TIMEX（タイメックス）という名の『誘蛾灯』に飛び込むがいいさ！！…「やたらと欲しくなる腕時計 11本」

　2024年に正規のネットショップで購入したタイメックスの「マーリンジェット（tx-tw2v62000）」に「盛大な針飛び」を発見した私。その後、交換品として送ってもらった時計にも全く同じ「針飛び」を見付けて「再度の交換を依頼する気が失せるほど心が折れた」… そんなお話を書かせていただいたのはいつでしたか…

　タイメックスと代理店さんの名誉のために申しますと、こちらが諦めず交換を依頼し続ける限り「何度でも」交換に応じてくれたと思います。いずれは「正常動作」するマーリンジェットがやってきたでしょうし、結果として代金を無駄にする羽目になったのは、購入者である私の気力が潰えて「交換を諦めた」からに他なりません。面倒臭いし「もういいや」と捨て鉢になっちゃったんですねぇ (；´Д｀)

「当たり外れ」もタイメックスのうち

　タイメックスの「薄利多売型」のビジネスモデルを考えれば、扱う数的規模のデカさからいって、高級時計と同じように「手間をかけた検品実施」は難しいはすです。同じモデルでも生産ロットや販売時期によって品質にばらつきがあるでしょうし、販売数が多ければ多いほど、不具合の実数が大きくなるのは自明です。

　同時期、たまたま同じモデルを購入した知人がいて、私の訴えに対し「自分のは問題なかったよ？？」と教えてくれました。もちろん、厳しいことを言わせてもらえば「問題が無くて当然」です。店頭で事前の動作チェックが行えない「ネットで購入」なら尚のこと。メーカーや代理店の検品を信じるしかないのが、私たち消費者の実情です。

　私自身はタイメックスの「安価」を鑑みて「ちょっと甘め」に気持ちの整理を付けましたが、ほとんどの方にとっては「お金を支払うのだから完全な商品を売ってくれ！！」が当たり前でしょう。

　いやむしろ、チープカシオのような「安いのに良品」を知っている日本人にしてみれば「安さと品質の両立」は無謀な期待ではありません。「安さ」が「品質への期待」を裏切るのであれば本末転倒だと考えるのが「日本市場」ですし、だからこそ「日本市場で生き残れば世界で通用する」と考えられているのです。そんなわけで、タイメックスにもカシオ並の品質管理を求めたいところですが… 難しいかなぁ？？

　そもそも「不具合品を出さないようにする」のはメーカーの使命。ですから表面的な現象を以て、消費者と最短距離にあるショップや代理店さんの責任を追求するのはちと気の毒。割合からすれば問題なく使えている人が大半でしょうし、その点では私個人の「タイメックス運2024」が悪かったとしか言えません。とは言えどうしても「タイメックスって色々と起きるよなぁ…」という良くないイメージは確実に残りました (；´∀｀)

　ですが、この不幸な事実だけで「タイメックスと縁を切る」のは些か短兵急というもの。だってほら、タイメックスって最近、めちゃめちゃ「刺さる時計」をリリースしまくっているじゃないですか？？ 些細なトラブル如きで目を背けるなんて、そんな狭量な考えでは腕時計好きとして「大損なのではないか？？」… そんな思いも湧いてくるわけでして。

タイメックスの真価は「低価格品」にあり

　ご存じでしょうか？？ タイメックスにはクリエイティブ ディレクター「ジョルジオ・ガリ」氏の名を冠した高級モデルがございましてねぇ。実際これが惚れ惚れする出来映え。タイメックスの「チープなブランドイメージ」が邪魔になるくらい良くできた時計なのです。30万円台半ばのお値段ですけどね（笑）

　ただ、高価格品がどれだけ良かろうと、タイメックスの真価はそこじゃあない！！ 高価格帯？？ 高付加価値？？ そんなものとは別の価値観「安いのに見栄えがする」こそがタイメックスが長い歴史の中で証明し続けてきた最大のストロングポイントなのです。ですから私がタイメックスを俯瞰する際も、その目線は常に「最安ゾーン」に注がれています。

　今回の記事ではそんな私の目線が捉えたタイメックスの「安シブウォッチ」を厳選してお伝えしたいと思います。そうですねぇ… 買えないモノをお見せしてもしょうがありませんし「今すぐ買える（予約可能品含む）」をコンセプトにお届けしましょう！！

Q TIMEX リイシュー デグラーデ（3万6300円 税込）

　参ったなぁ… カットガラスかよぉ！！ 川崎の某所でカットガラスが艶めかしいオリエントのヴィンテージを買おうか悩んでいたところに、心中を見透かされたかのような「Q TIMEX リイシュー デグラーデ」。いやこれ、見た瞬間に「今の時代に！？」と唸った方も多いと思いますよ。

　カットガラスもさることながら、ケースやブレスの造形もかなりイケてるじゃないですか。タイメックスのデザインチームが相当に進化している証しだと思います。実に素晴らしいプロダクトデザインです。

　古めかしいカットガラスにこれまた古めかしいデイデイト。ジュビリー風の繊細なブレスレットに不思議なラインを持つケースデザイン。そしてお値段「3万6300円」。クオーツでこの値段は高いという意見もありそうですが、個人的にはこの「雰囲気」だけでも十分に価格の元を取れる「良心的な新作」だと思います。これはシビれるなぁ (*´ω｀*)

ディープウォーターリーフ 200 コンポジット（4万8400円 税込）

　オーソドックスなカウントアップベゼルを備えたダイバーズです。幅43ミリのケースは少々大柄ですが、素材は超軽量「レジンとカーボンファイバーの複合素材」。マットブラックがシブい佇まいを醸し出してくれます。ど派手なブルーのラバーストラップも似合っていますね。海の男って感じ！！

　反射防止コーティングされたサファイア風防を装備し「200メートル防水」を達成。腐食に無縁な性質を持つケースですから、水中でビシバシ使って良いのはもちろん、お洒落なブラックケースを活かして、タウンユースの「外しアイテム」として使っても楽しいかもしれません。

　文字盤にあしらわれた波模様がほんのり洒落ているのも見逃せませんね。汎用性の高そうなダイバーズです (*´∀｀*)

マーリン オートマチック（5万3900円 税込）

 　「マーリン」と聞くと未だに「ビクッ！！」と反応してしまう私ですが、格好良いものは格好良いわけですし仕方がありません。『もうマーリンは買わないよなんて～ 言わないよ絶対～』（CV：槇原敬之）

　個人的にはこの何の変哲も無いケースデザインと、グラスヒュッテ・オリジナルの「シックスティーズ」っぽいインデックスがツボです。そこにドーフィン針を合わせてるのもニクい。

　ラグは少し長めで、それがまたクラシカルな佇まいを強調しています。細部まで造型への拘りを感じますし、ホント、最近のタイメックスはデザイン的に見るべき点が多い時計の宝庫って感じです (*´∀｀*)

イージーリーダー（1万1000円 税込）

 　1977から支持され続けている「イージーリーダー」。いわゆる「教室の壁時計」を彷彿とさせる解りやすいダイヤルにシンプルなポリッシュのケースは、使用するシーンの制限を一切受けない「究極の汎用性」を備えています。

　日付窓にはタイメックスお得意の「INDIGLO」を使用。安くてシンプル、それでいてストラップ交換で様々な表情を見せてくれるであろう可能性のカタマリでもあります。ちょっとしたプレゼントにも良いかもしれません。

Q TIMEX コンチネンタル GMT（3万5200円 税込）

 　人気の「Q Timex」から新しいモデルが登場しました。特徴的なのぞき窓を備えたGMT機能をデザインのヘソに据え、12時位置に巨大な「Q」をアイコニックに配置するなど、中々に野心的な一本となっています。

　直線と曲線が融合したケースは丁寧に磨き分けられ、そこに幅広のブレスが加わることにより「力強さと繊細さを両立」。ありそうでなかった、タイメックスならではの優れた美学を見ることができます。実際これは売れそうだなぁ～ (*´ω｀*)

ウォーターベリー メトロポリタン オートマチック（5万2800円 税込）

 　厳かなドイツ時計の如き雰囲気を湛える「ウォーターベリー メトロポリタン オートマチック」。ビジネスはもちろん、ぎりぎりフォーマルでも使える3針自動巻きです。

　個人的に惜しいのは「41ミリ」のケースサイズ。このモデルのコンセプトから言って、あと2ミリ小さければよりサマになったと思うのですが如何でしょうか？？

　とは言え、様式美を感じさせるデザインの美しさは本物です。公式も「ごまかしがきかない難しさ」に言及していますし、それだけの覚悟をもってリリースした「タイメックス気合いのドレスウォッチ」なのかもしれません (*´∀｀*)

エセックス デイデイト（1万9800円 税込）

 　ほほ～！！ やっぱりスゴいんじゃないですかね？？ 少なくともこの充実した見た目の時計を「この安さ」で提供できるのはパワーですよ。

　ただ、目を疑ったのは「ケース幅46ミリ」。写真ではそこまでのデカさを感じませんし、その点ではバランスの良いデザインと言えないこともありませんが、でもやっぱり、物理的にはとんでもなくデカい時計です (；´∀｀)

　しかしながら見るべき点の多い時計だと思います。ラグスポ然としたデザインながら一般的な弓カンを使用していたり、ユーザーの自由度を高める配慮はさすがの庶民派。このモデルの場合、近年はあまり好まれない「デイデイト仕様」も良いアクセントになっていると思います。 

　ちなみにブレスレット、バックルともに見た目は中々良さげです。「今更ラグスポは恥ずかしいけれど、特徴的なベゼルの時計が一本くらい手元にあっても良い」と思案中の方にとっては、失敗しても痛くも痒くも無い「エセックス デイデイト」が、意外とハマるかもしれません。

Q TIMEX Q80 コンチネンタル（2万6400円 税込）05/15 23:59まで予約受付

　「カシオトロン」を買い逃した方のハートに突き刺さりそうな「Q80」。細部の出来で比較するのはアレですが、価格が価格ですし「カシオトロンっぽければ良くない？？」と割り切った考えのライト層にはウケる気がします。実際、私はかなり欲しいです！！

　ヴィンテージデジタルの格好良さを現代にセンスアップする形で、見事な一本に仕上がっていると思います。ガッツリ系のブレスレットもヘッドの雰囲気とマッチしていますね。ちなみに「ゴールド」もありますよ！！ (*´∀｀*)

ハーバーサイドコースト（1万9800円 税込）

 　100メートル防水ですし、カテゴリー的には「ダイバーズルックのカジュアルウォッチ」の部類になるでしょうか。でも実際、ほとんどのダイバーズユーザーが潜水しないわけですし、ダイバーズウォッチの格好良さだけを頂戴したシティーユースの時計にもそれなりの存在意義はあると思います。

　どう見てもロレックスインスパイアですし、それが気にくわない方にはお薦めしかねますが、それっぽい時計を安価に加えたいならば楽しい選択肢になりそうです。サブやシードの「本物」を持っている人が使ったら、洒落が効いているかも！？

リイシュー 1983 オートマティック（4万2900円 税込）

 　しくった～（汗） 再入荷待ちになっていました。これは速攻で行くべき案件でした。

　オメガのシーマスターにあった「TVスクリーン」が現代に蘇ったような作りです。当時をご存じの方なら思わず生唾をのんだのではないでしょうか？？

　自動巻きでケース径「34ミリ」というのもヤバい。いや、結構ガチな復刻魂を感じさせるモデルだと思います。この場合のアクリル風防は完全に「ご褒美」です。風防タマラン！！ (*´ω｀*)

アイアンマン 8ラップ ビマー（1万4960円 税込）

　「スポーツウォッチの金字塔」と称されたモデルを忠実に再現した「アイアンマン 8ラップ ビマー」。これが歴史ってヤツなのでしょう。高級感とは異なる「謎の凄み」を感じさせてくれます。安っぽいのに軽くない！？

　時代的にオリジナルには反転液晶が無かったそうですが、今モデルではクールな反転液晶モデルもエントリー。スポーツウォッチとしては小ぶりなこともあって、案外と日常使いに向いているかもしれません。いやコレ、かなり使えそうだぞ！！

最後に… タイメックスという名の「誘蛾灯」で身を焼かれるのも悪くない

　小さな蛾がランタンやたき火の炎に飛び込む瞬間を見たことがありますか？？ そう言えばキャンプが趣味だった若い頃、たき火に飛び込んだ蛾が燃え尽きる様を目の当たりにした私は、柄にも無く文学的に考えたのです。「コイツら（蛾）から見た炎って、命をかけても構わないくらいに美しいのだろうか？？」と。

　例えば、銀座の鏘々たる腕時計ブティックはそのどれもが「時計愛好家を捕らえる誘蛾灯」なのかもしれません。狂おしいまでに魅力的な腕時計が居並ぶ様子に平常心を失ったとしても仕方がありませんし、後先考えずにカードを切ったり、無限に思えるほど長期のローンを組むこともあるかもしれません ((((；ﾟДﾟ))))

　その辺りの心境は「炎に飛び込む火取蛾」と同じ。例えば二度と出会えないかもしれない「レアピース」が目の前に現れたとしたら、心の準備云々を無視して「我が身を焦がすことも厭わない覚悟」とやらに命運を委ねることもあるでしょう。正直、社会人としてはどうかと思いますが、腕時計好きとしてならその気持ち、痛いほど解ります。同志よ！！

　ただやはり、銀座のブティックでそれを許されるのは上級国民の皆さまだけです。私のような庶民はもっとこう… 身の程をわきまえた楽しみを見付けるべきなのです。そのために存在するのが「チープカシオ」であり「タイメックス」。その領域であれば私のような「小さなお財布」でも、まるでお大尽のように「楽しく悩む」ことができますからね。炎に飛び込むリスクをおかす必要もないのです (*´ω｀*)

　ちなみに万が一、購入したタイメックスに不具合を見付けたとしても、それが「国内正規品」であるなら無問題。公式ページから所定の手続きを粛々とこなして「返品交換を依頼」しましょう。

　まあ実際のやりとりには多少の面倒が付きものですが、そこでヘソを曲げて私のように「小さな手間を惜しむ」と結局は損をします。正常品が届くまで根気よく手続きしましょう（私は後悔しています…）