些か「容姿に自信のない男」である私が女性に好かれようと思えば、それはそれは涙ぐましい努力の積み重ねが必要でした。
若い頃はギターをやったり、流行りの服を着たり… あながち間違いとは言えない努力もありましたが、中には「コーヒーをブラックで飲む」「夜でもサングラスをかける」など、勘違いも甚だしい方向性で血道を上げていたこともあります。
それもこれも、イケメンであれば「終生縁のない苦労」です。イケメンならば、例えサルマタ一丁で街を闊歩したとしても「サルマタ姿のイケメン」ですからね。「イケメン無罪」という流行り言葉が示すように、イケメンならば全ては正当化されるこの世の中。平等なんてねぇ… この世には存在しないのですよ!! (´;ω;`)
そしてつくづく思いますね。可哀想なんですよ、うちの腕時計たち。「イイ男」が着けてやれば、もっと「輝ける」逸材ばかりですもの。そうだよね?? 高級腕時計に生まれたからは、どうせなら「イケメンに巻かれたい」… よね??
「淑女」たちはイケメンに巻かれたい
腕時計の所有本数にもよると思いますが、日常的な「手に取りやすさ」を考えて、何らかの「コレクションケース」を使っている人も少なくないはずです。
10本、20本… 私が使っているもので言えば「32本収納用」が一番巨大。そうそう、コイツですよ。
ゴルゴ13が愛用する「アーマライトM16」が入っていそうなヤツです (;´Д`A
ここに収まるのは、私基準で「ハイエンド」に属する時計たち。お金持ちの方には鼻で笑われそうなコレクションですが、ケースのフタをパカッと開ける度、私は王様のような尊大さで「うむ、苦しゅうない」と呟きながら、今日一日の相棒を選ぶのです。実際、私は彼女(時計)たちにとって唯一無二の「ご主人様」ですからね!!
思えば、時計たちの身の上も気の毒です。金にあかして買い集められ、狭苦しいケースに押し込められ、唯一の外出の機会である「ご指名」を待ち続ける日々…
私には知る由もありませんが、もしかすると暗いケースの内部で、淑女たちによる「不満たらたらのトーク」が展開されているかもしれないわけでして… (;´Д`)
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なに!? なによコレ「放置プレイ」なの??
先週外出できたでしょ??アンタは
せめて「週一」で連れ出して!! って話よ!!
無理でしょ?? どれだけの時計が待機してると思ってるの??
こんな現状もさ…
ご主人が「イケメン」なら耐えられるのよ!!
いきなりどうしたの??
アタシってホラ、シュッとしたお顔の「ラグスポ」じゃない??
イケメンに巻かれないと「映えない」のよ!!
あ~、それは言えるね(汗)
アンタだって「ダイバーズ」じゃん??
まあ、一応ね
あの人「海に入るの嫌い」なのよ!? 乾いたらねちゃねちゃする海水が嫌いって、そんなの…
アンタを「持ってる意味」ある??
それは言わないで!! 自分を否定したくなるから(汗)
買ってくれたのには感謝してるけど、できればスポーツ万能で社交性の高い「ハイスペック・イケメン」が良かったよ!!
アンタそれ、態度に出しちゃダメだよ?? ワザと「磁気帯び」したりとか…
しないよ!! 消磁器に乗せられるのヤダもん!!
あの人、すぐに消磁しようとするからね(汗)
はぁ…「イケメンに巻かれたい」…
その腕時計が真に「輝く瞬間」
こんな会話が聞こえてきたらどうしようと、アホな妄想を巡らせてみましたが… 一つだけ言えることがあります。身体を装飾するシロモノである以上、どんな腕時計も「美男美女」の身に着けられた状態でこそ「最大に輝く」のです。これはもう絶対原則ですから、私に限らず遍く広く、すべての人がこの原則からは逃げられません。
例えば、トータルでの「格好良さ」を数値化できる「スカウター」みたなデバイスがあったとします。私がどれだけ気張って一番格好良いと思った腕時計を着けて、限界までおめかししたとしても「上下ユニクロのイケメンがチープカシオを身に着けた状態の数値」を上回れるとは思えません。
デザイナーだって、わざわざ私のような冴えないオッサンに使われることをイメージしてデザインするわけではないでしょう。デザイナーが意図したコンセプトで身に着けることが、商品の魅力を最大限に引き出す使い方であるならば、見目麗しい男女に使われてこそ、格好良い腕時計もハイセンスな洋服も報われるのです。
ウチの腕時計たちも私に使われるたびに「格好良さ…たったの5か…ゴミね!!」なんて台詞を吐いているかもしれません。おかしいなぁ… 聞こえるはずのない声が聞こえる…
腕時計購入時に感じた「容姿不相応」の正体
腕に載せた瞬間、「自分には無理!!」と逃げ帰りたくなる時計があります。価格的には「買える現実的ライン」の範疇であっても、私のような男が着けるべきではないと「魂が拒絶反応を起こす」… そんな時計があるのです。
言うなればそれは「イケメンのための時計」。洋服にもありますよね?? 袖を通した瞬間、あまりにも予想と異なるシルエットを目の当たりにして、反射的にこの世とオサラバしたくなるような… そういった商品はその出自からして、私のようなオッサンにどうこうされるようには作られていないのです。事前に言ってほしいですよ。スタッフさんが正直に「お客サマには不釣り合いかと…」と諭してくれたら、トラウマ級の情けない姿を記憶に残さなくても済んだわけですから。
洋服ほどではないにしろ、腕時計にも身に着けるための「資格」とも言うべき「容姿の条件」があるのでしょう。私の場合は「シュッとし過ぎたデザイン」がとにかく似合いません。どこかに一箇所だけでも「抜けた部分」があれば、そこを突き崩して「自分と時計をエンゲージ」させることも可能です。ただ、一分の隙なく考えられたデザインの場合、何をどうすれば自分という人間にこの時計を落とし込めるのか… 取り付く島が見出だせないのです。
そんな私にも確実に似合う「ミリタリーウォッチ」の妙
私がシンパシーを感じられるタイプの代表格は「ミリタリーウォッチ」だと思います。大勢の兵士たちに配給されることを念頭にデザインされたそれは、装着者を「容姿の良し悪し」や「年齢」「性別」で差別したりしません。そもそも最初から「格好良く着けてもらおう」なんて余計な意図がありませんからね。
ミリタリーウォッチを着けて「うわぁ… めっちゃお洒落!!」と感じるのは、平和な日常空間に軍モノを落とし込むという「外しの美学」ゆえでしょう。それこそ、上から下までオリーブグリーンの戦闘服に身を包んで生活する「ガチなミリオタさん」でもない限り、あらゆる人にとって、ミリタリーウォッチは非常にユーティリティー性能の高い「外しアイテム」であると言えます。ミニマルファッションとしても認知されていますしね。
例えばIWCの「マークシリーズ」や、ハミルトンの「カーキフィールド」が似合わない人なんて見たことがありません。この辺りはある意味、余計な色気を排除することでラグジュアリーとは方向性の異なる「美」を手に入れた時計たちです。着ければ誰でも少しだけお洒落に見える… これぞ「ミリタリーウォッチの妙味」です。
ウチの時計たちが「イケメンに巻かれたら」どうなる??
「腕時計オフ会」に参加しはじめた最初の頃は精一杯気張って、手持ちで一番高級な時計を着けて行ったりしたものです。最近はどうかと申しますと、「これは見たことあるまい!!」みたいな時計を持参することが増えました。お値段なんて関係ありません。良くも悪くも「何ですかそれ??」と言われたいのです (;´∀`)
で、初めてお目にかかった人であっても可能な限り触れてもらって、腕に巻いてもらうのが私のオフ会での流儀です。そうして心の一角に「あの時計面白かったなぁ~」という記憶が残れば、後々お仲間になれる可能性だってあるわけです。ちなみに現在の「推し」はジャガー・ルクルト「レベルソ スクアドラ ホームタイム」。まだ一度も「異形のどデカレベルソ」で同志には出会えていませんので、地道な「布教活動」を通じて「スクアドラ教」を広めたいと思っています(笑)
スクアドラ以外にも「良かったら巻いてみて下さい」と促した時計は沢山ありますが、その都度思うのですよ。「着ける人が変われば腕時計の見え方も変わる」と。そしてイケメンさんに巻かれているのを見たとき、嫉妬と諦観が混ざりあった「不思議な気付き」があったのです。「そうか… お前たちって、そんなに美しかったんだね」と。
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ぶっちゃけ最高だったね…
うん、最高だった…
オフ会でスゴいイケメンに巻かれちゃったよワタシタチ!!
興奮しすぎて「振り角」がおかしくなっちゃった…
他にもスゴい時計ちゃんをはべらせてる人なのに、私たちにも興味持ってくれたよね!!
そうそう!! 扱い方もイケ散らかしてたし
イケメンに巻かれたワタシタチの可愛さったらどうよ!?
アンタもめっちゃクルクルされてたじゃん!?
「ベゼル」めっちゃ回されちゃった(笑)
ワタシも「ラグスポも一本は欲しいですね」なんて言われちゃったし…
いっそのこと、イケメンに激安で下げ渡してくれないかなぁ~ ウチのご主人(笑)
…お前らなぁ~ まとめて中野に売り飛ばすぞ!!(笑)
ぶっちゃけコイツらは解っていないんですよ。他に何の楽しみもない、腕時計趣味だけが唯一の拠り所になってしまった孤独な男の…「非モテ野郎の深情け」ってやつが。
砂布巾が主人で良かったでしょ??(笑)
購入直後は「激賞」していたはずなのに、数ヶ月で手放される腕時計もあります。そこは「恋愛にも似たり」ってやつで、蜜月の長さも人それぞれ。それを外野が云々するのは、恋人たちの事情にいらぬちょっかいをかけるようなものです。
あっという間に対象の腕時計に対する興味を失ってしまう方の心中は理解できませんが、売り払うからには「二度と愛せない」という確固たる見切りが付いたということでしょう。
私の場合、そこの踏ん切りが本当にダメでして。「またしばらくしたら着けたくなるかもしれない」なんて「根拠に乏しい希望的観測」ってヤツが、ことごとく最後の決断を鈍らせるのです。腕時計を売り払うって… 難しいなぁ (;´∀`)
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ねーねー!! 聞いた??
何の話??
前にオフ会で友だちになった可愛いラグスポちゃんいたじゃない?? あの子、売られちゃったんだって…
え!? どういうこと?? まだまだピッカピカの「新品同様」だったじゃない??
なんか新たに同型の限定ダイヤルが出たらしくて、買い替えられちゃったんだって!!
「売るなら早めに!!」とか言われて…
マジかぁ~!! 限定ちゃんはマジで略奪するよね!!
ちょっとだけ怖くなっちゃった… 大丈夫かな?? ウチのご主人さま…
う~ん… ウチのご主人は限定に浮気する人じゃないから大丈夫じゃない??
それだけじゃないよ!! ほら、型落ちした瞬間にお払い箱にするご主人さまだっているじゃん??
あ~ それもないね!! 砂布巾さんに限っては
そなの??
周りを見てよ?? 私たちよりはるかに古いお婆ちゃんたちでも後生大事に扱われてるじゃない?? あの人にとって「新しいか古いか」って、あまり意味がないんだと思う
じゃあさ、ワタシタチが型落ちになってキズキズになっても、ご主人さまは手放したりしない??
むしろ「この傷が愛しい」とか言うんじゃない?? 砂布巾さんは(笑)
何それ!? 変態過ぎる(笑)
そんなのだから節操なく腕時計が増えるんだよ(汗)
やかましいわ!! 重々解っとるわ (;´Д`)
最後に… 今回は真面目にふざけました(笑)
まあ、こんな感じで時計たちにも色々と思うところがあると思うんです。実際、こんなことって無いですか?? 寿命間近のパソコンとかプリンターに「まだまだ頑張って」と声を掛けると、途端に調子が良くなったり。
私自身、何度もそういう不思議な経験をしてきたことで、機械に宿る「魂」みたいなものの存在を感じるようになりました。ましてや腕時計は常に腕に巻かれて寄り添ってくれる存在です。心通わせる頻度で言えば、OA機器の比ではないでしょう。
本来なら毎日、肌身離さず使うべき腕時計。もしかしたら彼女(腕時計)たちも「自分こそが本命なのに!!」と考えているかもしれません。
格好良いケースに収納して待機させていると言えば聞こえは良いですが、実際のところただの「放置プレイ」。当の本人(腕時計)たちにしてみれば、「ウチのご主人、愛情薄いのよ… 」と腕時計用の枕を涙で濡らしているかもしれないのです。
到底使い切れない数の腕時計を持っていらっしゃる方であれば、今回の「彼女たちのボヤキ」が沁みたのではないでしょうか?? 毎日は着けてやれない、でもお前たちを愛している… リアルな彼女であればその「想い」を伝える手段は豊富ですが、相手が腕時計となるとどうすれば良いものか…
「ちょっとだけ値の張るストラップを新調してやる(洋服のプレゼント??)」「センスの良いリストショットを撮る(一緒にプリクラ的な??)」… その辺りかもしれませんね。
取り敢えず今夜は、ラグスポ子ちゃんとダイバーズ子ちゃんに「クリスタルガード クロノアーマー」をタップリ塗って(エステ??) 機嫌を直してもらいたいと思います (;´∀`)
ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
当然のように性別はメスなんですねww
自分は業務によって使い分けたりしているので、
気持ち的には守護霊的な相棒感覚で日々時計を選んでます。
一番付き合いの長い時計はG-SHOCKで、大学生時代からのやつもありますが、
まったく時計に関する知識がなかったので、付けたまま温泉に入ったり
酔った勢いでレンジでチンしたりしたこともあるので、コイツは多分口きいてくれないですね!ww
Y太さま、私にとって腕時計は女性名詞です(笑)
実際そのように扱っているつもりですが、それでもヘソを曲げられる辺りもなんだか…(笑)
さすがのワタシもレンチンの経験はありませんが、ゴミの日に間違ってスピマスを出しちゃったことならあります(笑)
罪深い!!