私が無知だっただけの話ですが、東京に暮らして数年の間に、腕時計関連の「イクイップメント」が、ビジネスとして如何に『盛況なジャンル』であるかを思い知らされました。
特に「ストラップ(ベルト)」です。お気に入りの腕時計を着せ替えて楽しむ確固たる文化が、腕時計ユーザーの幅広い層にまでしっかりと浸透していたのです。
「お洒落に敏感な人が多いから??」… 最初は私もそう考えていました。アウターに合わせてTシャツを着替えるように、腕時計にも折々の装いをプラスする… そういう『お洒落意識の高い人』が東京に多いことは確かです。
しかし、それだけでは無いということが、ストラップ愛好家、そしてストラップメーカーの方からの聞き取りで見えてきました。両者ともに「腕時計の可能性を引き出すアイテム」として、ストラップの在り方を定義しているようでした。
それはつまり、高価な腕時計本体にも負けないバリューが、一流のストラップにはあるということです。腕時計の奥底に隠された秘宝を掘り起こし、内在する魅力を何倍にも増幅させる「アンプリファイア」… それこそが「腕時計ストラップの在り方」であると、勉強を重ねた今なら断言することができます (*´∀`*)
付け替え用ストラップを購入する「動機」

腕時計を買えば必ずブレスレットかストラップが付いてきます。無ければ装着できないわけですから当然ですが、結構な頻度で「なんでこの時計にこのストラップなの??」という組み合わせに出くわします。大枚はたいて購入した腕時計が「くすんで見える」ようなストラップを、好き好んで使い続けたいと思う人はいないでしょう。
ここで「ストラップ… 替えちゃうか??」という気持ちが湧いてくるかもしれません。要するにこれがサードパーティーのストラップを購入する「第一の動機」です。同じ時計と違うストラップの組み合わせをSNSで発見して「ヨシ!! オレも続くぜ!!」なんて気持ちになったら、それはもう素直に「ストラップ道」へ踏み込むべきでしょう。
Amazonや楽天を探せば、幾つかの名の知れた、それでいてチャレンジしやすい価格のストラップが見付かるはずです。ラグ幅や尾錠側の幅さえ間違えなければ、交換用ストラップで失敗することはほとんどありません。
確かに「バネ棒の外し方」をマスターする必要はありますが、落ち着いて行えば難しくはありません。最初から「アビエ式」と呼ばれるクイックリリース可能なバネ棒が仕込まれているストラップも増えましたし、ストラップ換装の敷居は大きく下がっています。
そうして誰もが最初の交換用ストラップとして入手性の高い、それでいて失敗の無いストラップを経験します。ここで満足して、その後も「痛んだら交換」を繰り返す人が大多数かもしれません。
ところが中には「この時計はもっともっと格好良いはずなんだ!!」「さらに良いストラップを付ければ、より一層化けるはず!!」と、ストラップ交換に更なる期待を込めて高みを目指す人もいます。恐らくこれが「第二の動機」であり『ストラップ沼の入り口』です。
ここに至った方は、所謂「出来合い」に満足できない状態でしょう。そりゃあ安いに越したことはないけれど、数万円上乗せして腕時計が光輝くのなら安いモノだ!!… こんな風に思考が進んだ方であれば、次なるステップは「パターンオーダー(セミオーダー)」です。素材を選んで、ステッチの色や剣先の形を選ぶだけでも、出来合いには無い「オリジナリティー」を楽しめるでしょう (*´ω`*)
さらに拘りたい方が足を踏み入れる「カスタムオーダー ストラップ」の世界

「誰も見たことのないような剣先にしたい」「時計とストラップの隙間を無くして、弓カンのようにしたい」… こうなるとパターンオーダーでは対処しきれませんから、要するに「カスタムオーダー(フルオーダー)」を依頼することになるでしょう。
それはつまり「世界でただひとつの一点もの」を注文するということです。ですから当然、価格も跳ね上がります。欧州の老舗ブランドでカスタムオーダーを頼めば、素材にも寄りますが「10万円」を覚悟しなければいけない場合もあります。
それでも、お持ちの時計が100万円を優に超える高額であったなら、10万円のストラップであってもバランスとしては現実的です。5万円の時計に10万円のストラップは如何にも本末転倒ですが、時計本体が十分に高額であれば、高級ストラップを「奢ってやる」意味もあります。
カスタムオーダーの「素晴らしさとは何か??」と問われたとき「自分の思い通りにできること」と答える人が圧倒的に多いはずです。しかし私個人はそれよりも、ストラップ工房と自分の個性がミックスされたときに起きる「ケミストリーの面白さ」だと答えるようにしています。
何故なら、私がカスタムオーダーの際に職人・作家さんに求めるものは、こちらの要求を完遂しての「100%」などではないからです。私が見たいのは想像を超えた「120%」。そのためには、私個人の貧弱なイメージを形にすることに大した意味はありません。
カスタムオーダーのストラップは一種の「びっくり箱」です。完璧に整った美しい腕時計から、腕時計自身も気付かないであろう「神秘の宝玉」を探し当てるのが、私が「カスタムオーダー」をお願いする理由です。そして、付けた瞬間に「劇的に羽化」した腕時計の姿を、私はすでに何度も目撃しています (*´ω`*)
ブレスレットの置き換えは「心の贅沢」
高級腕時計であれば、付属しているストラップも大抵は高級品です。特に「ブレスレット」は腕時計本体と同レベルの仕上げでその一体感も凄まじく、これをワザワザ外して「ストラップに換装しよう」なんて人は稀だと思います。例えばロレックスのブレスを外してストラップを付けたなんて奇特な人は、ヴィンテージを除けばほとんど見掛けません。とはいえ、そんな希少な存在もいるにはいます。ええ、私のことですとも(汗)

本体はこっちなんじゃないかと言いたくなるほど、ロレックスのブレスレット品質は圧倒的です。それを外して箱にしまって、あまつさえサードパーティーのストラップを付けようなんて… 余程の変態か、或いは「遊び心のある人」かもしれません。
そもそもかなり贅沢な発想です。ロレックスのブレスレットにはクラスプを見ただけでも「ロレックスだ!!」と認識させるブランド力があるわけですが、それを排除して「ストラップに換装」するとすれば、それは最早、完全なる「伊達と酔狂」。要するに「贅沢の極み」なのです。
もちろん、そんな価値のあるブレスレットを外すのは、別の価値の誕生に期待しているからです。それを達成するには「ストラップを見極める眼力」が不可欠ですが、そういった愛好家としての成長込みで「心の贅沢」に身を委ねるのが、「正しいストラップの愉しみ方」だと思います (*´∀`*)
腕時計喫茶の目線で、ウチのストラップを見てほしい
特段、営業活動を行っているわけでもない腕時計喫茶ですが、最近はちょぼちょぼと「レビュー依頼」が舞い込みます。ワタクシ自身、所謂「案件」をバレないように書く自信が無いこともあって、依頼主さまには「他の記事と同じく、一切忖度できませんがそれでもよろしければ」と必ずお断りを入れています。
とは言え、レビュー依頼自体はとても有り難いのです。自分自身の興味だけではどうしても偏りが生まれますし、担当者に直接聞き取りを行える機会も貴重。「腕時計喫茶」という、腕時計界隈の本流から言えば「左傾化」したメディアにとって、「今」を教えてくれるのがレビュー依頼だったりするからです。私個人の視野も広がりますしね。
しかしながら、ただ「褒めちぎる」ような記事は書けません。私は私という「言論フィルター」を通してしか、物事の本質に迫れないタチなのです (;´∀`)
と、そんな事情を全てお話しした上で、「それでも腕時計喫茶に書いてもらうことに意味がある」と食い下がってくれた企業さんがあります。それが今回ご紹介する3本のオーダーストラップを作って下さった大阪市のストラップメーカー『JLC Handmade Shop』さんです。

今回の記事を執筆するにあたり、私たちは何度もメールを往復させました。私自身、ここ数年で一番の忙しさの中にあり、十分な意思疎通ができたわけではありませんが、それでも「頑張っているこのメーカーを応援したい」という気持ちが私の中に沸き上がるのに時間はかかりませんでした。
「まずはウチのオーダーストラップを体験していただきたい!!」ということで、「JLC Handmade Shop」さんが私のSNSを見て選んでくれたヴァシュロンのヴィンテージを中心に、ストラップで悩んでいた2本の腕時計を合わせた「合計3本の時計用」に、お試しオーダーを行うことになりました。
「JLC Handmade Shop」とは??
ご存じの方もいらっしゃれば、「どこのお店??」とお感じになった方もいらっしゃるでしょう。「JLC Handmade Shop」とは、B2C主体の大阪府大阪市のストラップメーカーさんです。大阪市に自宅のある私にとっては、地元の企業さんなんですよ。
2020年の日本留学中に日本の革職人と出会ったことで、その後、故郷のベトナムに戻り工房を立ち上げた「レヴァン ティン」氏。器用さと勤勉さで日本人に勝るとも劣らないベトナムの職人に、日本の職人から教わった技術、そして何より「もの作りに対する情熱」を伝えることで、2024年、日本での起業へと繋がりました。そして本格的に事業を展開。カルティエ、ブルガリ、オメガ、グランドセイコーなど、個性的な高級時計に対して数々のアプローチを重ね、日本の顧客に満足を届けるべく奮闘しています。
レヴァン ティン氏曰く、「まだまだ日本の熟練した職人の技術には及ばない」とのことですが、ベトナム人特有の粘り強さを武器に、品質に対する妥協の無さで知られる日本人の顧客をも唸らせる製品作りに挑戦しています (*´∀`*)
JLC Handmade Shop が「日本での成功」を目標にする意味

これは「JLC Handmade Shop」さんとメールをやりとりする中で私が感じたことですが、それは「日本で成功することの意味」についてです。
もの作り立国である日本にとって、「作る」ということは神聖な行為です。これといった資源を持たない日本だからこそかもしれませんが、ありとあらゆるモノに対する「見る目の厳しさ」で言えば、日本人の… いや、日本という社会のそれは世界屈指の厳格さを持っています。
だからこそです。日本で認められ、日本に根付くことは、世界で最も面倒臭い市場で生き残る力があると証明することでもあります。生まれたばかりの「JLC Handmade Shop」さんにとって、それは断崖絶壁にしがみつくが如き難業でしょう。
しかし、それでもやってみる価値があると「レヴァン ティン」氏が思ってくれたのなら、日本人としてこれを応援しない手はありません。日本という修行場で奮闘する「ベトナムの星」がこれからどこまで光輝くのか… 腕時計界隈の辺境から見定めたいと思います (*´ω`*)
JLC Handmade Shop さんから「3本のオーダーストラップ」が届いた!!
さて、使える時間が限られている中、申し訳ないくらい雑な注文で困らせちゃったはずですが、それでも予定よりだいぶ早く「カスタムオーダーストラップ3本」が届きました。
開けたい!! セロハンテープを乱暴に剥がして梱包を解きたいワタクシでしたが、グッとこらえて「箱」や「梱包の状態」に注目してみることにしました。こういうところに「自社の製品をどれくらい大切に思っているか」が出ますからね (*´∀`*)
信頼は「細やかな気遣い」に現れる

まず、キチンとオリジナルの印刷が施された箱で届いたことに驚きました。「茶封筒」で送ってくるメーカーもありますからね。全てはコストカットを目標にするが故だと思いますが、一番最初に目に入るのは「梱包資材」です。ここでガッカリすると、後々まで尾を引きかねません。

箱を開けて更に感心させられたのは、一本一本のストラップが「親側と剣側で分離した専用の袋」に入れられていたことです。ぶつかって傷を作らないようにとの細かい配慮が嬉しい!! (*´∀`*)
丁寧な梱包を見ただけで、「JLC Handmade Shop」さんの自社製品に対する誇りの高さが理解できました。決して過剰に飾り立てられた梱包ではありませんが、手にする人の「体験の質を落とさない配慮」に関して言えば、100点を付けても良いと思いました。
3本の時計を「JLC Handmade Shop」のストラップで〝着せ替え〟
事前のご相談で「JLC Handmade Shop 化」を決めた時計は以下の通りです。
- IWC「ポルトギーゼ ハンドワインド(IW545405)」
- ヴァシュロン・コンスタンタン「ラウンド ヴィンテージ」
- ヴァルカン「スキンダイバー クロノグラフ(590176A57.BAC201)」
それでは最初の一本、パンダ顔の「ポルトギーゼ」から行ってみましょう!!
1. IWC ポルトギーゼ ハンドワインド用 オーストリッチ(レッグ)ストラップ

そうなんですよ。某店で中古として購入した際に取り付けられていた「バンビ」のストラップのまま、結構長い時間が経ってしまいました。もちろん「バンビが何気にしっくりきてた」というのもあります。何だかんだでさすがですよ。
ですが、バンビ云々ではなく、購入時のままで「手付かず」なのは何とも愛情が薄い気もしますし、この機会を利用して「ポルトギーゼ ハンドワインド」をお色直しすることにしました。そして… こうなりました!!
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この時計の難しさは「巨大」で「薄い」という、独特のバランスにあります。そもそも1939年、ポルトガルの商人に「ワイに航海用時計に匹敵する性能の腕時計を作ってくれや」と要望されて誕生したのが「ポルトギーゼ」。
ですから、シンプルなドレスウォッチとして見られがちな同シリーズであっても、実のところ「ビジネスチャンスをものにするための時計」という、非常にシビアな使命を背負ったプロダクトなのです。当然、視認性に対する要求は厳しいものになりますし、そのために犠牲にされてきたのがサイズ感。だだっ広いんですよねぇ… 特にこのモデルのダイヤルは(笑)
「オーストリッチ レッグ」の面白さを切り取ったデザイン

この広大な「余白」をどう解釈するかで「取り付けるストラップの方向性」が決まります。ここで「JLC Handmade Shop」さんは、素材に「オーストリッチ」を選んでくれました。しかも「レッグ側」です。


有機的な曲線とリズミカルな斑の見え方によって、「オーストリッチ レッグ」は大きく印象を変化させます。革素材のどの部分を選んでストラップにするか… 職人のセンスが如実に表れる難しい素材です。

私はオーストリッチの革質自体は好きですが、その最大の特徴である「クイールマーク(羽を抜いた後にできる突起)」が苦手なのです。視線を感じて怖いって言うか…(汗) ですから今回、視線を感じずに済む「レッグ」を選んでくれたことには感謝しかありませんでした。

オーストリッチのランダムなテクスチャーが「ぬぼ~」としたポルトギーゼの顔立ちに強い輪郭を与え、その印象をアクティブなものに変えてくれたと思います。ブラックなのに変化する色味を感じさせる「オーストリッチ レッグ」… 私にとって初めての素材を、大いに楽しみたいと思います (*´ω`*)

| 素材 | オーストリッチレッグ |
|---|---|
| 色 | ブラック |
| 裏材 | ライトブラウンツェルマット |
| ステッチ色 | 同系色 |
| 肉厚加工 | ラグ側約5ミリ、尾錠側約2.5ミリ |
| ラグ幅 ― 尾錠幅 | 22 ― 20ミリ |
| 長さ | 75/120ミリ |
| 小穴数 | 3つ |
| 剣先タイプ | IWC風のヘビ剣 |
| バネ棒 | クイックリリース(アビエ)バネ棒 |
2. ヴァシュロン・コンスタンタン ラウンド ヴィンテージ用 クロコダイル へり返し仕立てストラップ

最初に「JLC Handmade Shop」さんからご指名があった「ヴァシュロン」です。この時計にはすでに松下庵のディフュージョンブランド「アンダー・ザ・パイン(ダークシアン)」が付いていますので、「JLC Handmade Shop」さんが、松下庵に「挑戦状」を叩き付けた格好になります(笑)
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「JLC Handmade Shop」さんが選んだ革材は上品で大人っぽい斑の「アリゲーター」。ステッチが見えない「へり返し仕立て」です。さあ皆さま、如何でしょうか??
換装した瞬間、「どこかの式典に呼んでくれないかな~」という気持ちになりました。完璧です。超フォーマルです。薄すぎず厚すぎず、裏材に使われた牛革がしっくりと手首に馴染んで、全体的に柔らかな着け心地。こういう時計を着けると、仕立ての良いドレスシャツが欲しくなりますね。

「へり返し」の効果は絶大で、これだけでかなりの「高級感底上げ」が達成されています。それゆえの「フォーマルスタイル」なワケですが、格式張っているかと言えばそんなこともなく、ジャケットスタイルをシュッとキメたくらいの装いでも、かなりクールな袖口が出来上がるはずです (*´∀`*)
真面目で丁寧、ゆえの納得

細部の仕上げも少々意地悪な目線で見てみましたが、真面目な作りでツッコミどころはありませんでした。私も過去に色んなメーカーさんでストラップを作りましたが、納得できないものが届いて以来、「一切言及していないメーカーさん」もあるのですよ。価格だけは一丁前でしたが、アレは誰にもお薦めできそうにないなぁ…(汗)

そんなトホホな経験もあるワタクシですが、「JLC Handmade Shop」から届いたストラップにはある種の納得がありました。価格帯を考えたら、こんなに贅沢なことはありません。いそいそと換装すれば「私も笑顔」「時計も笑顔」の『笑顔祭』状態。


もちろん、高額帯のストラップとは比較できない部分もあります。コストがそのまま「耐久性」や「質感」に転化されるというシビアな事情もありますしね。ただ、「JLC Handmade Shop」さんのストラップに触れて解りましたが、随所に見られる真摯で丁寧な作りからして、この価格帯のものとしては十二分に満足できるのではないかと思います。
| 素材 | アリゲーター |
|---|---|
| 色 | ブラック |
| 裏材 | ブラウンカーフレザー |
| ステッチ色 | 同系色 |
| 肉厚加工 | フラット型で約2.5ミリ |
| ラグ幅 ― 尾錠幅 | 18 ― 16ミリ |
| 長さ | 75/120ミリ |
| 小穴数 | 3つ |
| 仕立て | へり返し |
| バネ棒 | クイックリリース(アビエ)バネ棒 |
3. ヴァルカン スキンダイバー クロノグラフ用 藍染め黒桟革 ロングサイズストラップ

憧れの「黒桟革」… 今回はその「藍染め」で、尚且つかなりのロングサイズを作っていただきました。換装する時計は「ヴァルカン クロノグラフ」。H°M’S” WatchStore に入荷してすぐに購入した「クラシック顔のバイコンパックス」です。購入レビューよりもコチラの出番が先になりました(汗)


この時計、実はもの凄くエモいデザインのブレスレットが付いていまして、ほとんどストラップに換装する必要性を感じていませんでした。少なくともそこに緊急性などはなく、「運良く面白いストラップに出くわしたら考えますか~」くらいのスタンスでした。

ところが、「JLC Handmade Shop」さんとお話を進める中で「一本は黒桟革にしましょう!!」と提案されたときに、それならウチも「ブレスレット軍、最後の砦」である『ヴァルカン』でお願いしようという気持ちになったのです (*´ω`*)
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この変化幅!!(笑) 劇的ですね (*´∀`*)
革の黒ダイヤ『黒桟革』の贅沢

何と言っても「黒桟革」ですよ。革の『黒ダイヤ』と称されるように、まるで細かいダイヤを散りばめたような光沢を誇る、最高品質のブランド革の一つです。ツブツブが美しい…

手触りはしっとり。あくまで柔らかく、あらゆるデザインの時計にフィットする懐の深さも「黒桟革」が時計愛好家に支持される所以だと思います。


長さは親側、剣側ともにロングにしていただきました。ストラップを長めに作ってもらうだけで適度なカジュアル感が出て、活躍の場が増えるのですよ。一種の「着崩し」です。

軽やかで上品… 黒桟革がスキンダイバー クロノグラフの新しい魅力を引き出してくれました!!
| 素材 | 黒桟革 |
|---|---|
| 色 | 藍染め |
| 裏材 | ブラックカーフ |
| ステッチ色 | 同系色 |
| 肉厚加工 | フラット型で約2.5ミリ |
| ラグ幅 ― 尾錠幅 | 20 ― 18ミリ |
| 長さ | 85/140ミリ |
| 小穴数 | 3つ |
| 剣先タイプ | IWC風のヘビ剣 |
| バネ棒 | クイックリリース(アビエ)バネ棒 |
現実的なお値段で贅沢な気分を味わえる「JLC Handmade Shop」のストラップ
掛け値なしに良いものがあったとして、問題はその価格です。「良いものが高いのは当たり前」… 確かにその通りですが、そこにカタルシスはありません。「めっちゃ見栄えするのにめっちゃ安い!!」… それこそがマーケットで特別な評価を受けるための「カギ」です。
本ワニ革のストラップが「1万7800円」(2025年8月現在)
型押しじゃなくて「本物のワニ」で2万円切りです。公式を見ていただけたら解りますが、いやはや、十分過ぎる高級感です。ちなみに高級素材「ヒマラヤクロコ」でも2万2800円~の価格設定でした。ヒマラヤ… あの高級素材で白いヤツが… もう一本くらい作っても良いかもしれん!!
ちなみに「カーフ」は1万5000円辺りの価格設定でした。ワニ革と肉薄し過ぎでしょう(笑)
カスタムオーダーであれば、要望によって価格の変動はあると思いますが、それでも相当にお買い得です。ちなみに今回お願いしたカスタムオーダーストラップの「価格内訳」は…
| 基本価格 | |
|---|---|
| オーストリッチレッグ | 1万5800円 |
| へり返し仕立てのクロコダイル | 2万4800円 |
| 黒桟革 | 1万6800円 |
とのことでした。実際、挑戦しやすいお値段だと思います。そこにお好みで「オプション」を指定すると、追加料金が発生します。今回はこんな感じでした。
| オプション料金 | |
|---|---|
| 小穴指定 | 1,490円 |
| カーブエンド仕上げ | 3,000円 |
| 長さ指定 | 1,490円 |
| 裏面にステッチを出さない製法 | 2,990円 |
| 裏材(プレミアムカーフ)変更 | 2,990円 |
カスタムオーダーのビギナーの方に薦められるのはもちろん、一本の時計に「2本目」「3本目」のストラップを買い与えたくなった「オーダー上級者」の方にとっても、お財布への負担を抑えて「贅沢な気持ちになれる」JLC Handmade Shop さんの存在は有り難いはずです (*´∀`*)
※価格は変更される可能性がございます。
「出張採寸サービス」があるそうです!!
先ほど、「JLC Handmade Shop」さん公式のトップページを見てビックリしました。なんと!!「出張採寸サービス」を始めたそうなんです。
実際、メールやLINEのやりとりだけで、要するに「採寸なし」で数値だけを伝えてのオーダーは、ストラップ職人の経験と勘に負う部分が大きく、ベストな注文方法とは言えません。細部までクライアントの要望に応えるためには、採寸は欠かせないでしょう。
そこで「JLC Handmade Shop」さんが始めたのが「出張採寸サービス」。エリアは「大阪府内」に限定されるそうですが、大阪府って広いのですよ。特に南北!!
気になるのは料金だと思いますが、すでに「JLC Handmade Shop」の顧客であれば、それすら「無料」とのことです。大丈夫なのかと心配になるレベルの大サービスです。
これはもちろん、顧客のためのサービスに違いないですが、何より「JLC Handmade Shop」さんが「完璧な仕事をするために必要」だと考えてのことではないかと思います。僅かでも顧客との距離を縮めて、少しでも良いものを提供したいという想いがなければ、そもそも、そんな発想には行きつかないでしょう (*´ω`*)
顧客第一主義で高みを目指す「JLC Handmade Shop」

出張採寸サービスの話が出ましたので、今回のお試しオーダーのやり取りで私が感じた「JLC Handmade Shop」さんのホスピタリティーについてお話したいと思います。
オーダーの難しいところは「依頼者の意図」をどこまで正確に汲めるかに尽きます。お店に赴いて対面で相談ができれば、言葉以外の表情や身振り手振りでニュアンスを掴み、共有することも可能です。
ただ、今回のワタクシが体験したように、メールのやり取りだけで依頼主のイメージ通りに仕上げるのは至難の業です。実際、私自身も「このニュアンスをどういう言葉で伝えようか」と悩んだ部分がありましたが、時間や体調の問題で気持ちに余裕がなかったため、「今回はこの辺で」と最後の詰めの部分を丸投げにしてしまいました (;´Д`)
「JLC Handmade Shop」さんはというと、そんな私のザックリした要求に対しても可能な限りディテールを掴もうと、最後の最後まで食い下がって下さいました。誠に申し訳ない話です(汗)
そんなこともあって、私は「JLC Handmade Shop」さんの粘りを高く評価しています。可能な限りイメージの齟齬を埋めようと努力してくれましたし、それは「JLC Handmade Shop」さんが送ってくれた完成品の真面目さにも現れていました。
依頼主のイメージを具現化しなければならないオーダー品製作だからこそ、依頼主の気持ちになって完成品をイメージするための綿密な情報交換は欠かせません。「JLC Handmade Shop」さんの仕事の流れはその辺りに一切の手抜きがなく、「顧客を第一」に考えるホスピタリティーで溢れていました。
日本の「腕時計ストラップ文化」をさらに充実させるために
日本にはすでに素晴らしいストラップの作り手がいらっしゃるわけですが、欧州のストラップ文化と比較すると、その浸透度はまだまだ比較になりません。

私が腕時計喫茶でストラップについても度々言及しているのは、日本の腕時計ストラップ文化を欧州並みに充実させたいからです。古い時計や安い時計のストラップをバンバン交換して、思い思いのセンスで楽しむ「心の余裕」… そのためには誰もがストラップの交換を前提に腕時計と付き合える土壌が必要ですし、その受け皿である「腕時計ストラップ界隈」は、その裾野を何倍にも広げる必要があるでしょう。
極々身近に腕時計のストラップを扱うお店があって、洋服を見るように手に取る機会が増えたなら、腕時計との付き合い方も、その価値観の置きどころも大きく変化するはずです。
「JLC Handmade Shop」さんのように若い新興ストラップメーカーが台頭してくれれば、腕時計ストラップを楽しむ文化の裾野も自然と広がるでしょう。洋服、靴、その次に腕時計のストラップ… 各々のライフスタイルに浸透する日本の腕時計ストラップの未来に、期待したいと思います (*´∀`*)
最後に… 総評!!「JLC Handmade Shop」の実力を判定

大昔、シルバーアクセサリーを自作したり、革のブレスレットやチョーカーを自作したり、取り敢えず「自分でも作ってみる」がポリシーとしてあるワタクシですが、だからこそ、腕時計のストラップなんてデリケートなものを作る大変さも、ある程度は理解しているつもりです。
しかし、そんな目線で「わぁ~ 全部スゴい!!」ではここまで読んで下さった皆さまに申し訳が立ちません。ですので「カスタムストラップユーザーとしてそれなりの経験がある」ことだけをよすがに、「JLC Handmade Shop」さんの実力判定を行いたいと思います。
評価軸は、今後「自腹を切ってでも欲しいか??」に尽きます。嫌なんですよ。散々薦めておいて自分は買ったことがないとか… 詳しい言及は避けますが、それが影響力のある人だった場合、要するに「いい加減なことを言っている」ワケですからね。
それは置いておいて… 買いますね、私は!! 「JLC Handmade Shop」から今後も買いたいと思います。取り敢えず、何かイマイチなままで放置されている「CATORTEX」をドレスアップしてやりたいと思います。今回送っていただいた「オーストリッチ レッグ」がかなりツボでしたので、「C’Vintage」のスモーキーな青ダイヤルを活かすカラーがあればお願いしたいと思っています (*´∀`*)
「JLC Handmade Shop」さんの公式ページには、ラグの隙間を感じさせないようにカスタムされたストラップが多数掲載されていましたが、そういった実例を見せられると様々な「野望」が湧いて参ります。そしてこの「野望が湧く」というリアクションこそが、私が「JLC Handmade Shop」の今後に、無限の可能性を感じている証拠だと思っています (*´∀`*)
その根底には総じて「安く作れる」というお財布に優しい価格設定があることは確かです。安ければチャレンジしてみようという気持ちになれるわけですし、何なら一気に数を揃えてみるかとも思えるわけです。

ただ、「JLC Handmade Shop」さんの真価は、安さだけにあるわけではありません。送られてきたストラップには「何が何でも納得してもらえるものを届ける」という職人の熱い想いが宿っていました。
それは今回、メールのやりとりだけで完成までこぎ着けた「3本のストラップ」について書かれた手紙を読んでも明白でした。「もう少し詳細なやりとりができれば、もっと突き詰めることもできたはずなのですが」… そんな職人としての小さな後悔を滲ませた文面には、「JLC Handmade Shop」さんの見ている目線…「目標の高さ」が表れていました。
お解りいただけますか??「売ったら終わり」というメーカーが少なくない中、末永く愛されることを目標にしているからこそ、「やり残しがあったのではないか??」という「前向きな後悔」も湧いてくるのです。そして、こういう「気持ちで勝負するタイプのメーカーさん」が大好きな私は思います。こういう魂を忘れない限り、若き「JLC Handmade Shop」の未来には「成長」しかありません (*´ω`*)
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と、皆さま!! ここで離脱したら「大損」ですよ!! この記事を最後まで読んで下さった方のために「スペシャルなチャンス」をご用意しているのです。詳しくは次のページをご覧下さい!!









ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
大盤振る舞いありがとうございます!
早速応募させていただきました!笑
これに関しては何が当たっても文句なしですね!
ヴァシュロンの換装写真めちゃくちゃ高級感が出て紳士的でいいですね〜
やはりビンテージとの組み合わせは良いですな。
JLC Handmade Shopさん素晴らしいですね!
大阪に行ったらぜひ行ってみたくなりました!!
価格帯も本当にありがたい!
観光ついでに気軽にオーダーできそうな感じがします!
結果発表楽しみにしております〜〜
Y太さま、イベントへのご参加ありがとうございます!!
今回はJLC Handmade Shopさんから記事依頼をいただいて、そこからトントンとオリジナルストラップの話になりました。
知り合いのユーチューバーさん、インフルエンサーさんにもお声がけしていますので、そちら方面からもJLC Handmade Shop盛り上げの機運が高まっていると思います。
まだまだ若いメーカーさんですが、やりとりで感じた真摯な姿勢に「応援しなくちゃ!!」と思った次第です。
結果発表を楽しみにお待ち下さいませ(*´∀`*)