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キングセイコーから「VANAC(バナック)」 驚きの復活ッッ!!

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 以前、ゼニス「クロノマスター リバイバル」を見せてもらったとき、私はこう思いました。「こんな感じの70年代デザイン、日本の時計にも色々あったよなぁ」… と。

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1972年に発売された「VANAC」 出典:https://www.seikowatches.com/

 思えばその中に、かつて大阪梅田のヴィンテージショップで見たKS「バナック」のイメージもありました。「どうせならカットガラスで行ったらんかい!!」と思ったかはさておき、「そっかぁ… 70年代の再解釈も始まってるんだなぁ」と、何気ない嬉しさを感じたことはよく覚えています。1970年代に少年期を過ごした人間にしてみれば、70年代モチーフが再び評価の対象になることで、自分の幼少期にもスポットライトが当たるような気がしたのかもしれません (*´∀`*)

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「キングセイコー」から「VANAC(バナック)」のリバイバルが出た!!

 順調なリバイバル路線を進む「キングセイコー」。その様子を見守ってきた私も「このままの勢いで『バナック』まで行ったりしてな!!」と想像することはありましたよ。しかしすぐさま「ないない!! そんな危ない橋を渡るセイコーさんとちゃうな!!」と自省。そして「復刻の正統派路線」を突き進むことこそが「新生キングセイコーの王道」であると考えてきたのです。そう、今の今までは… (@_@;)

PURPLE『SDKV001』

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SDKV001 出典:https://www.seikowatches.com/
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SDKV001 出典:https://www.seikowatches.com/

 おい待て!! これは何だ!? そこはかとなくダダ漏れる70年代テイスト。果たしてこれは現代の時計なのか?? キングセイコー?? KS?? なんと「完全新設計のケース」じゃありませんか!!

NAVY『SDKV003』

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SDKV003 出典:https://www.seikowatches.com/
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SDKV003 出典:https://www.seikowatches.com/

 まさか、まさか… いや、だいぶ現代的に格好良く再解釈されてはいるが… ここまで丁寧に慎重に「新生キングセイコー」のファミリーを拡充してきたセイコーがそんな!!

SILVER『SDKV005』

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SDKV005 出典:https://www.seikowatches.com/
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SDKV005 出典:https://www.seikowatches.com/

 間違いねぇ!! コイツは「バナック」じゃねぇか!!「バナックの新解釈版じゃねぇか!! やりやがったな!! セイコーさんよぉ!!

「新生VANAC(バナック)」の誕生

 まさか、毒手を受けまくったから、或いは瓶いっぱいの砂糖水を飲んだから「復活ッッ!!」したわけではないでしょう(解らない方は漫画「刃牙」を読んでくださいな) 何にせよ、思い切った復刻(?)に踏み切ったなぁ~と思います (;´∀`)

 いや、待てよ!?… これって私の「予言」が当たったんじゃないですか?? 確かこの記事の中で言及を… あった!!

 そうですよ!!「KS1969」が出たときに書いた記事の中で、私は確かに「バナックにまで対象を広げてもらいたい」と希望を述べています。まさか本当に… ホントにホントに実現しちゃうなんて。

 まあ、キングセイコーの歴史自体が短いものですし、復刻の魔の手(?)が「バナック」に及ぶ可能性自体は低くありませんでした。

 ですが、何せ「バナック」です。多面体のケース、過剰な差し色。自己主張の激しすぎるインデックス… それらは急激に「過去を否定して未来へ突進した」70年代だからこそ許されたデザインでした。

 そして、2025年に突如として現れた「VANAC(バナック)」。それはヒッピー文化と並走したかつてのバナックとは似ているようで似ていない別種の時計です。ただ、オリジナルバナックの「現代には受け入れがたい要素」を上手にソフィスティケイテッドすれば、2025年版バナックが現れる気もします。個人的には「2025年版のボックスインデックス」「2025年版のカットガラス」が見たかったですが、それをやってはいけない理由は明白です。

現代人の「許容範囲ギリギリ」を攻めた『新生バナック』のデザイン

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 デザインなんてものはですねぇ~ 要するに「根拠のカタマリ」なんですよ。シンプルな線一本引くにも根拠が必要なのです。必然が見られないデザインは「買わせる説得力」に乏しく、故に「お財布を開かせるに足る説得力」に欠けるのです。

 皆さんはどう見ますか?? 今回の「バナック復活ッッ!!」。正直、70年代当時のデザインをそのまま現出させて、今の人たちにすんなり受け入れられる可能性は低いでしょう (;´Д`)

風防は「カットガラス」から「ボックス型クリスタル」へ

 例えば当時流行した「カットガラス」が、現代に甘受されるとは思えません。強い拒絶反応を生み出すことは自明です。そこでチョイスしたのが「ボックス型クリスタルガラス」。バナックのクセの部分、高い趣味性からは遠ざかりますが、そこを諦めたのは英断だと思います。売れなきゃ作る意味がないですからね。

 70年代の特徴とも言える、厚みのある「ボックスインデックス」にしたところで、採用しなかったのは同じ理由からでしょう。ダイヤル内部に強烈な陰影ができるので、見ている分には楽しい意匠ですけどね (*´∀`*)

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現代人の感覚に沿う形で「ラグスポ風」にリデザインされた「ケース」

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 70年代の「VANAC(バナック)」は、貪欲に新しいものを求めた70年代の指向性そのままに、自由奔放なシルエットが特徴的でした。しかし、これをそのままの形で今の時代に復活させたとして、それが多くの一般消費者に受け入れられるとは到底思えません。一部好事家を喜ばせるに留まる可能性は高かったでしょう。

 腕時計デザインの「70年代再解釈」が遅れた理由は、まさにそこにあります。70年代に花開いた価値観や文化は、あまりにも突飛過ぎる「文化の特異点」なのです。

 そんなことはセイコーさんも百も承知。オリジナルバナックが持っていた際どいセンスを、今の時代という構文に当てはめて解釈し直したデザインを見せてくれました。まあ確かに、「バナック復活!!」と聞いてイメージする時計としては「毒性」「インパクト」に欠けます。但しこれも「売れなきゃ意味がない」商売の原理原則がもたらした「落とし所」だと考えると、70年代を体現したオリジナル同様に今回の「新生バナック」だって、「2025年を体現するバナック」であることは間違いありません (*´∀`*)

プチゴージャスなムーブメント「Caliber 8L45」を採用

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Cal.8L45 出典:https://www.seikowatches.com/

 セイコーの現行機では最高の性能を誇る「キャリバー8L45」を搭載しています。日差+10秒~-5秒という素晴らしい精度。ゼンマイの基本性能を上げ、約72時間の持続時間があります。ダイバーズに搭載しても問題のない堅牢性と同時に、ローターや受け板の精緻なギョーシェで鑑賞に堪える美しさも備えています。

 個人的にこのムーブメントには関心があります。ウチの「6R」たちと比較して、どのくらい優勢なのか見てみたいですね (*´ω`*)

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Cal.8L45 出典:https://www.seikowatches.com/

 うん!! 確かにキレイ。強いて突っ込むとすれば… 妙に頼りない穴石かなぁ~??「手巻き版」を見てみたいと思うくらいには美しいムーブメントだと思います。

 以上の3種類が「レギュラーモデル(?)」と呼べるでしょうか?? 発売予定は2025年7月、セイコーウオッチサロン専用モデルとなっています。

「8L45」に関する追加情報

 オレたちの「キャリバー コーナー」さんで「8L45」に関する面白い記述がありましたので、細かいスペックとともにまとめておきます。

 「8L45」はGSの「9S65」をベースにしたと言われる高性能ムーブメント。「45」の前には「35」も存在するわけですが、以下の項目を除きスペック上の差異はないそうです。

スペック項目8L45 (9S65 ベース)8L35(9S55 ベース)
宝石 (Jewels)35石26石
パワーリザーブ72時間50時間
精度-5/+10秒/日-10/+15秒/日

 何でしょう… 全然別物ですね!!

 興味深いのはここから。「キャリバー コーナー」さんによると、「8L45」のベースである「9S65」も35石で72時間のパワーリザーブを誇っていたそうです。要するに、2010年に発表された「9S65」の直系子孫として「8L45」が産声を上げたわけですが、注目すべきはこの15年前のご先祖さま「9S65」の精度、「-3/+5 秒/日」… はい、8L45よりも遙かに優れているのですよ (;´∀`)

 GSではない、「普通のセイコー」として「最高性能」を謳う「8L45」ではありますが、好意的に解釈すれば「低価格でGSに近い性能を楽しめる」と考えられる反面、「9S65」ムーブメントに性能で負けている「劣化版」と言われても仕方がない面もあるのです。

 ただ、どれだけ盛り上がっても「グランドセイコーに勝ってはいけない」ところがある「キングセイコー」。その少々気の毒な立ち位置を思えば、「8L45」というムーブメントの味付けは案外と「絶妙」なのかもしれません。潜在能力を開放せず、ある意味「わざと性能を落としている」奥ゆかしさに、グッときますね(笑)

さらに2種類の「VANAC(バナック)」 限定モデルも!!

 実は早くも「限定モデル」の予告が出ています。バナックの特設ページに最初から入っていたくらいですから、レギュラーモデルとほぼ同時の発表ということになるでしょうか??

 数多のブランドで「限定モデル」がこれだけ展開されるということは、計算の成り立つ商法だからであって、それ自体をとやかく言うつもりはありません。

 しかし「7月11日」と直近に迫る発売予定日が、元々は「レギュラーモデルのいずれか」を購入するつもりだった消費者に与える「心理的な影響」は無視できません。「どうせなら限定買うか」と変節したり、本来なら「2本目のバナック」として限定に触れる可能性のあった消費者に、余計な悩みを与えるかもしれないからです (;´∀`)

 このタイミングでのアナウンスが吉と出るか凶と出るか… セイコーさんのお手並み拝見ですね!!

ICE BLUE『SDKV009』(セイコーブティック専用モデル)

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SDKV009 出典:https://www.seikowatches.com/

 まずは限定ではない「セイコーブティック専用モデル」から。

 「まぁ~たアイスブルーですか!!」と冷ややかなご意見もありそうですが、何やかんやで売れると思います。それにしても息の長いブームですね。アイスブルー系。

 ダイヤルは「燦燦と光が降り注ぐ東京の景色」からインスピレーションを得たカラーリングとのこと。言われてみれば、空気遠近法により霞んで見える「青みがかった遠景」をイメージできないこともありません。

GOLD『SDKV007』(限定モデル)

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SDKV007 出典:https://www.seikowatches.com/

 レギュラーモデルと同時にリリースされる限定に意味があるかはさておき、これは素直にお洒落ですねぇ!! パープルよりむしろこちらの方が、レギュラーに相応しかったかもしれません。ブルー系のスーツにも相性も良さそうですし、汎用性の高いデザインだと思います。

 「東京の地平線から昇る朝日をモチーフ」に、荘厳なゴールド系カラーでアクセントを付けた「セクターダイヤル」が美しい限定モデル。裏ぶたのキングセイコーロゴもゴールドだそうです。



最後に… キングセイコー「VANAC(バナック)」が『70年代リバイバルブーム』を牽引する… かも!?

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ジャケットスタイルはもちろん… 出典:https://www.seikowatches.com/

 一時は「新製品って言うても、ダイヤルしか変えてへんやん??」と言われることも多かった「セイコー」さん。しかし「キングセイコー」で完全新設計のケースを発表。その後も新機軸に対しては「おニューのデザイン」を惜しげもなく投入し続けています。

 最近は「変える部分」「変えない部分」の見極めが出来ている感じですね。ブランディングの意識が高くなっている証拠です。

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レザーやニットのアウターにも似合う!! 出典:https://www.seikowatches.com/

 そうそう、今回の「バナック」に関して「英断」がもう一つ。恐らく「無くす」というアイデアもあったと思うのですが、「デイト」を付けたのは正解でしたね。このデザインで「ノンデイト」の完成度を高めようとすれば、41ミリのケース径は少々大きいのです。

 さらに、デザインを現代的に成立させる役割もデイト枠が握っていると思いました。目を閉じて「デイトなし」を想像して下さい。何となく、もっさりしませんか??

 70年代の「やり過ぎデザイン」から、美味しいところだけをチョイスして、現代のバランス感覚でまとめ上げた「新生バナック」。いずれは復刻も有り得ると心の準備はしていましたが、まさかこれほどまでに早い段階で実現するとは思っていませんでした。

 もしかすると「そろそろ70年代復刻ブームが本格化する」との読みがあってのことかもしれません。オリエント「リバイバル」のような時計にしてみれば、かなり「今更」なことかもしれませんが、キングセイコーという「現代の金看板」でそれが達成されることには、大きな意味があると思います。

 キングセイコー「バナック ライン」がこれからどんな広がりを見せてくれるのか… 楽しみですねぇ (*´ω`*)

King Seiko VANAC 396,000円(税込)
ムーブメント8L45 自動巻(手巻つき)
精度日差+10秒~-5秒
駆動期間最大巻上時約72時間持続
石数35石
振動数28,800振動/時(8振動/秒)
機能カレンダー(日付)
ケース材質ステンレス
ケースサイズ横:41.0mm、縦:45.1mm
風防ボックス型サファイア(内面無反射コーティング)
ルミブライトあり(針・インデックス)
尾錠ワンプッシュ両開き方式
防水性能日常生活用強化防水(10気圧)
耐磁あり

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • 今月初旬、銀座のセイコーショップにて実物を見る機会に恵まれました。
    なんとも言えない不思議な魅力がありました。
    第一印象で一番良かったのが007(ゴールド)、次に001(パープル)。
    007を手首に巻かせていただきました。
    やや大きめのケースですが、ダイヤルは小ぶりに感じました。
    ブレスはデザインも質感も装着感もグッド。
    でも、とにかく厚く重い! 残念ながら私には無理です。
    HPにもカタログにも重量が記載されていませんが、私の最重量腕時計(実測142g)よりも2ランクは重い。フルコマだと170〜180gぐらいありそう。
    8振動(8L45)は魅力的、6Rアレルギーの人(私です)にも刺さりそうです。
    他のキングセイコーにも搭載されたら、価格と仕上がりによってはGSの顧客を喰っちゃうかも?
    GSは8振動(KSよりも格上の9S65)で64万円、さらに格上の10振動なら80万円以上ですからね〜(汗)
    ダイヤルが素晴らしいSDKA011、013が8振動搭載であの値段なら買いたくなっちゃいます。6振動であんなに高いのはなぜ?
    高いけどモノが良く正確なGS、安いけどモノが良く正確なティソ、さらに安いけど正確なオリエント。
    KSもティソぐらいのコスパ、正確さ&安定性が欲しいです。

  • 最初見た時は何て奇抜なデザインだと
    思いましたが、50年前のモデルがベースにあるんですね。

    ただ新しさも感じれるように、工夫がされているのが
    さすがはセイコーといった感じです!

    少し動画で拝見しましたがまばゆい光を放っていました。笑
    実機を見るのが楽しみです♪

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