『Baltic』フランスの洒脱が詰まった〝ネオ・クラシック〟

ホライゾンとディヴァイド…「MINASE(ミナセ)2本を大人買い」 その経緯を語らねばなるまい

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「DIVIDO(ディヴァイド)」… より強い〝ミナセ味〟を求めて

DIVIDO ミナセらしい遊びと粋のラウンドモデル

 ってなわけで…「ホライゾン」を購入した私が「もう一本いったれや!!」と大人買いしたのが「ディヴァイド」です。うひゃあ… 勢いでやっちまった (;´Д`)

 かつてG20で安倍首相(当時)が着用したことで一躍脚光を浴びた「ディヴァイド」。使いやすいラウンドケースで「ミナセの美意識」を炸裂させた名機です。日本のリーダーが愛用した、名実ともに〝プレジデント ウォッチ〟なのですよ!!

 ふーっ… 確かに「大人買い」自体は衝動的行動でしたが、冷静になって振り返れば、私なりにこれを「欲しくなった心理」というものがありました。

 先に「ホライゾン」を購入してホクホクな私でしたが、ホライゾンを〝より楽しむ〟ためには、何かこう… カウンター的存在が必要なんじゃないかと思っちゃたのです。仕方ないでしょ!! 思っちゃったんだから!!(笑)

 カレとトノーの中間のような「ホライゾン」ですが、ミナセの〝超個性派集団〟にあっては大人しい部類のモデルです。火力の高い「ウインドウズ」に難しさを感じたお客さんにとっては「こっちにしとくわ!!」みたいなポジションの時計だと思います。

 ですので、上手く言えませんが「ホライゾン」だけでは〝ミナセ味が弱い〟みたいな気持ちになりまして… 丸いケースながら〝高火力〟「ディヴァイドも行っておこう」となりました。「ミナセの良さ」をより深く知りたいと考えたとき、「ホライゾンとディヴァイドの2本持ち」が近道かもしれないなぁ~と思ったわけです。

 そしてこの「ディヴァイド」「ホライゾン」に負けず劣らず、それはそれは〝泣かせる時計〟なのですよ。

敢えて「ラグ」から語りたいディヴァイド

DIVIDO ベゼルをホールドする別体構造のラグ

 凡百のラウンドケース型腕時計と「ディヴァイド」を分かつもの… それが「ラグ」です。ミナセの得意技である「別体」で作られた高密度のデザインがとにかく目を引きます。

DIVIDO 側面から見れば普通の時計でないことが良く解る

 別体にしたことで、ともすれば退屈になりがちなラグが重要なデザイン要素に昇華。更に言えば、別体構造だからできた「ベゼルを抱え込むデザイン」「ディヴァイド」〝特別なラウンド〟として定義付けています。小さな腕時計に「見応えを作る意識の高さ」に関して言えば、ミナセさんの拘りは半端じゃありません。

 少なくとも、このラグが面白みのない保守的なものだったなら「ディヴァイド」の印象度は大幅に下がっていたことでしょう。高みを目指すために講じる力ワザ〝別体〟… 泣かせますなぁ ( ;∀;)

抜群過ぎる「ダイヤル」に射抜かれる

DIVIDO 複雑な処理で豊かな表情を獲得したダイヤル

 例えるなら「上品過ぎる打ち出し鍋」(笑) とにかく面白くて同時に不変的な美を湛えたダイヤルです。

 先日、某デパートの腕時計売り場で「ダイヤルの美しさで世界に知られるブランドの時計」を見せてもらいましたが、その際着けていたのが「ディヴァイド」。目ざとく見付けたスタッフの方から「その時計のダイヤルも何だかスゴいですね!!」とお誉めの言葉を頂戴しました。

 このダイヤルには「ミナセの美」の特徴が現れています。まず、大抵の場合「美しいダイヤル」は極めて繊細で同時に「弱さ」を印象付けるパーツです。微細な加工技術の極地ですから〝触れたら壊れる〟ようなイメージも仕方がありません。

 ところが「ミナセ」の… ディヴァイドのダイヤルは「強い」のです。繊細な仕上げであっても「簡単には負けない」そんな強さがあるのです。これは母体である協和精工の「硬い金属に穴を穿つ強さ」とそのイメージを受け継いだものかもしれません。

DIVIDO 佇まいが美しい…

 ジュエリーのように美しく、ドリルのように強い… これこそが「ミナセの美」の真骨頂… あぁ… 自然と涙が… ( ;∀;)

「インデックス」をキーに表現された〝浮遊都市感〟

DIVIDO 磨き込まれた価値あるインデックス

 「ホライゾン」同様にとても強い押し出しの効いた「インデックス」です。「ディヴァイド」の場合はケースに視覚的な貫通箇所がありますので、このインデックスの「ダイヤルを支えている」感じがより強く出ています。

 そのため、美しく仕上げられたメインダイヤルのお盆が宙に浮いたように見えます。複雑なステップのレイヤーに加えて、空気の層をも挟み込んだダイヤルは見どころいっぱい。

 腕時計の使いやすさという〝クラシック〟を大切にしつつ、挑戦的な表現を模索した結果生まれた「未来感」… まるで〝浮遊する未来都市〟にも見える独特のダイヤルのキーパーツ、ミナセの「インデックス」で泣いて下さい。

力強く、たおやかな「針」

DIVIDO 強さと優しさを兼ね備えた針

 太く重量感満点の「針」です。ホライゾンと同じく、先端部を切断したドーフィン型が使われています。ミナセの時計が纏う近未来の風情と良く馴染んでいますね。

 そしてこちらの分針も「グイッと」曲げられています。効果の程は「ホライゾン」と同じ、風防とダイヤルに挟まれた空間に針とインデックスによる「緊張」が生まれています。

 ゴツいインデックスとスレスレの位置で交差する「太い針」… 皆さんお好きでしょう!! 絶対に泣きますから!! (つД`)

浮遊するダイヤルを支える「ケースインケース構造」

DIVIDO インナーケースが宙に浮くように見える

 ケースを真正面から見ると、背後まで見通せる空間があることに気付くでしょう。これはミナセ独自の「ケースインケース構造」によるものです。ダイヤルの立体感と合わせて、吸い込まれるような奥行きを感じるのはそのためです。

 明らかに組立作業を煩雑にする構造ですが、恐らく「ミナセ」にしてみれば目標とする表現のために必要な苦労は、苦労のうちに入らないのでしょう。例えば、どこぞのマイクロブランドがサプライヤーに対して「ミナセみたいなケース作って」と頼んだとしましょう。納期は倍になり、尚且つとんでもない請求書が届くでしょう。ケース製造を自社で極めた「ミナセ」だからこそできることです。とはいえ、実際の作業は大変だろうなぁ… 想像するだけで泣けてきます (´;ω;`)

ミナセ〝ディヴァイド〟VM04
モデル名HiZシリーズ ディヴァイド
ケース素材ステンレススチール
ストラップラバー(プッシュ式片開きバックル)
ダイヤルカラーピンクゴールド
ムーブメントCal.KT7001(ETA2824-2ベース)
ケース幅40.6ミリ



 「ホライゾン」「ディヴァイド」と、ワタクシが〝衝動に屈服した結果の2本〟について書いて参りました。ここから先はどちらもに共通する特徴について、お話したいと思います (*´∀`*)

過去・現在・未来… 因果を生きる現代人のための「ミナセ式デイト表示」

DIVIDO 印象的でありながら全体のバランスを損なわない〝奇跡のデイト枠〟

 「ホライゾン」「ディヴァイド」は前後合わせて3日、「ウインドウズ」には前後合わせて5日分の枠を持つ「デイト表示」があります。

 日本国内で言えば、昨今の流行は明らかに「ノンデイト」です。小径の流行に並行して、狭いダイヤルで存在感を出してしまう「日付枠」はすっかり嫌われ者。そんな時代に「最大5日表示」… ミナセさんキレてます!!

 ここまでど派手なデイト枠だと普通はその印象が時計全体を支配してしまいます。ところがドッコイ!! 怖いくらいに馴染んでいるのです。必然性すら感じるほどに。

 その辺りのデザイン的〝調和〟も素晴らしいですが、私はこの「現在を挟む前後の日付表示」自体にユーザーへのメッセージを感じました。「一旦立ち止まって、今いる場所を確認してみませんか??」… そんな風に受け取ったのです。

 昨日から繋がる「今日」、今日から繋がる明日という「未来」を意識することで、人は足場を固めて揺るぎなく生きて行けるのです。折り重なる因果の日々で時に振り返り、時に先を見通す〝一瞬〟を大切にする…「ミナセ」を身に着ければ、そんな〝ゆとりの時間〟が生まれるかもしれません。

ミナセといえば ✧「ザラツ研磨」✧

HORIZON 全てのパーツが完璧に磨かれている

 仕上げの磨きの前に下地を均一に整える研磨技術の最高峰「Sallaz(ザラツ)」。ミナセにとって「ザラツ研磨」は重要な代名詞の一つです。

 確かに、ザラツ研磨を行えば時計の外装は美しく仕上がります。しかしながらザラツ研磨は、熟練の技術者が気の遠くなるような時間を掛けてようやく可能になる技巧の粋。「効率化」という〝正義〟の名の下に行われる昨今の時計製造においては、贅沢の極みかもしれません。

 ところが「ミナセ」は、それこそをブランドの〝武器〟として昇華させることに成功しました。しかも、インデックスやブレスレットを含む外装部品のあらゆる面に「ザラツ研磨」を施しているのです。

 何となく見栄えの良い時計を大量に生産すれば、売り上げは上がるかもしれません。しかしミナセの場合は日本の誇りある製造業者として、そのようなやり方が許せなかったのでしょう。

 「ミナセ」にとっての〝ザラツ研磨〟は単なる技術ではありません。ブランドの「魂」なのです。これが泣かずにいられようか!! (´;ω;`)

「メタルブレスレット」もスゴいらしい!!

HORIZON & DIVIDO ブレスレットも欲しい気持ちは… ある!!

 資金の都合で叶いませんでしたが… できれば「ブレスレット」で買いたかった!! 「ミナセはブレスレットもビビるよ!!」とアチコチで聞いていたので、今回はそこだけが心残りになりました。

 MINASE ORIGINAL REBUILDING EQUATION… 略して「MORE構造」と呼ばれるアーキテクチャ… いや〝ミナセさんの思想〟といっても差し支えないでしょう。そうして外装部品を何度でも組み直せるように設計された「ブレスレット」が、どうやらかなりスゴいらしいのです。

 分解できるということは、要するに小さなパーツ単位での修繕が可能ということ。ブレスレットであれば、コマを構成する部品などの「最小単位」で交換したり再仕上げを施すこともできる。長く安心して使ってもらうための「ユーザー第一」を考えた、何ともミナセらしい設計思想だと思います。こういうところですよ。泣かせるのは (つД`)

「ラバーストラップ」も実はかなりの逸品

DIVIDO ケースに劣らない仕上げと構造の完成度を見せる〝バックル〟と、ミナセのドリルマークを品良く散りばめた〝ラバーストラップ〟

 「ブレスレットが欲しかったぁ~」なんて言ってはいますが、実のところ付属の「ラバーストラップ」も悪くありません。むしろかなりの逸品です。

HORIZON こちらのストラップもハイセンス

 ラグとケースの隙間をピッタリと埋めるエンド部の気持ち良さ。肌への優しい当たり、スムーズに弧を描きながら優れた腕載りを約束するハリのあるラバー… 昨今は腕時計を購入すると光の速さでレザーストラップに換装してしまう私ですが、しばらくの間はこのまま使うことにします。個人的に使った記憶の少ない「白ラバー」が珍しいのもありますね。

ミナセに感じた「唯一の残念」は日本のムーブメントではないこと

 日本人にはもの作り立国としての〝誇り〟を想い出させ、外国人には〝美しい極東の美意識〟を想起させるであろう「ミナセの時計」。日本という国の良いところと悪いところ、その全てを飲み込んで未来への一歩を踏み出そうとする力強いイデアが、ミナセのラインナップには隅々まで浸透しています。素晴らしい!! めでたしめでたし… と言いたいところですが…

 問題は「ムーブメント」です。ここまで〝日本〟で通してきた「ミナセ」が何故、日本のムーブメントを搭載しなかったのか… 様々な理由があるとは思いますが、個人的に日本のパーツだけで完成したミナセを望む気持ちが強くあります。

DIVIDO 「Cal.KT7001(ETA2824-2ベース)」
HORIZON 「Cal.KT7001(セリタSW200-1ベース)」

 「ディヴァイド」〝ETA2824-2ベース〟「Cal.KT7001」。片や「ホライゾン」〝セリタSW200-1ベース〟「Cal.KT7001」を搭載しています。時期によって柔軟にベースを変更していたと考えるのが妥当でしょうか。

耐衝撃機構から〝グレード〟を探る

 2824とSW200、どちらも世界中で採用実績十分の汎用ムーブメントです。ちなみにホライゾンのセリタ版「KT7001」は、天真折れを防ぐ耐衝撃機構に竪琴形状の「Incabloc」を採用していました。少なくとも最低ランクのSW200ではありません(何気に嬉しい) 2824の方は残念ながら(?)「Novodiac」でした(ホトケノザみたいな形は好きです)

 もちろん、これらが悪い選択というわけではありません。馬車馬のように働いてくれるタフな動力源ですし、時計技術者なら誰でも修理できる点は、時計を長い年月使う上で非常に有利です。

 そんなスイス製のムーブメントとミナセの組み合わせ… 良いタッグだと思いますし、十分な価値を見出すこともできます。ただ、誠につまらない拘りかもしれませんが「ミヨタ」など、日本製の選択肢はなかったのかなぁ~なんて(クロノトウキョウさんの〝推し〟でミヨタのイメージも良くなりましたしね)

 もちろん、慎ましい消費者の私としては、欧州の悪いマネ…「自社製ムーブメント搭載による高価格化」だけは勘弁して欲しいところです。とはいえ、ミナセさんのケースやダイヤル、キレッキレのブレスレットを見てしまうと、そっち方面の〝必然性〟も感じてしまう… どちらにせよ、2つまとめて〝大人買い〟なんてマネができるのも、今だけかもしれません。

 ちなみに、現行の「ホライゾン」「ディヴァイド」は〝ETA2892ベース〟「Cal.KT7002」搭載です。薄いムーブメントのお陰で「ディヴァイド」の厚みは旧モデルと比べて〝1ミリ薄く〟なりました。地味ですが順当な進化ですね。

最後に… 高級時計の本場欧州が〝憧れるミナセ〟へ

DIVIDO ミナセからしか生まれない個性

 長い間「ミナセもええなぁ~」と恋い焦がれてはいたものの、その購入チャンスはあまりに突然でした。時計を購入する際は事前に〝手に入れる動機と根拠〟を明確にしておきたい私ですが、今回は時間的なゆとりがなく、この記事を書きながら「論理武装」を組み立てる始末です (;´Д`)

 ただ、こうして2本のミナセを目の前にしていると、何かこう… 湧き上がる「安堵」のようなものを感じています。この先も偉そうに多くの腕時計に関しての言及を繰り返すであろうワタクシでございますが、その準備として「知っておかねばならない」最後のピースがハマったような気がするのです。とはいえ、最後とは言っても時計好きの〝最後〟ほど当てにならないものは無いワケでして(笑)

 この先もお財布の調子を見つつ、現行のセブンかファイブの「ウインドウズ」を狙って行きたいと思います。コレクションの見た目的にも〝ミナセ三羽烏〟は揃えたいなぁ~ なんて (*´∀`*)

HORIZON 欧州ブランドに引けを取らない日本の美学

 ところで、最近特に思うのですよ。憧れだけでスイスやドイツの高級時計と対峙して良いものかと。もちろん、そうは言っても相手は有名ブランドですし、隠しようのない「畏怖の存在」は否定できません。

 その点、日本の時計は良い。その存在に〝憧れ〟はあっても、日本人ならばそれらに触れる〝必然と資格〟を最初から持っているからです。今回取り上げた「ミナセ」さんは紛うことなき日本屈指の高級時計メーカーですが、腕時計喫茶でこれまでに取り上げたケンテックスさん、フクシマウォッチさんと同様に、日本人として約束された〝赤い糸〟の存在を強く感じることができました。力任せに縁を結ぼうと苦労する必要もありません。

 「憧れることを止めましょう」… 2023年のWBC決勝前、大谷翔平選手が侍ジャパンのチームメイトを鼓舞するために発した言葉の真意は「リスペクトはしても屈するな」ではなかったかと思います。そんなメッセージを噛みしめながら見る「2つのミナセ」。そこに感じる日本人の誇りと覚悟の正体は、もしかすると「本場欧州から憧れの目で見られる時計を作る」という、遠大な目的意識にあるのかもしれませんね (*´ω`*)

 最後に、イベントで売り子をされていた技術畑の方にお礼と文句(?)を言わせて下さい。

 時計を2本一緒に買っちゃうなんて… 某所では何度かあった気もしますが、この時計馬鹿にしたってそんなに起きることじゃないのですよ。それなのに、あんな風にミナセの素晴らしさを熱く熱く語られたら… 私じゃなくてもミナセのこと好きになっちゃいますよ。

 ってなわけで「2本同時購入」も半分は貴方のせいですからねっ?? ねっ!?(笑)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • ホライゾンもディヴァイドも一目で
    ミナセと分かるデザイン性はお見事です。

    最近よくYouTubeなどでも紹介されているので、注目されてきてるな〜と思っていました。

    どちらも革ベルトも相性が良さそうだなと思いミナセのサイトを見てみましたが、ホライゾンはレザーのモデルがあるんですね。

    レザーのモデルも高級感があってよきでした。

    • Y太さま、コメントありがとうございます♪

      「ひと目でミナセと解る」⇦それだけで見事なデザインだと思います。
      しかもミナセ得意の金属加工技術を「見える化」できてますからね。
      外見で「なんかスゴいぞこれ!!」と思える希有なデザインです。

      レザーも良いですよねぇ~
      正規品を買うのもありですが、できればオーダーしたいところです。
      この難しい構造をどこが受けてくれるかな??(チラッ)

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