『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

ミルガウス、ブレゲ TYPE XXI … 「サビ猫好き」にはわかる〝不人気な腕時計〟に備わる2つの『美点』

 子供っぽいことだと解っていても、止められない「癖」があります。最初は小さな拘りだったかもしれませんが、今となっては一種の「主義」と呼んでも差し支えないものになりました。

 即ちワタクシは「できることなら他人と被りたくない」タイプなのです。図らずも被ってしまったときの対応に、未だ正解を見いだせていない(どんな顔をすれば良いのか解らない)のもあって、できうる限り「意図せぬ被りは避けるべし」と考えています。「前提に縛りの存在する場」であれば、被ることはむしろ名誉なことですけどね。

 人様が見ればつまらぬ拘りに過ぎませんが、この性格が私に率先して「微妙な時計」の数々を選ばせているとも言えます。だから案外、コレクションの方向性を決める羅針盤としては「大事なパーソナリティ」なのかもしれません (;´∀`)

Table of Contents

被りたくない心理の正体

 一般的に他人と被りたくないという心理は「自分のアイデンティティを守りたい」「周囲からの評価をコントロール」したいという欲求の発現だと言われています。特に私のようにアイデンティティのあやふやな人間は「自己概念の確立」にこだわる傾向があるそうです。あぁ… 解るわぁ。私にとってあらゆるクリエイティブは自己概念の組み立て作業なんですもん。

 アメリカの社会心理学者、レオン・フェスティンガーの「社会的比較理論」によると、人は他人と比較することで「自分の価値を確認できる生き物」なのだとか。他人と同じだと感じると、途端に自分の「独自性が損なわれる」… そんな風に感じるのかもしれません。

 ただ、私の場合は「集団に属したい」という「所属欲求」「他者と異なりたい」という「区別欲求」が常に争っている感覚もあるのです。我ながら誠にややこしいヤツだと思います。その辺の自覚はあるんですけどねぇ (;´Д`)

おことわり

※ところで… 読み進めれば気付かれると思いますが、全く「同じネタ」『Youtube版』がすでに存在いたします。そもそもは動画を発出すると同時に記事をリリースする「ダブルインパクト計画」でしたが、慣れない動画作成で「お腹いっぱい」になってしまいまして…(汗)

 動画を撮った後、記事用の写真撮影がやたらと億劫に感じられて、今の今まで下書き状態で放置していたわけです。ところが読み返してみるとこれが案外面白い(笑) そこで心機一転!! 細部を追記、プロットし直した上で、改めて本隊(腕時計喫茶)でリリースさせていただきます(素人の動画では伝わらないニュアンスもありましたしねぇ)

底流に流れる「被らない時計」への希求

 何だか難しい話から始まりましたが、簡潔に申せば私の場合は「6:4」くらいの割合で、独自性の確立による「個性の追求」「集団帰属の欲求」を上回る人生を送ってきたのです。私の本業に本来必要なのは「集団の中で上手く立ち回って意見の落としどころを探す」みたいなスキルなのですが、実際の私はそう言った生き方に「認知的不協和(意見のズレによるストレス)」を感じるタイプです。

 まあ、仕方のないことです。思うままに生きられたらそりゃ楽かもしれませんが、思い通り且つ、ワガママ放題の人生が面白いとは思いません。多少のストレスとは折り合いを付けて上手に生きる手段を身に着けた方が、幾らか「生産性のある人生」ってものでしょう。

 とは言うものの、自分の中の「コア」な部分、大切にしている「奥の院」に触れる部分に関してだけは「独自性を守りたい」という考えもあります。私の手元に知らず知らずのうちに集まってきた「微妙に変わった時計」たちはその意思表明のような存在です。

 歴史から忘れ去られようとしているそれら「アウトサイダーな時計」に触れると、何やら沸き上がる特別な感情。それを一種の「父性愛」だとするのは簡単ですが、私の場合は腕時計趣味の「本流」に逆らい、暗黙のままに求められた「右へ倣え」を拒絶した結果として手元にやってきたのが、ほとんど話題にもされない「微妙なタイムピース」たちだと考えています。個人的には「滅多なことでは被らない」という特殊性能だけで、今の私が持つに値する時計ばかりです。

オフ会で感じるアウトサイダー感

  そもそも普通「腕時計オフ会」なるものは、自分のコレクションの「一番自慢できるところ」をご開帳する性質の場所です。
 
 腕時計界隈が広大な裾野を要する「ピラミッド構造」であるならば、上に行けば行くほどその階層は狭く、選択肢は少なくなって参ります。「パテック フィリップ」「オーデマ ピゲ」のスポーツウォッチが持て囃される状況もさほど変わっていません。

 知名度への拘りを捨てれば、頂点と目される時計の候補は増えます。誰も知らないけれど説明を聞いたら凄かった… そんな時計でオフ会の主役に躍り出る人もいます。ドイツ系が多い気がするなぁ。

 実はとんでもないレアモデルだった… オフ会で盛り上がる中で最も格好良いのがこのパターンでしょう。「野生の博物館級」を拝めたときなどは、心底「このオフ会に呼んでくれてありがとう!!」という気持ちになります。

 私の持ち込む時計はと言いますと… 被りはしません。確かに同じモデルが並びましたなんてこともほとんど経験がありません。ですが私の場合のそれは拍手喝采を浴びる「特別」などではなく、不人気ゆえの「孤独」に過ぎません。コレクター諸氏の食指が動かなかった時計で構成された「アウトサイダーなコレクション」には、表立って自慢できるところなんて一つもないのです。

 それでも、私自身はそんな状況に何ら痛痒を感じていません。他のコレクターさんから評価を集める「見栄えの良いコレクションではない」ことは確かでも、私にとってそれらは、愛情を注ぐに相応しい愛すべきくせ者…「サビ猫」さんたちだからです (*´ω`*)

「サビ猫」に見る〝個性と孤独、そして孤高〟

のぼせないのかなぁ~って、ずっと不思議です(笑)

 いきなりですが、ここで私の「猫遍歴」の一部をご確認下さい。

 学生時代に「不当に部屋を乗っ取られていた」こともあり、私は「猫」という存在を特別に感じています。そのときは黒猫を中心に近所の猫がワラワラと私の部屋(主にコタツ)を占拠。多いときは10匹近くが6畳間にひしめいていました。中には一匹だけ、個性的な柄の『サビ猫』もいましたっけ。

 アブストラクトな柄が災いしてか、サビ猫の一般的な人気は高くありません。どうせ飼うなら解りやすくて可愛らしい柄が良いということだと思いますが、どう考えても人間都合で身勝手な「柄差別」としか言えません。真の猫好きであれば、猫さんの「気立て」に最注目すべきでしょう。

 「変わった柄ですが、とてもよい子です」… 以前、猫の里親募集のページを見たときに、サビ猫さんに対してそんな説明がありました。サビ猫であることを「明らかにマイナス」と考えている関係者の心中がそこに現れている気がして、正直、あまり良い気持ちはしませんでしたね。専門家ですらそういう発想なんだと、少なからず落胆を感じました。

 一緒に暮らしてみれば、どんな猫にも個別の性格があると解ります。人間ウケする柄の子が中々のやんちゃだったこともありましたし、その反対に気難しく見える「サビ猫」さんが、実はとても気遣いのできる温和な性格だということも知りました。以来、むしろ私は「サビ猫推し」を貫いています。

 そもそも私の目にはサビ猫の柄が「クール」に映ります。米軍が砂漠地帯で着用する服の迷彩柄にも似ていますし、むしろファッショナブルでアートなのではないかと思っているのです。

 強い「個性」は周囲との隔絶を生みます。本来伝わるべき良さが伝わらず、『誤解』されたままで「拭いがたい孤独」に陥る場合もあるでしょう。ただ、それを「孤高」と捉えてその素晴らしさを理解している人たちも存在します。そういう人たちにとってみれば、人間本位のルッキズムに迎合しない「サビ猫」は、最高に格好良い「孤高の存在」に映るでしょう。

 本日、ワタクシが「被らない時計」として取り上げる何本かは、私のコレクションにおける『サビ猫的存在』と言えるかもしれません。この先の段では、そんな「サビ猫時計」に内在する「アウトサイダーな価値」について、可能な限りお伝えしたいと思います (*´∀`*)

オフ会でも滅多に被らない「砂布巾コレクション」

 まあ~ ものの見事に誰とも被らない私のコレクションですが、稀に「例外」もあります。実際、私と「合わせ鏡」みたいな趣味のコレクターさんがいるのですよ。そんなときは逆に「気持ち悪いくらいに」被りまくります。お互いに「なんだこいつもサビ猫好きか!?」なんて思ってたりして(笑)

 例えば顔見知りにお二人だけ所有者がいらっしゃいますが、他ではその影すら見ることのないロレックスがあります。それが「ミルガウス」です。

 ロレックスなんですよ?? 大人気ロレックスの古株で有りながら、基本的には誰も敢えて近付こうとはしない時計です。何ででしょうねぇ… よ~く見たら「すごい美形」なんですけど (ΦωΦ)

ロレックス最大の魅力であるはずの「高揚感」に「乏しい」ミルガウス(116400GV)の悲哀

ロレックス ミルガウス 116400GV ジャン・ルソー 写真
独特ですねぇ… 見飽きることがない(笑)

 先に申しておきますが、他人さまに「ミルガウス」を貶されたら、恐らくは「必死こいて抵抗」します。それくらいには愛しているのです。

 実際、こんなヘンテコな時計は他にありません。ロレックスなのにほとんど模倣の対象にすらならないのですから。長年カタログに居座り続けた「長老」でありながらアップデート一つされることもなく、ひっそりとディスコンされた不遇の稲妻針。ぶっちゃけ、そんな扱いでも仕方がない時計だとは思いますよ。

 そもそもミルガウスと言う時計には「ロレックスを身に着けている!!」という「高揚感が欠落」しているのですよ。心なしか「オイスターマーク(王冠マーク)」のご威光だって薄い気がしますしね。それでも万が一、ミルガウスでドヤる奇特な人がいたら見てみたい。それくらい高級時計特有の「オーラ」を感じさせない存在なのです。

ロレックス ミルガウス 116400GV ジャン・ルソー 写真
ふざけてるのに美形なんですよ。新喜劇のヒロインみたいな存在??(笑)

 ですが、私にはそれこそが「魅力の全て」でした。ロレックスを買ったのに、ほとんどの人がそれをロレックスだとは認めてくれない。イケメン揃いのロレックス兄弟の中に「アレ??」みたいなのが混じっていたらそりゃ浮きますよね。事情に詳しくない人の目には、ラインナップの統制を崩す「やたらとパンクでロックな存在」に見えるかもしれません。

 「右へ倣え」の対局にある「変態時計」の存在は、ロレックスの遊び心と余裕の現れ。私の目にはそれこそがロレックスの商業主義の外にある「可能性」に見えました。恐らくこの先も「ミルガウスだけは手放さない」はずです。あ、ミルガウスのニューモデルが出てきたら話は別ですけど (;´∀`)

参考市場価格

 2025年8月現在、RASINさんで中古が148万円でした。200万円を超えたこともありましたが、どんどん下がって120万円くらいで安定した時期もありました。とはいえさすがはロレックス。今の相場は「135万~150万円」といったところです。

ジャガー ルクルト レベルソのはみ出し者「スクアドラ ホームタイム(Q7008420/230.8.77)」に投影する自分の姿

Q7008420/230.8.77 ジャガー・ルクルト レベルソ スクアドラ ホームタイム 松下庵 写真
一般的なレベルソの間隔で対峙するとギョッとするそうです(笑)

 歴史を積み重ねたブランドの歴史を積み重ねたモデルであるほど、ディテールの「様式化」は進みます。価値のある歴史は庇護を受けるべきものですし、それ自体は悪いことではありません。

 ただ、過剰な様式に対する拘りは「可能性の破壊者」という側面も持っています。古今東西、伝統は外部からの圧力を拒絶することでその立ち位置を守ってきましたが、それでは次第に活力を失ってしまいます。周囲の意見に耳を貸し「時代の波に上手く乗る」こともまた、伝統と歴史の活性化には必要なことです。

 ただ… 例えそのことに気付き伝統に現代的解釈を施そうとしても、目論見通りにはいかないケースもあります。ジャガー ルクルトの「レベルソ スクアドラ シリーズ」はその典型だったかもしれません。

 かつては、レディスを含めたラインナップを誇っていた「スクアドラ」でしたが、重厚な歴史のヒダに埋没し忘れ去られようとしています。「スクエアなレベルソ」というコンセプトが受け入れられなかったのか、大きすぎた「サイズが拒絶」されたのか、はたまたレベルソのくせに「自動巻」であることが許されなかったのか…

 そう言えば、私が初めて購入したレベルソ「グランスポール」も自動巻でした。アレも「変態扱い」だったっけ??

Q7008420/230.8.77 ジャガー・ルクルト レベルソ スクアドラ ホームタイム 松下庵 写真
デザインコードは間違いなくレベルソなのですが(笑)

 間違いなくレベルソにとっては「改革者」だった「スクアドラ」の存在。しかし同時にレベルソの本道から言えば、それは明らかに「異端」でした。

 私個人にも覚えがありますが、改革者とは常に異端視されるもの… 解る。解るぞぉ!! ( ー`дー´)

参考市場価格

 2025年8月現在、国内中古で「70万円辺り」です。実際、中古でもこんなに安く買えるルクルトは他にありません。

大型のドレスウォッチという、不遇の定めを背負うオメガ「デ・ヴィル トレゾア(435.13.40.21.03.002)」

435.13.40.21.03.002 オメガ デ・ヴィル トレゾア 松下庵 写真
これはこれで良いドレスウォッチなんですよ?? 薄いし!!

 腕時計趣味の「原理主義」から申せば、お金のかけどころ… 大金を支払う対象は「ドレスウォッチ」でなければなりません。一本、自慢できるドレスウォッチさえ持っていれば、あとは適当なスポーツウォッチで構わないのです。「ドレスウォッチ=残すもの」「スポーツウォッチ=使い潰すもの」と言うのが、腕時計の歴史に於いては常識的な考えです。

 ところが近年はどうでしょう?? 高級スポーツウォッチは天井知らずの値上りを続け、その煽りを受けてか「ドレスウォッチなんていらない」と言って憚らない方も増えてきました。ドレスウォッチなんかにお金をかけたくない…解りますけどね。

 ただ、一介の腕時計好きという立場で見れば、やはりちゃんとした「ドレスウォッチ」にお金を使っているコレクターさんに憧れを抱きます。ここぞという場面でしか使えないドレスウォッチだからこそ「本物を身に着けたい」… その姿勢に、時計趣味に一番大切な「心の余裕」を感じるからです。

 ってなわけで私も「恥ずかしくないドレス」が欲しいとずっと考えていました。そこで手に入れたのがヴァシュロンのヴィンテージとオメガのマスター コーアクシャル「デ・ヴィル トレゾア(435.13.40.21.03.002です。ちなみにヴァシュロンはすでに数回、ドレスウォッチの必要なシーンでその存在感を示してくれました。

 翻って「トレゾア」ですが… 未だハマったシーンで仕えた試しがありません。ガッチガチのシーンでは遊んでいるように見え、砕けたシーンでは逆に畏まっているように見えるのです。ハマりどころが見付からない理由を私なりに考えてみましたが、どうやらこのモデルのコンセプト自体がそもそも「どっちつかず」なのではないかと言う結論に至りました (;´Д`)

435.13.40.21.03.002 オメガ デ・ヴィル トレゾア 松下庵 写真
使いやすいし、私は好きですけどねぇ~(汗)

 オメガさんのようなメジャーブランドでさえ、今の世の中に「ガチなドレスウォッチ」を定着させるのは至難の業に違いありません。そこで出番が限定的なドレスウォッチに僅かな「こなれ感」を与えて、無理すれば「カジュアルでも使えますよ的な設計」で纏めたのが「デ・ヴィル トレゾア」という時計なのではないでしょうか?? そう考えると、ドレスウォッチとしては巨大なケースサイズ「40ミリ」にも納得がいきます。ただ、この時計のような「どっちつかず」「面白い!!」と手に取る方は少数派なのでしょう。どこのオフ会でも終ぞ見かけたことがありません。

 それこそが「トレゾアの魅力であり孤高」なのですが、解るかなぁ??… 解んねぇだろうなぁ~(CV:松鶴家千とせ)シャバダバディ~イエ~イ

参考市場価格

 Chrono24さんで見付けた中古が「83万円くらい」でした。事情通の方はお解りでしょうが、オメガとしてはコレ、かなり健闘しています。そもそも並行市場にもタマが少ないみたいです。

不人気だからこそ色んな意味で自分のものにできた、パテック フィリップ「ゴンドーロ(5124G-011)」

5124G-011 パテック・フィリップ ゴンドーロ 松下庵 写真
ゴンドーロだから、ウチにあっても許されると思っています(笑)

 私は「角型の時計」も大好きなんですよ。普段の装いに与える影響力が強いですからね。腕時計生活に「味変」を加える目的なら「スクエアケース」「スクエアフェイス」の時計は非常に効果的です。

 私の手持ちの中では一番高価な「ゴンドーロ」ですが、誰が何と言おうと間違いなく「角型ドレスウォッチの最高峰」です。もっと賞賛されても然るべき時計のはずですが、悲しいかな、そもそもこのジャンル自体に人気がない(汗) 興味があったとしても、誰もがこぞってカルティエに行ってしまうんですよ。タンクを持っている私も、余り人のことは言えませんが。

 恐らく万人の知名度で言っても「ゴンドーロ」「タンク シリーズ」を大きく下回るでしょう。おかしい… 腐ってもパテックなのに、界隈のどこからも「次はゴンドーロ!!」なんて声が一切聞こえてこないのです。何でや?? そんなに大金を払うなら「カラトラバ」を買うですって??

 多分それが「正解」ですよ。無駄金も使わずに済むでしょう。しかしながら趣味なんてものにまで「失敗を恐れる」が如きマインドが侵食してきたら、ぶっちゃけ私はシンドイです。万が一にでもそんなマインドの強要があったら、私は即刻にでも腕時計趣味から卒業します。面白くないですもん (;´Д`)

5124G-011 パテック・フィリップ ゴンドーロ 松下庵 写真
小さいくせに「圧」がスゴいんですよ~ そこは雲上なんですねぇ(笑)

 「ゴンドーロ」を身に着けたところで、錚々たるパテックのコミュニティーに参加できるわけではありません。「辛うじてパテック」「ゴンドーロ」からは、そのような「ハイクラスのステーテス」を得ることはできません

 だからこそですね。私程度の木っ端コレクターでも臆せず、気兼ねなく使えるのだと思います。超一流ブランドの時計であっても、不人気モデルであれば「アイツ高い時計しやがって!!」と敵視の対象になることもありませんし、求めやすい価格にまで下がっている物がほとんどです。

 注意点があるとすれば、不人気であるが故の「中古市場でのタマの少なさ」でしょうか。需要と供給の関係を考えれば致し方ないところではありますが、いざ「狙おう」とすると、探すのに苦労するのも「不人気モデル」の特徴です (;´∀`)

参考市場価格

 2025年8月現在、BEST ISHIDAさんで見付けた「3,278,000円」が最安級でしょうか。そこから380万円辺りまでのゾーンで取引されているようです。この価格差の理由は不明ですが、箱や付属品の有無がデカいですからねぇ… 雲上は。

 ちなみにゴンドーロのラインナップは総じて下がり気味ですが、なぜかこの「5124G-011」は上がりました(笑)

デカ厚の『時代が生んだ徒花』 ブレゲ「タイプ XXI(3810ST/92/SZ9 SS)」

3810ST/92/SZ9 SS ブレゲ タイプXXI  松下庵 写真
不思議だなぁ… ブレゲの格好良いところ全部入りなんですけどねぇ(笑)

 いやぁ~ 人気ないですねぇ~ ブレゲの「タイプXXI」も。そのお陰でブレゲとは思えないお値段で買えちゃうのですが。

 まず、敬遠されているのは「大きさ」でしょうか。旧モデルの「トランスアトランティック」「アエロナバル」と比較するとその差は歴然。今の時代なら尚更「小径」の方が良しとされるのは仕方がありません。

 「タイプXXI」がリリースされた2004年はまさに「デカ厚ブーム」の初期にあたります。クラシックの総本山であるブレゲにしたところで「このビッグウェーブに乗らいでか!!」と息巻いたことでしょう。だからしょうがないのですよ。42ミリ辺りが標準とされていた時代なのですから。

3810ST/92/SZ9 SS ブレゲ タイプXXI  松下庵 写真
過小評価されている時計のランキングがあったら、相当上位にいるんじゃないでしょうか??

 それでも、クロノグラフ針と重なるように配置された「センター積算針」だったり、みんな大好き「フライバック」だったり、ブレゲ感溢れるケースサイドの「コインエッジ」だったり、機能と優雅さが高次元で纏まった名作ですよ。間違いなく!!

 とは言え、これで大人気モデルだったら私の琴線に触れたかどうか… 価格だって下がってはくれなかったでしょうから、そもそも買えたかどうか… 良かったよ!! 君が不人気で!! (*´∀`*)

参考市場価格

 2025年8月現在、「90万~120万円辺りで推移」しています。ちなみに私は南青山の「クロンヌ」さんで『めちゃめちゃアタリの個体』を購入しました。ブレゲは傷で台無しになるタイプの時計なので、中古の場合、実機の確認が必須です。

不人気品を「買うなら今」 

 ここで紹介した時計たちはどれも、それぞれのブランドの中では「最安値」で買える時計ばかりです。今のところプレミアもありませんし、その辺りで言えば今後の可能性は高くないかもしれません。

 それでも唯一「一発逆転」があるとすれば、曲がりなりにも全てが「マニファクチュール ムーブメント搭載」であるという点でしょうか?? 腕時計の資産的な将来性で言えばエボーシュ搭載品に明るい未来は望めませんが「自社製ムーブメント」であれば、どこかの段階で脚光を浴びる可能性もあるでしょう。

 不人気故にどこに着けて行っても「被らない」、しかも「安く手に入る」という凄まじいメリット。現行に近いパテックが中古で320万円、超絶美麗なブレゲが中古で100万円で買えちゃうのですよ??

 「買ってすぐに売る」ような気忙しい方でもない限り、不人気品狙いは大変なお買い得でしょう。「不人気のレッテル」が中古市場での価値を自然と下げてくれる現状はまさに「パラダイス」です。

 とは言え、この辺りを購入されるのでしたら「今」しかないと私は思います。これはワタクシの観測に過ぎませんが、あと5年もすればこの辺りの時計にもなんらかの「兆し」が訪れると考えているからです。

 例えば私の手元にあるオメガ「スピードマスター オートマティック」。数年前に中古でめちゃめちゃお安く手に入れた一本ですが… 現在、何故か高騰中。他にも何本か「ナニユエこれが??」みたいな時計たちに値上りの傾向があります。正直、何がきっかけかは解りませんが、それこそが腕時計の面白さです (*´∀`*)



最後に… サビ猫好きならきっと解る「不人気な腕時計」の2つの美点

 自虐マシマシで書いてきましたが、内心では「何を言っているんだ!! 全部良い時計じゃないか!!」… そんな風にコメントが付くのをお待ちしています(笑)

 それでも、不人気なのは事実でしょう。ですが、幾ら私だって「不人気だから」と酔狂を拗らせて買ったわけではありません。「何故これに人気がないのだろうか??」と不思議に思ったからこそ「ならば自分が使って確かめてやろうじゃないの!!」と購入するに至ったのです。ですから私はコイツらを「溺愛」しています。

 ちなみに私はこの「何でこの良さが解ってもらえないのかねぇ??」という感情に「サビ猫の憂鬱」と名前を付けました。前述しました通り、サビ猫って知的で思慮深い子が多いんですよ。だから馴染めば馴染むほど絆が強くなる。それなのにエキセントリックな柄が災いしてイマイチ人気がないのです。そもそも「人気の柄」なんて、所詮は人間世界の「ルッキズム」を猫に当て嵌めただけの話です。個性が強いって素晴らしいことだと思いますけどね??

 こんな私だからこそ、微妙で人気の無い腕時計たちにも愛情を感じて、隠された2つの美点「被らない」「安い」を見いだせたわけですが… 皆さんはどうお感じになったでしょうか??

 この記事をきっかけに、一流ブランドの歴史に一石を投じつつも埋没していった「名(迷)作」たちに、少しでも興味を持って下さればこれ以上の喜びはありません。

 そして数日後「スクアドラ買いました!!」みたいなコメントがやって来たら… ヤバいですね!! あの「難しい」スクアドラをどうやってパーソナライズするのか… 皆さんのお手並みを拝見したいと思います (*´ω`*)

ブログランキングに参加中です

Please share this article.

ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 色々言いつつも、全モデルストラップを
    着せ替えてるのを見るに、サビ猫時計達への愛を感じます。笑

    各モデル不人気、というよりは一癖あるが故にオーソドックスな
    モデルよりは選ばれにくいんでしょうね。
    大金を注ぎ込むからこそ、使いやすい物が選ばれやすいのでしょう。

    だからこそ癖者ばかり集めるスナフキンさんの変態性が際立ちますね。笑

    • 〝変態と 言われてうれし 腕時計〟
      Y太さま、ありがとうございます(笑)

      基本的に「売れてるならオレが買う必要ないな」なんてネジ曲がった思考なので、自然とこうなった感はあります。
      でも、弱点のある時計って可愛げがあるのですよ。父性愛を掻き立てるっていうか…
      時代遅れと言われてからが華ですよ!! 腕時計は(笑)

コメントする

Table of Contents