ブルー」しかありません。

 実際、ほとんどのビジネスマンが「青いスーツ」を着ています。それでもビジネス街の光景が「朝礼で集められた学生集団」みたいにならないのは、「青」といっても様々な色味のバリエーションがあるからです。ほんの僅かな色変化でブルー系のスーツを何着も持っている人がいるのは、靴、ベルト、シャツの色… そういった変化に対応しやすいからに他なりません。

ビジネスマンの〝万化するシーン〟に対応できる「ブルーダイヤル」

CATOREX C’Vintage Automatic カトレックス シー ヴィンテージ ブルー ダイヤル サンレイ 飛びアラビア インデックス 平置き
CATOREX C’Vintage Automatic

 そしてそれは「腕時計のブルーダイヤル」にも言えることです。袖口を覗き込んだ人に「おっ!!この人誠実そうだな」と印象付ける「青」。組み合わせるストラップも「黒」「茶」… そしてもちろん「青系」と、安心してスーツ時に使いやすい全ての色に対応することが可能。この〝性能〟を持っているのは、発色しない「白黒」以外では「ブルー」だけです。靴やベルトとの組み合わせで時計のストラップを替える必要があったとしても、何らストレスを感じなくて済むのが「ブルーダイヤル」です。

 「社会人として3本の時計を持っておきたい」と相談されたなら、今なら間違いなく「シルバーダイヤル」「ブラックダイヤル」… そして「ブルーダイヤル」を薦めると思います。この3本があれば、ビジネスもプライベートも〝完璧〟ですからね!!

シルバー・ブラックを超えることはなくても、かなり〝肉薄〟した近年の「ブルーダイヤル」

MINASE HORIZON VM02 ミナセ ホライゾン ブルー ダイヤル VM02 縦置き
MINASE HORIZON VM02

 〝定番〟であることはすでに間違いない「ブルーダイヤル」。ここまでにご説明させていただいた通り、ブルーの汎用性の高さは図抜けています。白黒では「シンプル過ぎて個性が反映できない」とお考えの方がまず最初に、ご自分の「センスを写す鏡」として期待するのは「ブルー系」でしょう。

 このように「ブルーダイヤル」は定番色の中でも筆頭にあり、性別、年齢などに関わりなく身に着けられる〝万能色〟として、その地位を固めてきました。

 ただそれでも…「ブルーダイヤル」が定番中の定番として「シルバー」「ホワイト」「ブラック」に取って代わることはないと思います。現状、肉薄はしていますが、凌駕するには途轍もなく高い壁を超える必要があるからです。

 「シルバー」「ホワイト」「ブラック」は、腕時計のダイヤル色における「基点」であり「起点」です。どんな色もまず、これら基本から見てどの程度の変化や意味があるかを考えて作られていると思いますし、腕時計を購入する際のダイヤル色選びでも、ご自身の感覚で基本色と比べたときに「匹敵する魅力があるか」が重要です。

イロモノから真の定番へ…「ブルーダイヤルの未来」

 SNSの時代に入って自由奔放なカラーダイヤルが普及しましたが、普段は地味な黒やシルバーが「色気を見せる瞬間」というものがあって、その様子はカメラに写りません。とはいえ、コレクターの方ならご自分の目で何度も見ているはずです。貴婦人の微笑みのように艶やかなシルバーを。老伯爵のように高貴な佇まいを見せるブラックを。

 ブルーは数十年の時間をかけて浸透したダイヤル色のジョーカーですが、それでも、シルバーとブラックを凌駕するには至っていません。とはいえこの先、腕時計のダイヤルにおける「ブルーの解釈」がさらに進めば、「シルバー」「ホワイト」「ブラック」に並び立つ存在になる可能性はあります。そのときが来れば「ブルーダイヤル」〝イロモノ〟の枠を脱却し「真の定番」として根付くでしょう。

〝色〟で折れると後悔します

 腕時計を純粋に楽しもうと考えると、まず最初に邪魔になるのが「ブランド」だったりします。こんなことはありませんでしたか?? ECサイトでめちゃくちゃ自分好みのデザインの時計を見付けたけど、説明文を読んだら「どこの馬の骨ブランドだったから買うのを止めた」… なんてことが。

 それが所謂〝パクり〟ばかりで共感しようのないブランドなら止めて正解だと思います。しかしブレーキの正体が「誰かに揶揄されそうだから」という後ろ向きマインドに端を発するものだとしたら、それは趣味人としての〝敗北〟を意味します。「良いと思ったら買う」… これ以上の正義なんてないのですよ。

 要するに無くても困らない「腕時計」なのですから、自分の「好き」だけを貫くことに全エネルギーを傾けるべきなのです。あとは全てが「ノイズ」。SNSも専門家の意見も関係ありません。そのときはもちろん、砂布巾の意見も全力で無視して下さい(笑)

 腕時計の好きを貫く正義の中でも、特に「色の好み」〝折れると必ず後悔する〟最重要ファクターです。ブランドの格や「人気」などの雑音に影響されて折れた先には〝確実な後悔〟しかありません。

 次の腕時計をイメージしたとき、いの一番で頭に浮かんだ色こそ、今の貴方を満足させる色に違いありません。「好きなダイヤル色だからこの腕時計を買いました」… これ以上にシンプルな正解はないのです。例えそれが「誰も知らないブランド」だったとしても、貴方にとってそれが正解ならば、外野の意見など意に介さず、己の趣味を突き進んで下さい。

最後に… たかが時計、されど〝色〟

CORNICHE Ciel Nocturne Ⅱ & Patek Philippe GONDOLO 5124G-011 パテックフィリップ ゴンドーロ ブルーダイヤル コーニッシュ シエルノクターン ブルーMOP ダイヤル 平置き
CORNICHE Ciel Nocturne Ⅱ & Patek Philippe GONDOLO(5124G-011)

 所詮は〝たかが時計〟です。あっても無くても別段困らないシロモノなのですよ。そんな「趣味性しかない小さな機械」だからこそ、一番大事にすべきは〝趣味〟の部分です。

 さて今回は、ダイヤルカラーの「ブルー推し」で理論展開してきました。私なりに可能な限り〝根拠〟を練り込んだつもりですが、皆さんはどのようにお感じになったでしょうか??

 ちなみにブルーが到達しつつある〝定番化〟には、ちょっと困った部分があったりします。最後ですので、そのことにも触れておきましょう。



 〝定番〟「当たり前」と言い換えることもできる言い回しです。シルバーやブラックほどではありませんが、ブルーダイヤルも「あって当たり前として扱われる存在」になりつつあります。

 ところで、ワタクシには「2年も追い続けている大物」がありまして… 恐らく「グリーンダイヤル」が一番人気です。確かに、狙っていると告白したら「グリーンダイヤル??」と聞き返されることがほとんど。それくらい〝あの現行モデル〟にとってあの「グリーンダイヤル」は、象徴的なダイアルカラーです。

 実際、あれは良いグリーンですよ… さすがは超人気ブランドです。難しいと言われる緑の色相から、これしかないと唸らせる〝価値を生む絶妙なグリーン〟を選んでいます。

 もちろん、素材が同じであれば価格も同じ。将来的な売却など、後々を考えたら迷わず「人気のダイヤルカラー」を狙うべきなのでしょう。賢い愛好家の皆さんならそれが当然の選択かもしれません。それでも私は、少々地味な印象の「ブルー」が欲しくてたまりません。

 定番化が進み、お馴染みになりつつあるブルーの「ちょいと枯れた感じ」がたまらなく美しく見えて、人気の有無では計れない繊細な魅力を感じているのです。要するに大事なのは「それでも私は〇〇色が好き」と、流されずに言えるかどうかです。

 そうすることで移り気な〝色〟が貴方の個性と結びつき、貴方の人物像を象徴する「シグネチャー・カラー」が完成するでしょう。その色を身に着けるべき〝必然と根拠〟が、貴方ご自身の中に生まれた瞬間です (*´ω`*)

追記:その時計に「似合う色」がある

Big Crown ポインターデイト(01 754 7798 4069-07 8 20 06) 出典:https://www.oris.ch/ja-JP/

 少し前に「オリス」さんの記事を書くために取材に赴いた際、個人的に〝ずっと欲しい時計〟である「ビッグクラウン ポインターデイト」を拝見しました。〝カラーダイヤルの申し子〟とも例えられる豊かなバリエーションで、些か目移りしまくっていた私は質問しました。「どのダイヤルカラーが一番人気ですか??」と。

 「イエローですね!!」… 意外な答えでした。ブルー、パープル、グリーン、コーラルレッドなどが揃っている中で選ばれる、一番尖った「イエロー(01 754 7798 4069-07 8 20 06)」

 しばらくの間、理解が追い付かず考え込んだ私でしたが、数分後、自分なりの答えのようなものに辿り着くことができました。要するに「ビッグクラウンには、イエローが似合う」のです。

 他にもイエローダイヤルの時計は幾らでも存在します。ただ、それらは大抵「アウトサイダー」です。一種の企画色として扱われているため、手に取ったお客さんが「これじゃないんだよなぁ」と、違和感を感じることがあるかもしれません。

 ところが「イエローダイヤルのビッグクラウン」は、まるでレモンのような個我をもってそこにありました。似合っていたのです。ビッグクラウンというオリスを代表するモデルが「黄色」を着こなしていたのです。

Nodus Unity - Vitreous Yellow ノダス ユニティ イエローダイヤル イエローベゼル 平置き
Nodus Unity – Vitreous Yellow

 白(シルバー)やブラックを選んでおけば、後悔はありません。続く「ブルー系ダイヤル」も、それに近い安心感があります。ただ、「イエローダイヤルのビッグクラウン」のように、黄色を個性として自分のものに昇華した時計は、その法則から逸脱した存在です。

 自分に似合うかどうかを吟味する視点と同じように、その時計に似合うダイヤルカラーであるかを見極める目も、「失敗しない腕時計購入」には重要なのかもしれないなぁ~と思った次第です。

※腕時計の色問題に関しては、こちらも参考になるかもしれません。

買ったからこそ書ける記事がある…

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