「初物」には特別な感慨が生じるものですが、それが「歴史の転換点」になりそうな『新機軸の誕生』だったりすると、そのインパクトはいやが上にも高まります。特に「機を見るに敏」な感覚の鋭い方々は「初物を購入する」という行動自体の楽しさを知っていますし、初物だけが「永遠に語られる」存在になり得ることも熟知しています。
今回、腕時計喫茶では初めてご紹介する「エディフィス」であり、カシオの歴史上「初の機械式腕時計」である「EFK-100 シリーズ」も、『特別な初物』としてこの先、長く語り継がれる可能性に満ちた「エポックメイキングな新作」です (*´∀`*)
あの「CASIO」が機械式腕時計に参入しただけでも『大ニュース』
電波ソーラーを低価格帯に至るまで広く展開し、スマートフォンとの連携「モバイルリンク」を当たり前のように搭載する「カシオ製」の時計たち。明らかに時計に興味のない方に聴いたとしても、「カシオ」といえば「電池で動く時計」や「液晶表示」、或いは「太陽光で充電」や「電波で時刻修正」といった答えが返ってくるでしょう。要するに「エレクトリックなモノ作り」で知られる企業なのです。何せ元は「電卓」からスタートですからね。
ですので、所謂「腕時計メーカー」とは時計作りのアプローチが異なります。世界の腕時計市場において確固たる立ち位置を獲得した「カシオ」ですが、その根底にあるものは「電子機器屋の矜持」なのです。ですのでカシオだけはこの先も変わらず、電子機器方面からのアプローチで「腕時計最高峰を極める」のだと思っていました。ええ、つい最近までは何の疑いもなくそう思っていましたとも!! (;´Д`)
そんなカシオさんが「機械式腕時計分野に参入」すると言うのですから、腕時計好きの巷では大ニュースになりました。
カシオの公式に「メカニカル」や「オートマチック」のワードがある違和感(笑)
2025年6月、多様な媒体で一斉に報じられた「カシオが〝機械式モデル〟をリリース!!」のニュース。その少し前に「リーク画像」のようなものを目にしていた私ですが… 正直、信じていませんでした(笑)「カシオが機械式?? そんなことないやろ~!?」と、こだま・ひびき師匠のように訝しんでいたのです。
ところが、本当に出やがった(笑)
カシオ公式から当該モデルを探し、説明文を見ると「心臓部にメカニカルムーブメントを搭載」とあるではないですか。この凄まじい違和感!!
ただこれで、カシオが「機械式腕時計に参入」したことは明白になりました。あのカシオが一体、何の意図をもってのことか… 今回はこの辺りの疑問とともに、カシオ史上初の「メカニカル ウォッチ」について、分析して参ります。
次々と浮上する「EDIFICE(エディフィス) メカニカル3針デイトモデル購入報告」に私は…
こういう「お祭り」にはてんで弱いワタクシですし、SNSで次々に見せ付けられる購入報告の数々は、正直「目の毒」も良いところでした (;´Д`)
そして某日、浅草でカスタムストラップメーカーの松下庵さんと「諸々の打ち合わせ」を行った後、新宿に戻ってきた私でしたが、松下代表の気合にあてられたからでしょうか… 何かのスイッチが入りまして。脚が自然と「ヨドバシカメラ 新宿西口本店 時計総合館」へ…
機械式エディフィス、初期リリースの5モデルを拝見!!

この日、新宿西口ヨドバシカメラの「時計総合館」さんで拝見出来たのは、上の写真の5モデル中4モデル。フォージドカーボンケースの「EFK-100XPB-1AJF」は不在で、触れることは叶いませんでした(残念なり)

とはいえ今回は「ブレスレット付き」で欲しい気持ちが強く「EFK-100XPB-1AJF」があったとしてもそちらに行くことはなかったでしょう。万が一にもフォージドカーボン素材のブレスが出たらそのときは… ですね!!
エディフィスの自動巻き「選ぶ可能性しかない」4色のダイヤル
什器に陳列されていた新作の「機械式エディフィス」たち。ガラス越しの距離感でも、質感などある程度の情報を得ることは可能でしたが、ここまで来て「試着」をしないで帰るってのも何気に後悔しそうです。そこでスタッフさんにお願いして「全種類を見たい」とお願いしました。試着って恐いですけどねぇ… 腕に載せると「購入可能性のゲージ」が一気に跳ね上がりますし… (;´∀`)
「ブラック(フォージドカーボン)ダイヤル」EFK-100YCD-1AJF

まずは「フォージドカーボン」をダイヤル素材に使用した「EFK-100YCD-1AJF」から試着しました。

これ、めっちゃ良い時計に見えるんですけど!! えっと幾らでしたっけ??希望小売価格が「5万5000円」。ヨドバシ価格「4万4000円」… とてもじゃないですけれど、実売で5万円を切る時計には見えません。
あと、サイズ感が絶妙です。凄まじいフィット感!! (*´∀`*)
「グリーンダイヤル」EFK-100YD-3AJF

「フォージドカーボンの質感を再現したパターン」が施された緑色のダイヤルがこれまたシブい「EFK-100YD-3AJF」です。温かみを感じる生っぽいグリーンが、クールなケースデザインと拮抗して独特の緊張感を生み出していると思いました。

「グリーンダイヤルが好き」って方は結構いらっしゃいますからね。ちなみに私個人はこのモデルの「チャプターリング(見返し)」が一番好きです。上品だと思いました。
これが希望小売価格「4万9500円」。ヨドバシ価格が「3万9600円」。何も言うまい。とにかく安いです。
「ブルーダイヤル」EFK-100YD-2AJF

同じくフォージドカーボンパターンのブルーダイヤル「EFK-100YD-2AJF」です。ケースが持つ緊張感との方向性で言えば、このブルーダイヤルが一番しっくりきていました。

価格はグリーンダイヤルと同じです。ヨドバシ価格で「3万9600円」。ここ最近で大物家電買った人なら、ポイントで買えちゃうんじゃないですか?? (*´∀`*)
「シルバーダイヤル」EFK-100YD-7AJF

さて、現物を拝見する以前から「取り敢えずシルバーはないよなぁ~」と思っていたワタクシ。「EFK-100YD-7AJF」云々ではなく、この辺りの買いやすい時計を買うときは「要素で遊びたい」わけですよ。何なら「赤」とか「オレンジ」のダイヤルでも構わない。価格的にそういう「はっちゃけゾーン」だと思っているのです。ね?? こんな大人しい色を選ばなくても良いじゃない?? ってなるでしょ??

ところがですよ!! 着けてみて解りましたが、あり得ないくらい「正統派のラグジュアリー」なのですよ。価格は「ブルー」「グリーン」と同じでヨドバシ価格で「3万9600円」です。
どう考えても、4万円を切る時計の色気ではないなぁ… (*´ω`*)
どのモデルを購入してもハズレなし!! だからこそ悩むのだが…
以上の4本を拝見したワタクシ個人の「結論」を述べる前に、断言しておきます。
「何を選んでも正解」です。今回の「機械式への挑戦」では、カシオさんにしても「人気と不人気」で疎と密を作るつもりなどなかったでしょうし、実際にどれを選んでも間違いなく使えるラインナップになっています。
皆さんも恐らくは「アレも良いなぁ~ コレも良いなぁ~」と目移りするはずですが、最終的な決断は「何が人気か??」などではなく、「好きなダイヤルカラー」などご自身のモノサシを信じてお選び下さい (*´∀`*)
一番人気は『フォージドカーボンダイヤル』の「EFK-100YCD-1AJF」

今時点の一番人気は「フォージドカーボンダイヤル(EFK-100YCD-1AJF)」だそうです。あくまでヨドバシの販売員さん曰くですが、それでも、大いに頷けるところがありました。
このモデルが購入候補の筆頭に上る理由は「一つ」だと思います。それはこの「EFK-100YCD-1AJF」だけが、ダイヤル素材に「本物のフォージドカーボンを使用している」からです。モータースポーツをテーマに展開してきた「エディフィス」の中で、ケースにまでフォージドカーボンを使った「EFK-100XPB-1AJF」と「EFK-100YCD-1AJF」は、エディフィスを良く知る方にとっては「エディフィスらしいスタンダード」なのかもしれません。
その他の「フォージドカーボンのテクスチャーを模したダイヤル」も、実際はかなりの出来映えです。ですが、初見でそれぞれを比較したら、「EFK-100YCD-1AJF」が持つ「本物由来の重厚さ」に惹かれる人が多いのではないかと思います (*´ω`*)
私の中では「フォージドカーボンダイヤル」と「シルバーダイヤル」の一騎打ちに

フォージドカーボンダイヤルの「EFK-100YCD-1AJF」が購入候補の筆頭に挙げられる理由についてはご説明しました。私自身が最初に「買うならコレかな??」と選び出したのもこのモデルです。恐らくこれが自然な反応。
ところが、「EFK-100YCD-1AJF」を起点に考え始めると、別なルートも見えてきました。モータースポーツを体現した「本来のエディフィス」からは少し距離を置いた静かな佇まいの「EFK-100YD-7AJF」が、どうしようもなく気になり始めたのです。

そして結局のところ私は「シルバーダイヤル」を購入しました。最後の最後「決め手」となった理由については、この後ご説明します (*´ω`*)
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結局、私が選んだのは「シルバーダイヤル」 その明確な理由は『日付表示』にあり!!

ダイヤルにフォージドカーボンを使用した「EFK-100YCD-1AJF」で唯一、気になる点がありました。それは「デイト表示」。フォージドカーボンケースの「EFK-100XPB-1AJF」の場合は、ダイヤルの色に併せて「黒ディスク」を使用しています。ところが「EFK-100YCD-1AJF」は「白いまま」なのです。
「たったそれだけ」… そう、たったそれだけのことですが、フォージドカーボンという雰囲気の良い素材の中にポツンと空いた白い穴が、最後の最後で「購入を諦めた」理由です。あくまで「私は気になった」というだけの話ですが、ケースやブレスレットなど、他の要素が秀逸な分、その「未完成感」が最後まで尾を引きました。

そこ行くと、シルバーダイヤルの「EFK-100YD-7AJF」はダイヤルカラーとデイトディスクの間に違和感がなく、全体の完成度という点では他のモデルを圧倒していました。今回、私が「EFK-100YD-7AJF」を選んで購入した理由はこれに尽きます。
ビジネス用途の性格が強いシリーズですし、日付表示は必須かもしれません。ただ、この機械式エディフィスのシリーズであれば「ノンデイト」でも成立するはずです。次は是非ともノンデイトを拝見したいですし、それまでは「ダイヤルで最も違和感を感じなかった」シルバーダイヤルモデルを楽しもう… そう考えての「EFK-100YD-7AJF 購入」でした。
フォージドカーボンのテクスチャを模した「電気鋳造のダイヤル」が素晴らしい出来!!

これは「フォージドカーボン テクスチャ」のダイヤル全てに言えますが、どれも抜群にキレイです。電気鋳造技術の粋とも言えるテクスチャは、フォージドカーボンの特徴であるランダムなコントラストにも匹敵。
いやむしろ、本物のフォージドカーボンより「こちらが好み」と仰る方もいるはずです。フォージドカーボンのパターンを真似ているとは言え、同時に別の味わいも生まれているからです。さらに面白い特徴も。このダイヤル、カラーによって受ける印象がまるで違うのですよ。

これは実機をご覧いただくしかありませんが、例えば「EFK-100YD-7AJF」の場合は、白銀のようでもあり、和紙のようでもあり、MOPのようでもある… 自動巻きの腕時計としては低価格帯の本機でこれだけ豊かなニュアンスを楽しめるのですから、これを「お買い得と言わずして何とする!?」って話ではないでしょうか??
「ケースとブレス」その見事な一体感にため息が漏れる

これは購入して次の日に「発見」したことですが、ケースとブレスレットの「一体感」がとにかく素晴らしい。「カシオさんってこんなに本格的なベーシックスタイルを作れるんだ」と、反省込みで感動しました。
ケースデザインもブレスレットデザインも極めて「オーソドックス」です。そこに奇をてらったところはありません。ところがそれらを「エディフィスの一本」として色付けした「企画力」がスゴい。しかもド直球に「超正統的」にですよ。
カシオ史上一本目の機械式でこれだけの完成度を見せてくれた手腕には脱帽しかありませんが、それは同時に「機械式新参者」として、機械式の歴史と市場に対する「敬意」を表したものだと私は思います。

ケースを薄く見せるデザインも合格点。滑らかにポリッシュされたシックなベゼル、絞り込まれたラグからブレスレットへ繋がるドラマチックなテーパードライン…

軽快に着脱できる「片開きバックル採用」も英断でした。

ワタクシがSonyのα6700で撮影したこれら写真を見ていただければ一目瞭然ですが、個々のパーツの仕上げも、価格帯を大きく超越するレベルで纏まっています。キレイなヘアライン処理でしょ!! (*´∀`*)
ヘッドとブレスレットの重量バランスが完璧!! 計算なの!?

以前、200万円クラスのスイス製時計の購入を決意して、最後の試着に向かったことがあります。身に着けたまま10分は感触を確かめたでしょうか… その結果、私はその時計の購入を断念しました。理由は時計のヘッドとブレスレットの「重量バランスの悪さ」。200万円も払ってこれは看過できん!! と思っちゃったわけです。
そのクラスの時計でも「装着時の重心がおかしい時計」は存在します。もしかしたら、筋力に余力のある欧米人にとって「時計の重量バランス」なんて、どうでもいいことなのかもしれません。
ただ、平均的「非力日本人」である私にしてみれば、装着時の違和感は致命的です。ブレスレットが重すぎてもいけませんが、ヘッドが重すぎる時計は「常に不快感を身に着けている」のと同じこと。我慢してまで腕時計を着けたいかと言われたら、さすがの私もそこまでではありません。
着けているのを忘れる、羽根のような着け心地
機械式エディフィス「EFK-100YD-7AJF」を会社で実戦投入した初日でした。「着けているのを忘れた」のです。この感触を得たのは久しぶりで、それも大抵はレザーストラップでの体験だったと思います。

ブレスレットモデルでありながら、ここまでのフィット感を見せた「EFK-100YD-7AJF」。ケースバックの適切な摩擦、ブレスレットが作り出す曲面と肌との接触密度… それらも「快適さの理由」だとは思いますが、何より、最初に載せた位置から微動だにしないのは、「ヘッドとブレスレットの重量バランスが良いから」だと思います。「EFK-100YD-7AJF」の抜群の装着性、その秘密はそこにあります。
羽根のような軽い着け心地は端から計算してのことか、それともただの偶然か… どちらにせよ、ビジネスの現場で余計なことに気を取られたくない諸兄にとって、ノンストレスで使える「EFK-100YD-7AJF」が「気の置けないバディー」になることは確実です (*´ω`*)
美しく「平置きできるブレスレット」は貴重だ

何を言ってるのか解らないかもしれません(笑)… が!! 大切なことなのですよ。例えばラグとブレスレットが一体となったデザインの時計で、気持ちよく「平置き」できるものは多くありません。「円環」としての美しさを追求したデザインですからそれも致し方ありませんが、同様のラグ一体式ブレスレットを持つ「EFK-100YD-7AJF」は、可動域の広い設計でそれを可能にしているのです。
如何ですか?? 美しい平置かれっぷりでしょう!!(笑)
頻繁に着け外しをする方なら、ケースサイドが直接デスクと接触する「横置き」にストレスを感じている方も少なくないでしょう。平置きでもケースバックに傷を付ける場合がありますが、少なくとも、目立つケースサイドに傷が付くより「マシ」です。
軽さとボリューム感を両立し、視認性に優れた「針」がGood!!

視認性を確保するために十分な幅を持った「針」です。大胆な肉抜きで他に形容し難い存在感がありますね。肉抜きはトルクへの配慮もあるかもしれません。
シルバーのダイヤルにシルバーの針で埋没せずに見やすい理由は、山型に整形された側面が作り出す「陰影」にあります。先端部には小さな蓄光が施され、暗所に対する配慮も。
価格帯的に手を抜かれがちな秒針も「EFK-100YD-7AJF」の場合、存在感のある造形と丁寧な仕上げで中々の見応えです (*´∀`*)
ダイヤル内に奥行きを与える「インデックス」の存在感

ガッチリとした「バーインデックス」がダイヤルの要素を引き締めています。ダイヤル外周部の一段高くなった場所から中央部に伸びることで、着用者の視線が自然とダイヤル中央に集まる設計です。そもそもこのケースデザイン、バーインデックスが良く似合います。

こうして見るとやはり、デイトは無くても良い気がしますね (;´∀`)
玄人を唸らせる「チャプターリング」

「見返し」とも「フランジ」とも呼ばれる「チャプターリング」。今作のチャームポイントの一つが、このチャプターリングだと思います。細かく配置された目盛りは、これまでのカシオであればただの飾りだったかもしれませんが、機械式ムーブメントを搭載する「機械式エディフィス」の場合、これは「実用」です。
臼状に傾斜が付いているため、寝かせた状態でも広範囲の目盛りを確認することが可能。初の機械式とは思えない配慮の一つです (*´∀`*)
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恐ろしく長大なコンテンツになってしまいました(ひぃ!!) 続きの「2ページ目」では、さらにマニアックな考察と、購入の背中を盛大に押しかねない情報をお楽しみ下さい!! (*´∀`*)










ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
遂に出ましたね〜という感じですね!
まだまだ走り出しですが、セイコー5や
ツヨサみたく、サイズ展開やバリエーションが増えたらどんどん面白くなりそう!!
今後の展開が楽しみですね!
本格的にCASIOが機械式に力を入れだしたら、機械式のG-SHOCKも夢じゃない気がします!
(ノルケインのワイルドワンみたいな!笑)
Y太さま、コメントありがとうございます♫
カシオだけはそれはないと思っていましたからね。
かなりビックリしました。
そして初作にしてあの落ち着き。
長く温めてきたのだと思います。いつかは機械式作ってやろうと。
G-SHOCKが機械式になったら、もう一度ホッケースティックでぶん殴るCMを作って欲しいですね!!
それで中身が壊れなかったら… 革命が起きます(笑)