『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

【自腹レビュー】限定復活を遂げたmircoの「TYPE-02(Cal.NE86)」―― 強烈な存在感の中に潜む〝繊細さ〟と〝愛おしさ〟

 腕時計の外観に関する魅力には大きく分けて〝2つの要素〟があります。一つは「丁寧な細工」。ケースや針の仕上げと言われる部分、ダイヤルのギョーシェ細工など、優れた仕上げ加工は「上質な時計であること」の何よりの証です。

 もう一つは「オブジェクトとしての存在感」。美味しいごはんは炊き上がったお米の一粒一粒が〝立っている〟と申しますが、単体として「特別な存在感を持つ腕時計」も、文字通り「屹立」して見えることがあります。そういう時計は既存の尺度で測れない時計である場合が多く、今回お話する一本の時計もそんな「ユニコーン的存在感」を持った『特別な腕時計』です (*´∀`*)

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「mirco(ミルコ)」ってどんな時計ブランド??

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ ロゴ

 今回取り上げるのは「mirco(ミルコ)」という日本ブランドの時計です。ご存じない方のために、簡単な沿革をまとめておきます。

 ——「mirco」は2019年、大宮(埼玉県)で創設されました。現在は南相馬市(福島県)を本拠地として活動しています。創業者は、国産腕時計メーカーで腕時計製造のノウハウを習得した平岡雅康氏。

 以来、ここにきて見直されつつある〝1970年代の時計デザイン〟を基盤にしながらも、随所に現代的でユニークな発想を盛り込んだ時計を製造。現在は「TYPE-02(在庫無し)」「TYPE-03」をラインナップしています。

mircoさんの公式はコチラです

フクシマ・ウォッチ・カンパニーの原点

Fukushima Watch Co. Odaka Seaweed black フクシマウォッチ オダカ ブラック
Fukushima Watch Co. Odaka Seaweed black

 事情通の方であればご存じの通り、「mirco」は2022年に創設された「フクシマ・ウォッチ・カンパニー」の前身にあたるブランドです。
 
 東日本大震災発生後、ボランティアとして東北を訪れた平岡氏。復興に向けて困難な道のりが予想される中、平岡氏は東北各地に点在する時計関連製造拠点に注目。「東北パワーを結集した時計を作れば、それが復興の一助になるのではないか」と考えました。そうして完成したモデルが、今回お話しする「mirco TYPE-02」です。

 完成したばかりの自信作を引っさげ、2019年「BASELWORLD(バーゼルワールド)」にも参加。生まれたばかりのブランドが後ろ盾もなしに〝処女作で参加した〟なんて話は、ついぞ聞いたことがありません。信念の突貫ですな。

 ただ、そういった〝真っ直ぐな情熱〟ってやつは、世界中の誰が相手でも伝わるようです。

 「日本のブランドが何やら面白い時計で勝負している!!」… バーゼルワールドを契機に、欧州の時計関係者の間で「mirco TYPE-02」の評判は高まりました。後を追うように日本のメディア、愛好家たちも注目し始め、初期ロットはあっという間の完売。

 そんなわけで、完売後も早期の〝再販を希望する声〟は絶えることなく、迎えた2026年、満を持して限定販売されることになった「mirco TYPE-02」。それは、単なる〝再販〟では済まされない、謂わば〝魂の集合体〟ともいえる「特別なモデル」でした (*´∀`*)

※コチラの記事もご参考にどうぞ♫

〝奇跡のコラボレーション〟で蘇る「mirco TYPE-02」

 2026年4月4日、そんな「mirco TYPE-02」を網膜に焼き付ける機会がありました。

 「フクシマ・ウォッチ・カンパニー」を取り扱う『H°M’S” WatchStore 表参道』さんが、お得意さまを中心に「mirco TYPE-02 特別モデル」の販売イベントを行ったのです。生産終了から「まだかまだか!!」と待ち続けた人にとっては、またとない機会がこの日でした。不肖、この砂布巾も呼んでいただきましたよ。

 実のところ本企画「mirco TYPE-02 特別コラボモデル」については、かなり早い段階から情報を得ていました。「mirco TYPE-02が復活」する。そして特別モデルには「松下庵がTYPE-02のために製作したオリジナルストラップ」が付いている。はい、この時点で誰もが陥落するに十分な内容です。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 松下庵
なんと!! 始めから松下庵が付いてくる!!

 ところが… おかしなことが起きていました。

 東京浅草の一流ストラップメーカー… いやいや、今や世界にその名を轟かせ「時計好き憧れの松下庵製ストラップ」が付いているにも関わらず、価格が変わらない。要するに、これまで通りの〝お値段据え置き〟なのですよ。理解不能!! こんなのあり得ないでしょ!?

 「松下庵を〇万円だと仮定して実質は」… その場で嫌らしい計算をしてしまいました(笑)

 時計が好きで好きで、数字よりも先に「良いものを届けたい」と考える男たちがタッグを組むと、こんな奇跡のようなケミストリーも起きるみたいです。その裏には、コラボレーションを演出した「H°M’S” WatchStore 表参道」さん、何より店長氏の存在があったことを明記しておきたいと思います。

ミルコ… 買ってしまった… (@_@;)

 この日のイベントは、いやほんと… スゴい盛り上がりでした (@_@;)

 その様子から思い出すのは、まるで特売コロッケのように売れていく光景を見せ付けられた、2023年の限定コーニッシュ、アベンチュリンダイヤルの「シエルノクターン」のこと。ぶっちゃけこの日も、あの時計の発売初日に匹敵する賑わいでした。

 この日発売される特別モデルは10本… たった「10本の限定販売」です。一瞬の躊躇が命運を分けかねない、そんな真剣勝負な空気の中、私は意外と冷静でした。

 「皆さんが選び終わって、余っていたら考えようかな??」… そんな大人の余裕を漂わせつつ、戦場の推移を見守っていたワタクシ。26年は時計購入を抑える考えでいますし、この日はイベントの空気だけ吸ったら大人しく退散するつもりでした。この日は「見るだけの子」です。ミルコだけに!!(笑)

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB HMS表参道店 イベント 様子
良い感じのコラージュができました(笑)

 ところが、来場者の方々が次々と「TYPE-02」を手に取り、あーでもないこーでもないと議論を交わす様子を見ていると、ほらね… 自分も参戦したくなっちゃったのですよ。目の前の「イリミネーションマッチ」に(笑)

 そして気が付いたら、盛大に〝ペイペイ!!〟を鳴らしている自分がいました。しょうがないですよねぇ… 欲しかったんだもん (;´∀`)

豪華なボックスを開封

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ボックス
こんなガチなケースに収まるとは意外でした(笑) mirco TYPE-02

 そして「開封の儀」。まるで雲上ブランドのように豪華なボックスです。めちゃめちゃシックなドレスウォッチが収まっていそうな雰囲気ですが…

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ボックス 開放
内装も素敵!! mirco TYPE-02

 こんな、わがままボディの子が入っています(笑)

 箱の内側、緑のファブリックも良い感じ。ただ個人的には、箱はこの半分くらいの大きさ(昔のクロノスイスくらい)で良かった気がします。ぶっちゃけ、箱の中に住んでるみたいな状況なので(汗)

 さて、面白くて貴重な時計が手に入ったことですし、読者の皆さまに少しでも質感や重量感が伝わるように、持てる全力で写真を撮りたいと思います。カメラはソニーの「α7RⅤ」をメインに。近接撮影能力に優れた3本のレンズを使用します。ライトボックス(タップで拡大)もありますので、ポチポチしながらごゆっくり細部をご堪能下さい (*´∀`*)



〝デカい〟そして〝分厚い〟

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 6時位置 拡大
仕上げが際立つ、このアングルが一番好きかもしれません mirco TYPE-02

 生産終了以降、長く購入機会がなかったことに関しては私も同じでした。

 とはいえ「TYPE-02の実機」を見る機会自体は、これまでに何度もありました。HMS 表参道の店長がお気に入りでよく着けてましたからね。お店で自慢される… というよりは、新宿三丁目の町中華で豆苗を食べながら拝見することが多かったですが(笑)

 手のひらに受け取った「TYPE-02」から私が受けた最初の印象は、とにかく「分厚い!!」「デカい!!」でした。そして数分後、ある程度インパクトが鎮まった状態で、満を持して試着させてもらいました。そして、左手首から伝達される情報を分析し終わった私は、下腹から絞り出すように感想を述べました。

 「これヤバいなぁ… めっちゃ好きや!!」(@▽@;)

 「ケース幅42ミリ」「mirco TYPE-02」は小さい時計ではありません。ドウェイン・ジョンソン氏(ロック様)が着けたら小さく見えるかもしれませんが、細腕の方にとっては少々大きいはずです。

 ですが、日頃小さい時計を愛用している方にとって気になるのは、どちらかといえば「厚さ16ミリ(実測:風防込み)」の方かもしれません。実際、「サイズ由来の存在感」に関していえば、小径の傾向が強い昨今のプロダクトからは大きく逸脱した時計です。ただ、「mirco TYPE-02」に関して言えば、このサイズとフォルムにも明確な意図を感じました。

 人間だって鍛えこんだ大きな肉体と、サイズが大きいだけの肉体では同じ骨格でも〝大きさの意味〟が違いますよね?? 大きな時計に関しては数値上の大きさよりも、そこに十分な「説得力があるか」の方が重要です。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB リューズ プッシャー
細部まで完成度が高い mirco TYPE-02

 その点「mirco TYPE-02」の大きさは「デザイン的な説得力」も十分です。例え薄型のTYPE-02があったとしても、個人的には敢えて分厚い方を買い求めると思います。

 理由は明白。このデザインの完成度、或いは落としどころからいっても、このボリューム感が〝不可欠〟だからです。試着してもらえれば解ると思います。この「厚さ16ミリがあってこその格好良さ」だと。

搭載する「Cal.NE86」がマニアックでよろしい

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ケースバック
ケースバック外してみようかなぁ… mirco TYPE-02

 ちなみに「mirco TYPE-02」が搭載しているムーブメントはセイコーインスツル(SII/TMI)製『Cal.NE86』。日本の汎用ムーブメントとしては現行で唯一といっても良い「機械式クロノグラフ」です。28,800 bph(8振動)、パワーリザーブは45時間。クロノグラフですが、時計としては100m防水を死守しています(エラい!!)

 30分計とスモセコ仕様のバイコンパックス「NE86」と、さらに12時間計を追加したトリコンパックスの「NE88」がラインナップされていますが、どちらも「コラムホイール」「垂直クラッチ」を備えた贅沢設計です。私もここ数年間「一本くらいはNE86かNE88の時計が欲しい」と狙い続けてきました。

 なのに!! 探してみると意外なほど搭載品は多くありません。3針分野では世界中で使用実績を積み重ねてきたセイコーインスツルですが、クロノグラフ分野はその限りではないようです。何故だろう… SW500よりも取引価格が上ってことはないと思いますがねぇ (;´∀`)

不自然に分厚い搭載品が多い気がする「Cal.NE86(88)」

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 平置き 松下庵
そもそも搭載品は多くありません mirco TYPE-02

 ずっと狙ってきたわけですから候補の「Cal.NE86(88)搭載モデル」も幾つかあって、試着に赴いたこともあります。

 そこで不思議に思ったのですが… 同じ7.9ミリ厚のETA 7750にしてもSellita SW500にしても「まあこのくらいでしょう」と許せる時計の厚みがあって、その常識の範囲内であれば「分厚いぜ!!」なんて思うことはありません。

 ところが7.63ミリ厚の「Cal.NE86(88)」を搭載している時計を試着すると、違和感のレベルで「分厚さ」を感じることが多くありました。数値上は「Cal.NE86」の方がETA 7750やSW500よりも僅かに薄いはずなのに。

 デザインがそう感じさせたのかもしれません。頑張ってギリギリまでケース径を抑えた結果、厚みが目立ったからかもしれません。採用実績からいって、薄く見せるノウハウやケーシングに関するフィードバックが弱いからかもしれません。

 そんなわけで「欲しいけれど買うまでいけない」… そんな気持ちで見送ったモデル(中には二度と手に入らないもの)もありました。

 そんな私が〝ようやく買えたNE86モデル〟… それが「mirco TYPE-02」です。私のコレクションで唯一の「Cal.NE86」。何だかこう… 滾りますね(笑)

避けられない分厚さを〝格好良さ〟に昇華したmirco TYPE-02の「ケースデザイン」

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 平置き 松下庵
見るからにワクワクさせるケースデザイン mirco TYPE-02

 「腕時計のサイズ」なんてものは所詮、参考に過ぎません。

 こうして、自分の愛機となった「TYPE-02」を着けて思います。納得しかないのです。大きさにも重さにも、そしてこの巨大なベゼルにも… 全てに納得している自分がいます。

 形にしたいデザインがあって、どうしても避けられないサイズの問題があって… それでも尚、「mirco TYPE-02」には明確なテーマの直線上で結実した成果としての〝完成度〟が存在します。

 先ほど申しました通り、例え「薄いサイズのTYPE-02」が存在したとしても、私はこの厚みに価値を見出していたと思います。単純にこの〝ボテッとしたカタマリ〟が格好良く見えるからです。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ベゼル リューズ プッシャー
突き抜けた個性の中に格好良さがある mirco TYPE-02

 実際は様々な葛藤があったかもしれません。昨今の小径傾向と薄い時計への希求に思いを巡らせれば「TYPE-02の再販」には思うところもあったでしょう。

 ただ、あのイベントに意気揚々と乗り込んできた多士済々の面々にとっての「TYPE-02」は、その個性において既存のモノサシなど必要としない、圧倒的な個我を持つ〝特別な時計〟に見えたはずです。

 実際、格好良いは〝正義〟です。この時計に凡百の一般論は似合いません。

厚みを楽しむ配慮に満ちた「2ポジション仕様のラグ」

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ラグ
ベゼルの厚みとケースの厚み、そこに絡むラグの関係性が美しい mirco TYPE-02

 「厚みのある時計」って、とにかく〝ストラップのコーディネート〟で苦労するんですよねぇ (;´∀`)

 〝付けられるなら何でも構わない〟って方であれば悩む必要もないわけですが、ストラップで使おうと決めたのであれば、できる限り「格好良く見える組み合わせ」で着けたいじゃないですか??

 そこで重要なのが「ストラップの厚み」なんですよ。要するに〝時計に負けないボリューム〟が必要になるのです。大柄の幕内力士がぺらっぺらのまわしを着けて土俵に上がったら… 変ですよね??

 今回の「mirco TYPE-02 特別セット」には松下庵製のボリューミーなストラップが付いているので、そこは全く問題がありません。とはいえこの先、違うストラップやブレスレットに交換したいとなったときには、また一から悩むことになるはずです。

 そんな「mirco TYPE-02」には、ストラップの選択肢を大幅に増やしてくれる〝ニクい配慮〟があります。まずはラグを拡大したこちらの写真をご覧下さい。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB ラグ 穴
たったこれだけの配慮が、どれだけ使い勝手を良くすることか… mirco TYPE-02

 ラグの「バネ棒取り付け穴」「2箇所」開いているのがお解りいただけるでしょうか?? つまり「2つのポジション」でストラップを付けることが可能なのです。

 革素材そのものに厚みのあるストラップの場合、ケースに近過ぎる位置での装着が難しい場合もありますが、そんな場合でも外側のポジションなら無理なく利用できるようになります。革のNATOストラップを引き通す際も、無理矢理に押し込む必要はありません。

 ストラップが2ポジションで付けられるメリットは、それだけではありません。例えば、直カンのエンドピースが付いているブレスレットで使うときは、時計ケースから離して隙間を作った方が「お洒落」だったりしますが、そういった「見た目の趣味の部分」でも可能性を引き出してくれます。

 ケースの厚みを逆手に取ることで、楽しみ方の選択肢を増やした「mircoの配慮」。ユーザーへの想いが、こんなところにも現れています (*´∀`*)

不思議だ。重くない!!

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 重量 測定 タニタ
人間用のタニタも持っていますが、怖くて乗れません(笑)

 タニタの測りに乗ってもらいました。「134グラム(ストラップ含む)」

 数値上の重量でいえば、決して軽い時計ではありません。ブレスレットモデルなら、200グラムを超えていた可能性もあるでしょう。

 さすがに200グラムをオーバーすると、ほとんどの人に「重い時計」として認識されると思います。体調が良くない日に着けると、肩から腕がもげそうになる重さです。

 それでも中には「大して重く感じない200グラム」もあります。そういう時計に共通しているのは、時計全体の重さがそのまま手首に突き抜ける感覚です。

 ブレスレットやストラップの締り具合、適切に巻けているかも大切ですが、それよりも、時計重量の中心が軸として集約されて、それがそのまま手首を貫通するような「目に見えない腕載り性能」が重要。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 装着
見た目からは想像できない腕載りの良さ。松下庵のストラップもさすがです mirco TYPE-02

 腕に巻いた「mirco TYPE-02」は不思議なほど重くありません。むしろ手のひらの上に乗せている状態の方がズシリとくるくらいです。大型で重たい時計であっても、腕載りが良ければ気にならない…「mirco TYPE-02」はその最たるものの一つです。

角度によって時計の印象を一変させるmirco TYPE-02の「ベゼル」

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 正面
これはアートだ!! mirco TYPE-02 BB

 イベントから自宅に戻り、ひと息つく間も惜しんで「mirco TYPE-02」の写真を撮りました。

 ライティングを決めてファインダーを覗いて… その瞬間、私は理解したのです。〝このベゼルは伊達じゃないぞ!!〟

 素人ながらこれまでに、数え切れないほど多くの時計写真を撮りました。そのお陰で身に付いたことは多々ありますが、何よりも財産に感じているのは、個々の時計の「イケてる角度」をほぼ確実に見付けられるようになったことです。

 お初の時計を撮影するときは特に気を遣います。時計の角度を細かく変えながら、ファインダー越しに観察。対象の時計の〝設計意図を見抜く〟なんていうと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、実際、それに近いことを行っています。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 平置き 松下庵
ベゼルとケースの連続性も見事 mirco TYPE-02 BB

 で、「mirco TYPE-02」にも同じように挑んだわけですが… もはや「上蓋」と呼んでも差し支えない「ベゼル」が見る角度によって大胆に表情を変えるので、正直、どれがベストショットなのか解らなくなりました(笑)

 世の中の「格好良いと言われる時計」には、大抵〝3カットほどのベストショットポイント〟があると思います。恐らくそれは設計段階で意図的に生み出されたもので、それこそが「デザイナーの成果」です。

 デザイナーの意図するところを正しく伝える… 良いデザインとは、見る者との〝対話を疎かにしないデザイン〟のことを指します。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 松下庵
見る角度で大胆に表情を変えるベゼル mirco TYPE-02 BB

 「mirco TYPE-02」のベゼルを〝伊達じゃない〟と表現した理由は、この「対話力」にあります。角度によってベゼルを構成する円弧と直線が刻々と表情を変えるので、装着者が受け取る〝格好良いの種類が膨大〟なのです。

 「mirco TYPE-02」を購入した方は着ける都度、頻繁にメッセージを受け取ることになるでしょう。数年経っても「まだこんなに知らない表情があったか」と、惚れ直すきっかけになるかもしれませんね。

 さあ皆さま、対話の準備はOKですか?? (*´ω`*)

レーシングクロノグラフが好きなら「TYPE-02」のダイヤルを見逃しちゃダメだ

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 全体
痺れるような佇まい mirco TYPE-02 BB

 「mirco TYPE-02」のダイヤルは、所謂「レーシングクロノグラフ」のスタイルで作られています。例えばワタクシは初見の際、タグ・ホイヤーの「モナコっぽさ」「モンツァっぽさ」を感じました。「スピードマスター レーシング」がお好きな方にも、見ていただきたいダイヤルです。

 バイコンパックスでバランス良く配置された「サブダイアル」の安定感と、1秒間を5分割したミニッツトラックの密度が面白いコントラストを生み出しています。それぞれの仕上げも見応えも十分。眼福系ダイヤルです。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB 拡大
クラシックなレーシングカーを想起させるダイヤル mirco TYPE-02

 「セクターダイヤル」としての完成度にも、注目していただきたいところです。必要な要素を各パートへ集中的に配置することで、ダイヤルの円滑な平面を楽しむ余地を残しています。この「ダイヤルを楽しむ」という観点からトリコンパックスのNE88ではなく、バイコンパックスのNE86を選んだ意図を汲み取ることができました。

 そのサイズ感も相まって、まるでダッシュボードからインパネを引っこ抜いてきたように見える点も、クルマ好きの皆さんに刺さるかもしれません。私はほとんど四輪に興味のない男ですが、それでもこの「計器」にはやられました(笑)

私がブラックセクターダイヤル「BB」を選んだ理由

 私がブラックのセクターダイヤル「BB」を選んだ理由は2つあります。一つは黒を背景にしたオレンジ色の蓄光がキレイだったから。もう一つはかなりマニアックな着眼かもしれませんが… 穴を穿った箇所の側面処理が、ブラックの「BB」とブルーの「MM」だけは丸く、滑らかだったからです。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ セクターダイヤル ブラック BB
mirco TYPE-02 BB

 ラッカーの塗布が側面にも及ぶことで、角の部分に〝丸み〟が生じています。そこに三日月型の小さな光沢を見付けたとき、私は「こりゃアカン」と観念しました。もしも気付いていなかったら、パンダの「WB」か赤シルバーの「SR」だったかもしれません。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ HMS表参道店 5種類 トレイ
HMS表参道店にて拝見した5つのmirco TYPE-02

 「影響力あるんだから、そういうところを見付けるの止めて下さいよ~」と店長氏には釘を刺されましたが… そこを見過ごすような男なら、こんなところでこんな記事は書いていませんって(笑)

ミニッツトラックが「4分割」ではない理由

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ ベゼル ミニッツトラック インデックス
細かく分割されたmirco TYPE-02のミニッツトラック

 Cal.NE86は「8振動」で動作します。1秒間に8回、秒針がカチカチするわけです。なので本来の目的で考えれば、ミニッツトラックの1秒は「8分割」或いは「4分割」にした方が〝気持ち良い〟はずです。途中の動作を割り切れますからね。

 ただ、機械式クロノグラフの針がそこまで正確にマーカーを捉えることはありません。機械式の時計でコンマ以下の時間を正確に計測することは、ほとんど不可能に近いことなのです。ですから「5分割」された「mirco TYPE-02」のミニッツトラックにしたところで、振動数と合致しない分割で違和感を感じることはありませんでした。

 「5分割」であれば、日常で染みついた10進法の流儀で読みやすいですし、何より古き良き「5振動(毎時18,000振動)」の趣があります。個人的にはそこを評価しました (*´∀`*)

連続する形のリズム感が「TYPE-02のデザイン」に一貫性を与えている

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ 横置き
モジュールで柱を立て、ユニットとしてまとめたmirco TYPE-02

 ベゼルを中心としたアウトラインを構成する「円形」「クッション型」。これら2つの形状を交互に繰り返すことで、「mirco TYPE-02」のデザインは視覚的に一定のリズムを獲得しています。

 古今東西、優れたデザインには必ず「リズム」があります。そのリズムを守る、或いは壊すことで個性が生まれ、それが時計デザインの魅力に繋がるのです。多くのデザイナーは理論ではなく皮膚感覚で、これを日夜実践していると思います。

 「mirco TYPE-02」のベゼル、ケース、そしてダイヤルに至るイメージに〝ぶれない一貫性〟を感じる理由もそこにあります。

 フランク・ロイド・ライトの幾何学単位(ユニット)による「有機的建築」。ル・コルビュジエの規格化された「モジュール」による美しい連続性… そんな大御所たちが生み出した「機能性と装飾に壁を作らない思想」にも似た方向性が、この「mirco TYPE-02」にも宿っています。

最後に… 大型犬の子犬のような「mirco TYPE-02」

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ 全体 直立
力強さと愛らしさが同居するmirco TYPE-02

 私が苦手としている時計の特徴に「歩み寄ってこない時計」があります。数多くの時計を見たり買ったりしてきたお陰で、そういった「自分と相性の良くない時計」を購入して失敗することはなくなりました。

 名指しは避けますが、有名な大型の時計の多くにその傾向がありました。そういう時計は試しに載せたとしても使い続けるイメージが湧かず、それ故に「すぐに外したくなる」のです。取り付く島もないと申しますか…「コイツとは相容れんなぁ」としか思えない。だって、コチラに歩み寄ろうとしてこないんだもの。

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ 全体 12時位置
mirco TYPE-02

 大型モデルである「mirco TYPE-02」に同様の傾向があっても不思議ではありませんでした。ところが… 初めて対面した瞬間から「コイツとは上手くやれる」… そんな気がしたのです。

 デカいですし分厚いです。重さもそれなりにズシリと来ます。しかしながら、これを何と表現すれば適切なのか見当も付きませんが、腕に載せた瞬間、まるで「大型犬の子犬」を抱っこしたときのような幸福感がありました。

 マラミュートの子犬が満面の笑みで駆け寄ってきたら、皆さんはどうしますか??「コイツ大きいなぁ」なんて言いながらも、抱っこせずにはいられないでしょ??

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ 装着
個性の演出に威力を発揮するmirco TYPE-02

 ぼってりした丸っこいフォルムの「mirco TYPE-02」は、デカくて可愛い「マラミュートの子犬」そっくりです。その人懐っこさ、愛らしさ、何気に犬ぞりなんかも引けちゃう力強さ… 可愛い系の時計には何度も出会いましたが、こんな風に温かい気持ちにさせてくれる時計は珍しいですね (*´ω`*)

mirco TYPE-02 SPECIFICATIONS
項目内容
モデルTYPE-02
材質ステンレススチール(SUS316L)
ストラップ本革(ヴィンテージオイル加工)
風防サファイアクリスタルガラス
サイズケース径42mm ベルト幅20mm
ムーブメント自動巻(28,800振動、45時間パワーリザーブ、34石)
防水100m防水(10気圧)
機能クロノグラフ、タキメーター、日付
製造日本製
付属品箱、保証書、交換用革ストラップ
販売価格¥275,000(税込)

mircoとフクシマウォッチのお問い合わせはコチラへ

おまけ:写真を撮って解ったこと

mirco TYPE-02 ミルコ Fukushima Watch フクシマウォッチ ベゼル 拡大写真
この仕上げあってこその存在感 mirco TYPE-02

 「mirco TYPE-02」は、そのコンセプトや見た目からして一見〝大雑把な時計〟に見えるかもしれません。私も当初はそっち系だと思っていました。

 ところが200カット近い写真を撮ってみて、細部でも〝積極的に評価すべき時計〟だと考えを改めました。

 特に最大の特徴である「巨大なベゼル」は等倍以上のマクロにも堪える仕上がり。ヘアラインとポリッシュの接線が高いレベルで整っているので、シンプルですが非常に見応えがあります。購入された方は、皆同じように感動しているかもしれませんね。

※撮影機材: SONY α7RⅤ + FE 70-200mm F4 Macro G OSS II + FE 100mm F2.8 Macro GM OSS & TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 + Xiaomi 15T Pro Adobe Lightroom で編集

 

買ったからこそ書ける記事がある…

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