カール F. ブヘラと聞いて「あぁ!あの時計ね!」とイメージできる人はどれだけいるでしょうか?
ブランドの名前自体はそこそこ知られていると思います。文学的な響きの良さもあって何となく「高級なんだろうなぁ~」程度の印象はありそうです。ジオン公国のエースパイロットにいそうな名前でもあります(笑)
ではブランドのポジションとしては業界のどの辺りに位置するのか…と言われたら、本当の意味で正確に答えられる人は多くないでしょう。それくらい活字メディアの情報は少ないのです。
とりあえず興味のある方は、軽い気持ちでブヘラのコレクションを覗いてみてください。何ともいえない「曲者」揃いではありませんか?(笑)
現行品だとメンズなら「マネロ」のコレクションが比較的大人しいですが、日本人の感覚からすればそれですら変わり種かもしれません。
出典:https://monochrome-watches.com/
しかし、そこは「変態腕時計紳士」を自称する私。機動戦士ガンダムで一番好きなモビルスーツは?と聞かれたら迷わず「ギャン一択!」と答える私ですから、ブヘラの時計が持つ独特のエグ味も嫌いじゃありません。
てなわけで、ブランドのフラッグシップモデルであるパトラビの「GMTクロノグラフ」を手に入れました。中古なのですが外装の状態が極めて良くピカピカ。これならマ・クベ大佐も「あと十年は戦える!」と喜んでくれるはずです( ー`дー´)
特筆すべきは外装に使われたステンレスの質感。確かに仕上げも良いのですが、明らかに金属の密度が高いのです。故に視覚的な重量感もズッシリ。これは立派なジュエリーと呼んでも差し支えない出来映えだと思います。
それもそのはずで、カール F. ブヘラのルーツである「ブヘラ・ショップ」は、スイスの高級リゾート地「ルツェルン」で1888年に生まれた時計と宝飾のお店。後に欧州最大の宝飾店へ成長を遂げるくらいですから、美麗を追求することにかけて妥協しない姿勢も至極当然に思えます。
宝飾店から始まったブヘラの時計作りは、いわゆる「コラボ方式」によって行われました。幾らでも優秀な時計職人が存在するスイスという国だからできることですが、時計の機構の専門的な部分はその道のプロに委ね、ブヘラとしては、老舗宝飾店としての経験を生かした「ディレクション」と「ブランディング」に特化。機械としての高品質を保証しつつ、消費者を意識したデザイン性の高い腕時計の数々を生み出してきたのです。そうして自らのブランドのみならず、多くのブランドや時計師に飛躍のきっかけを与えてきたと言われています。ロレックスとの協力関係もよく知られていますね。
そもそも宝飾の彫金職人は古来、腕時計の美麗なパーツを作る職人でもありました。宝飾の目利きであったブヘラが、お得意様のために魅力的な腕時計を作り始めること自体は、極々自然なことに思えます。しかし、時計師がルーツではないブヘラにとって、自らを「時計メーカー」と名乗るには長い年月が必要なのでした。
ブヘラが「カール F. ブヘラ」というブランド名を名乗り「腕時計メーカー」として一本立ちしたのは2001年ですから最近のことです。1919年から時計製造を始めた経験と実績の長さからいえば、それは意外としか言いようがありません。
私はブヘラの腕時計と職人に対する真摯な想いというものが、腕時計メーカーを名乗ることを躊躇させたのではないかと思うのです。宝飾店から始まった自分たちが軽々に腕時計メーカーを名乗ることはできない…そんなブヘラが立ち上げたカール F. ブヘラ。それは老舗のブヘラショップが満を持して「腕時計業界」という大海へ漕ぎ出した証ではないでしょうか?
ブランドとしては新興の部類ですが、実際は業界で海千山千のカール F. ブヘラ。近年は定評のあった外観の美しさだけでなく、内部機構の技術においても話題に上ることが増えてきたように思います。特にリューズの位置を変えずに完成させた「ペリフェラル式」は、機械式腕時計愛好家の夢が詰まったムーブメントでしょう。自動巻きでありながらローターに邪魔されず内部を見ることが出来るなんて!
さらにはそれらの技術を発展させた「トゥールビヨン」も完成。短期間でマニュファクチュールと名乗っても恥ずかしくないレベルへと到達しました。
そんなこんなで本格派の腕時計メーカーとして着実に進歩しつつあるカール F. ブヘラではありますが、今のところガチガチの腕時計愛好家が触手を伸ばす存在とまでは言えません。特に日本人には人気が…いや、馴染みがないんですね。扱ってるお店も多くはないですし(;´Д`)
そういうワケでカール F. ブヘラの腕時計メーカーとしての評価は「これから」定まるといえます。そういう意味ではちょっとした先行投資の気分(*´∀`*)
さて、私の元へやってきたブヘラは「パトラビ」のクロノグラフのGMT仕様。10年以上前に発売されたモノで現行品ではありません。トラベルグラフの初期モデルとして、そのデザインは後継機にも引き継がれています。
現行の、特にオリジナルのムーブメントを搭載したモデルは軽く100万円を超える定価が付いていますが、私が買ったパトラビは汎用ムーブメント搭載(恐らくはETA2892-2ではないかと)ということもあって、それほど高いわけではありません。それにしても私のコレクションに2824と2892の多いことよ(;´∀`)
重いけど重くない
ある意味「賭け」で買った時計です。奇妙な話ですが、これまでとは違い「買ってから好きになろう」と考えて手に入れました。というのも、カール F. ブヘラというブランド自体が先に気になっていて、何かしら一本手に入れて「味わってみるべし」的な心境だったのです。何でしょう…「腕時計研究」みたいな感じ。ですから細部についてはそれほど調べることなくお店で実物を拝見、購入という流れになりました。
で、最初に使った日に思ったのです「めっちゃ重いな(205グラム)」そして「デカイな(幅42ミリ)」と。こんなことは最初に調べていれば解ることですが、パトラビに関してはそんな感じでした。
ところがあるときから重さの方はそれほど感じなくなりました。慣れか何かは解りませんが、恐らく実際の重さよりケースサイズや意匠の派手さからくる「存在感」が余計な印象として「視覚的な重量」を感じさせていたのだと思います。見た目の迫力に慣れてきたんでしょうか?まぁ実際200グラム超えですけどね(;´∀`)
不思議なもので…同じ200グラム超えでもさして感じないものもあれば、やたら重く感じるものもあります。例えばうちの横綱くん「スーパーオーシャン・スティールフィッシュ」はその重さで泣きたくなることもあるマッチョな時計ですが、パトラビさんにはそこまでの破滅的な重さは感じません。そういう意味では重量バランスに優れ、余計な重さを感じさせないパトラビの設計は素晴らしいです。
カール F. ブヘラという「これから」なブランドだからこそ、軽い気持ちで使える良さはありますね。使ってる人が満足するかしないかという本来の価値のみで使えばいいですし、メディアを始め外野に惑わされることも少ない。それでいてこれからを感じる「可能性」もあるワケで、密やかに楽しむ分には良いブランドだと思います。10年後にどういう評価になってるか…ですね( ー`дー´)
初めての高級腕時計としてカール F. ブヘラを選ぶ人は少ないでしょう。ならば何本目くらいに買うのが正しい時計なのか…それもハッキリしません。けれど、絶対に身近な人と被ることはないでしょうし、ブランドの持つ圧力で他人に顔を曇らせることも無いはずです。そういう意味では、確かに見た目「やり過ぎなラグジュアリー感」はありますが、案外フツーに使える「大人のための時計」を手堅く作っているのが「カール F. ブヘラ」というブランドなのだと思いました。
もしもカール F. ブヘラが気になる方がいらして、たまたま弊ブログを読んで下さったなら、これも一つのエビデンスとして参考にして下さい。北宋ではありませんが、キシリア様に献上したくなるくらい「これは良いもの」ですからね…(*´∀`*)
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