『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

腕時計の傷は〝ドラマチック〟に撮れ!! まだまだ現役の『ソニー α7SⅡ』を今更入手

 写真撮影の中でも「物撮り」… 特に「腕時計の撮影」ってヤツはですねぇ…「素人には難易度が高過ぎる」のですよ!! すでに結構な枚数を腕時計喫茶用に「ガチで」撮らせてもらいましたが、撮れば撮るほど課題が明らかになって、1ミリも上達した実感が湧きません (;´Д`)

 屋外で花や樹木、建築物の撮影もしてみましたが、日中の良い条件であれば私でもそれなりに見栄えの良い写真が撮れることもあります。

 もちろんプロのような写真を安定して撮ろうとすれば、私なんかがどうこうできる話ではありません。しかし、偶然にも大いに期待できる「屋外撮影」には「写真を撮る楽しさ」があります。比べて「腕時計撮影」にはホント… 言葉にできない「重圧」がありましてねぇ (;´Д`)

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腕時計を撮る難しさ

 公園に花を撮りに行ったとして、写したくない雑草をむしってまで環境を整える人は稀でしょう。例え薔薇の花弁の一つがしおれていても「それが自然」と割り切ることが「刹那を切り取る」カメラマンの矜持だとすれば、そういう状況込みで「良い写真を撮れる」ことが「良いカメラマン」の条件なのかもしれません。

 ところが腕時計の撮影の場合、「状況任せ」だと埒が明かない場合が多々あります。光線の強さや影の状態を計画なしで撮った腕時計は、大抵の場合その魅力の半分も表現できていません。その難易度の高さは、腕時計ならではの「特殊な条件」に起因しています。

①小さなサイズに様々な素材が密集している

 外装の金属、風防のガラス、ダイヤルの特殊な仕上げと特殊な素材… それらが密集した物体を「素材に応じて描き分け」なければ腕時計の良さは伝わらない。
 ステンレススチールとホワイトゴールドが同じに写っては興醒め。外装の硬さとガラスの硬さは「種類の違う硬さ」として表現されなければならない。

②きらびやかに見せるための多面体成形で光の乱反射が起きる

 肉眼では優美に輝くように見えるジュエリーライクのカットが施された腕時計の各部材も、カメラで捉えると退屈な影と光の塊にしか見えない場合が多い。
 肉眼の場合、連続する状況を瞬時に脳内で組み合わせ、「ショートムービー」のような短期記憶で「キラキラしたイメージを感じている」わけだが、静止画撮影だと「断片」しか記録できない。

 つまり、一方向の一点のみを記録するカメラでは、腕時計の「全魅力」を捉えきることができないのです。そこで必要になるのが、花や樹木や動物を撮るマインドとは全く別の「作り込む」意識。照明や環境の力を借りて、腕時計の魅せたい部分を見せられるように「写真をデザイン」するのです。

傷やホコリもしっかり写ってしまう問題

 実際「なんでこんなに難しいものを撮っているんだろう」と気が遠くなることもあります。ちょっとしたスレ傷やホコリの類が思いの外しっかり写ってしまい、唖然として立ち尽くすことも… (;´Д`)

 そもそも腕時計の撮影は基本的に「接近戦」です。爪楊枝の先ほどしかない小さなキズも驚くほどしっかり写ります。

 気合の入った照明環境下で起きる「傷の存在感の増大」にも泣かされます。確かに、強い照明を当てれば腕時計はドラマチックに写ります。しかし、それと一緒に微細な「傷やホコリ」もクイっと立ち上がってしまうのです。

 Lightroomでレタッチすれば良い?? いやいや… 傷の中には「これを消したら違和感出るかも」と予感させるものもありますから、何でもかんでも消せば良いって話ではありません。

 さらに申せば、私は「付いちゃった傷も込みで記録したい」のです。これには個人的な「傷に対する考え方」が大きく作用しています。

腕時計の「傷」 消すか残すか…

 日々身に着ける性質のモノである以上、どれだけ注意しても付いてしまうのが「腕時計の傷」。微細な傷であれば、撮影後にレタッチで消してしまう方がほとんどかもしれません。

 例外(であって欲しいの)は中古販売サイトで使用する写真。あれだけはむしろ「傷の所在」が良く解る写真を掲載してもらいたいですよね。ポチるポチらないの判断は「そこ」で決まりますし。

 強烈な打痕や表面の剥がれなど、盛大な「傷」がある時計の場合、レタッチがとんでもない違和感を生み出す原因になることがあります。不自然なレタッチが全体のバランスを失わせ、下手な美容整形みたいな写真になってしまうのです。

 これが、傷は傷でも「腕時計の傷は一味違う」と私が感じる所以です。

〝傷〟とは、その腕時計が「生きた証」である

 腕時計の傷は「歴史の証人」であり、その腕時計が生きてきた人生(時計生)を明確に表す指標です。過剰に傷取りを施した中古品に何とも言えない違和感を感じるように、写真における傷の消去も「歴史の隠蔽」にならないよう、気を付ける必要があります。

 先天的な「美」のカタマリである腕時計が、後天的に「グレードアップを果たす奇跡」があります。それが「魅力的な傷の獲得」です。洗練とエイジング・グレイスフリーがなし得る「腕時計生の美しき第二章」… 腕時計は経過した時間も含めた「ありのまま」が最も尊く輝きます。

 とはいえ… とはいえです。写真を「作品」として撮るのであれば、完成された美を損なうような「残酷な傷」であっても「美しく・味わい深く」記録したいものです。そこで後述の「画素に関する考察」が重要になって参ります。要するに「写り過ぎるカメラ」では、傷を「不要なものとしてしか撮れない」のです (;´∀`)

「画素」に対するワタクシの考え

 M4/3 ⇒ フルサイズ ⇒ APS-C と、僅か数年で迷走してきたワタクシです。

 ちなみに一般的に「フルサイズセンサー搭載機」に求められるものは「高画質」で、それは「高画素とイコール」である場合がほとんどでしょう。例えばソニーのα7R Vなら「6100万画素」がフルサイズの最高画素数です。

 これは私が使っている「α6700」のおよそ「2倍強」の画素数にあたるわけですが、今のところ私自身は画素数で「物足りなさ」を感じたことが一度もありません。トリミング無しが前提の撮影スタイルも関係していると思いますが、何を撮ってもホント、十分なのです。

 むしろ小さな「APS-C」のセンサーに「2600万画素」は詰め込み過ぎではないかと思っているくらいでして。実際、α6700の画の端々にピーキーさを感じることも少なくなく、画素数を半分くらいまで落としてセンサーにゆとりを持たせた方が、ある意味「味のある写真」が撮れるのではないかと思うことも多々あります。

「α6700」は〝傷〟を写し過ぎる??

Sony α6700

 ここ最近の腕時計喫茶に掲載する「気合の入った写真」は、全てソニーのミラーレス一眼「α6700」で撮影しました。恐らく画質的には〝APS-C 最高峰〟と申し上げても過言ではないカメラです。

 センサーの特性上、マクロ域でも十分な被写界深度が保てますから、私のような写真のトーシローが接近戦を挑むにはとても扱いやすいカメラです。ただねぇ…「写りが良過ぎる」のですよ。「傷」なんかもバッチリくっきり写ってしまうのです。

 性能にケチを付けているわけではありません。良くできたカメラだし、モチーフを選ばない「万能型」だと思います。しかしながら、こと「腕時計を撮る」に関して言えば、画作りにも寄りますが「写り過ぎた」と感じることがあるのです。α6700の「約2600万画素」でも、オーバースペックなのかもしれません。

 傷を〝ダメージとして〟ではなく、インデックスやカボションのように、時計の個性に「不可欠な要素」という意味を持たせてくれる「カメラ」はないものか… そんな気持ちで毎日のようにソニー公式をうろうろしていたら、突如として一つのアイデアが天から降りてきました。「ソニーさんにはあるやん!! 写り過ぎへんユルいカメラが!!」 (*´ω`*)

有効1220万画素のフルサイズ「α7SⅡ」を中古で購入

Sony α7SⅡ

 そんなインスピレーションでポチってしまったカメラが〝10年前の旧型モデル〟ソニー「α7SⅡ」。ちなみに今回の購入でワタクシが利用したのは、これまでにも何度かお世話になったことのある「マップカメラ」さん。気になる撮影機材があるとちょくちょく覗き見るサイトですが、新品や美品ではなく〝並品推し〟なところに好感が持てます (*´ω`*)

 「7S」は圧倒的な高画素数を誇る「7R シリーズ」の対極に立つシリーズで、現行モデルは「α7S III」です。もちろん私だって買えるものなら現行モデルを買いたかったわけですが… このご時世に「52万6900円」はあまりにも痛い。しかも現行とはいえ2020年10月のモデルですから、最新型と言えるかどうか…

 それなら2015年発売でも大して変わらないんじゃないの?? みたいな貧乏くさい発想で「中古の α7SⅡ」に落ち着いたわけです。お陰で出費は「14万円」で済みました(〝α7S III〟は型落ちになってからでも良いでしょう)

 それにしても… スマホのカメラが平気で「5000万画素」を謳うような時代に、フルサイズセンサーで「有効1220万画素」の変態「7SⅡ」を選ぶとは。フッ… オレも大概尖ってるなぁ(笑)

 カメラが到着して早々、付属のバッテリー2本を充電。待つこと数時間、まずは基本的なメニュー体系を確認しました。ありゃ?? 画像のアスペクトに正方形があらへんがな(汗)… ま、まあ良いでしょう。3:2以外ほとんど使っていませんし。

 機械モノは「覚えるのではなく感じて使う」が信条のワタクシですし、取り敢えずアレコレ試行錯誤しながら実地に慣れていきたいと思います (*´∀`*)

〝光を掴む〟「α7SⅡ」の特徴

Sony α7SⅡ の35mmフルサイズセンサー

 ミラーレス一眼としての「α7SⅡ」の特徴は「低画素のフルサイズセンサー搭載」であることに尽きます。

 「有効1220万画素」… 今の時代、ホントに冗談みたいな画素数です。遥かに小さな規格のセンサーでも「詰め込めるだけ詰め込む」がトレンドですからね。

 設計思想は別として、惜しい部分があるとすれば「裏面照射型(BSI)ではないこと」でしょうか?? ただ、受光素子の上を配線が通るという「受光効率の不利」すら意に介さず「α7SⅡ」が圧倒的な高感度性能を誇るのは、それこそ「低画素」だからです。一つ一つの画素の大きさで、表面照射型であっても常用ISO「100〜102,400」、拡張で「50〜409,600」というバケモノクラスの高感度性能を実現しています。

 低照度に強くノイズも少ない。「−4EV対応」の暗所に強いオートフォーカスや「5軸ボディ内手ブレ補正」を搭載しているため、高感度性能と合わせて手持ち撮影にも滅法強い。

 反面、大判引き伸ばしの印刷では密度的に物足りない画しか出せませんが、そのデメリットを差し引いても、マニアックで「感性を刺激するカメラ」だと思います。

 フルサイズセンサーの全画素読み出しで4K(最大30p)内部記録が可能になるなど、動画撮影用カメラとしても人気を博した「α7SⅡ」「変態カメラ」に見えて、実は「時代を先取りした設計」だったのかもしれません。

砂布巾が現在所有する「全レンズ」

 新しい(?)カメラも手に入ったことですし、現在所有するソニー「Eマウント」のレンズをご披露したいと思います。カメラ沼の兄貴が見れば大したことのないレンズかもしれませんが、腕時計を撮るためだけに揃えたと考えたら、中々面白い組み合わせだと自負しています (*´∀`*)

Sony 30mm F3.5(SEL30M35)

Sony 30mm F3.5

 まず前提としましては、OMとニコンを併用していた環境から現在の「SONY」に全取っ替えしたことで、一番寄れるレンズがAPS-C用の等倍「30mm F3.5(SEL30M35)」になってしまいました(汗)

 3万円くらいで買えちゃう激安マクロではありますが、決してダメなレンズではありません。写りはほどほど… ってな感じですが、フォーカスは速いし何より「軽くて小さい」。お出かけレンズにも最適です。

Sony 70-200mm F4 Macro G OSS II(SEL70200G2)

Sony 70-200mm F4 Macro G OSS II

 次に寄れるのがハーフマクロの「70-200mm F4 Macro G OSS II(SEL70200G2)」。これはもうさすがと言いますか… アンダーでも暗部に色味が残りますし、RAW現像で「化ける」写真がバンバン撮れています。カメラ1台分に相当するお値段だけのことはある!!

 とにかく発色が良いのです。ソニーっぽいと申しますか、センサーの特性をグイグイ引き出しているのが解ります。これぞ純正!! これぞ白筒!!

TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2

TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2

 そしてTAMRONの「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」。ハーフマクロほどではないものの、最短撮影距離が短いので「ハーフハーフマクロ」的な使い方ができます。

 実際、心の底から買ってよかったレンズです。上手い表現が浮かびませんが… 素人が撮っても「なんかそれっぽい画」が出てくるのですよ。もちろん素人とは私自身のことですが、構図だけ決めれば何となく気持ちのいい「白と黒」が撮れるので重宝しています。弱点があるとすれば、純正に比べると色味が僅かに沈むところでしょうか。何となくシブい感じに収まるんですよねぇ… それだってモチーフによっては味になります。

「α7SⅡ」の実戦投入は『ファーラン・マリの記事』から

 「α7SⅡ」投入の一発目は、リリース済みの『ファーラン・マリの記事』でした。モチーフは「写真写りの良い時計の代表格」みたいな「ネロサビア」。読者の皆さまはお気付きになられましたか??「オレは気付いていたぜ!!」と仰る方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい(笑)

 実戦初投入でしたし、最初は撮影難易度の低い被写体が良いなと思っていましたが、ファーラン・マリの記事で主役だった「ネロサビア」は、まさに格好のモチーフでした。実際、どんなカメラでも素敵に撮れると思います。スマホでも格好良く撮れるんじゃないかしら??

 とはいえ… 比べたいですよね?? フルサイズのくせに低画素という〝ロックなミラーレス〟「α7SⅡ」と、APS-Cの到達点ともいえる〝優等生〟「α6700」のマッチアップをご覧ください。

α6700(左) α7SⅡ(右) 30mm F3.5(SEL30M35)使用

α6700 で撮影
α7SⅡ で撮影

 どちらも良く写っています。ちなみにフォーカスはマニュアル。もちろん使用レンズも同じ。絞りや露出は見た目が同じ様に見えるように、調整しています。

 等倍マクロ「30mm F3.5(SEL30M35)」「α7SⅡ」だと〝APS-C モード〟でクロップされてしまいますので、ただでさえ少ない画素がさらに削られた状態なのですが、それがむしろ良い方向に作用している感じ。非常に柔らかい画です (*´ω`*)

 一方の「α6700」は今風のデータ密度で、情報としての力が強く出ている印象です。APS-Cだから画質が云々みたいな不満を感じさせない画作りは、さすがの「α6700」

α6700(上) α7SⅡ(下) 70-200mm F4 Macro G OSS II(SEL70200G2)使用

α6700 で撮影
α7SⅡ で撮影

 ハーフマクロ「70-200mm F4 Macro G OSS II(SEL70200G2)」の場合も同様の傾向ですが「α7SⅡ」の方がレンズの素性が反映されているような気がします。あくまで「気がする」だけですし、正直、好みの世界です(笑)

「シャッター音」が可愛い「α7SⅡ」

 そもそもミラーレスの「シャッター音」にイマイチ納得できていません。ミラーの動作音がない分、静かになるのは解りますが、こう… なんて言えば良いのか… 写真を撮影する「喜び」「シャッター音」がリンクしてくれないのですよ。味気なく感じるのかもしれません。

 そう考えると「OM-5」は意外にも男前なシャッター音でした。「Z6Ⅱ」はニコンらしからぬ軽い感じで、F2やF3など「握り拳みたいな一眼レフ」を使っていた私にしてみれば、拍子抜けの感は否めませんでした。

 「α6700」のシャッター音はと言いますと、正直、面白味は感じませんが、それでも「このカメラらしいな」と思わせる音がします。〝かしゅかしゅ〟と音を鳴らして撮れば、それなりにリズムにも乗れますしね。

 そして今回の「α7SⅡ」ですが、見た目のイメージとは異なる「きゅ~ん」みたいなシャッター音です。何だか可愛過ぎて、好みが分かれる音かもしれません (;´∀`)

 フィルムカメラ時代、連写なんてしない小僧の私がそれでもワインダーを付けていたのは、とにかく「シャッター音が好き」だったからです。巻き上げとシャッター音が連続することで「きしゃーん、きしゃーん」と泣くわけですが、アレには本当にシビれました。

 大昔のキヤノン「AE-1」のCMも、「パワーワインダーA」装着時の連写音を前面に押し出したものでした。あの「サウンド」にやられてキヤノン派になった人も多かったはずです。

タッチ液晶ではなかった(笑)

なぜタッチ液晶だと思い込んでいた??(汗)

 恥ずかしながらワタクシ、入手して最初のひと仕事を終えるまで、「α7SⅡ」も当然「タッチ液晶」だと思い込んでいました。液晶を指でペタペタやって反応が無いのを不思議に思い、そこでようやくスペックを確認して「タッチとちゃうやないかーい!!」と自分のアホさにツッコミました(笑)

 購入前に何を調べてたんだって話ですよね。ええ、センサーサイズと画素数以外は何も興味がありませんでした(あと、重量とか)

 「タッチ液晶なんてそんなの当たり前や」と考えていたのだと思います。スマホに慣らされ、各種タッチ式端末に慣らされ、「α6700」でも何の感謝もなく使っていたタッチ液晶。よくよく考えれば「2015年10月16日」… つまり10年前のカメラにそこまで求めるのは酷でした。ちなみにαの「Ⅱの時代」は全て、タッチ液晶未搭載だそうです。

 意識はしていませんでしたが、自分でも思った以上に「タッチ操作に依存」していたようで、特に「タッチフォーカス」が使えないことにかなりのストレスを感じています。フォーカスカーソルの物理キー移動がこんなにも面倒だったなんて… (;´Д`)

 テクノロジーに慣らされ過ぎて「出来て当たり前」が増え過ぎたのかもしれません。良い機会ですし、この世に存在する便利なテクノロジーに感謝したいと思います。

α6700と比べたらずっしり重い「α7SⅡ」

カメラの重さは慣れるしかないと…

 数字の差はもちろんですが、撮影ポジションに構えたときの重さがα6700とはまるで違います。重いですねぇ…「α7SⅡ」

 手放して久しいニコン「Z6Ⅱ」がバッテリー込みで「約705g」でしたから、それに比べれば「約627g」「α7SⅡ」は僅かに軽量です。ただ、重いことを理由に手放したところもある「Z6Ⅱ」と比較して、大幅に軽いというわけではありません。バッテリー込みで「約493g」… 500gを切る「α6700」と同じ取り回しは難しいかもしれません。

「α7SⅡ」でボロボロな時計の「傷」を撮ろう!!

 ここからはいよいよ、表題でもある「腕時計の傷 撮影会」です。「α7SⅡ」「α6700」で撮影した写真を並べて比較して参りますが、今回ワタクシが知りたいのは〝どちらが撮った傷がより画になっているか〟です。

 個別の腕時計の「傷」「欠くべからざる個性」として、より印象的に、より「ドラマチック」に写してくれるのは、果たしてどちらのカメラか… それでは、可能な限り同じ条件で撮っていきましょう!!

①オメガ スピードマスター マーク40 コスモス(3520.50)のベゼルに付いた深い傷

 まずは、何故か手放す気になれない「マーク40 コスモス」から。ワタクシの現コレクションで『傷』といえばこの時計を思い出すくらいの逸品。潔癖症の方なら看過できないほど深い傷が、アチコチにあります (;´∀`)

α6700 + Sony 30mm F3.5

Speedmaster Mark40 Cosmos Triple Date 3520.50

α7SⅡ + Sony 30mm F3.5

Speedmaster Mark40 Cosmos Triple Date 3520.50

 できるだけ条件を近付けて撮ったつもりでしたが、被写界深度の違いが出てしまいました。全体としてはどちらもよく纏っていて、破綻したところはありませんが、ベゼルの傷とその周辺を注視すると、画作りの違いが感じられます。「α7SⅡ」の方が、僅かにドラマチックかな??

②全体的に朽ちた1930年代のヴィンテージ ゼニス

 お次はほぼ100歳の「ゼニス オクタゴンケース」です。私の知り合いには、魅力的に年齢を重ねているご年配がいらっしゃいますが、この時計はまさにそんな感じです。チャームポイントは「劣化」「傷」の在り方ですから、そこを魅力的に写してあげる必要があります。

α6700 + Sony 30mm F3.5

ZENITH Octagonal Case

α7SⅡ + Sony 30mm F3.5

ZENITH Octagonal Case

 これは勝負ありましたね!! ケース側面のド派手な傷を見れば一目瞭然。下段の「α7SⅡ」の方が「傷の魅力」を捉えています。ステイブライトの質感も「α7SⅡ」が優秀です (*´∀`*)

 ただ、画作りが明快なのは上段の「α6700」。スマホなど、小さなデバイスのSNSで映えるのは「α6700」で撮影した写真かもしれません。

③チューダー サブマリーナ 76000 のケースバック

 ロレックスのパーツを流用していた頃の「チューダー サブマリーナ」です。コチラも相当な年季が入っていますので、アチコチに細かな傷が入っています。

α6700 + Sony 30mm F3.5

Submariner Tudor Submariner 76000

α7SⅡ + Sony 30mm F3.5

Submariner Tudor Submariner 76000

 被写界深度の差で、どうしても「α7SⅡ」で撮った写真の方がドラマチックに見えてしまうのですが… 王冠マークが解りやすいかもしれません。写真にキャラクター性があるのは、やはり「α7SⅡ」ですね。

 裏蓋のヘアラインは、画素数で勝る「α6700」が良く写しています。ただ、「α7SⅡ」の方が全体の雰囲気では好ましい写り方です (*´ω`*)

 ちなみに、これらの写真は全て、撮影したRAWデータを「Adobe Lightroom」でサイズの微調整を加えてから原寸のJpegに吐き出し、Webp変換で大幅にデータサイズを小さくした状態です。Webp化で画質はとことん低下していますが、元データを見ると、どちらもさすがに良く写っていると思います。激安等倍マクロも意外なほど頑張っている感じ。

 アップにすると画素数が倍ほども多い「α6700」の緻密さが良く解りますが、「倍の密度」を感じるかと言われれば、正直そこまでではありません。

空気と陰を描く「α7SⅡ」

Kurono Tokyo 2021 ANNIVERSARY TOKI(α7SⅡ で撮影)

 ここで私が見付けた「画作りの違い」を敢えて言うなら…「空気」でしょうか。目視できない充満する空気のような存在を「α7SⅡの画」から感じたのです。対する「α6700の画」からは、空気のフィルターを切り裂くような鋭さを感じました。被写界深度の深い浅いとは異なる部分でも、そんな風に思いました。

 それにしても「α7SⅡ」が切り取る〝影と陰〟は良いですね!! 暗い部分のニュアンスが豊富なので、ついついアンダー気味の写真を撮りたくなります。フィルムカメラ時代から「アンダー好き」の私としては「美しい黒が撮れるカメラ」が楽しくて仕方がありません (*´∀`*)

「α7SⅡ」なら〝意味のある傷〟が撮れそうだ

Sony α7SⅡ

 「画素が少ない」ということはどんなに頑張っても、データ上は「大雑把な写真しか撮れない」ことを意味します。そしてまさにその「ダメな部分」が欲しくて、私は「α7SⅡ」を… 10年前の古いミラーレスを購入したわけです。

 「不可欠な魅力としての傷を記録する」… これが今回のメインテーマです。そして〝傷撮影〟を行った結果、「α7SⅡ」はその役割を十全にこなしてくれると確信しました。

 傷を否定することは、腕時計が歩んできた「時間を否定する」ことです。例えば「システィーナ礼拝堂の壁画修復」における〝批判〟の根本には「経過した歴史に対する冒涜ではないか」という考え方があります。

 ミケランジェロやボッティチェッリが遺した名作群の「完成当時の色彩を取り戻す」ことを目的とした修復の理念からすれば、正しく「真逆の非難」に晒されているわけですが、最低限の補筆に抑え、あくまでもオリジナルを尊重したプロジェクトの困難さを思えば、これはかなり気の毒な話です。

 ただ、批判の意見にも聞くべきところは多々あります。特に長年で積もった煤を取り払ったことによる「明度・彩度の大幅な変化」は、壁画の印象どころか礼拝堂の荘厳な雰囲気すらも変えてしまったと言われています。

 ここで言われている「荘厳さの正体」こそが「時間」です。折り重なる時間が巨匠たちの作品に加えた「後天的な魅力」。その煤けた様子に「歴史」を重ねることで、修復以前の作品を見た観覧者たちはそこに〝大いなる畏怖〟を感じたのです。

Nivada Grenchen CHRONOMASTER TROPICAL(α7SⅡ で撮影)

 「腕時計の傷」にも様々な議論がありますが、私個人は個別の腕時計に感じる〝歴史〟を尊重したいと思っています。

 「傷」とは物言わぬ腕時計が私たちに語りかけるための〝唯一の言語〟に他なりません。 その小さな囁きに耳を傾け、その意味を解釈できるか否かが「腕時計写真の味わい」を左右する… 私は本気でそう思っています。

 そして、今回入手した「α7SⅡ」は、そんな小さな囁きを大切にできるカメラかもしれません。時代錯誤な「低画素数」だって、裏を返せば「対象に優しい写真が撮れる」ということ。甘甘な母親の眼差しのような「α7SⅡ」があれば、修正や修復とは根本的に異なる「傷に意味を持たせた写真」が撮れそうです (*´ω`*)



 次のページでは、α7SⅡで『屋外撮影』を行った際の「作例写真」を中心に、「α7SⅡ が活きる用途」についても考えてみました。続きをごゆっくりお楽しみ下さい (*´∀`*)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 名機を購入されましたね!
    過去の名作を購入するのは、最新機種が
    ポッと出てきても悔しい気持ちにならないのでいいですよね

    フルサイズはボケ感が綺麗ですね〜
    照明にもこだわりを感じます!

    α7sⅡは動画性能も良いので、動画撮影も捗りますな

    • Y太さま、コメントありがとうございます♫
      今となっては機能的に淋しい部分もありますが、とろけるボケ味だけでも買って良かったα7SⅡ。
      動画は最近撮っていませんが、その辺りの真価も確かめたいですね。

      こうなると、7R系も欲しいところですが… いかんいかん(笑)

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