『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

アイスブルーのニクいヤツ… KENTEX(ケンテックス)『MARINE GMT アイスブルー MOP(S820X-12)』を託されたので、じっくり検証します!!

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自由な発想が弾ける「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」のダイヤルデザイン

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
見るべき要素が多過ぎる!!(笑)

 ひと言「面白い!!」に尽きます。惚れ惚れするようなアイスブルーのダイヤルはもちろん、アチコチに見どころがあって視線が彷徨うわけですが、最大のインパクトを以て「何じゃこりゃ!!」と興味深く見るのは見返しリングではないでしょうか??

インパクト大の「見返しリング」

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
壁だ!! この時計… 壁がある!!

 いや、そもそも「見返しリング(フランジ)」と呼んで良いのかすら解りません。「謎の壁」です。

 「こんなの見たことないなぁ」と思わせた時点で、ケンテックスの作戦勝ちかもしれません。実際、少し時間が経過した後で「むしろここが〝壁〟でなかったら淋しい」とさえ思えてきたからです。

 実際、インデックスが食い込む構造など、かなり個性的なデザインです。もしもこのパーツが凡百の見返しだったらと考えると… いや、ここはこれで良いのです (*´ω`*)

扱いの困難な「MOP素材」を敢えて使い続けるケンテックス

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
MOPが上手く撮れると達成感があります(笑)

 私が以前から所有している「マリンマン シーホース Ⅱ」にも使われている『MOP(マザーオブパール)』。ちなみにMOPとは「真珠を作る母貝」のことで、主に「白蝶貝」「黒蝶貝」「あこや貝」「淡水真珠貝」などを指します。

 母貝の真珠層を極めて薄く削り出し文字盤に貼り付けて「MOPダイヤル」が完成するわけですが、相手は自然素材です。個体差もあり、必ずしも美しい輝きが約束されている物ではありません。

 また、薄く削るためには高度な技術も要求されます。削り出しや貼り付けの最中にも容易に割れてしまうため、大量生産品に向いた素材とは言えないかもしれません。

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
光線の加減で色味が変化。美しい…

 ケンテックスは以前から「ここぞ!!」というモデルにMOPを採用してきました。MOPダイヤルであれば「これはケンテックス渾身のモデルに違いない!!」と思えるほど、ケンテックスはMOPダイヤルに力を入れてきたメーカーです。

 「MARINE GMT アイスブルー MOP」の名が示すとおり、爽やかなアイスブルーのダイヤルを搭載した本作も、ケンテックス渾身の代表作に違いありません (*´∀`*)

「デイト」の場所を見て下さい

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
あれれ?? ズレてる??

 美しい細工で縁取られた「デイト」を見た後で、その数秒後には得も言われぬ不思議な「ざわつき」に襲われたワタクシ。そしてその正体に気が付いたときには「ケンテックス凄ぇ!!」と唸るしかありませんでした。

 お気付きになりましたか?? この「デイト」… 変じゃないですか??

 斜め位置のデイトなんて珍しくもありませんが…「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」の配置位置、明らかに変ですよね??

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
それにしては意図を感じる…

 そうなんです!! この場合大抵のメーカーはデイトを「4時位置(GMT8時)」に合わせるはずなんです。それが自然ですし美しくも見えますから。ところがケンテックスはこれを「微妙にズラした」のです。これに気付いた瞬間は鳥肌が立ちました ((((;゚Д゚))))

情報に重要な軸は「意地でも犠牲にしない」

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
なるほど!! 情報要素を遮断しない配慮なのか!!

 この配置のスゴいところは、メインダイヤルの「4時の中心軸」、GMT正位置の「7時と8時の中心軸」を潰さない場所にデイトを収めた「執念」にあります。正直、こんなことを望むエンドユーザーは一人もいないかもしれません。

 だからこそです。計測に関わる要素を可能な限り潰さないように配置することで得た、デイト枠の独立具合はどうですか?? あまりにも上手にデザインの要素として溶け込んだデイトに感じてきた「それやったら無くてもいいやん??」的なモヤモヤした気持ちに、ケンテックスらしい方法で答えを出してくれたのだと思っています。

昔から「針」に対する拘りが凄まじいケンテックス

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
包丁のような時針のインパクト!!

 ケンテックスは「針」なんですよ。どのモデルにも必ず「視覚的に引っ掛かりのある針」が使われています。「普通の針は付けるな!!」みたいな社是があるのかもしれません(笑)

 「マリンマン」の極太アロー針も十分に強烈でしたが、「MARINE(マリン)GMT」はさらにインパクトのある針の使い方をしています。「大中小」3種類の「アロー針」がダイヤル内部で所狭しとひしめいているのです。それでも視認に混乱をきたさないのは、設計段階で高度な「交通整理」ができているからです (*´ω`*)

「インデックスと針」がガッチリとリンク!!

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
針とインデックスのセットが明確なデザイン

 マッシブな時針と分針は、デザイン的に同系統のインデックスと見事にリンクされています。繊細な秒針はこれまた繊細な見返しマーカーとリンク。残されたGMT針が自動的にベゼルと同調されることで、それぞれが機能的な「必然」を持って存在を許されているのです。

 GMTやクロノグラフの中には視認で混乱が起きる時計が散見されますが、それらは「設計の甘さ」が原因です。ちなみに私は「視認性がダメな時計は買いません」。細部まで知恵を絞ったデザインが好きなので… (;´∀`)

ツートーンの「GMTベゼル」はボクらの憧れ

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
浮遊感のあるGMTベゼル

 ああ… 美しい。基本的にはシンプルなアルミのベゼルディスクが好きな私ですが、「MARINE(マリン)GMT」のように「サファイア カバード」も悪くありません。高見えがスゴい!!

 実はワタクシ、海外旅行に全く興味がないんですよ。そもそも半分仕事みたいな海外経験しかなくて、それすら最近は無くなりましたから。ですので「GMT機能」なんて、あったところで本当は使わないのです (;´∀`)

東京はいま何時??

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
GMTの針一本で「得した」気分になれます

 ですが、デザイン的にはやたら格好良いじゃないですか??『GMTベゼル』って。「4本目の針」の存在にもグッときますし、憧れるわけですよ。渡航先のロンドンで「東京はいま夜中の1時… ハニーは眠っているかな??」なんて言ってみたいわけですよ。え!? そんなこと言わないって??

 それは良いとして… 例え海外に行く予定がなくても、可愛い彼女がいなくても、「MARINE(マリン)GMT」『GMTベゼル』はイカしてるって話です。ケンテックス独特のデザインも楽しめますしね!! (*´∀`*)

GSの「SBGJ」に似ている??

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
ケンテックス遺伝子が強い!!

 さて、全てのデザイン要素を見て参りましたので、私が(或いは皆さんも)「似ているかも??」と思った時計についても書かせていただきます。時計好きの方であれば瞬間的に「ピン」と来るであろう対象の時計は、グランドセイコーの「SBGJ」ではないでしょうか??

 「SBGJ」とは搭載する要素が近いため、遠目で見れば全体的な類似を感じないではありません。しかし、細部をよ~く見るとまるで違うことが解るはずです。そしてケンテックスの場合のそれは、針の太い細い、インデックスの形が僅かに違うなどといった些事ではないのです。とにかくもう「ガッツリ違う」。小さなパーツの変化には違いありませんが、あまりにも個性的で大胆。全体を「ケンテックス色に染める威力」が桁違いに強いのです (*´∀`*)

 顔見知りに「SBGJ275」をお持ちの方がいらっしゃいますので、可能であれば比べて見てみたいと思っていますが、恐らくは「方向性からして違う時計に見える」はずです。そうですねぇ… 一度も会ったことのない遠縁くらいには似ているかも??

ムーブメントは「Seiko Instruments(TMI)Caliber NH34」

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
〝波富士〟のレリーフに縁取られた小窓から見える「NH34」

 キャリバー「NH34」はセイコー製「4R34」をベースに『GMTコンプリケーション』を追加したムーブメントです。2022年にリリースされました。お詳しい方であればここで少なからずガッカリしたかもしれませんね。所謂「4Rベースかよぉ」ってな反応です。

 TMIによると「NH34」の精度は〝日差+40秒から-20秒以内〟となっています。ちなみに「MARINE(マリン)GMT」に搭載されるNH34の日差は「日差0~+25秒」。ケンテックス社においてチューニングされたムーブメントが使われているのです。「スーパーNH34」と呼んでも差し支えのないレベルではないでしょうか?? (*´ω`*)

「MARINE GMT」に見る、ケンテックスの『マッシブ&エレガント』な設計思想

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
個体としての存在感が強烈

 ケンテックスのスポーツモデルの魅力… それは何をおいても「ガツンとくる存在感」でしょう。そしてその主義をブレずに守り続けてきたのが「ケンテックス」です。

 ここ数年の腕時計界隈は明らかに「小径モデル優位」の状況で推移してきました。最近になってようやく大型モデルに脚光が当たり始めましたが、そんな流行もどこ吹く風。ケンテックスは終始一貫して「ゴツいスポーツ」を作り続けてきました。

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
色気のカタマリ

 流行を追わない、むしろ流行を動かす側に立つ… 創業35周年を記念して作られた「CRAFTSMAN 時帆」にしても流行のラグスポに傾倒したようにみせて、他では見られない素材やディテールを駆使することで「流行の先」を見据えています。要するに、ケンテックスの目線は「何が流行っているのか」ではなく、常に「何が正しいか」にあるのです。

時計の「正しさ」を追求した先に見えるもの

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12 着用
こんなにゴツいのに、こんなに美しい

 時計の「正しさ」には様々なファクターがあります。正確な時刻を刻むことはもちろん、手を抜かない美しい仕上げ、流行を牽引する最先端のデザイン、或いは正統に継承した歴史的表現。そういった「正しさの追求」こそが「ブランドの進む道」を決定付けているのです。

 ケンテックスの場合は、ケンテックスらしくあり続けるための「硬派さ」こそが、最も大切にすべきファクターかもしれません。「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」に見た自由な発想のデザインも、意外なほど繊細で美しい仕上げも、それが魅力として結実するのは基盤に「硬派な時計メーカー ケンテックス」の存在があるからです。

 男性的な力強さを構成しているのが、実は細やかな「美の要素」だった…「マッシブでエレガントな設計思想」の中には、他のメーカーでは味わえない多くの面白味が隠れているのです (*´∀`*)

最後に… ツートーンGMTベゼルを持っていないワタクシの〝特別〟になった『マリン GMT アイスブルー MOP』

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12
他に被る時計がありません(笑)

 まさか「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」なんて人気モデルをいただけるとは思っていませんでしたので、何かフワフワとした夢心地の中にいる気分です。思えばツートーンのGMTベゼルって、ほとんど買ったことなかったのでは?? それだけに特別な存在になったと思います。

 私にできることは「一生大切に使うこと」だけ。とはいえそういう「誓い」って、言葉で表明するだけでは弱いと思うのです。行動で示さなければ…

 どうすればこの「大切にします」の気持ちを形にできるか… 明確な答えを出す前に私の脚は「浅草」に向いていました。あそこに行けば何かしらヒントが見付かるはず!!

 ってなわけで… ビシッと決めてやりました!! (*´ω`*)

「松下庵」でストラップをオーダーしちゃいましたよ(笑)

ケンテックス マリンGMT アイスブルーMOP S820X-12 着用
ブレスレットは夏専用にしようかな!!

 目的地はもちろん、ストラップ界隈の駆け込み寺こと「松下庵」です。そこで「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」をお見せして相談に乗ってもらったわけですが… めちゃめちゃ面白がってもらえました!! ゴリゴリした時計が大好きな松下代表も「これは良い!!」とマックステンション。超前のめりでストラップのアイデアを出して下さいました。これがまた… 完璧で (*´ω`*)

 そして今回も「そのままの提案」を頂戴することに。決め手は… そうですねぇ。私が練っていたアイデアよりも「MARINE GMTが生き生きして見えた」からですね。「あぁ… 今回も負けた」と敗北を認めました。次は勝つぞ!! 打倒、松下代表!!(笑)

 ストラップ完成まではしばらくかかる見込みですので、それまではブレスレット状態の重みを楽しみたいと思います。松下庵ストラップを付けた「MARINE(マリン)GMT アイスブルー MOP」の艶姿にもご期待下さい (*´∀`*)

※ケンテックス公式オンラインショップはコチラ

余談:

 今回の写真もAPS-C界の怪物「α6700」といつものレンズ達で撮影しました。

 ただ今回は「MOPの微妙な色変化を捉える」ことに全力を傾けるため、全体的にアンダーな仕上げに。普通にRAW現像するとMOPのニュアンスが飛んじゃいますからねぇ… でもそのお陰でステンレスの表現はグッと重量感を増しました。怪我の功名!!(笑)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • めちゃくちゃ羨ましい!っと言いたいところですが
    これはスナフキンさんが腕時計業界と真摯に向き合って
    きた結果なんだと思います!
    まさに腕時計への愛の結晶だと思います!(でもやっぱり羨ましい!!笑)

    今回も細部まで余すことなく紹介した、読み応えのあるレビューでした!

    個人的には裏蓋に色々情報が書いてあるのが好きですね〜
    文字はあればあるほどカッコよく見えちゃうんですよね。。
    (波や覗き窓も勿論ステキです。)

    美しきデカ厚時計にどのようなベルトが装着されるのか。。。
    楽しみにしております!

    • Y太さま、コメントありがとうございます♬
      そんなに頻繁にあることではありませんが、時計もさることながら託してくれる気持ちが嬉しかったですね。
      何より時計という存在の意義と価値について代表と共有できたことが光栄でした。
      「時計作りに携わっている人たちを泣かせる記事を書く」… 今後の変な目標ができちゃいました(笑)

      裏蓋のエングレービングですね。
      実際あれはたまりません(笑)
      所狭しと入る情報の密度自体がカッコ良かったりします。

      松下庵が完成しましたら、何らかの形で記事化したいと思います(*´ω`*)

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