『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

旧作腕時計探訪は『紳士の嗜み』 Grand Seiko(グランドセイコー) スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT「SBGC007」購入!!

 常に人気ブランドの最新のモデルにスポットライトが当たり続ける腕時計業界の現状。それこそが腕時計という、本来はもっと深堀りして語るべき存在を「軽薄な流行の具」に貶めているのではないか…

 一部のイデオローグたちが語る抽象論に振り回された末の結果が、二次市場における「歪な扱い」を生んでいるのではないか… 先日、中野ブロードウェイをひと廻りした私は些か哲学的な気分になって、そんな感想を抱きました。

 本来、過去数十年に販売された腕時計が一同に介するはずの中古腕時計販売店のショーケースは「ワクワクとドキドキの坩堝」でなければなりません。それがまぁ… 目に付く場所にはいつものロレックス。目をさらにして探しまくってようやく隅っこに私好みを見付けるわけです。良いのかなぁ?? こんな状況が続いて (;´∀`)

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情報が途絶えた瞬間から、腕時計は緩やかな死を迎えるのか??

 そもそも、この情報至上主義の世の中においてさえ、情報を積極的に取りに行く人は多くありません。あくまで受動的な立場で情報を待つ人が圧倒的。これは「流し素麺」が流れてくる竹筒の先で、箸と器を持って立っているに等しい状態です。

 もちろん受動的に情報を待つにしても、そのポジショニングで得られる成果には大きな差が生まれます。素麺が流れ出すポイントに近いほど情報の鮮度と正確性は高いわけですから、どの場所で素麺を受け取るかについては、気を付けている人も多いでしょう。

 では、竹筒に素麺が流れてこなかったらどうでしょう。その流し素麺のラインはそこで終了… つまりその情報はそこで断絶してしまうのです。情報のエンドユーザーにとってはそれが「情報の賞味期限」そのものであり、流れてこなくなった情報を敢えて掘り起こしに行くような酔狂な方は少数派でしょう。

 ところが、一部の蓄積された情報は変質し、アーカイブとしての価値を生み出します。そういう情報に関しては「賞味期限」などありはしません。「新しいものとしての価値」が喪失したあとであっても資料として生き続け、現在を評価するために大切なモノサシへと変わる…

 そして、腕時計の価値ほど、ニュースとアーカイブの綿密な摺り合わせが必要なものもありません。「新しいものが常に古いものを凌駕する」なんて、通り一遍の価値基準が一切通用しないからです。

 新鮮な情報が絶たれた瞬間から印象は薄れ、曖昧になる記憶のひだに埋没していく古い時計たち。しかしながら稀に、現在と過去が一直線に繋がり「そう言えばアレって良かったよな」なんて浮上してくる旧作もあります。今回、私が手に入れた「アツい旧作時計」は、まさにそんな一本かもしれません (*´∀`*)

初期のスプリングドライブ(SD)クロノグラフを買いました

 東京単身赴任生活の「6年目」が決定し、宙ぶらりんな気持ちで過ごした数ヶ月が終わった瞬間でした。気持ちの切り替えのために、どうしようもなく「時計が欲しい!!」と思ってしまったのは。

 本業で丸1年間の連載企画を8月いっぱいで完遂できたのもあって、何でも良いから自分を甘やかしたかったのかもしれません。何でも良い?? 自分を偽るな!! 時計が欲しいんだろ!!(笑)

 ぶっちゃけ、欲しい時計なんてこの世にはゴマンとありますが、そのほとんどを経済的な理由で諦めている私。とはいえ、自分の記憶を具に観察すれば、未だ達成できていないミッションだって幾つも残っている。その中には「購入可能な案件」だってゴロゴロ転がっているのです。

 そんな気持ちだったかは忘れましたが、某並行販売店さんの公式ページに載っていた「とあるグランドセイコーの旧作」が刺さりました。それが懐かしの「SBGC007」。GSの中で、間違いなく一番好きなラインナップの初期モデルです。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007

 それは腕時計喫茶でも何度か「好き」を公言してきたグランドセイコーです。2011年販売の個体ですから実際メチャメチャ古いモデル。今更こんなものを買うヤツがいるのかですって?? いるのですよ。私の他にも「この感じが好き」で探してる人が少なくないそうです (*´ω`*)

様々な解釈を楽しめるGS「SBGC007」の個性的な顔

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 一度見たら忘れない顔立ち

 このモデルの魅力は何と言っても「顔」です。絶対に見間違えようのない独特のサブダイヤルレイアウト。清楚に纏まったデザインが多いグランドセイコーにあって、このクロノグラフの系譜だけはどうしようもなく個性を振りまいています。セイコーのもう一つの姿「先駆者」の魂を感じますね。

 このヘンテコなサブダイヤルの配置を「じ~っと」見続けて気付いたことですが、これだけ複雑なダイヤルにあっても「SBGC007」のサブダイヤルは埋没しないのです。極太のドーフィン、デカいデイト枠の印象に侵食されることなく、堂々とそこにあるのです。だから異様に見やすい。情報の一覧が容易い。

 一般的な機械式クロノグラフのサブダイヤルは、針を中心とした十字の放射線状に規則正しく配置されています。それを見慣れてしまったがために、一部のクオーツクロノグラフに見られる「3時9時の平行線上からズレたサブダイヤル」に違和感を感じる場合もあるでしょう。

 「9R86」クロノグラフムーブメントに見るサブダイヤル配置の異様さは、そういったクオーツクロノグラフの違和感を遥かに凌駕します。それ故、私にしても長年「理解できない代表」みたいなモデルだったわけですが… こうして実機を手に異形の「意味」を探る機会を得たことで、他のどの時計にも見られない「格別の視認性」を確認することができたわけです。

 例えるなら、針を中心とした放射状のレイヤーと、サブダイヤル専用のレイヤーが存在するような感じでしょうか。だから構成要素の独立が保たれている… ホント、買わないと解らないことが多過ぎますね。腕時計ってヤツは (;´∀`)

日本人なら遺伝子レベルで馴染むケースデザイン

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 解りやすいセイコー風味が魅力のケース

 セイコー好きならば馴染のある「ケースデザイン」です。いや、腕時計好きの日本人であれば、ケースを見ただけで「これはセイコーだ!!」と断言できるかもしれません。

 それ故かもしれませんが、買ったばかりでも懐かしく、違和感の「い」の字も感じませんでした。腕載りもさすがのセイコー。日本人の肌に吸い付くように設計されているのかもしれないと本気で思える完璧なフィット感…

 細部に目をやれば、セイコーのデザインコードを「GS」のレベルに昇華させた仕上げに気付くはずです。あくまでセイコーらしさを残しつつ、目立たない場所で数段上の上質を目指す奥ゆかしさ。これぞ日本人の感性です (*´∀`*)

いつものセイコーに見えて、随所に「GS」を感じさせるブレスレット

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 よ~く見ると良い仕事してるんですよ

 これは未だにそうかもしれませんが、グランドセイコーの「残念ポイント」と言えば「ブレスレット」だそうです。セイコーらしさ満点のブレスレットではありますが、それ故、高級モデルである「GS」には「相応しくない」と感じて残念がるユーザーも少なくありません。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 ラグジュアリー路線前夜ですからねぇ

 確かに、遠目には5万円くらいのセイコーに付いているブレスレットと大差ないように見えます。バックルも「GSのロゴ」が刻まれているとはいえ、アウトラインは「いつものセイコー」です。

 ところが、装着すると印象が一変。「ああ、これはGSだわ」となりました。当たり前ですが低価格のセイコーとは比べ物にならない仕上げですし、肌当たりの柔らかさも「グランドセイコー」を名乗れる域には達しています。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 GSだぁ~!! みたいな高揚感をもたらすブレスレットではないですね(笑)

 弓カンもビシッとハマっていますし、この年式にして微塵のブレも無し。ああそうか… このブレスに対する大方の批判は、見た目に由来するものなんだなと解りました (;´∀`)

「針」そして「インデックス」… これがセイコーだよ!!

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 寄らば斬る!! みたいなこの「針」ですよ!!

 「針」ですよ。何と言っても「ドーフィン針(極太)」なのです。名工が鍛え上げた日本刀を思わせる針がダイヤルを切り裂く… これこそが、私のイメージする「GSの針」です。

 抜群の視覚的重量感、視線を落とすたび緊張が走るその威容… もはや語るまい!! この針が欲しかった!!

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 奇をてらったところのない、シンプルなインデックス

 「インデックス」もこれまた… 地味ですよ?? 目立つような存在ではないですよ?? それでもこの「SBGC007」には〝これしかない〟と思えるほどハマっています。要素満載のダイヤルに秩序をもたらすのは、この「地味めのインデックス」しかありません (*´ω`*)

キャリバー「9R86」の卓越した完成度に涙

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真 9R86
スプリングドライブ クロノグラフ 9R86 アピールする気のないコラムホイールが見えます

 恥ずかしながら我が時計人生「初のスプリングドライブ」。思えば随分と遠回りしたものです。

 「9R86」… SBGC001から脈々と搭載され続けているこのムーブメントには、高精度バージョンである「9R96」、GMT機能を廃した「9R84」があります。どれも基本的には同じ設計。

 ぜんまいのほどける力で生まれた僅かな電力が水晶振動子とICを駆動。ICが水晶振動子からの正確な信号とローターの回転速度を比較することで、速度を一定に保つべく磁力による調速を実行します。そうして機械式では到底不可能な精度を実現。

 つまり「機械の力」「正確な電気信号」「磁力による制御」が合わさることで『月差±15秒』という、クオーツに匹敵するスペックを可能にしているのが「スプリングドライブ」なのです。こんなの日本人しか思い付かない発想ですよ (*´∀`*)

「スプリングドライブ クロノグラフ」 進化する伝統芸

 セイコーのクロノグラフと言えば「垂直クラッチ」。垂直クラッチだけで白米2杯は軽くイケるマニアの方もいらっしゃるでしょう。

 クロノグラフ機構自体に動力はありませんから、「9R86」であればスプリングドライブから動力を得て機構を動かすことになります。問題はスプリングドライブに負担をかけず、尚且つ高精度を犠牲にしないための動力伝達機構でした。ロスが大きいとされる「水平クラッチ」ではダメなのです。

 そこでセイコー伝統の「垂直クラッチ」の出番です。計測時の針飛びが起きない優れた機構をさらなる改良で追い込み、スプリングドライブに相応しいクロノグラフとして誕生した「9R86」。セイコーオリジナルの技術が如何に優れているかを示す、素晴らしいムーブメントだと思います (*´ω`*)

キャリバー 9R86 仕様
巻上方式自動巻(手巻つき)
精度平均月差±15秒(日差±1秒相当)
持続時間(最大巻上時)約72時間(約3日間)
石数50石
その他機能日付表示機能
パワーリザーブ表示機能
24時針(デュアルタイム表示機能)
ストップウオッチ機能(30分計・12時間計)
カレンダー連動時差修正機能

実は好きじゃなかった「スプリングドライブ」

 「キネティック」は解るんですよ。クオーツのエネルギー源を運動エネルギー由来のものに置き換えるという発想は自然で正しいと思うからです。要するに自転車のダイナモと同じですから。

 その反面、スプリングドライブの原理は理解できても、機械式時計のイデオロギーを考えると何と言いますか…「ズルいな」としか思えませんでした。なので余り好きな技術ではなく、これまで積極的に近付こうとは思わなかった。「機械式なら機械式の流儀で高見を目指すべき」… そんな風に古臭く考えていたのです。

 今思えばある種の「スポーツマンシップ」だったかもしれません。例えば、100メートル走にエンジン付きのスケートボードで出場したら結果はどうあれズルいじゃないですか?? それと同じ発想が、私の頭の中にはあったのです。カビ臭い常識に縛られることが如何に不利益をもたらすか… 深く反省しています (;´Д`)

これは知らなかった!!「プッシュボタン」がスゴすぎ!!

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 まるでギャグに見えて… 最高レベルの操作性!!

 記憶も朧気ですが、初見の印象は最悪だったと思います。「このケースサイズにこの巨大さのプッシャーって、アンタ笑かしに来てるんかい!!」… 正直、そんな風に思っていました。

 ところがですよ。今はこのシルエットがとにかく「大好き」です。もしかしたら皆さんもすでにお気付きかもしれませんが、本当に興味のない時計に対してはグッドもバッドも関係なく、何の印象も感じないものなんですよ。

 要するに「嫌い」はきっかけさえあれば「好き」へと簡単に転じるのです。気になるから評価を与える。そして与えた評価は自分自身の成長で如何ようにも転ぶのです。うん、今は本当に格好良く見えます。最高!!

 そして購入して解ったことですが、このプッシャーはスゴい。見た目から「ねじ込みロック付き」であることは容易に想像できると思いますが、感動するのは「押し感」です。押したときの感触。このプッシャーはなんと!! カメラのシャッターのように「2段押し」なのです。これには本当にビックリしました。

 グッと深く押し込むときに動いてしまうのを防ぐ機構ですが、いやもう… 感触よ!! 参陣早々、ウチのコレクションの「プッシャー押し感ランキング」で堂々のトップに立ちました。しかもダントツです!! (*´∀`*)

気持ち良き!! スイープするクロノ針の美しい運針

 参りましたねぇ~ ブローバのアキュトロンかと思いましたよ。余りにもスムーズな運針が素晴らしく美しくて… 短い動画にしましたので見てやって下さいな。

 最高ですよね!! 20年近く前の2007年に完成した「9R86」は、運針においても美しいムーブメントなのです (*´ω`*)

このモデルに関しては、デイトが「必須栄養素」

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 デイト枠の作り、スゴくないですか??

 一般的な枠よりもひと周り以上、大きな「デイト枠」です。実際「デイト枠が嫌い」と公言する「ノンデイト原理主義」の方も少なくないわけですが、ワタクシ思いますに、それは「モデルによる」話です。デイトがバランスの要になっているダイヤルだって、ゴマンとありますからね。

 「SBGC007」に関して言えば、デイト枠は「必須」です。むしろ存在感を誇示するデイト枠が放射する何かが特段の個性として、この時計を定義している気さえします。無くせば確実に大切な何かを失ってしまう…「SBGC007」にとっての「デイト枠」は、存在するための『必須栄養素』なのです (*´∀`*)

混在する「SEIKO」と「GS」ロゴについての考察

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 無いと落ち着かないSEIKO ロゴ

 GS(グランドセイコー)がセイコーから独立したブランドとしてステップアップしたのは「2017年」のこと。同年4月の生産分から「SEIKO」のロゴは消え失せました。このとき、自分がどんな風に感じたかについては良く覚えています。「GS」のみが淋しく配置されたダイヤルを見て、ひと言…「ダサい」

 「SEIKO」のロゴタイプへの愛着もあります。しかし私はこう思ったのです。「どうせ〝GS〟として独立するのであれば、注釈のように添わせた『Grand Seiko』は外すべきではなかったか」と。そうなんです。この時点ではまだ「グランドセイコー=GS」も一般には浸透しておらず、セイコーブランドの最高峰であることを説明しないわけにはいかなかったのです。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 わて、ただのセイコーちゃいますねん。GSですねん

 長きに渡り日本でGSの略称が意味するものは「グループ・サウンズ」「ガソリンスタンド」でしたからね。そう考えると随分浸透しましたね。それでも、時計好きの間に限定されますが(笑)

 その後の数年でセイコーのグローバル戦略は功を奏し、「GS」は世界中で通用するブランドになりました。だからこそなんですよ。その助走期間にあたる「2010年前後のGS」には、何とも言えず感傷的なものを感じるのです (*´ω`*)

過去に遡り、GSの「成長譚」を楽しもう

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 今から20年近く前の設計なんですよねぇ… 歳をとるわけだ(汗)

 世界に打って出る野心と、失敗するかもしれないという不安。「GS単独ロゴ時代」に突入した後も引き続き作られたシリーズも多く、その「前後」を楽しめるのはもちろん、セイコーブランド最高峰としてのワッペンに過ぎなかった「GS」が独立したブランドとして羽ばたくという「成長譚」にも、何やら熱いものを感じることができる「2010年前後の時代」

 今となっては中途半端なバランスで配置されているように見える「SBGC007」のロゴも、そういった視点で見れば何とも味わい深く見えてくるから不思議です。このダブルネームに「愛おしさ」を感じてしまったなら… 貴方の目の前には目眩く「ダブルネームGSの中古パラダイス」が広がることになるでしょう。さあ、週末はお近くの中古販売店へ!!(笑)

デイトナの旧モデルに見る〝過去作の価値〟

 これは私個人の趣味性の話であって、万人に理解されるセンスではないかもしれません。そこは先にお断りしておきます。

 この先も絶対に買えないと思いますが… ロレックスの「デイトナ」を手に入れるとしたら、私は第4世代の「Ref.16520」で探します。理由はあるようなないような… ぶっちゃけ、第5世代「Ref.116520」があまり好みではないからというのが、大きいかもしれません。

 第6と第7(現行)ですか?? う~ん… セラクロムベゼルがねぇ… ワタクシとしましては、鏡面仕上げの「ステンレスベゼル」が欲しいのです。

 私の中の「デイトナのイメージ」に擦り合わせようとすると、黒いベゼルでは齟齬が出てしまうのです。ですので、指紋上等のツヤツヤベゼルだけは外せません。

 それは「インデックス」についても言えることです。

 前世代「Ref.6265」のシンプルなバーインデックスに比べたら迫力のフォルムですが、「Ref.116520」と比較すると蓄光の入り方やフォルムがスッキリしているのが解ります。そしてこんな小さなパーツの印象が私に「Ref.116520」よりも「Ref.16520」を魅力あるものに感じさせるのです。

 1990年代から腕時計好きだった私にしてみれば「何だかダイヤルがポッテリしちゃったなぁ」というのが「Ref.116520」登場時の印象でした。色んな時計雑誌の表紙を飾りましたからね。嫌でも印象に残っています。

 こういう「小さな拘り」で独特の価値観をお持ちの個人も結構な数いらっしゃると思います。そんな小さな拘りだからこそ、そこを軽視して購入したときの「小骨が刺さったような違和感」が、長い時間を掛けて影を落とすのです。高い買い物で後悔したくないですよね??

 その点「最新作至上主義」は単純。ロレックスは特に解りやすいかもしれません。ひたすら予約を取るか、ひたすら並べば良いのですから (;´∀`)

「スプリングドライブ クロノグラフ」の〝現行モデル〟という選択はなかったのか??

 今回、私が購入した「スプリングドライブ クロノグラフ」にも子孫とも言うべき現行モデルがございますが、先述の通り「セイコーとGSロゴのダブルネーム状態」で欲しいという前提がありましたので、現行に手を伸ばすことはなかったと思います。

 敢えて他の理由を申せば2つ。個人的に現行モデルの「針」「インデックス」が好みから外れていました。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 GS買うなら、このドーフィン針は外せないなぁ…

 GSですからね。GSを象徴する「ドーフィン針」で欲しいわけですよ。現行の2モデル「SBGC253」「SBGC251」もそういう意味では「ドーフィン」ですが… 「ルミブライト(蓄光)」は要らなかったかなと。スポーツ系デザインのインデックスもダイヤルの上品さと合っていない気がして…

 他は完璧です!! ダイヤルの装飾は言わずもがな、各サブダイヤルの仕上げもさすがとしか言えません。

セイコー SARB033 写真
SEIKO SARB033 コイツにGSのドーフィン針が載ったなら… ゴクリ

 ただ、やはり「GSのドーフィン針」に対する憧れは尽きません。「SARB033と035」をこよなく愛する私がかつて夢想したものは「ああ、コイツらの針が蓄光なしのGSみたいな針だったら」… なわけですよ。GSの丁寧に磨かれた日本刀の如きドーフィンは、セイコーファンにとっての「永遠の憧れ」なのです。

 ですので… ひと目で「グランドセイコーだ!!」と解るあのドーフィン針、あの時針と分針だけは永久に継承して欲しいと思っています (;´∀`)

過去作の良いところを伸ばせと言うが…

 何でもかんでもに「昔は良かった」などと言うつもりはありませんし、それが罷り通るような腕時計業界では困ります。ある意味、フレシュな「現在」と確定した「過去」が混ざり合うことで「タイムレスな価値観」を生み出す舞台が整うのですから、復刻や懐古趣味も程々にしなければなりません。

 そう考えると、「SBGC253」「SBGC251」「Ref.126500LN」も、現役としての存在以上に、ブランドを未来へ誘う先導役として奮闘していると言えるかもしれません。

 何もかもガラリと姿を変えたニューモデルが出現することは稀とお伝えしました。これはもちろん「売れているモデル」の話です。上手く行っている部分は触らないのがビジネスの鉄則ですから。

 それでも、エンドユーザーからの「ニューモデルに対する希求」を無視できるブランドではありませんから、頑張って新しさを追求するわけですよ。そこに「消費者側との価値観の齟齬」が生まれるわけです (;´Д`)

新作発表直後こそ「チャームポイント再確認」のチャンスだ!!

 自分の魅力を正確に把握している人が珍しいように、自分たちが作った時計の「チャームポイント」を正しく把握しているメーカーは少ないのかもしれません。「こんな小さな変更でウダウダ言われちゃうのか」… ニューモデルを出すたび、噴出する批判を恐れるメーカー。ただ、それこそが「熱心なファンの存在」を証明する「リアルな反応」です。

 革新には批判が付きものですが、その結果としての反応を覚悟できているか否かが、その後の舵取りを大きく左右します。批判を織り込み済みにした「覚悟の行動」だけが、旧作も現行作も凌駕する「新しいチャームポイント」へと繋がるからです (*´∀`*)

最後に… お買い得な旧作腕時計探訪は『紳士の嗜み』!?

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 10年前から持っていたかのように馴染みます(笑)

 実はワタクシのグーグルさんの中には「買えたら買おう腕時計リスト」というアホみたいな名のスプレッドシートがありまして。古今東西の超有名時計から「何処の時計やねん!?」と言われそうなマニアックな時計までもが欲望のままにリストアップされています。まあ、その内の98%は「何度生まれ変わっても買えない」くらいのお値段なのですが(汗)

 ところが、ほんの2年前なら高嶺の花だったブランドの時計が、目を疑うほどの安い価格で中古店に並ぶようになって状況が変わりました。消えかけた野望に再び勢いが出てきたのです。何がとは申しませんが、多分ビックリしますよ。中古で2年前の「きっちり半額」ですもの。

 裏で起きていることは解りませんが、時計の出来で言えば全てが業界最高水準ですし、間違いなく「買い」です。元の水準まで価格が戻るのも時間の問題でしょう。ロレックスでマラソンしてる場合じゃないのですよ(笑)

 このように(?) 中古価格の変動は興味深いものです。ロレックスにもほぼほぼ定価みたいな中古品が増えてきましたし、腕時計の中古は今や完全に「買いのターン」になりました。くっ!! オレにもっと潤沢な資金があれば!!

 まあ、現実の私のお財布は常にスッカラカンで、2つの家の固定資産税だけでヒーヒー言ってるわけですが… だからこそ、そんな自分でも買える「旧作腕時計を探す旅」にも熱が入るわけです。いやむしろ「男なら旧作で遊ぶべし!!」と言いたいくらいです。

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 ああ!! この角度めっちゃ格好良い!!

 その一つの答えが、今回購入した「SBGC007」でした。私の腕時計パズルもかなりのピースが埋まって完成が見えてきましたが、その最終段階にコレを差し込んだ自分の審美眼を素直に評価したいと思います。これで東京6年目も乗り切るぞ!!(笑)

おまけ…「SBGC007」の購入経緯を振り返る

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 写真
Grand Seiko SBGC007 ホント急にね、スイッチ入りました(笑)

 「SBGC007」を見付けたのは某有名時計販売店「R」さんの公式ページでした。実際のところ、別段もの珍しいモデルではありません。

 ただ、このとき見付けた個体の「グリーンダイヤル(マスターショップ限定色)」が良かった。例えるならブライトリングの『ナビタイマー B01 クロノグラフ 46』のような「強烈なグリーン」。メロンソーダの原液を彷彿とさせるケミカルなグリーンが、とにかく気になって仕方がありませんでした。

 さて、現物を拝見できるのはどこかな?? 新宿?? 銀座??… まさかの「心斎橋店」かい(笑) この野郎!! 大阪の自宅からなら散歩がてら見に行ける距離ですがな!!(汗)

 いつものスボラな私なら「大阪にあるんやったらもうええわ」で諦めたと思います。面倒なことは徹底的に避けたいタチなのですよ。ところがこのときの私は違いました。「新宿のRさんに聞いてみよ!!」なんて、重い腰がフワリと動いたのです。この時点で「あ、これは買う流れだなぁ」と思いましたね。

 お店で「商品を新宿店に取り寄せるって可能ですか??」と聞いてみましたが、どうやら客側がWEBを通じて取り寄せ依頼を出す仕組みになっているようでした。スタッフさんの指示のまま「取り寄せ依頼完了(商品は商談中のステータスに)」。あとはお店からの電話を待つだけです。

 2日後、お店から電話をいただいた私はいそいそとお店に向かいました。キズミを借りて細かいところまで検分させていただいたわけですが、何せ年式が年式です。仕上げがなされていおるとしてもその「状態が心配」でした。とにかくキライなのは「過剰な仕上げ」。角が落ちて丸くなっていたりすると心底悲しくなって「アンタ、何してくれたんや」と言いたくなるのです。

 ですが、今回の「SBGC007」は絶妙な仕上げ具合でした。よし!! これならイケる!! (*´ω`*)

トホホな失敗

 普段しなれないこと… そういうことの中にトラブルは潜んでいるものです。

 「取り寄せが届きました」と連絡をもらったときに、実は「下取りの提案」もありまして。折角なので手放す準備だけして放ったらかしだった時計の中から「一つ」を持っていくことにしたのです。外箱、内箱、ギャランティーカードなどが揃っていたので、これなら売りやすかろうという打算もありました。

 ちなみにワタクシ「下取り」ってほとんど経験がないのですよ。ですから「下取りなら少しだけお高く買い取らせてもらいます」なんてセリフにも過剰に浮足立ってしまって…

 そんなわけで、大切なことが抜け落ちてしまいました。身分証明の持参が必須であることを、完全に失念していたのです。で、「SBGC007」を購入する意思を伝えて下取り金額の算定からその額を引いた支払金額を振り込み、さあ万事めでたしというところで「身分証明はありますか??」と聞かれ、「し、しまったー!!」となりました (;´Д`)

 結局、取引は中途で一時停止みたいな形になって、続きは次の日に持ち越し。お金は支払ったのに手ぶらで帰る羽目になりました。社会人として誠に恥ずかしい大失敗。結局、短い期間で同じお店に3度お邪魔することになり、すっかり顔を覚えられてしまいましたとさ(汗)

 皆さんは気を付けてくださいね。「時計売るなら身分証明!!」… お忘れなく (;´∀`)

グランドセイコー スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT SBGC007 仕様
文字盤色ダークグリーン
ムーブメントスプリングドライブ自動巻き
ケース材質ステンレススティール
ケースサイズ直径 43.5ミリ (リューズ含まず)
ブレスレット材質ステンレススティール
最大腕周り20.5センチ
全重量183グラム
保証書2011年1月販売の個体

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • 購入おめでとうございます〜

    スピリングドライブ、クロノグラフ、GMTと
    機能てんこ盛りで男のロマン時計って感じですね!

    文字盤の情報量多さが逆にかっこよさになってる感じがします。

    プッシャーボタン1度押し心地体感してみたい!!

    • Y太さま、コメントありがとうございます♪

      機能を機能のままデザインに落とし込んだという点で、希有なデザインだと思います。
      ある意味見たままの使い心地で、セイコーらしいなぁ~って。
      プッシャー気持ちいいですよ(笑)

      「変な時計」として一蹴されるには惜しいと思うんですけどね~

  • こんにちは

    スプリングドライブ クロノグラフのご購入、おめでとうございます。唯一無二の素敵なクロノグラフですよね。私も長年心惹かれていますが、ケースサイズの大きさが最後のブレーキになって踏み留まっています 笑
    渾身の記事の影響を受けて、また探してみたいと思います。

    だいぶ以前のまだ大らかな時代に、諏訪の匠の工房を見学させて頂いたことがあります。真摯にものづくりをされている姿を見て以来、スプリングドライブは好きです。(電磁エネルギーを使って)摩擦がない脱進機は歴史上の多くの時計師の夢が実現したのではないか、と妄想したりします。

    デザイナーの方のインタビュー記事です。本当の高級(高価なだけではない)実用時計を目指してつくったことがよくわかります。
    https://www.seikowatches.com/jp-ja/special/tokinowaza-since1881/kubo

    • Veritas さま、コメントありがとうございます♬
      そしてありがとうございます。実際、めちゃくちゃ気に入っています。
      でもなんでしょうね… この照れくささは(笑)

      私自身は「意外と小さいんだな」と思いました。
      腕載りも極上でしたし、操作感も至高。
      久保さんの記事も拝見しました(ありがとうございます)
      購入してすぐに記事化したくなって勢いで書いたので、摺り合わせさせていただきます。
      自分が皮膚感覚で感じたこともデザイナーさんの手のひらの上だと知って、悔しいやら嬉しいやら(笑)

      私も今はスプリングドライブに敬意を抱いています。
      機械式とクオーツで世界を牽引してきたセイコーが辿り着くべくして辿り着いた境地ですね(*´∀`*)

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