2026年の年明け早々のこと。シンガポールのとある腕時計ブランドさまから一通のメールが届きました。
「私たちの腕時計を使ってみてくれませんか??」
レビューのご依頼かな?? と身構えつつメールの内容を確認しましたところ、本文の中段辺りに「これはレビュー記事依頼ではありません」と明確な注意書きを発見。
だいぶ気が楽になって「そういうことなら喜んで!!」とお引き受けする方向で返信のメールをしたため始めたワタクシ。いやいや、ちょっと待って下さいよ!?… 本当に時計を使うだけで良いのでしょうか。
実機を貸していただくからには、私個人にしても腕時計喫茶にしても、相応の責任が生じます。そもそもお借りした時計を使って「ああ、楽しかった」で済ませて良いなら、他に適切な発信者が幾らでもいるはずです。
SNSのフォロワー数ですら気にしたこともない私のところに「お話」が来るということは、要するに「腕時計喫茶での言及」に期待しているということでしょう。期待されたら黙って応えてこその「腕時計喫茶」。それが私の「腕時計道」です (*´ω`*)
フロム シンガポール「Hitori Watch(ひとりウォッチ)」とは??

今回、腕時計喫茶をレビュワーに指名して下さったのは、シンガポールの時計ブランド「Hitori Watch Co.(ヒトリ・ウォッチ・カンパニー)」さんでした。SNSか何かで写真を拝見したことならありますが、詳しいことは解りません。もちろん、実機を拝見したこともありませんでした。
「ひとりウォッチ」さん(可愛らしいブランド名ですね!!)は、シンガポールを拠点とする時計ブランド。企画と意匠を自社で行い、生産に関しては日本のパートナーと協業体制にあるそうです。
ここで不思議に思ったのは、間にインドシナ半島があるとはいえ、地理的には中国の方が日本よりずっと近いシンガポールの企業さんが、何故にわざわざ遠く日本のサプライヤーを頼っているのかについてです。「ちょっと打ち合わせに行ってきます!!」って距離ではありませんからね (;´∀`)
ひとりウォッチさんの〝ひとり〟の由来は??
日本人ならば何やら気になって仕方がない「ひとりウォッチ」さんのブランドネーム。一体、どのような由来があるのかを伺いました。とても丁寧に答えていただきましたので、要約して転載させていただきます。
「ひとり」とは孤独を意味するものではなく、曖昧さを排し、ひとつの静かな方向性を選び続ける〝弛まぬ意思〟を意味する言葉です。
創業の段階から〝One quiet vision. One enduring craft.〟… ひとつの静かなビジョン。ひとつの不朽の技を社是に、流行や過剰な装飾から距離を置きつつ、信頼性のある機械、丁寧な仕上げ、節度あるデザインを「無理のない価格で届ける」… そんな独立系ブランドでありたいと思ってきました。
「ひとり」とは、そんな私たちの意志の象徴なのです。
深かった… 可愛いから付けました~ みたいなライトな理由ではありませんでした(笑)
さらに私の勝手な解釈を加えるなら、それは「誓い」のようなものではないかと思いました。悩んだときに幾度でも立ち返るべき〝原初の意識〟として刻まれる「ひとり」なのかもしれません。
強い拘りを持って「日本で作る」

〝日本で作る〟… その理由は「ひとりウォッチ」さんの公式ページの中にありました。とにかく「日本のモノ作り」に対する〝リスペクトが熱い〟のです。
それだけに留まらず、日本の自然や風土・文化に至るまで、その全てにシンパシーを感じているように見受けられました。もちろん「日本製のパーツを使っている」ことが、絶大な信頼を生む〝価値〟であることは間違いありません。しかしそれ以上に、日本という国を「情熱を持って理解しようと努めている」のが伝わって来たのです。
日本人としてはこれほど嬉しいこともありません。そして、諸外国から見たときの日本のモノ作りが、未だ〝憧れの対象〟であることに誇らしさも感じました。と同時に、日本のモノ作りに対して一番厳しい目を向けているのは自分たち… 当の日本人なのかもしれないという反省も…
「憧れの日本で自分たちの時計を作る」… そこに強い拘りを持っている「ひとりウォッチ」さんです (*´∀`*)
日本のモノづくりへのリスペクトが垣間見える「ひとりウォッチ」のラインナップ

「ひとりウォッチ」さんが、どういった時計を作ってきたブランドさんなのかについても触れておきましょう。現状、こんな感じの実用的なモデルを「400ドル中盤から800ドル中盤」で揃えています(興味のある方はひとりウォッチさんの公式をご覧下さい)

取り敢えず、読者の皆さんのお気持ちを代弁しましょう。「セイコーやん!?」ですよね??
グランドセイコーやプロスペックスの影響が色濃いデザインの時計が多い… それは間違いありません。ぶっちゃけ、似たような文脈で語られる時計は少なくありませんし、特段珍しくもありません。とはいえ、「ああ、またか」と、瞼を閉じたくなった方だっていらっしゃるでしょう。
助走としての〝セイコーオマージュ〟
これまでに腕時計喫茶では何度も言及してきた腕時計界隈の問題に「剽窃」と「オマージュ」があります。剽窃はお話にもなりませんが、オマージュにしてもその乱用に疑問を呈してきた側のサイトです。
この二つの境界線は、そこに〝敬意が感じられるか〟で分けられます。
文化的背景を理解し、その時計を生み出してきた人たちや歴史に対して、明確なリスペクトがあるか… そこが欠けていれば〝剽窃〟と呼ばれますし、そこが明確であれば、例え見た目は似ていても、そのデザインは〝個我〟を持ちます。
心情的に言えば、ひとりウォッチさんは〝後者の立場〟にあると思います。
ひとりウォッチさんには前述したような〝日本のモノづくりに対する大きなリスペクト〟がありますから、その「憧れの具現化」として見るこれらの製品からは、どこか「ファンアート」のような空気も感じられます。見ているだけで「めちゃめちゃセイコーが好きなんだろうなぁ」と感じられるのは、ひとりウォッチさんの「日本愛」が本物だからかもしれません。
そもそも日本のモノづくりを支えて来たのも〝適度な模倣〟でした。例え模倣から始まったとしても、どこかの段階でオリジナルを追い越してしまうのが「メイド・イン・ジャパン」の真骨頂。
ひとりウォッチさんの作る「シンガポールと日本のハイブリッド」にも、常に同様の〝気概〟が試されます。そしていつかは「ひとりウォッチと言えばコレ!!」と誰もが思い浮かべる時計を作らなければなりません。
セイコーオマージュは〝助走に過ぎなかったのかもしれない〟と思わせることのできる存在の必要性… ある!! あるのですよ!! その名も「Nexus(ネクサス)」。これが見るからにヤバい時計でして… (@_@;)
ひとりウォッチのフラッグシップ モデル『Nexus Shirakawa(白川)』が送られてきた!!

こちらから指名したわけではありませんが、数回にわたるメールのやりとりの末に、さも当然の如く、フラッグシップ モデル「Nexus Shirakawa(白川)」の発送が決まりました。
わざわざ運送費を支払って時計を送ってくれるのです。SNSで「カッコいい!!」「超おしゃれ!!」と2、3回呟いてハイおしまいでは申し訳なさ過ぎます。なので簡単なレビュー記事をお約束しました。
レビューする側のワガママかもしれませんが、こう言うときに〝一番上のモデル〟を送ってくれるかどうかで、ブランドさんの「本気度」が推し量れる気がします。自分たちの「全力」を感じて欲しいのであれば、最初から「一番気合いの入った時計」を送るのが手っ取り早いですし、諸々の誤解を減らせるからです。
合わせて「忌憚のないご意見をお願いします!!」と仰って下さいましたので、ある意味〝いつも通り〟忖度のない意見をまとめたいと思います (*´ω`*)
『Nexus Shirakawa(白川)』を開封します

予想よりずっと大きな箱が届きました。高級茶器が収まっていそうな「ボックス」と一緒に同梱されていたのは「キャップ(帽子)」(笑)。オマケで付けて下さったみたいです。最近、色んなブランドさんでキャップを進呈される機会が増えたので、そろそろ〝腕時計ブランドキャップコレクター〟の称号がもらえそう。

さて、見た目の良いボックスを開けるとそこに、白いダイヤルが爽やかな「Nexus Shirakawa」がありました。当初思っていたよりも遥かに上の高級感があって、第一印象でやられました。
それでは早速、「ひとりウォッチ」さんのトップグレード、フラッグシップモデル「Nexus」を拝見させていただきましょう!!
瞬時に視線を捉えた「風変わりなケースデザイン」

まずひと目で「馴染みのない形」だと思いました。〝ひとり〟のブランドロゴが思いの外インパクトがあって、そこを中心に全体の印象が輪郭を帯びていく… そんな感じ。
ケース径は「39.5ミリ」、厚みは「10.6ミリ」。そこそこ主張が強めで、尚且つ袖口でもたつくこともない絶妙なサイズです。特段大きくて「目立つ量感」ではありませんし、白いダイヤルも相まって、もっと大人しい印象を受けてもおかしくない時計だと思います。
ところが、数多くの時計に接してきた私の目から見ても、「Nexusの存在感」は、明らかに〝異常〟でした。他の何と比較すべきか、何を評価のモノサシにすべきか… 過去との接点を探ろうにも、目の前にあるのは見たことのない物体。ここから先は知識ではなく、私自身の「感性」が試されそうです。ガクブル… ((((;゚Д゚))))
肉抜きされた「ラグ」

ケース周りは、これまで見たことのないカタチで溢れていました。まずは「ラグ」です。がっつり「肉抜き」が施された挑戦的なデザインは、どこかワイヤーラグの子孫にも見えます。視覚的な〝軽やかさ〟を感じさせるという点でも同様です。
「こんな形状のラグ、他にあったかしら??」と脳内データベースで検索をかけましたところ、「そう言えば〝ドゥベトゥーン〟にこんなのなかった??」と思い出しました。もしかしたら私が知らないだけで〝肉抜きラグ文化〟なんてものがあるのかもしれません。

実際、ラグの仕上げは難しかったはずです。肉抜きにより生まれた複雑な曲線は明らかに〝職人泣かせ〟。一般的なラグに比べたら作業の手間も相当なものだったでしょう。ひとりウォッチさんの難易度の高いデザインを形にした日本のサプライヤーさんにも敬意を表したいと思います (*´ω`*)
ラグのブリッジに支えられた「シリンダー型ケース」

ラグとは別体で作られた「ケース」。ずどんと円柱の形をした〝シリンダー型〟です。
繊細なタッチのラグと反比例するかのような構造体ですので、自然とそこに視線が集まります。個性的なラグが成すブリッジに填められる形で固定されたケースからは、一種独特の「主体性」を感じました。ケースとラグ… 普通は一体感を目指す箇所だと思いますが、ケースとラグの相対関係を一旦分断することで生まれた〝ある種の違和感〟こそが、「Nexus」に私が感じた〝面白さの源泉〟だと思います。
ちなみに安心の「100m防水」です。
洗練なんて必要ない「デザイン」

ケースとラグの関係性を何かに例えるならば、ボートなどで見られる「アウトリガー」です。転覆防止のため舷外に付けられた〝ウキ〟が外見的特徴であるアウトリガー艇に良く似ています。
日本のお祭りで見られる「お神輿」にも似ているでしょうか。ご神体であるケース(ダイヤル)を祭り上げてワッショイしているようにも見えます。
ラグフレームにケースを固定する「独自のクランプ構造」自体はかなり面白いと思います。こんな構造体にはお目にかかったことがありません。

ですが正直〝洗練されている〟とは感じませんでした。通り一遍のデザイン的文脈で言えば、かなり〝未完成なソリューション〟だと思います。昨今流行りの無駄を削ぎ落としてクールに纏める方向性とは真逆にあるデザインです。
ただ、「Nexus」のデザインは〝これで良い〟のだと思います。
デザインとは数学に似た〝学問〟であり、故に〝明確な答え〟も存在します。デザインにおける「洗練」とは、この答えを探すプロセスそのもの。つまり、洗練を突き詰めた先にあるのは同じ答え…「画一化」なのです。
そうなると外見的な差別化は困難になりますし、高価な素材や仕上げの極地といった「新興ブランドには手が出せない領域」での勝負を強いられるのは目に見えています。
新興ブランドが頭角を現すために行うべきは「解りやすい差別化」でしょう。無骨で辿々しいパネライのデザインがお洒落に見えるのは、長年頑固にそれを貫き、時間をかけて消費者を説き伏せてきたからに他なりません。突飛な外見の「Nexus」にブランドのイデアが宿るその日まで〝意図を持って作り続ける〟… そうすることで、ブランドとしての次のステージが自然と見えてくるはずです。
細かいテクスチャーでメイクアップされた「ダイヤル」

実際、こうして間近で拝見するとかなり出来の良い「ダイヤル」です。テクスチャーのキレも良いですし、鑑賞に堪えるダイヤルだと思います。
ダイヤルのパターンは、福岡県柳川市…〝水郷の街〟として知られる情緒豊かな情景にインスパイアされて生まれたそうです。運河を流れる穏やかな水流を写し取ったかのようなデザインですね。丹念に織り上げられた〝ちりめん〟の風合いにも似ています。

個人的なお気に入りは存在感のある「インデックス」です。ファセットに鏡面加工を施した立体的な構造で、予想を遥かに上回る秀逸な作りでした。「Nexus」が上品に見える要因の一つかもしれません (*´∀`*)

デイトの枠も丁寧に作られています。「ひとりのアプアイドロゴ」も、よ~く見ると大した代物でした。可愛いくて、ツヤツヤで… キレイです。
惜しい点を上げるなら、小さい文字の印刷関係が如何にも「貼りました」みたいなところでしょうか。遠目で見る分には気になりませんが、ダイヤルの他の要素が素晴らしいだけに、そこだけが少々安っぽく感じました。
大型で重量感のある「針」

先端部をスケルトンにした大迫力の「アロー針」が使われています。風変わりなケースデザインの「Nexus」に相応しいと思います。
時針、分針ともに中心軸から半々に磨き分けされているため、山型の立体感を存分に感じることができます。この辺りの仕上げがとても丁寧で、好感が持てました。
焼きかペイントかの判別はできませんが、秒針は「ブルースチール」です。角度によっては黒くなるので〝焼き〟にも見えますが… 果たして(笑)
〝端正なドレス風味〟の「ブレスレット」

結構頑張った「ブレスレット」が付いています。5連のコマは表面が鏡面仕上げ、裏面がサテン。可動域に無理がないので、手首の骨格に合わせて自然に馴染むと思います。律儀な作りの「プッシュ式バックル」は片開きです。

何気に感心させられたのが「エンドピース」。単純な直カンかと思いきや、中央部がケースに沿うように弧を描いており、これによって弓カンのような一体感を同時に感じることができるのです。些細なことかもしれませんが、この拘りが消費者の満足度に直結するはずです。


注文を付けるとすれば〝インターチェンジャブル仕様〟にして欲しかったところ。面白い時計は色んなストラップに〝着せ替えて遊びたい〟じゃないですか?? 是非ともマイナーチェンジで対応してもらいたいところです。
付属の「レザーストラップ」で、ガラリと印象変化

「レザーストラップ」も付属しています。鮮やかなブルーも相まって、ブレスレットから換装した際の印象の振り幅が絶大です。
ただこちらも、インターチェンジャブル… アビエ式ではありませんでした。交換して楽しむことを前提とするならば「クイックチェンジは必須」です。こちらも今後の課題ですね。
妙に巻き上げやすい「リューズ」

指に掛かりの良い大型の「リューズ」が付いています。これが何とも巻きやすい。正直、こんなに巻きやすいリューズは記憶にありません。
そして、こう見えて「ねじ込み式」です。私の中で評価が一段上がりました (*´∀`*)
※ちなみに撮影時は針のポジションを固定するために、リューズを引いてハックポジションに入れています。
ムーブメントは「ミヨタ 9015」

心臓部には41時間パワーリザーブ、8振動(28,800 BPH)の「ミヨタ 9015」を搭載しています。価格の割には〝かなり優秀〟と評価の高いムーブメントです。20万円に届く時計にも普通に使われていますし、940ドル(14万5000円)の「Nexus」としては、ベストチョイスだと思います。
トランスパレントから見える「愉快なローター」

薄青色のガラスが嵌められたケースバックから、ミヨタ 9015ムーブメントを眺めることができるわけですが、面白いのは「ローター」です。
青焼きネジを放射状に埋め込んだオープンワークのローターには、日本語で「流れるままに」の文字が刻まれています。流れるままに… 仕事に翻弄されて自分を見失いそうになったとき、そっと時計を外して裏側のローターを見れば、何が起きても〝ケセラセラ〟でいられるかもしれませんね。
「Nexus」を使ってみた印象

ブレスレットのコマを調整して、都合5日ほど使ってみました。内訳は平日4日、休日1日です。
重さもさほど感じませんし、ケースの厚みも「10.6ミリ」と常識の範囲内に収まっていますので、ビジネスシャツの袖口でもたつくような感じはありませんでした。ケースの腕載りも良好。時間の経過が進むほど、自然と馴染む感じがありました。
変わった形状のデザインではありますが、トータルで見たアウトラインはとても上品。白いダイヤルと相まって、「オレは今、上質な時計を着けている!!」といった、高級腕時計に不可欠な満足も感じさせてくれました。
休日の使用では「39.5ミリ」の〝少し大きめのケース〟が程よい主張を見せてくれました。冬場のモコモコした装いでも、袖口が弱すぎるなんてことはなかったですね。
基本的には、ガチャガチャとしたデザインの服に合わせるよりも、上質な素材のシンプルな服に合う時計です。

遠目に見れば〝上品な印象〟ですし、近くで見れば2度見必至の〝拘りデザイン〟。お堅いシーンで着けて良し、デートなど遊びに着けて行っても良しと、意外に万能な「Nexus」でした。
「ひとりウォッチ」を使うと、日本の良さが〝別角度〟から見えてくる

「日本」や「純和風」といった言葉からイメージするビジョンに関して言えば、日本人も外国の方も大して変わらないのかもしれません。和服、お琴の音色、桜… 実際「日本らしさ」を表すエレメントを上げようとしても、私自身は貧しい発想力を思い知らされるだけだったりします。ずっと日本で暮らしているくせに、実際はこんなものです。
「ひとりウォッチ」さんが製品に纏わせている「日本のイメージ」は、そんな一般論から一歩も二歩も踏み込んだものでした。日本人が当たり前に見ている情景に心を震わせ、その感動を独自の表現で形にした「日本産以上に日本を感じる時計」… それが私が見た「Nexus」でした。

それは「Nexus」を構成するパーツに感じた「日本的な律儀さ」がそう思わせたのかもしれません。日本で作られたパーツで日本で組み立てるのだから、当然そうなるだろう??… 果たしてそうでしょうか??
日本のモノづくりの「良さ」を活かすデザイン・設計があってこそ、日本らしさも宿るというもの… 文化に対する深い理解がなければ、日本文化の上澄みをすくい取っただけの、薄っぺらい「日本もどき」が生まれていたでしょう。
実際「Nexus」を使わせていただいた期間で、日本のモノづくりの素晴らしさを再認識する機会が何度もありました。 こうした〝別角度〟で「日本的な美しさ」に触れることができるのも「Nexus」の魅力だと思います。
最後に… ひとりウォッチ〝成長の第2段階〟「Nexus」で見えた〝野心的なチャレンジ〟

そもそも、数ある腕時計ネタの発信源の中から、敢えて〝辛口〟の腕時計喫茶を選んでくれたからには、そこに何らかの意図があるはずです。腕時計喫茶に期待すること… これまでに想いを託して下さった腕時計関係者の皆さまから頂戴したご意見には、一様に同じ意味合いが含まれていました。
「忖度なしで言語化してほしい」…
今回取り上げた「ひとりウォッチ」さんからも、事前に同様のお言葉をいただきました。ですから、何らの忖度もしていません。中には厳しい意見もあったと思います。
リリース前に試読版を送って、中身を確認していただくのが腕時計喫茶の習わしですが、ひとりウォッチさんの反応次第では〝無念の御蔵入り〟も覚悟していました。こうやって無事に掲載された事実が、ひとりウォッチさんの懐の広さを証明しています。
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オマージュというものは、いつまでも同じ距離感で許され続けるものではありません。けれど一方で、発足から間もないブランドが、自らの立ち位置を探り、憧れの文化を研究しながら歩み始める過程としてはある意味、自然なものでもあります。その経験があってこそ、辿り着ける表現があるからです。
大好きな日本の時計をオマージュしつつ、自分らしくあるための方式を見出しつつある「ひとりウォッチ」さん。三段跳びで言えば、助走を経て〝最初の跳躍〟に移った段階かもしれません。

「Nexus」のリリースでひとりウォッチさんが見ている景色は、これまでの目線よりも遥かに高い位置で広がっているはずです。ステージを上げたことで、より難易度の高い戦いの場に足を踏み入れたのは間違いないでしょう。
「Nexus」の新しいデザインが理解されるには相応の時間が必要です。相互理解のための道のりは長く険しく果てしない。腕時計ブランドとしての本当の苦労は、ここから始まるのです。
ですがそれこそが、ひとりウォッチさんの飛躍に必要不可欠な「成長痛」なのかもしれません。「Nexus」を起点に始まる〝新しいストーリー〟に期待しつつ、心からのエールを贈らせていただきます。
※短く書くつもりでしたが… いつもの1万字超え(笑)
| Hitori Watch Co. Nexus Shirakawa Specifications | |
|---|---|
| 項目 | 仕様 |
| ムーブメント | Miyota 9015 自動巻 |
| 石数 | 24石 |
| 振動数 | 28,800振動/時(4Hz) |
| パワーリザーブ | 約41時間 |
| ローター | カスタム・オープンワークド巻上げローター |
| ケース構造 | スカルプチュラル 2ピースケース |
| ケース素材 | 316L ステンレススチール |
| ケース径 | 39.5mm |
| ラグ・トゥ・ラグ | 47.8mm |
| ケース厚 | 10.6mm |
| 仕上げ | Hitori インテグレーテッド仕上げ技法 |
| ケース仕上げ | 内側:ブラッシュ/外側:ポリッシュ |
| リューズ | スクリューダウン式 |
| ケースバック | シースルーケースバック |
| 防水性能 | 100m防水 |
| 風防 | ボックス型サファイアクリスタル(内面無反射コーティング) |
| ダイヤルカラー | シルバーホワイトトーン |
| ダイヤル仕上げ | 川の流れ模したテクスチャー、ソフトサテン仕上げ |
| インデックス | 多面カット、両面ミラーポリッシュ |
| 針 | 多面カット、半マット/半ミラー、先端カットアウト |
| 日付表示 | 3時位置 |
| ブレスレット | 20mm マルチリンクブレスレット |
| クラスプ | 「ひとり」エングレービング入りクラスプ |
| ブレス仕上げ | Hitori インテグレーション・ポリッシュ技法 |
| 付属ストラップ | ドイツ製 ナチュラルスエードストラップ |
| 価格 | $940.00 |
※撮影機材: SONY α7RⅤ+ FE 70-200mm F4 Macro G OSS II + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS & Xiaomi 15T Pro Adobe Lightroom で編集









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